今回は平成22年度 理論科目 B問題15を解説します。各線に直列のR/2抵抗と、Δ接続の抵抗R負荷からなる平衡三相回路で、(a)端子a-cに100V単相電源をつなぎ消費電力200Wのときの抵抗Rと、(b)a,b,cに線間200V対称三相電源をつないだときの全消費電力を求めるB問題です。
(a)は単相:a-c間の合成抵抗を求めます(b開放なのでΔの分流R∥2Rに注意)。(b)は三相:Δ負荷をY変換して1相分の合成抵抗を出し、P=3×相電圧²/(1相抵抗)で求めます。
平成22年度 理論科目 B問題15:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題15
電験3種 理論科目 【電気回路(三相交流)】 平成22年度 B問題15
図の平衡三相回路について、次の(a)及び(b)に答えよ。
(a)端子a、cに100〔V〕の単相交流電源を接続したところ、回路の消費電力は200〔W〕であった。抵抗R〔Ω〕の値として、正しいのは次のうちどれか。
(1)0.30 (2)30 (3)33 (4)50 (5)83〔Ω〕
(b)端子a、b、cに線間電圧200〔V〕の対称三相交流電源を接続したときの全消費電力〔kW〕の値として、正しいのは次のうちどれか。
(1)0.48 (2)0.80 (3)1.2 (4)1.6 (5)4.0〔kW〕

出題のポイント:単相試験と三相運転で回路の見え方が変わる
(a) は端子a-cに単相100 Vを加える試験、(b) は3端子に三相200 Vを加える通常運転——同じ回路を2通りに使う問題です。
(a) ではb端子が開放になります。b端子につながる線路抵抗には電流が流れないので、その分は回路から消えます——ただしΔ内部の頂点Bは生きています。
「b端子が開放=B点が切り離される」ではありません。外部への線が切れているだけで、三角形の内部はつながったまま——A→B→Cという経路は使えます。

(a) の解説:回路を描き直して合成抵抗を作る
和分の積
❷の通分がポイントです。分母を6にそろえると \(\dfrac{3R}{6}+\dfrac{4R}{6}+\dfrac{3R}{6}=\dfrac{10R}{6}=\dfrac{5R}{3}\)——暗算せず、通分の過程を書くほうが確実です。
❸で分数で割るのは逆数を掛けることです。\(\dfrac{10000}{5R/3}=10000\times\dfrac{3}{5R}=\dfrac{6000}{R}\)——ここで慌てると桁を落とします。

(b) の解説:三相ならΔ→Y変換が使える
平衡なので \(1/3\)
\(=1.6\ \mathrm{kW}\)
❸の \(P=\dfrac{V_l^{2}}{R_{\text{1相}}}\) はY等価回路のときに使える便利な形です。\(3\times\dfrac{(V_l/\sqrt3)^{2}}{R}=\dfrac{V_l^{2}}{R}\)——3と \(\sqrt3\) が消えます。
三相では3本の線すべてに電流が流れるので、(a) のように「開放された枝」を考える必要はありません。素直にΔ→Y変換して1相等価回路を作れば済みます。

誤答の正体:Δ内部の経路を見落とす
(a) で最も多い誤りは、B経由の経路を忘れることです。その場合どうなるかを計算してみましょう。
| 考え方 | \(R_{AC}\) | 合成抵抗 | \(R\) の解 | 選択肢 |
| B経由を忘れる | \(R\) | \(2R\) | 25 Ω | なし |
| 正しい | \(2R/3\) | \(5R/3\) | 30 Ω | (2) |
| 線路を片側だけ | \(2R/3\) | \(7R/6\) | 35 Ω | なし |
誤った考え方では選択肢にない値が出ます——これは救いです。25 Ωや35 Ωが出たら、回路の読み取りを見直してください。
選択肢を代入して検算するのが最速です。\(R=30\) なら合成 \(5\times30/3=50\ \Omega\)、\(P=100^{2}/50=200\ \mathrm{W}\)——問題文の条件を再現できます。
⚠️ よくある間違い
「開放=その部分が消える」は線路抵抗にだけ当てはまります。Δ負荷の3辺は端子bとは無関係に存在——b端子から外へ電流が出ていかないだけです。
☝️ ひっかけの作り方:(a) で求めた \(R=30\ \Omega\) はΔの1辺の抵抗です。線路抵抗はその半分の15 Ω——(b) で \(R/2\) を使うのを忘れないでください。
深掘り①:単相試験のときの電流分布を追う
(a) で電流がどう分かれるかを追ってみると、回路の姿がはっきり見えます。\(R=30\ \Omega\) で計算します。
合成50 Ω
2:1 に分かれる
抵抗が \(R\) と \(2R\) の並列なので、電流は 2:1 に分かれます。「抵抗が小さいほうに多く流れる」——直接の道のほうが2倍流れるわけです。
線路での損失は \(2\times2^{2}\times15=120\ \mathrm{W}\)、Δ負荷での消費は \(2^{2}\times20=80\ \mathrm{W}\)——合計200 Wで問題文の条件に一致します。
深掘り②:三相運転時の効率を計算する
(b) の1.6 kWには、線路で捨てられる分も含まれています。内訳を出しておきましょう。
60 %
40 %
非常に低い
効率40 %は実際の送配電ではあり得ません(通常は95 %以上)。試験問題として計算しやすい数値を選んだ結果ですが、線路抵抗の影響を体感するには良い設定です。
効率を上げるには、線路抵抗を下げるか、電圧を上げて電流を下げる——後者が高電圧送電の理由です。電圧を2倍にすれば電流は半分、損失は \(1/4\) になります。
深掘り③:Δ負荷の「B経由の道」を一般化する
Δ結線の2端子間から見た抵抗は、単相試験でよく問われる形です。一般化しておきましょう。
| 結線 | 2端子間から見た抵抗 | 本問では |
| Δ(3辺とも \(R\)) | \(R\ /\!/\ 2R=\dfrac{2R}{3}\) | 20 Ω |
| Y(3枝とも \(R\)) | \(R+R=2R\) | — |
Δの \(2R/3\) とYの \(2R\) は3倍の関係です。Δ→Y変換で抵抗が \(1/3\) になることと整合しています——\(2\times\dfrac{R}{3}=\dfrac{2R}{3}\) ですから当然です。
この関係は三相誘導電動機の巻線抵抗測定でも使います。端子間抵抗を測って、Y結線なら \(\div2\)、Δ結線なら \(\times\dfrac{3}{2}\) して1相分の抵抗を出す——機械科目でも登場します。
⏱️ 本番での進め方
❶ 開放端子の線路抵抗だけが消える——Δの頂点は生きている。
❷ Δの2端子間は \(R\ /\!/\ 2R=2R/3\)——単相試験の定番。
❸ 三相運転ではΔ→Y変換(\(1/3\))して線路と直列。
❹ Y等価の三相電力は \(P=V_l^{2}/R_{\text{1相}}\)——最速の形。
💡 覚え方
「電流の通り道を鉛筆でなぞる」——これが開放端子のある回路を読むコツです。A から C へ行く道が2本あることが、なぞれば必ず見えます。
★重要:令和5年度上期にそのまま再出題された
令和5年度上期B問題15は、本問と完全に同一の問題です。回路も数値も選択肢の並びも、正答番号(a)(2)(b)(4)まですべて同じ——13年の時を経ての再出題でした。
| 本問(平成22年度 B問題15) | 令和5年度上期 B問題15 | |
| (a) の条件 | 端子a-cに単相100 V、消費電力200 W | 完全に同一 |
| (b) の条件 | 線間電圧200 Vの対称三相 | 完全に同一 |
| 選択肢 (a) | 0.30/30/33/50/83 | 並びも同じ |
| 選択肢 (b) | 0.48/0.80/1.2/1.6/4.0 | 並びも同じ |
| 正答番号 | (a)(2) (b)(4) | (a)(2) (b)(4) |
当サイトで確認している「完全同一ペア」はこれで5組目です。そのうち3組が三相交流のB問題——この分野は特に再出題が多いと言えます。
⚠️ よくある間違い
三相のB問題は作問が難しいため、過去問の再利用が起きやすいと考えられます。古い年度でも、B問題だけは目を通しておく価値があります。
出題履歴:単相試験+三相運転の2段構え
「測定条件から定数を求め、その定数で運転状態を計算する」という構成は、電験B問題の王道です。(a) を必ず検算してから (b) へ進む——連鎖ミスを防ぐ鉄則です。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
あわせて解いておきたい記事:【理論】令和5年度上期B問題15(完全に同一の問題)
まとめ
| (a)合成 | R/2+2R/3+R/2=5R/3 |
| (a)R | 6000/R=200→30Ω …(2) |
| (b)1相 | 15+10=25Ω(=5R/6) |
| (b)P | 3×115.5²/25≒1.6kW …(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・Δ-Y変換と三相電力:【理論】平成29年度B問題16

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