過渡現象24【電験3種 理論】スイッチ切り換え後のRC回路の時定数を求める!平成18年度 A問題10 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(過渡現象) 平成18年度 A問題10 スイッチを切り換えた後!時定数は何秒になる?

今回は平成18年度 理論科目 A問題10を解説します。E=10V・R₁=300Ω・R₂=100Ω・C=20μFの回路で、スイッチを①側に閉じてCを充電後、②側に切り換えたときの時定数を求める問題です。

時定数はコンデンサから見た抵抗×C。②側に切り換えると、CはR₂を通して放電するので、Cが見る抵抗はR₂。τ=CR₂で計算します。

目次

平成18年度 理論科目 A問題10:問題文と選択肢

スイッチを切り換えた後、コンデンサから見える回路は一変します。時定数は「Cから見た抵抗」×C——切り離された部品は数えません。まずは問題文を確認しましょう。

電験3種 理論科目 過渡現象 平成18年度 A問題10 問題文
平成18年度 理論科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題10

電験3種 理論科目 【電気回路(過渡現象)】 平成18年度 A問題10

 直流電圧E=10V、抵抗R₁=300Ω、R₂=100Ω、静電容量C=20μF、スイッチS(①側・②側に切り換え可能)からなる回路がある。スイッチSを①側に閉じてコンデンサを十分に充電した後、②側に切り換えた。②側の回路における時定数τの値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.05μs (2)0.2μs (3)1.5ms (4)2.0ms (5)8.0ms

出題のポイント:時定数は「コンデンサから見た抵抗」で決まる

過渡現象の問題は、回路が複雑に見えても次の一文に集約できます

過渡現象を貫く原則
$$\tau=R_{\text{eq}}\,C\qquad\left(R_{\text{eq}}=\text{コンデンサの端子から回路側を見た抵抗}\right)$$

電圧源は短絡、電流源は開放して端子から覗いた抵抗が \(R_{\text{eq}}\)。テブナン等価抵抗と同じものです。

本問はこの原則を、スイッチの切り換えという形で試しています。①側にいる間と②側に移った後では、コンデンサから見える景色がまるで違うのです。

スイッチの位置回路の中身Cから見た抵抗時定数
①側(充電)E—R₁—C のループR₁=300 Ω\(R_1C=6.0\;\mathrm{ms}\)
②側(放電)C—R₂ の閉ループ(電源とR₁は切り離される)R₂=100 Ω\(R_2C=2.0\;\mathrm{ms}\)

充電と放電で時定数が違う——これが本問の隠れたテーマです。同じコンデンサでも、経路の抵抗が変われば速さが変わります。問題が聞いているのは②側の時定数なので、R₁は答えに一切関与しません。

充電時と放電時の切換え回路を分け、切換え後はコンデンサCと抵抗R2だけが閉ループになることを説明
切換え後はCとR₂だけの放電ループとなり、R₁と電源は時定数に関係しません。

「Cから見た抵抗」の見つけ方——3ステップ

複雑な回路でも、次の手順を機械的に踏めば \(R_{\text{eq}}\) が出ます。

手順やること本問での結果
コンデンサを回路から外す(端子だけ残す)R₂の両端が残る
電圧源は短絡、電流源は開放に置き換える②側では電源自体が切り離されている
残った端子から回路側の合成抵抗を求めるR₂=100 Ωだけ

②側に切り換えた瞬間、電源EとR₁は物理的に回路から離れます。導線がつながっていないので、電流の通り道になりようがありません。「回路図に描いてある=計算に使う」ではないのです。

もしスイッチがなく、R₁とR₂が両方つながったままなら話は変わります。電圧源を短絡して見れば \(R_1\parallel R_2=75\;\Omega\) となり、τ=1.5 msになります——これがちょうど選択肢(3)です。選択肢は「別の回路の正解」で構成されていると分かります。

問題の解説:放電の式から時定数を読み取る

STEP1 ②側の回路方程式を立てる

②側ではCとR₂だけの閉ループです。キルヒホッフの電圧則を書くと、

$$v_C+R_2\,i=0,\qquad i=-C\frac{dv_C}{dt}$$
❶ KVLと電流の定義
放電なので電流の向きに注意
$$R_2C\frac{dv_C}{dt}+v_C=0$$
❷ 微分方程式
係数 \(R_2C\) がそのまま時定数
$$v_C(t)=V_0\,e^{-t/(R_2C)}$$
❸ 解
指数の分母が時定数

時定数は「指数の肩の分母」です。微分方程式を立てさえすれば、解かなくても \(dv/dt\) の係数を見るだけで τ が読み取れます。

STEP2 数値を代入して単位を揃える

$$\tau=R_2C=100\times20\times10^{-6}$$
❹ 代入
μ=\(10^{-6}\) を必ず書き下す
$$=2000\times10^{-6}=2.0\times10^{-3}\;[\mathrm{s}]=2.0\;[\mathrm{ms}]$$
❺ 整理
ms(ミリ秒)のオーダー

桁の目安:「Ω×μF=μ秒」と覚えておくと速いです。\(100\;\Omega\times20\;\mu\mathrm{F}=2000\;\mu\mathrm{s}=2\;\mathrm{ms}\) と暗算できます。

STEP3 放電の様子を確認する

$$V_0=10\;[\mathrm{V}]$$
❻ 放電開始電圧
①側で満充電(電流0なのでR₁の降下も0)
$$i(0)=\frac{V_0}{R_2}=\frac{10}{100}=0.10\;[\mathrm{A}]$$
❼ 初期放電電流
R₂だけが電流を制限する
$$5\tau=10\;[\mathrm{ms}]$$
❽ 放電完了の目安
10ミリ秒でほぼ0 Vに
放電電流の向きと符号を定義し、KVLとコンデンサ式から時定数R2Cを導出
放電式vC=V0 exp(−t/R₂C)から、時定数はτ=R₂Cです。
答え\(\tau=R_2C=2.0\;[\mathrm{ms}]\) → 選択肢(4)
R2とCを数値代入し、マイクロとミリの単位換算、次元確認、選択肢との照合を説明
τ=100Ω×20μF=2.0msなので正解は(4)です。
コンデンサ電圧と放電電流の時間変化、代表時刻の数値、エネルギー消費をグラフと表で説明
電圧と電流は時定数2.0msで指数減衰し、初期エネルギーはR₂で消費されます。

誤答の正体:4つとも「実在する計算」の答え

残り4つの選択肢がどの計算から出るかを実際に確かめました。すべてぴったり一致します。

選択肢τその値が出る計算誤りの種類判定
(1)0.05 μs\(C\div(R_1+R_2)=20\mu/400\)割り算+R₁も足した(二重の誤り)×
(2)0.2 μs\(C\div R_2=20\mu/100\)掛け算と割り算の取り違え×
(3)1.5 ms\((R_1\parallel R_2)\times C=75\times20\mu\)R₁とR₂が並列に残ると誤解×
(4)2.0 ms\(R_2\times C=100\times20\mu\)正解
(5)8.0 ms\((R_1+R_2)\times C=400\times20\mu\)R₁が直列に残ると誤解×

(3)と(5)が「R₁をどう扱うか」の2つの誤りを、(1)と(2)が「掛けるか割るか」の誤りを担当しています。作問者は、受験者がつまずく2つの軸を選択肢に配置しているわけです。

μsとmsの取り違えにも注意してください。(1)(2)はμsオーダー、(3)(4)(5)はmsオーダーと、桁が1000倍違います。まず「μsかmsか」を単位から絞るだけで、5択が2択・3択に減ります。

充電と放電、どちらが速いか

本問の回路では放電のほうが3倍速いことになります。

経路の抵抗時定数5τ(完了の目安)
充電(①側)R₁=300 Ω6.0 ms30 ms
放電(②側)R₂=100 Ω2.0 ms10 ms

この非対称性は実務でよく使われます。たとえばタイマー回路では、充電経路と放電経路にそれぞれ別のダイオードと抵抗を仕込み、「ゆっくり立ち上がって素早く落ちる」といった動作を作ります。本問はその原理そのものです。

なお「十分に充電した後」という文言が重要です。これがあるおかげで放電開始時の電圧が電源電圧10 Vそのものと確定します。もし中途半端な時点で切り換えたなら、その時点の電圧を計算するところから始めなければなりません。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① スイッチが切り換わったら切換え後の回路だけを描き直す。切り離された部品は消してしまう
② τのRは「Cから見た抵抗」。電圧源は短絡して端子から覗く
「Ω×μF=μs」で桁を暗算。\(100\times20\mu=2000\mu\mathrm{s}=2\;\mathrm{ms}\)
④ 選択肢の単位(μs/ms)を先に見て候補を絞る
⑤ 迷ったら \(R_1+R_2\)・\(R_1\parallel R_2\)・\(R_2\) の3通りを計算し、回路図と照合する

💡 覚え方
「切り換えたら描き直す」。②側の図に電源とR₁を描かなければ、そもそも足す誤りが起きません。消しゴムで消すのが最強の対策です。

⚠️ よくある間違い
最頻出はR₁を足して8.0 msとする誤り(選択肢(5))です。「回路図に描いてあるから使うはず」という思い込みが原因ですが、スイッチで切り離された部品に電流は流れません。次に多いのが並列と勘違いして1.5 ms(選択肢(3))。②側でR₁は電源側に取り残されており、Cとつながっていません。

まとめ

②側CがR₂を通して放電
Cが見る抵抗R₂=100Ω
τCR₂=20μ×100
答え2.0ms …(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・RC放電の性質の関連問題:【理論】令和5年度下期A問題10

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