変圧器26【電験3種 機械】三相変圧器のY-Δ結線と変圧比とは?平成21年度 A問題7 完全解説

電験3種 機械科目 変圧器 平成21年度 A問題7 Y-Δ結線の変圧比!線間電圧はどうなる?

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「変圧器」は頻出かつ重要なテーマの一つです。本記事では、平成21年度(2009年)A問題7で出題された「三相変圧器のY-Δ結線と変圧比」について、はじめての方でも確実に解けるように、三相結線の基礎から一歩ずつ丁寧に解説します。

この問題は、単相変圧器3台を一次側Y(星形)・二次側Δ(三角)結線で組み合わせ、抵抗負荷をつないだときの「変圧比」を求める問題です。前回の【機械】平成27年度A問題8とちょうど逆のパターンになっており、「線間の値と1相(巻線)の値の区別」+「負荷から電圧を逆算する」という2つのコツがカギになります。

目次

平成21年度 機械科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 平成21年度 A問題7 問題文(三相変圧器のY-Δ結線と変圧比)
平成21年度 機械科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題7

電験3種 機械科目 【変圧器】 平成21年度 A問題7

同一仕様である3台の単相変圧器の一次側を星形結線、二次側を三角結線にして、三相変圧器として使用する。20 [Ω] の抵抗器3個を星形に接続し、二次側に負荷として接続した。一次側を 3300 [V] の三相高圧母線に接続したところ、二次側の負荷電流は 12.7 [A] であった。この単相変圧器の変圧比として、最も近いのは次のうちどれか。
ただし、変圧器の励磁電流、インピーダンス及び損失は無視するものとする。

(1) 4.33  (2) 7.50  (3) 13.0  (4) 22.5  (5) 39.0

出題のポイント:線間の値と巻線の値を区別する

三相結線の問題は、「線間の値」と「1相(巻線)の値」を混同すると必ず外します変圧比は変圧器1台についての値ですから、巻線に実際にかかっている電圧どうしで比べる必要があります。

結線巻線電圧と線間電圧巻線電流と線電流
Y(星形)巻線電圧=線間電圧/\( \sqrt{3} \)巻線電流=線電流
Δ(三角)巻線電圧=線間電圧巻線電流=線電流/\( \sqrt{3} \)

本問は一次がY、二次がΔです。一次側は線間電圧を √3 で割って巻線電圧にする——二次側は線間電圧がそのまま巻線電圧になります。

そして二次側の電圧は与えられていません負荷の抵抗値と電流から逆算する——これが本問のもう一つの山場です。

一次Yの線間電圧3300ボルトを巻線電圧1905ボルトへ変換し、Y形負荷の相電圧254ボルトから線間電圧と二次デルタ巻線電圧440ボルトを求める図
一次Yは線間電圧を√3で割り、二次Δは線間電圧がそのまま巻線電圧です。

一次側の巻線電圧を求める

\( V_{1\ell}=3\,300\ [\mathrm{V}] \)
一次線間電圧
高圧母線の電圧
\( V_1=\dfrac{3\,300}{\sqrt{3}}\fallingdotseq 1\,905\ [\mathrm{V}] \)
一次巻線電圧
Y結線なので √3 で割る

Y結線では、巻線が中性点と線の間に入っていますだから巻線にかかるのは相電圧——線間電圧の 1/√3 です。

負荷から二次側の電圧を逆算する

負荷は20 Ω の抵抗3個を星形に接続したものです。星形なので、各抵抗にかかるのは相電圧——そこに12.7 A が流れています

\( V_{\text{負荷相}}=12.7\times20=254\ [\mathrm{V}] \)
負荷の相電圧
オームの法則。星形なので線電流=相電流
\( V_{2\ell}=\sqrt{3}\times254\fallingdotseq 440\ [\mathrm{V}] \)
二次線間電圧
星形負荷なので線間は相の √3 倍
\( V_2=440\ [\mathrm{V}] \)
二次巻線電圧
二次はΔ結線なので線間電圧=巻線電圧

√3 が2回出てきます一次側で1回割り、負荷側で1回掛ける——どちらの向きかを、結線の種類から判断するのがポイントです。

変圧比を求める

\( \text{変圧比}=\dfrac{V_1}{V_2}=\dfrac{1\,905}{440} \)
定義
巻線どうしの電圧比
\( \phantom{\text{変圧比}}\fallingdotseq 4.33 \)
答え
選択肢の4.33に一致
平成21年度機械A問題7の解答、負荷相電圧254ボルト、二次デルタ巻線電圧440ボルト、一次Y巻線電圧1905ボルト、変圧比4.33で正解1
n=1905/440≈4.33 なので正解は(1)です。降圧変圧器のため n>1 となることとも整合します。
答え正解は (1) 4.33です。4.33≒2.5√3——√3 が絡んだ半端な値になるのが、異種結線の問題の特徴です。

選択肢の作られ方を読む

選択肢どんな計算をしたか誤りの種類
(1) 4.33 ← 正解1 905/440なし
(2) 7.501 905/254二次側を負荷の相電圧のままにした
(3) 13.03 300/254一次を線間のまま、二次を相電圧のまま
(5) 39.0√3 の扱いをさらに誤った値

4.33・7.50・13.0 は、それぞれ √3 倍ずつの関係にあります(4.33×√3=7.50、7.50×√3=13.0)。選択肢が √3 刻みで並んでいたら、√3 の個数と向きを問う問題——これまで何度も見てきたパターンです。

☝️ ひっかけの作り方:「負荷が星形」という条件を見落とすのが最大の落とし穴です。もし負荷がΔ接続なら、二次線間電圧は254 V のまま——答えは(2)の7.50 になってしまいます変圧器の結線だけでなく、負荷の結線も確認してください。

三相結線の問題は、4つの手順に分解できる

三相結線の計算問題は、見た目こそ違っても手順はいつも同じです。型を決めておけば、どの年度の問題でも同じように処理できます

手順やること本問での作業
一次・二次それぞれの結線を確認する一次Y、二次Δ
与えられた値が線間か巻線かを判別する3 300 V は線間電圧
両側とも「巻線の値」に直す一次1 905 V、二次440 V
巻線どうしで比を取る1 905/440≒4.33

手順②が最も間違えやすいところです。「3 300 V の三相高圧母線」は線間電圧——三相で電圧を言うときは、断りがなければ線間電圧という約束があります。

電流も同じで、「三相の電流」と言えば線電流です。巻線に流れる電流(相電流)を指すときは、必ずそう明記される——この約束を知っていれば、②で迷いません

負荷側の結線も忘れずに確認する

本問では、負荷が星形に接続されていることが答えを左右しました。変圧器の結線ばかりに気を取られて、負荷の結線を見落とす——これが本問で最も多い失敗でしょう。

負荷の結線抵抗にかかる電圧二次線間電圧変圧比
星形(本問)相電圧254 V440 V4.33
三角線間電圧254 V254 V7.50

負荷が三角接続なら答えは7.50——まさに誤答の(2)です。「20 Ω の抵抗器3個を星形に接続し」という一文が、答えを決めている——条件文の一語一句に意味があることが分かります。

三相の問題では、登場する結線がいくつあるかを最初に数えるのが有効です。本問なら「一次Y・二次Δ・負荷Y」の3つ——それぞれで √3 の扱いが変わるので、図に書き出してから計算に入ると事故が減ります。

⏱️ 本番での進め方
① Y側は線間を √3 で割る、Δ側は線間=巻線電圧。
② 一次巻線電圧=3 300/√3≒1 905 V。
③ 負荷相電圧=12.7×20=254 V → 二次線間=254√3≒440 V。
④ 変圧比=1 905/440≒4.33。選択肢が √3 刻みなので慎重に。

💡 覚え方
「Yは電圧を割る、Δは電流を割る」——本問では電圧の話なので、Y側だけ √3 で割りますそして「変圧比は巻線どうしの比」——線間電圧の比ではないことを、答える前に確認しましょう。

関連問題:ちょうど裏返しの問題がある

一次Δ・二次Yという逆の結線で、巻数比を求める問題が平成27年度 A問題8で出ています変圧器25:三相変圧器のΔ-Y結線と巻数比)。結線が裏返しなので、√3 を掛ける側と割る側も入れ替わります

2問を並べて解くと、「どちら側がYか」で処理が決まることが体で分かります——結線名を見た瞬間に √3 の行き先が決まるようになれば、この型は完成です。

一次Y、二次Y形負荷、二次変圧器デルタについて線間値と巻線1相の値を整理し、変圧比4.33を求める比較表
負荷のY結線と変圧器のΔ結線を別々に扱い、最後に両側を巻線1相の電圧へそろえます。
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