今回は平成22年度 理論科目 A問題7を解説します。R=4Ω・X=3Ωの直列負荷を単相3線式電源(Vab=Vbc=100∠0°V)に接続したときの、負荷で消費される総電力P〔W〕を求める問題です。
単相3線式で上下の負荷が平衡している場合、中性線(b)の電流は0になります。各外側の負荷には100Vがかかり、|Z|=5Ωなので電流20A、消費電力はP=I²Rで計算します。
平成22年度 理論科目 A問題7:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問7)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成22年度 A問題7
抵抗R=4〔Ω〕と誘導性リアクタンスX=3〔Ω〕が直列に接続された負荷を、図のように線間電圧V̇ab=100∠0°〔V〕、V̇bc=100∠0°〔V〕の単相3線式電源に接続した。このとき、これらの負荷で消費される総電力P〔W〕の値として、正しいのは次のうちどれか。
(1)800 (2)1200 (3)3200 (4)3600 (5)4800〔W〕

出題のポイント:平衡していれば中性線に電流は流れない
単相3線式で上下の負荷が等しい(平衡)なら、中性線の電流はゼロになります。2つの負荷が独立に100 V で動いていると考えてよく、計算は単相2線式を2つ並べたのと同じです。
\(R=4\;\Omega\)、\(X=3\;\Omega\) は3:4:5 の直角三角形——\(|\dot Z|=5\;\Omega\) です。電験の問題では、この比が頻繁に選ばれます。

解説:1つの負荷を計算して2倍する
3:4:5
100 V が各負荷にかかる
最後に2倍するのを忘れないでください。問題は「これらの負荷で消費される総電力」——2つの負荷の合計です。1 600 W で止まると、選択肢のどれにも当てはまりません。
別解として \(P=VI\cos\theta\) を使うこともできます。\(\cos\theta=R/|\dot Z|=4/5=0.8\) なので、\(P_1=100\times20\times0.8=1\,600\;\mathrm{W}\)——同じ答えです。




誤答の正体:2倍を忘れる、電力の種類を取り違える
| 誤り方 | 計算 | 値 | 選択肢との対応 |
| 1負荷だけで答える | \(20^2\times4\) | 1 600 W | 選択肢になし |
| 1負荷の無効電力を答える | \(20^2\times3\) | 1 200 var | (2) と一致 |
| 2負荷の無効電力を答える | \(1\,200\times2\) | 2 400 var | 選択肢になし |
| 皮相電力を答える | \(100\times20\times2\) | 4 000 VA | 選択肢になし |
| 正しい計算 | \(1\,600\times2\) | 3 200 W | (3) ◎ |
選択肢(2)の1 200 は、1つの負荷の無効電力にぴったり一致します。\(I^2X=400\times3=1\,200\;\mathrm{var}\)——「電力」と聞かれて無効電力を計算してしまったケースです。
単位を確認する習慣をつけてください。問題文は「総電力 \(P\)〔W〕」——W なら有効電力です。var なら無効電力、VA なら皮相電力になります。
⚠️ よくある間違い
「負荷は2つある」ことを見落とすのが最も惜しい誤りです。単相3線式では、a-b 間と b-c 間にそれぞれ負荷がつながっている——図をよく見て、負荷の数を数えてください。
深掘り①:なぜ中性線に電流が流れないのか
上下の負荷が同じなら、流れる電流も同じ大きさ・同じ位相になります。ところが中性線から見ると、向きが逆——だから打ち消し合います。
キルヒホッフの電流則
完全に打ち消す
これが単相3線式の最大の利点です。中性線に電流が流れないので、細い電線で済みます。また中性線の電圧降下がゼロなので、上下の負荷にかかる電圧が安定します。
不平衡になると中性線に電流が流れます。その電流は「上下の差」に等しい——片方の負荷が大きいほど、中性線の電流も大きくなります。
深掘り②:単相3線式が広く使われる理由
一般家庭の配電は、ほとんどが単相3線式(100 V / 200 V)です。1つの引込線で2種類の電圧が使えるという利点があります。
| 単相2線式(100 V) | 単相3線式(100/200 V) | |
| 電線の本数 | 2本 | 3本 |
| 使える電圧 | 100 V のみ | 100 V と 200 V |
| 同じ電力での電流 | 多い | 少ない(200 V 負荷なら半分) |
| 線路損失 | 大きい | 小さい |
| 注意点 | — | 中性線が断線すると危険 |
エアコンやIH調理器は200 Vで使うと、同じ電力なら電流が半分になります。損失は電流の2乗に比例するので1/4——効率がよくなります。
ただし中性線が断線すると危険です。上下の負荷が直列につながった形になり、負荷の小さいほう(インピーダンスが大きいほう)に高い電圧がかかります。電技解釈で中性線にヒューズを入れてはならないと定められているのは、この理由からです。
💡 覚え方
「平衡なら中性線ゼロ、不平衡なら差の電流」——この一言で単相3線式の計算はほぼ足ります。本問は平衡なので、単相2線式を2つ並べたのと同じです。
⏱️ 本番での進め方
❶ 平衡かどうかを確認する。平衡なら中性線を無視できる。
❷ 3:4:5 を見抜く。\(R=4\)、\(X=3\) なら \(|\dot Z|=5\)。
❸ 負荷の数を数える。最後に2倍するのを忘れない。
❹ 単位で電力の種類を確認。W なら有効電力=\(I^2R\)。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| 中性線 | 平衡でIb=0 |
| 外側|Z| | √(4²+3²)=5Ω |
| 外側電流 | 100/5=20A |
| 総電力 | 2×20²×4=3200W …(3) |
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