今回は平成30年度 理論科目 B問題18(選択問題)を解説します。内部抵抗の異なる2つの測定端子(150V端子=15kΩ、100V端子=10kΩ)をもつ直流電圧計で、定電流源につないだ抵抗Rの電圧を2回測定し、RとIを求める問題です。(令和5年度上期 B問題16と同一の問題です。)
電圧計は内部抵抗をもつため、Rと並列につなぐと電圧計にも電流が分かれて流れます。定電流源の電流Iは一定なので、2回の測定でIを消去してRを、続いてIを求めるのがポイントです。
平成30年度 理論科目 B問題18:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題18
電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 平成30年度 B問題18
内部抵抗が15kΩの150V測定端子と内部抵抗が10kΩの100V測定端子をもつ永久磁石可動コイル形直流電圧計がある。この直流電圧計を使用して、図のように、電流I[A]の定電流源で電流を流して抵抗Rの両端の電圧を測定した。
測定I:150Vの測定端子で測定したところ、直流電圧計の指示値は101.0Vであった。
測定II:100Vの測定端子で測定したところ、直流電圧計の指示値は99.00Vであった。
次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、測定に用いた機器の指示値に誤差はないものとする。
(a) 抵抗Rの抵抗値[Ω]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)241 (2)303 (3)362 (4)486 (5)632 Ω
(b) 電流Iの値[A]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.08 (2)0.17 (3)0.25 (4)0.36 (5)0.49 A

出題のポイント:2つの指示値の「比」を取ると電流が消える
定電流源なので \(I\) は両方の測定で同じです。2つの式の比を取れば \(I\) が約分され、未知数が \(R\) だけになります——これが本問の解法です。
電圧計をつなぐと、その内部抵抗が \(R\) と並列になって電流を分け合います。だから指示値は真値より低く、しかも内部抵抗が小さいレンジほど低く出ます——101.0 V と 99.00 V の差はここから生まれます。

解説(a):比を取って \(R\) を求める
\(I\) が消える
係数 1.0202 は \(101.0/99.00\)。「101÷99=1.0202」と押さえておけば、あとは一次方程式です。
解説(b):どちらかの測定から \(I\) を出す
検算:測定IIでも \(I\times(R\parallel10\,\mathrm{k})=0.167\times594\fallingdotseq99.0\ \mathrm{V}\)——ちゃんと 99.00 V になります。両方で合うことを確かめれば安心です。
真値は \(I\times R=0.167\times632\fallingdotseq105\ \mathrm{V}\)。電圧計をつないだせいで 101.0 V や 99.00 V に下がっている——測定が対象を乱しているのです。
誤答の正体:どの抵抗で割るか
| 選択肢 | \(R\) | その正体 |
| (1) | \(241\ \Omega\) | 比の取り方を誤った値 |
| (2) | \(303\ \Omega\) | ★方程式の右辺 303 をそのまま答えた |
| (3) | \(362\ \Omega\) | — |
| (4) | \(486\ \Omega\) | — |
| (5) | \(632\ \Omega\) | ◎ 正解 |
(2)の 303 は、方程式 \(0.4798R=303\) の右辺そのものです。最後の割り算をせずに答えると落ちます——計算を最後まで。
⚠️ よくある間違い
「150 V 端子だから内部抵抗 15 kΩ、100 V 端子だから 10 kΩ」という対応を取り違えないでください。レンジが大きいほど内部抵抗も大きい——倍率器が直列に増えるからです。15 kΩ/150 V = 10 kΩ/100 V = 100 Ω/V と、感度は同じになっています。
深掘り①:\(\Omega/\mathrm{V}\) という指標
同じ計器のレンジ違い
\(\Omega/\mathrm{V}\)(オーム毎ボルト)は電圧計の感度を表す指標です。フルスケール電流の逆数——\(100\ \Omega/\mathrm{V}\) なら \(1/100=10\ \mathrm{mA}\) でフルスケールになります。
値が大きいほど良い電圧計です。アナログテスタは \(20\ \mathrm{k\Omega/V}\) 程度——本問の計器(\(100\ \Omega/\mathrm{V}\))はかなり感度が低い設定です。
だからこそ本問では負荷効果が大きく現れます。真値 105 V に対して 101 V や 99 V——4〜6 %もずれています。
深掘り②:電圧計の負荷効果
\(R_v\) が大きいほど1に近づく
| \(R_v\) | \(R_v/(R+R_v)\) | 指示値/真値 |
| 10 kΩ | 0.940 | 6.0 %低い |
| 15 kΩ | 0.960 | 4.0 %低い |
| 10 MΩ | 0.99994 | 0.006 %低い |
ディジタル電圧計なら入力抵抗 10 MΩ 以上なので、この誤差はほぼゼロになります。本問のような測定はアナログ計器ならではの問題です。
逆に言えば、この誤差を利用して \(R\) と \(I\) が求められた——「誤差を情報として使う」という発想の問題です。
深掘り③:定電流源という条件が効いている
もし定電圧源だったら、電圧計をつないでも \(R\) の両端電圧は変わりません。2つの測定で同じ値が出て、何も分からないことになります。
定電流源だからこそ、並列抵抗が変わると電圧が変わります。\(V=I\times(R\parallel R_v)\)——\(R_v\) の違いが電圧の違いとして現れるのです。
| 電源の種類 | 電圧計をつなぐと | 本問への影響 |
| 定電流源 | 合成抵抗が下がり電圧も下がる | レンジで指示が変わる → 解ける |
| 定電圧源 | 電圧は変わらない | レンジを変えても同じ値 → 解けない |
💡 覚え方
定電流源+並列 → 「比を取ると \(I\) が消える」。未知数が2つ(\(R\) と \(I\))でも、式が2本あれば解ける——まず比で1つ消し、あとから代入して残りを求めるのが定石です。
深掘り④:測定が対象を乱すということ
測るという行為そのものが、測る対象を変えてしまう——これは計測の根本的な問題です。
| 計器 | つなぎ方 | 対象への影響 | 理想 |
| 電圧計 | 並列 | 電流を奪う | 内部抵抗 \(\infty\) |
| 電流計 | 直列 | 電圧を落とす | 内部抵抗 0 |
零位法(ブリッジ・電位差計)が高精度なのは、平衡時に電流が流れず、対象を乱さないからです。令和4年度上期A問題14で問われた考え方——本問はその裏返しです。
⏱️ 本番での進め方
❶ 定電流源なので \(I\) は共通——2式の比を取れば消える。
❷ 比の式は \(1.5(R+10\mathrm{k})/(R+15\mathrm{k})\)——たすき掛けして一次方程式。
❸ (b)はどちらかの測定に \(R\) を戻して \(I\) を出す。
❹ もう一方の測定でも合うか検算——両方合えば確実。
★レンジが大きいほど内部抵抗も大きい——\(\Omega/\mathrm{V}\) は一定。
出題履歴:★令和5年度上期にそのまま再出題された
本問は令和5年度上期B問題16として、図・数値・選択肢まですべて同一のまま再出題されています。答えも(a)(5)・(b)(2)で変わりません——過去問がそのまま出た1問です。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
★同型問題:【理論】令和5年度上期 B問題16とまったく同じ問題
この問題は 【理論】令和5年度上期 B問題16 と、図・数値・選択肢まですべて同一です。答えも変わりません——片方を確実に解けるようにしておけば、そのまま得点になります。
| 項目 | 平成30年度 B問題18 | 令和5年度上期 B問題16 |
| テーマ | 直流電圧計の内部抵抗と負荷効果 | 同じ |
| 測定端子 | 150 V/15 kΩ、100 V/10 kΩ | 同じ |
| 指示値 | 101.0 V、99.00 V | 同じ |
| (a)の答え | (5) R≒632 Ω | 同じ |
| (b)の答え | (2) I≒0.17 A | 同じ |
計測分野は同じ題材の再出題が特に多い単元です。「電圧計の負荷効果」「変調度と検波回路」「電圧降下法の誤差」「整流形の指示値」などは、数年おきに数値まで同じまま出ています——過去問の価値がとりわけ高い分野です。
▼あわせて解きたい同型問題:【理論】令和5年度上期 B問題16
まとめ
| 測定I | I=101/R+101/15000(15kΩ) |
| 測定II | I=99/R+99/10000(10kΩ) |
| R | 2/R=99/10000−101/15000→R≒632Ω→(5) |
| I | 101/632+101/15000≒0.17A→(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同型問題(電気及び電子計測8・令和5上期):【理論】令和5年度上期 B問題16

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