単相交流28【電験3種 理論】誘導性リアクタンスを含む交流回路で電流比から抵抗値を求める!平成29年度 A問題8 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成29年度 A問題8 電流の比が手がかり!回路の抵抗は何Ω?

今回は平成29年度 理論科目 A問題8を解説します。交流電圧E=100V、誘導性リアクタンスX=4Ωのコイル、並列のR1・R2からなる回路で、全電流I=20A、電流比I1:I2=1:3のときの抵抗R1の値〔Ω〕を求める問題です。

R1とR2は並列なので、電流比から個々の電流を求め、合成抵抗Rpを電流比で表します。電源から見た|Z|=√(Rp²+X²)=E/Iの関係でRpを確定し、R1を逆算します。

目次

平成29年度 理論科目 A問題8:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問8)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・選択肢・回路図は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成29年度 A問題8 問題文
平成29年度 理論科目 A問題8 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成29年度 A問題8

 図のように、交流電圧E=100Vの電源、誘導性リアクタンスX=4Ωのコイル、R1〔Ω〕、R2〔Ω〕の抵抗からなる回路がある。いま、回路を流れる電流の値がI=20Aであり、また、抵抗R1に流れる電流I1〔A〕と抵抗R2に流れる電流I2〔A〕との比が、I1:I2=1:3であった。このとき、抵抗R1の値〔Ω〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)1.0 (2)3.0 (3)4.0 (4)9.0 (5)12〔Ω〕

図 E=100V・X=4Ωコイル・R<sub class=

出題のポイント:並列では電流が抵抗に「反比例」する

\(I_1:I_2=1:3\) なら、抵抗の比は \(R_1:R_2=3:1\) です。並列では電圧が共通なので、電流は抵抗に反比例——ここを取り違えると、すべてが狂います

まず全体のインピーダンスから並列部の合成抵抗を求めます\(|\dot Z|=E/I=5\;\Omega\)、\(X=4\;\Omega\) なので\(R_p=\sqrt{25-16}=3\;\Omega\)——3:4:5 の直角三角形です。

並列合成と電流比
$$R_p=\frac{R_1R_2}{R_1+R_2}\qquad\frac{I_1}{I_2}=\frac{R_2}{R_1}\;(\text{逆比})$$

電流の比と抵抗の比は逆です。「大きい抵抗には小さい電流」——分流の基本になります。

平成29年度理論問8の出題ポイント。100V、全電流20A、リアクタンス4Ω、並列抵抗R1とR2の回路から合成抵抗3ΩとR1=12Ω、正答5を求める図
全インピーダンス5 Ωとリアクタンス4 Ωから並列合成抵抗は3 Ω。電流比1:3を抵抗比3:1へ変換するとR₁=12 Ωです。

解説:合成抵抗を \(R_1\) で表す

$$|\dot Z|=\frac{E}{I}=\frac{100}{20}=5\;\Omega$$
❶ 全体のインピーダンス
$$R_p=\sqrt{5^2-4^2}=\sqrt9=3\;\Omega$$
❷ 並列部の合成抵抗
3:4:5
$$I_1:I_2=1:3\;\Longrightarrow\;R_1:R_2=3:1\;\Longrightarrow\;R_2=\frac{R_1}{3}$$
❸ 抵抗の比
逆比
$$R_p=\frac{R_1\cdot\frac{R_1}{3}}{R_1+\frac{R_1}{3}}=\frac{R_1^2/3}{4R_1/3}=\frac{R_1}{4}=3\;\Longrightarrow\;R_1=12\;\Omega$$
❹ \(R_1\) を求める

\(R_p=R_1/4\) という関係が出てきます。\(R_1:R_2=3:1\) のとき、合成抵抗は \(R_1\) の \(1/4\)——覚えておくと速いでしょう。

検算:\(R_1=12\;\Omega\)、\(R_2=4\;\Omega\) なら \(R_p=12\times4/16=3\;\Omega\) ✓。並列部の電圧は \(20\times3=60\;\mathrm{V}\)\(I_1=60/12=5\;\mathrm{A}\)、\(I_2=60/4=15\;\mathrm{A}\)——比は1:3、合計20 A

インピーダンス三角形の3-4-5関係と、並列抵抗では端子電圧が共通で電流比が抵抗比の逆になることを示すポイント解説図
直列RL部分は3-4-5のインピーダンス三角形、並列部分はI₁/I₂=R₂/R₁として整理します。
答え\(R_1=12\;\Omega\) → 選択肢(5)
問題の解説1枚目。E=100V、I=20Aから絶対値Z=5Ω、X=4Ωから並列合成抵抗Rp=3Ωを求める等価回路と計算
問題の解説1/2。電源から見た|Z|=5 Ω、X=4 Ωなので、抵抗成分Rₚ=3 Ωです。
問題の解説2枚目。電流比1対3を抵抗比3対1に変換し、並列合成抵抗3ΩからR2=4Ω、R1=12Ω、正答5を確認する図
問題の解説2/2。I₁:I₂=1:3よりR₁:R₂=3:1。R₁∥R₂=3 Ωを満たすR₁は12 Ωで、正答は(5)です。

誤答の正体:途中の値と、比の向き

誤り方値〔Ω〕選択肢との対応
\(R_p\) をそのまま答える3.0(2) と一致
\(X\) をそのまま答える4.0(3) と一致
電流比をそのまま抵抗比とする\(R_1<R_2\) となり小さい値(1)(2)へ
正しい計算12(5) ◎

(2)3.0 は合成抵抗 \(R_p\)、(3)4.0 はリアクタンス \(X\)——どちらも計算の途中で出てくる値です。問われているのは \(R_1\) です。

最大の罠は「電流比をそのまま抵抗比とする」ことです。\(I_1:I_2=1:3\) だから \(R_1:R_2=1:3\) と考えると、\(R_1\) が小さい値になってしまいます。並列は逆比です。

⚠️ よくある間違い
「電流が小さいほうが抵抗は大きい」——\(I_1\) が小さい(1:3 の1のほう)ので \(R_1\) が大きいのです。選択肢の中で \(R_1=12\;\Omega\) は最大値——この感覚だけでも(5)にたどり着けます

深掘り①:分流の公式

2つの抵抗の並列では、電流が抵抗の逆比で分かれます公式として覚えておくと速いでしょう。

分流の公式
$$I_1=I\times\frac{R_2}{R_1+R_2},\qquad I_2=I\times\frac{R_1}{R_1+R_2}$$

分子が「相手の抵抗」です。コンデンサの分圧と同じ形——「相手の値/合計」という構造になっています。

本問で確かめると、\(I_1=20\times4/16=5\;\mathrm{A}\)、\(I_2=20\times12/16=15\;\mathrm{A}\)——確かに1:3 です。

直列(分圧)並列(分流)
共通する量電流電圧
分配される量電圧電流
分子は自分の抵抗相手の抵抗
大きい抵抗に大きい電圧小さい電流

分圧は「自分の抵抗/合計」、分流は「相手の抵抗/合計」——分子が違います混同しやすいので、必ず確認してください。

深掘り②:3:4:5 が繰り返し出る理由

本問では \(X=4\)、\(R_p=3\)、\(|\dot Z|=5\) という3:4:5 の三角形が出てきました。電験の交流計算では、この比が非常によく使われます

力率位相差特徴
3:4:50.8 または0.637°または53°最頻出
5:12:130.923 または0.38523°または67°たまに出る
1:1:\(\sqrt2\)0.70745°\(R=X\) のとき
1:\(\sqrt3\):20.5 または0.86660°または30°\(\sqrt3\) が絡む問題

整数比になるよう数値が選ばれているので、\(\sqrt{}\) の計算を始める前に比を疑うと時間が節約できます。\(|Z|=5\)、\(X=4\) と見たら \(R=3\)——暗算です

逆に、\(\sqrt{}\) がきれいに開けないときは読み違いを疑ってください問題を作る側は、受験者が電卓なしで解けるように数値を選んでいます

💡 覚え方
「並列は逆比、直列は正比」——電流と抵抗の関係です。「電流が流れやすい=抵抗が小さい」と考えれば、逆比になるのは当然です。

⏱️ 本番での進め方
❶ \(|\dot Z|=E/I\) から \(R_p\) を出す。三平方で \(X\) を引く。
❷ 電流比の逆が抵抗比。並列は逆比。
❸ \(R_1:R_2=3:1\) なら \(R_p=R_1/4\)
❹ 途中の値に注意。3.0 も 4.0 も選択肢に置いてある。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

電流分配I1=5A,I2=15A
|Z|100/20=5Ω
Rp√(5²−4²)=3Ω
答えR1=12Ω …(5)

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