単相交流45【電験3種 理論】周波数で変わるRLC回路のR₁の電流比を求める!平成24年度 A問題10 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成24年度 A問題10 周波数が2倍になったら?R1を流れる電流の比は?

今回は平成24年度 理論科目 A問題10を解説します。R₁・R₂・C・Lからなる回路で、f=10Hzとf=10MHzのときにR₁を流れる電流の比I10Hz/I10MHzを求める問題です。

2つの周波数での回路の様子がポイント。f=10HzはちょうどLCの並列共振(ZL=ZC)で並列部が開放、f=10MHzはコンデンサがほぼ短絡になります。

目次

平成24年度 理論科目 A問題10:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問10)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成24年度 A問題10 問題文
平成24年度 理論科目 A問題10 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成24年度 A問題10

 図のように、R1=20〔Ω〕とR2=30〔Ω〕の抵抗、静電容量C=1/(100π)〔F〕のコンデンサ、インダクタンスL=1/(4π)〔H〕のコイルからなる回路に周波数f〔Hz〕で実効値V〔V〕が一定の交流電圧を加えた。f=10〔Hz〕のときにR1を流れる電流の大きさをI10Hz〔A〕、f=10〔MHz〕のときにR1を流れる電流の大きさをI10MHz〔A〕とする。このとき、電流比I10Hz/I10MHzの値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.4 (2)0.6 (3)1.0 (4)1.7 (5)2.5

図 R₁(直列)とC・L・R₂(並列)からなる回路(問題図)
図 R₁(直列)とC・L・R₂(並列)からなる回路(問題図)

出題のポイント:2つの周波数で回路が別物になる

この問題は「計算」というより「回路を読み替える」問題です。10 Hz と 10 MHz では、コイルとコンデンサの振る舞いがまったく違います

10 Hz はちょうどLC並列共振の周波数で、並列部が開放になります。10 MHz ではコンデンサがほぼ短絡——並列部が短絡されます。この2つの極端な状態を見抜けば、あとは単純な直流回路の計算です。

周波数による素子の振る舞い
$$X_L=\omega L\;(\text{周波数に比例})\qquad X_C=\frac{1}{\omega C}\;(\text{周波数に反比例})$$

低周波ではコイルが短絡・コンデンサが開放高周波ではコイルが開放・コンデンサが短絡——この対比を押さえるのが第一歩です。

平成24年度理論問10の出題ポイント。10ヘルツではLC並列共振で全体50オーム、10メガヘルツではコンデンサ短絡相当で全体20オームとなり、電流比0.4と正解1を示す図
10 HzではLC枝が開放相当、10 MHzではC枝が短絡相当となります。

\(f=10\;\mathrm{Hz}\) のとき:LC並列共振

$$\omega=2\pi\times10=20\pi$$
❶ 角周波数
$$X_L=\omega L=20\pi\times\frac{1}{4\pi}=5\;\Omega$$
❷ 誘導性リアクタンス
$$X_C=\frac{1}{\omega C}=\frac{1}{20\pi\times\frac{1}{100\pi}}=5\;\Omega$$
❸ 容量性リアクタンス
\(X_L\) と一致=並列共振

\(X_L=X_C\) なので、LC並列部は共振状態です。並列共振ではアドミタンスがゼロ=インピーダンスが無限大——この部分に電流は流れません

したがって電流は \(R_1\) と \(R_2\) の直列を流れます\(Z=20+30=50\;\Omega\)\(I_{10\mathrm{Hz}}=V/50\) です。

問題の数値がきれいに \(1/(100\pi)\) と \(1/(4\pi)\) になっているのは、\(\pi\) が約分されて共振がぴったり10 Hz になるように作られているからです。この形を見たら、共振を疑ってください

\(f=10\;\mathrm{MHz}\) のとき:コンデンサが短絡

$$\omega=2\pi\times10^7$$
❶ 角周波数
10 Hz の100万倍
$$X_C=\frac{1}{\omega C}=\frac{100\pi}{2\pi\times10^7}=5\times10^{-6}\;\Omega$$
❷ ほぼゼロ
短絡と同じ
$$X_L=\omega L=\frac{2\pi\times10^7}{4\pi}=5\times10^6\;\Omega$$
❸ ほぼ無限大
開放と同じ

コンデンサがほぼ短絡なので、並列部全体が短絡されます。\(R_2\) もコイルも、短絡された経路にバイパスされて意味をなしません

したがって回路は \(R_1\) だけ——\(I_{10\mathrm{MHz}}=V/20\) です。

$$\frac{I_{10\mathrm{Hz}}}{I_{10\mathrm{MHz}}}=\frac{V/50}{V/20}=\frac{20}{50}=0.4$$
❹ 電流比
\(V\) が約分される
10ヘルツでコイルとコンデンサの並列アドミタンスが相殺し、10メガヘルツでコンデンサ枝が短絡相当になることを示すポイント解説図
並列共振は開放相当、十分高い周波数のコンデンサは短絡相当です。
答え\(\dfrac{I_{10\mathrm{Hz}}}{I_{10\mathrm{MHz}}}=0.4\) → 選択肢(1)
平成24年度理論問10の問題解説。10ヘルツと10メガヘルツの全体インピーダンスと電流を比較し、電流比0.4と正解1を示す図
(V/50)/(V/20)=0.4となるため、正答は(1)です。

誤答の正体:比を逆に取る

誤り方計算選択肢
比を逆に取る\(50/20\)2.5(5)
両方とも同じと考える1.0(3)
正しい計算\(20/50\)0.4(1) ◎

(5)の2.5 は「比を逆に取った」値です。問題文は \(I_{10\mathrm{Hz}}/I_{10\mathrm{MHz}}\)——10 Hz が分子です。どちらが分子かを問題文で指差し確認してください。

感覚でも確かめられます10 Hz のほうがインピーダンスが大きい(50 Ω)ので、電流は小さい——比は1未満になるはずです。この判断だけで(3)(4)(5)が消えます

⚠️ よくある間違い
「10 Hz でも並列部が短絡」と考えてしまうと、両方とも \(R_1\) だけになって比が1.0(選択肢(3))になります。10 Hz では共振で開放——ここが本問の山場です。

深掘り①:並列共振と直列共振で「開放と短絡」が逆

共振には2種類あり、インピーダンスの振る舞いが正反対です。混同すると本問のような回路で判断を誤ります

直列共振(LとCが直列)並列共振(LとCが並列)
共振条件\(\omega L=1/(\omega C)\)同じ
インピーダンス最小(\(=R\))最大(理想では無限大)
電流最大最小(理想ではゼロ)
回路としての姿短絡に近い開放に近い
別名電圧共振電流共振・反共振

本問のLCは並列なので、共振時は開放です。もし直列だったら短絡になり、答えがまったく変わります回路図でLとCが直列か並列かを最初に確認してください。

並列共振が「開放」になる理由は、コイルとコンデンサの間で電流が循環するだけで、外部には流れ出ないからです。内部では大きな電流が回っていますが、電源から見ると電流ゼロ——不思議に見えますが、これが電流共振です。

深掘り②:フィルタとしての働き

この回路は、周波数によって電流の流れ方が変わる「フィルタ」とみなせます。10 Hz では電流が小さく、10 MHz では大きい——高周波を通しやすい特性です。

周波数並列部の状態回路のインピーダンス電流
10 Hz(共振)開放50 Ω(最大)小さい
中間の周波数有限のインピーダンス20〜50 Ω中間
10 MHz短絡(Cによる)20 Ω(最小)大きい

並列共振回路を直列に入れると、その周波数だけを阻止するフィルタになります。「トラップ回路」「ノッチフィルタ」と呼ばれ、特定の妨害周波数を除去するのに使われます

実務では、高調波対策のフィルタがこの原理です。第5高調波を除去したいなら、その周波数で並列共振する回路を線路に直列に入れます逆に、除去したい周波数で直列共振する回路を線路と大地の間に入れる(吸収させる)方法もあります。

💡 覚え方
「並列共振は開放=通さない、直列共振は短絡=通す」——この対比さえ押さえれば、フィルタの構成も理解できます

⏱️ 本番での進め方
❶ 極端な周波数で素子を読み替える。低周波はコイル短絡・コンデンサ開放、高周波は逆。
❷ \(\pi\) を含むきれいな値は共振を疑う。約分されて整数になる。
❸ LとCが直列か並列かを確認。共振時の姿が正反対になる。
❹ どちらが分子かを指差し確認。比を逆に取ると(5)に着地する。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

f=10Hz並列共振でR2のみ→I=V/50
f=10MHzC短絡→I=V/20
(V/50)/(V/20)
答え0.4 …(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・同型の周波数特性の問題:【理論】令和7年度下期A問題8

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次