変圧器25【電験3種 機械】三相変圧器のΔ-Y結線と巻数比とは?平成27年 A問題8 完全解説

電験3種 機械科目 平成27年度 A問題8 三相変圧器のΔ-Y結線と巻数比

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「変圧器」は頻出かつ重要なテーマの一つです。本記事では、平成27年度(2015年)A問題8で出題された「三相変圧器のΔ-Y結線と巻数比」について、はじめての方でも確実に解けるように、三相結線の基礎から一歩ずつ丁寧に解説します。

この問題は、単相変圧器3台を組み合わせて三相で使うときの「巻数比」を求める問題です。一見ややこしく見えますが、「線間の値」と「1相(巻線)の値」を区別するというコツさえつかめば、確実に得点できる典型パターンです。Δ結線・Y結線の関係をマスターしましょう。

出題のポイント:なぜ「線間」と「1相」を区別するのか?

変圧器の巻数比は、あくまで巻線1相あたりの電圧の比で決まります。ところが三相回路で与えられる電圧・電流は、ふつう「線間電圧」や「線電流」です。Δ結線とY結線では、この線間(線)の値と巻線1相の値の関係が異なるため、ここを取り違えると \( \sqrt{3} \) 倍の誤差が生じて不正解になります。まずは結線ごとの関係式を正確に押さえることが、この問題を解くカギになります。

目次

平成27年度 機械科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 平成27年度 A問題8 問題文(三相変圧器のΔ-Y結線と巻数比)
平成27年度 機械科目 A問題8 問題文

電験3種 機械科目 【変圧器】 平成27年度 A問題8

一次側の巻数が \( N_1 \)、二次側の巻数が \( N_2 \) で製作された、同一仕様3台の単相変圧器がある。これらを用いて一次側を Δ結線、二次側を Y結線として抵抗負荷、一次側に三相発電機を接続した。発電機を電圧 440 V、出力 100 kW、力率 1.0 で運転したところ、二次電流は三相平衡の 17.5 A であった。この単相変圧器の巻数比 \( N_1/N_2 \) の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし、変圧器の励磁電流、インピーダンス及び損失は無視するものとする。

(1) 0.13  (2) 0.23  (3) 0.40  (4) 4.3  (5) 7.5

問題の解説:Δ-Y結線の巻数比を求める手順

それでは、順を追って解いていきましょう。方針は「①巻数比=巻線電圧の比 であることを思い出す → ②二次巻線電圧 \( V_2 \) を求める → ③一次巻線電圧 \( V_1 \) を求める → ④比をとる」です。

平成27年度 A問題8 解説1/2 Δ-Y結線図と条件整理
解説(1/2):Δ-Y結線図と与えられた条件の整理
平成27年度 A問題8 解説2/2 巻数比の計算とまとめ
解説(2/2):二次巻線電圧・一次巻線電圧から巻数比を計算

ステップ1:Δ結線・Y結線の電圧・電流の関係を確認

三相結線における「線間(線)の値」と「巻線1相の値」の関係は、次のとおりです。これは丸暗記しておきましょう。

Δ(デルタ)結線
巻線電圧 \( = \) 線間電圧 / 巻線電流 \( = \dfrac{\text{線電流}}{\sqrt{3}} \)

Y(スター)結線
巻線電圧 \( = \dfrac{\text{線間電圧}}{\sqrt{3}} \) / 巻線電流 \( = \) 線電流

ポイントは、Δは電圧がそのまま(電流が \( 1/\sqrt{3} \))、Yは電流がそのまま(電圧が \( 1/\sqrt{3} \))という対称的な関係です。今回は一次がΔ、二次がYなので、それぞれ都合のよい量がそのまま使えます。

ステップ2:与えられた条件の整理

問題文から、以下の条件が読み取れます。

条件記号
一次側の線間電圧(発電機電圧)\( V_{L1} \)440 [V]
三相出力(力率1.0)\( P \)100 [kW]
二次側の線電流\( I_{L2} \)17.5 [A]
求める巻数比\( N_1 / N_2 \)?

そして、解くうえで最も大切な考え方が、「3台の単相変圧器が、全体の電力を3等分して受け持つ」という点です。1台あたりが扱う電力 \( P_1 \) は、次のようになります。

$$P_1 = \frac{P}{3} = \frac{100 \times 10^3}{3} \fallingdotseq 33.3 \times 10^3 \text{ [W]}$$

ステップ3:二次巻線電圧 V₂ を求める

二次側はY結線なので、巻線電流 \( = \) 線電流 \( = 17.5 \) [A] がそのまま使えます。1台の変圧器が受け持つ電力 \( P_1 \) を、この巻線電流で割れば、二次巻線電圧 \( V_2 \) が求まります(力率1.0の抵抗負荷なので、皮相電力=有効電力です)。

$$V_2 = \frac{P_1}{I_2} = \frac{\,100 \times 10^3 / 3\,}{17.5} = \frac{100000}{3 \times 17.5} \fallingdotseq 1905 \text{ [V]}$$

ステップ4:一次巻線電圧 V₁ を求める

一次側はΔ結線なので、巻線電圧 \( = \) 線間電圧。発電機の線間電圧がそのまま1相の巻線にかかります。

$$V_1 = V_{L1} = 440 \text{ [V]}$$

ステップ5:巻数比 N₁ / N₂ を計算

巻数比は巻線電圧の比に等しいので、ステップ3・4の結果を代入します。

$$\frac{N_1}{N_2} = \frac{V_1}{V_2} = \frac{440}{1905} \fallingdotseq 0.231$$

四捨五入すると約 0.23 となります。したがって、正解は (2) 0.23 です。

計算結果の妥当性チェック

試験本番では、求めた答えが妥当かを別の視点で確認する習慣をつけると、ケアレスミスを大きく減らせます。巻数比は電流の比(逆比)でも確認できます。一次巻線電流 \( I_1 \) は、Δ結線なので \( I_1 = P_1 / V_1 = 33.3 \times 10^3 / 440 \fallingdotseq 75.8 \) [A]。これを用いると、

$$\frac{N_1}{N_2} = \frac{I_2}{I_1} = \frac{17.5}{75.8} \fallingdotseq 0.23$$

電圧から求めた値と一致しました。巻数比が1より小さい(=二次の巻数が多い昇圧)という結果も、440 V を約1905 V に昇圧していることと矛盾せず、妥当だと判断できます。

ポイント解説:三相結線でつまずかないために

計算自体は割り算だけでシンプルですが、三相結線の考え方でつまずく人が多いところです。背景を理解しておくと、応用問題にも対応しやすくなります。

1. 「1台あたり」で考えるのが最大のコツ

三相の問題でも、単相変圧器1台に注目すれば、結局は「巻線電圧 × 巻線電流 = その変圧器が扱う電力」という単相の関係に落とし込めます。3台で対称に分担しているので、1台あたりの電力は全体の \( 1/3 \)。この発想ができれば、Δ-Y でも Y-Δ でも同じ手順で解けます。

2. ΔとYで「そのまま使える量」を見抜く

Δ結線は電圧がそのまま(線間=巻線)、Y結線は電流がそのまま(線電流=巻線電流)です。今回は一次Δなので電圧 \( V_1 = 440 \) V がそのまま、二次Yなので電流 \( I_2 = 17.5 \) A がそのまま使えました。「どちらがそのまま使えるか」を最初に見抜くと、 \( \sqrt{3} \) を掛けるか割るかで迷わなくなります。

3. なぜ励磁電流やインピーダンスを無視できるのか

問題文に「励磁電流、インピーダンス及び損失は無視する」とあるのは、変圧器を理想変圧器として扱ってよいという意味です。これにより「入力電力=出力電力」「巻数比=電圧比=電流の逆比」が厳密に成り立ち、巻線電圧と巻線電流だけで巻数比が決まります。実際の変圧器では多少の損失や電圧降下がありますが、巻数比を問う問題では理想化して考えるのが定石です。

まとめ:Δ-Y結線と巻数比の解法フロー

今回の計算結果を表にまとめます。

一次側(Δ結線)二次側(Y結線)
巻線電圧\( V_1 = 440 \) V(=線間)\( V_2 \fallingdotseq 1905 \) V
巻線電流\( I_1 \fallingdotseq 75.8 \) A\( I_2 = 17.5 \) A(=線電流)
1台あたりの容量\( 100\,\text{kW} \div 3 \fallingdotseq 33.3 \) kV·A(力率1.0)
巻数比 \( N_1/N_2 \)440 / 1905 ≒ 0.23

三相変圧器のΔ-Y結線・巻数比は、電験3種で繰り返し問われる重要パターンです。「①1台あたりで考える → ②Δは電圧そのまま・Yは電流そのまま → ③巻線電圧の比をとる」という流れをマスターして、確実に得点できるようにしておきましょう!

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