今回は平成25年度 理論科目 A問題7を解説します。4Ωの抵抗とコンデンサのRC直列回路で、50Hz・100Vで20Aが流れたとき、60Hz・100Vでの電流〔A〕を求める問題です。
まず50Hzでの容量性リアクタンスXcを求めます。Xc=1/(2πfC)で周波数に反比例するので、60HzのXcは50Hzの50/60倍。あとは|Z|=√(R²+Xc²)で電流を計算します。
平成25年度 理論科目 A問題7:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問7)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像と選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成25年度 A問題7
4〔Ω〕の抵抗と静電容量がC〔F〕のコンデンサを直列に接続したRC回路がある。このRC回路に、周波数50〔Hz〕の交流電圧100〔V〕の電源を接続したところ、20〔A〕の電流が流れた。では、このRC回路に、周波数60〔Hz〕の交流電圧100〔V〕の電源を接続したとき、RC回路に流れる電流〔A〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)16.7 (2)18.6 (3)21.2 (4)24.0 (5)25.6〔A〕
出題のポイント:\(X_C\) は周波数に反比例——だから電流は増える
周波数が上がると容量性リアクタンスは小さくなります。\(X_C=1/(2\pi fC)\) で \(f\) が分母だからです。インピーダンスが小さくなるので、電流は増えます。
まず50 Hz でのリアクタンスを逆算するのが手順です。\(|\dot Z|=V/I=5\;\Omega\) と \(R=4\;\Omega\) から、\(X_C=3\;\Omega\)——3:4:5 の直角三角形になっています。

解説:3ステップで求まる
3:4:5 の三角形
周波数が1.2倍なら \(X_C\) は 1/1.2 倍
\(C\) の値を一度も計算していない点に注目してください。「周波数が変わったときの比」だけで解けるので、\(C\) を求める遠回りをする必要はありません。
答えの見当もつけられます。周波数が上がる=\(X_C\) が減る=電流が増えるので、20 A より大きいはずです。ただし \(R\) は変わらないので、極端には増えません——21〜22 A あたりと予想できます。


誤答の正体:比例と反比例の取り違え
| 誤り方 | 考え方 | 値〔A〕 | 選択肢 |
| 電流が周波数に比例と考える | \(20\times60/50\) | 24.0 | (4) |
| \(X_C\) が周波数に比例と誤る | \(X_C=3.6\;\Omega\) | 18.6 | (2) |
| 正しい計算 | \(X_C=2.5\;\Omega\) | 21.2 | (3) ◎ |
(4)の24.0 A は「電流が周波数に比例する」と考えた値です。抵抗があるので、そこまで単純には増えません。\(R\) が電流の増加を抑えているのです。
(2)の18.6 A は「\(X_C\) が周波数に比例する」と誤った場合です。これだとインピーダンスが増えて電流が減る——方向が逆になります。
⚠️ よくある間違い
\(X_L=\omega L\) は周波数に比例、\(X_C=1/(\omega C)\) は反比例——この違いを取り違えると、答えの増減が逆になります。「コイルは高周波を通さない、コンデンサは高周波を通す」と覚えておけば混同しません。
深掘り:3:4:5 と 5:12:13 に気づく
電験の交流計算では、直角三角形の整数比が頻繁に登場します。\(\sqrt{}\) を計算する前に、この比に当てはまらないかを確認すると時間を節約できます。
| 比 | 力率(\(R/|\dot Z|\)) | 本問での対応 |
| 3 : 4 : 5 | 0.8 | \(X_C=3\)、\(R=4\)、\(|\dot Z|=5\) |
| 5 : 12 : 13 | 0.923 | — |
| 8 : 15 : 17 | 0.882 | — |
| 1 : \(\sqrt3\) : 2 | 0.5 | 位相差60°のとき |
本問は \(R=4\)、\(|\dot Z|=5\) という数値なので、\(X_C=3\) は暗算で出ます。\(\sqrt{25-16}\) と書く前に、3:4:5 だと気づけるかどうか——本番では大きな差になります。
60 Hz では 4 と 2.5 なので整数比になりません。\(\sqrt{16+6.25}=\sqrt{22.25}=4.717\)——ここは素直に計算します。\(100/4.717=21.2\) です。
💡 覚え方
「周波数が上がるとコンデンサは通しやすくなる」——スピーカーのツイーター(高音用)にコンデンサを直列に入れるのは、この性質を使って低音をカットするためです。身近な応用で覚えると忘れません。
⏱️ 本番での進め方
❶ \(|\dot Z|=V/I\) から \(X_C\) を逆算する。\(C\) は求めなくてよい。
❷ \(X_C\propto1/f\)。周波数1.2倍なら \(X_C\) は 1/1.2 倍。
❸ 増減の向きを予想する。周波数が上がる→\(X_C\) 減→電流増。
❹ 3:4:5 を疑う。\(R=4\)、\(|\dot Z|=5\) なら \(X_C=3\)。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
周波数を変えたときの各量の動きをまとめる
本問のように「周波数が変わったら」という設定は頻出です。各量がどう動くかを表にしておくと、方向を間違えません。
| 量 | 周波数が上がると | 理由 |
| \(X_L=\omega L\) | 増える(比例) | \(\omega\) が分子 |
| \(X_C=1/(\omega C)\) | 減る(反比例) | \(\omega\) が分母 |
| RL直列の \(|\dot Z|\) | 増える | \(X_L\) が増えるため |
| RC直列の \(|\dot Z|\)(本問) | 減る | \(X_C\) が減るため |
| RC直列の電流 | 増える | \(|\dot Z|\) が減るため |
RC回路とRL回路では、周波数変化に対する反応が正反対です。「コンデンサは高周波を通す、コイルは高周波を通さない」——この一言で覚えられます。
ただし抵抗があるため、変化には限界があります。本問では \(X_C\) が3→2.5 Ω と減りましたが、\(R=4\;\Omega\) は変わりません。だから電流は20→21.2 A と、6%しか増えません。
極端な周波数で確かめる
答えの妥当性は、極端な場合を考えると確認できます。周波数を無限に上げたらどうなるかを見てみましょう。
コンデンサが短絡と同じになる
これ以上は増えない
どんなに周波数を上げても、電流は25 A を超えません。抵抗が最後の歯止めになっているからです。本問の答え21.2 A は、20 A と25 A の間に収まっています——妥当な値だと確認できます。
選択肢(5)の25.6 A は、この上限を超えています。物理的にあり得ない値——極限を考えるだけで除外できるのです。
⚠️ よくある間違い
「周波数が1.2倍だから電流も1.2倍」と考えると24.0 A(選択肢(4))になります。これも上限25 A に近すぎて不自然です。抵抗があるかぎり、電流は単純な比例では増えません。
まとめ
| Xc(50) | √(5²−4²)=3Ω |
| Xc(60) | 3×50/60=2.5Ω |
| |Z|(60) | √(4²+2.5²)≒4.72Ω |
| 答え | 100/4.72≒21.2A …(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同型のRC周波数特性の問題:【理論】令和6年度下期A問題9

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