電気及び電子計測43【電験3種 理論】ホイートストンブリッジの平衡条件で未知抵抗を求める!平成18年度 B問題16 完全解説

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成18年度 B問題16 ブリッジが平衡した瞬間!未知抵抗はいくつ?

今回は平成18年度 理論科目 B問題16を解説します。滑り抵抗器R3を含むブリッジ回路で、検流計の指示が0(平衡)になったときの未知抵抗Rxと、そのとき電流計が示す電源電流を求める問題です。(令和6年度下期 B問題16と同一の問題です。)

ブリッジの平衡は「向かい合う辺の抵抗の積が等しい」で判定します。接触子Cを中央にするとRac=Rbc=3kΩ。平衡時は検流計に電流が流れないので、電源から見た回路は2つの直列枝の並列合成になり、そこにオームの法則を使います。

目次

平成18年度 理論科目 B問題16:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成18年度 B問題16 問題文
平成18年度 理論科目 B問題16 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題16

電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 平成18年度 B問題16

 図のブリッジ回路を用いて、未知抵抗Rxを測定したい。抵抗R1=3kΩ、R2=2kΩ、R4=3kΩとし、R3=6kΩの滑り抵抗器の接触子の接点Cをちょうど中央に調整したとき(Rac=Rbc=3kΩ)ブリッジが平衡したという。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

ただし、直流電圧源は6Vとし、電流計の内部抵抗は無視できるものとする。

(a) 未知抵抗Rxの値[kΩ]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.1 (2)0.5 (3)1.0 (4)1.5 (5)2.0 kΩ

(b) 平衡時の電流計の指示値[mA]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0 (2)0.4 (3)1.5 (4)1.7 (5)2.0 mA

図 滑り抵抗器R3(Rac=Rbc=3kΩ)を含むブリッジ回路と滑り抵抗器の詳細図(問題図)
図 滑り抵抗器R3(Rac=Rbc=3kΩ)を含むブリッジ回路と滑り抵抗器の詳細図(問題図)

出題のポイント:電源は「スライダ c」につながっている

この回路は普通のホイートストンブリッジとは形が違います電源が滑り抵抗器のスライダ c につながっており、\(R_4+R_{ac}\) と \(R_x+R_{bc}\) が対辺になります。

検流計をはさんだ2点(T と D)の電位が等しい——その条件を「上の区間」と「下の区間」の2つで書けば連立方程式になります。

このブリッジの平衡条件
$$R_1I_1=R_2I_2\quad\text{…①(検流計の左側で電位が等しい)}$$$$(R_4+R_{ac})I_1=(R_x+R_{bc})I_2\quad\text{…②(右側も等しい)}$$

検流計をはさんだ2点の電位が等しくなる条件を、上下2つの区間それぞれで書きます

解説(a):2つの平衡条件を連立する

経路は2本あります。左端 L から出て、上は \(R_1\to R_4\to R_{ac}\)、下は \(R_2\to R_x\to R_{bc}\) を通ってスライダ c へ検流計は上下の中間点どうし(T と D)をつないでいます

$$R_1I_1=R_2I_2\ \Rightarrow\ 3I_1=2I_2\ \Rightarrow\ \frac{I_1}{I_2}=\frac{2}{3}$$
❶ 左側(LからT・Dまで)
電位差が等しい
$$(R_4+R_{ac})I_1=(R_x+R_{bc})I_2$$
❷ 右側(T・Dからcまで)
$$(3+3)I_1=(R_x+3)I_2\ \Rightarrow\ 6\times\frac{2}{3}=R_x+3$$
❸ 比を代入
$$R_x=4-3=1.0\ \mathrm{k\Omega}$$
❹ 答え
答え(a) \(R_x=1.0\ \mathrm{k\Omega}\) → 選択肢(3)

「向かい合う辺の積が等しい」という覚え方をそのまま使うと外しますこの回路では \(R_4\) と \(R_{ac}\) が直列で1つの辺、\(R_x\) と \(R_{bc}\) が直列でもう1つの辺——まず辺の構成を確かめてください

解説(b):電流計は全電流を測っている

電流計は電源と直列に入っています。検流計とは別物——平衡していても電流計はゼロになりません

$$\text{経路1}=R_1+R_4+R_{ac}=3+3+3=9\ \mathrm{k\Omega}$$
❶ 上の経路
$$\text{経路2}=R_2+R_x+R_{bc}=2+1+3=6\ \mathrm{k\Omega}$$
❷ 下の経路
$$R=\frac{9\times6}{9+6}=3.6\ \mathrm{k\Omega}$$
❸ 並列合成
平衡時は検流計に電流が流れない
$$I=\frac{6}{3.6\times10^{3}}\fallingdotseq1.7\ \mathrm{mA}$$
❹ 全電流
答え(b) 電流計の指示 \(\fallingdotseq1.7\ \mathrm{mA}\) → 選択肢(4)

平衡していると検流計に電流が流れないので、2つの経路は完全に独立した直列回路として扱えますだから単純な並列合成でよいのです。

誤答の正体:検流計と電流計を混同する

(b)の選択肢どう考えると出るか
(1)0 mA★「平衡だから電流ゼロ」——ゼロになるのは【検流計】
(2)0.4 mA
(3)1.5 mA片方の経路だけ(6/9k=0.67 や 6/4k=1.5)
(4)1.7 mA◎ \(6/3.6\mathrm{k}\)
(5)2.0 mA合成抵抗を 3 kΩ と誤った

(1)の 0 mA がいちばん多い誤りです。「ブリッジが平衡=電流が流れない」という思い込み——流れないのは検流計の枝だけで、電源からは電流が出続けています

(3)の 1.5 mA は経路2だけの電流(\(6/4\mathrm{k}\))に近い値です。両方の経路を足すのを忘れると出ます

⚠️ よくある間違い
検流計(galvanometer)と電流計(ammeter)は別の計器です。検流計はブリッジの平衡を見るためのもので、平衡時はゼロ電流計は電源が供給する全電流を測っており、ゼロにはなりません

深掘り①:辺の構成を見極める

ブリッジの4辺は「検流計をはさんで上下左右」です。本問では滑り抵抗器が2辺にまたがっているので、辺の切り分けに注意が要ります。

構成抵抗値
左上\(R_1\)3 kΩ
左下\(R_2\)2 kΩ
右上\(R_4+R_{ac}\)3+3=6 kΩ
右下\(R_x+R_{bc}\)\(R_x\)+3 kΩ
$$\frac{R_1}{R_2}=\frac{R_4+R_{ac}}{R_x+R_{bc}}$$
❶ 平衡条件(比の形)
対辺の比が等しい
$$\frac{3}{2}=\frac{6}{R_x+3}\ \Rightarrow\ R_x+3=4$$
❷ 代入

比の形で書くと1行です。「左上:左下 = 右上:右下」——辺さえ正しく切り分けられれば、あとは普通のブリッジです。

深掘り②:滑り抵抗器を使う理由

滑り抵抗器(スライドワイヤ)は、接触子を動かすだけで抵抗比を連続的に変えられます抵抗値を読むのではなく「長さの比」を読むのがポイントです。

均一な抵抗線なら、長さの比=抵抗の比目盛りを刻んでおけば、目視で正確な比が得られます——抵抗器の値そのものの精度は要りません

本問では中央に合わせて \(R_{ac}=R_{bc}=3\ \mathrm{k\Omega}\)「ちょうど中央で平衡した」という設定なので、比は 1:1 です。

ただし本問では \(R_4\) と \(R_x\) が加わっているので、単純な 1:1 のブリッジにはなりません——そこがこの問題の工夫です。

深掘り③:平衡すると2つの経路は独立する

検流計に電流が流れない=上下の経路が電気的につながっていないのと同じです。だから電源から見ると、単なる2つの直列回路の並列になります。

$$I_1=\frac{6}{9\times10^{3}}\fallingdotseq0.667\ \mathrm{mA}$$
❶ 上の経路
$$I_2=\frac{6}{6\times10^{3}}=1.000\ \mathrm{mA}$$
❷ 下の経路
$$I=I_1+I_2\fallingdotseq1.67\ \mathrm{mA}$$
❸ 合計
並列合成と同じ答え

比 \(I_1:I_2=0.667:1.000=2:3\)——(a)で使った \(I_1/I_2=2/3\) と一致します。これも良い検算になります。

💡 覚え方
検流計は平衡でゼロ、電流計は全電流平衡すれば2つの経路は独立するので、並列合成で全電流が出ます——この2点だけで(b)は解けます

深掘り④:ブリッジ回路の使い分け

測定器測るもの特徴
ホイートストンブリッジ中〜高抵抗(1 Ω〜1 MΩ)零位法・高精度
ケルビンダブルブリッジ低抵抗(1 mΩ〜1 Ω)リード線抵抗を打ち消す
滑り抵抗器式比を連続的に変えられる長さの比で読む
交流ブリッジ\(L\)・\(C\)実部と虚部の両方を零に

どれも零位法です。検出器がゼロかどうかだけを見るので、検出器の目盛りの精度が結果に影響しません——これが高精度の理由です。

⏱️ 本番での進め方
❶ まず4つの辺を切り分ける——滑り抵抗器がどの辺に入るか確認。
❷ 平衡条件は「左上:左下=右上:右下」——比の形が速い。
❸ (b)は平衡だから2経路が独立——並列合成で全電流。
❹ 検流計と電流計を混同しない——ゼロになるのは検流計。

出題履歴:★令和6年度下期にそのまま再出題された

本問は令和6年度下期B問題16として、図・数値・選択肢まですべて同一のまま再出題されています。答えも(a)(3)・(b)(4)で変わりません——18年前の問題がそのまま出た例です。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

★同型問題:【理論】令和6年度下期 B問題16とまったく同じ問題

この問題は 【理論】令和6年度下期 B問題16 と、図・数値・選択肢まですべて同一です。答えも変わりません——片方を確実に解けるようにしておけば、そのまま得点になります

項目平成18年度 B問題16令和6年度下期 B問題16
テーマ滑り抵抗器を含むブリッジ同じ
数値R_1=3k、R_2=2k、R_4=3k、R_3=6k(中央)、6V同じ
(a)の答え(3) R_x=1.0 kΩ同じ
(b)の答え(4) 1.7 mA同じ
選択肢の並び同じ(番号も変わらない)

計測分野は同じ題材の再出題が特に多い単元です。「電圧計の負荷効果」「変調度と検波回路」「電圧降下法の誤差」「整流形の指示値」などは、数年おきに数値まで同じまま出ています——過去問の価値がとりわけ高い分野です。

▼あわせて解きたい同型問題:【理論】令和6年度下期 B問題16

まとめ

平衡条件R1(Rx+Rbc)=R2(R4+Rac)
(a)Rx3(Rx+3)=12→Rx=1.0kΩ→(3)
上枝R1+R4+Rac=9kΩ
下枝R2+Rx+Rbc=6kΩ
合成9∥6=3.6kΩ
(b)電流計6/3.6≒1.7mA→(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・同型問題(電気及び電子計測3・令和6下期):【理論】令和6年度下期 B問題16

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