磁気・電磁力18【電験3種 理論】正三角形に配置した3本の平行導体に働く力の合力を求める!令和4年下期 A問題4 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 令和4年度下期 A問題4 正三角形に並ぶ3本の電流!合力はどこを向く?

今回は令和4年度下期 理論科目 A問題4を解説します。10cm間隔の正三角形の頂点に3本の直線導体を置き、同一方向に7Aを流したとき、各導体1m当たりに働く力の合力F0を求める問題です。

まず2本間の単位長さ当たりの力F=(2I2/r)×10−7を求めます。1本の導体が他の2本から受ける同じ大きさFの引力は60°をなすため、合力はF0=2Fcos30°=√3Fです。

目次

令和4年度下期 理論科目 A問題4:問題文と選択肢

まずは、令和4年度下期に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 令和4年度下期 A問題4 問題文
令和4年度下期 理論科目 A問題4 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題4

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 令和4年度下期 A問題4

 図のように、無限に長い3本の直線状導体が真空中に10cmの間隔で正三角形の頂点の位置に置かれている。3本の導体にそれぞれ7Aの直流電流を同一方向に流したとき、各導体1m当たりに働く力の大きさF0〔N/m〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、無限に長い2本の直線状導体をr〔m〕離して平行に置き、2本の導体にそれぞれI〔A〕の直流電流を同一方向に流した場合、各導体1m当たりに働く力の大きさF〔N/m〕は、F=2I2/r×10-7で与えられるものとする。

(1)0 (2)9.80×10-5 (3)1.70×10-4 (4)1.96×10-4 (5)2.94×10-4

図 10cm間隔の正三角形の頂点に置いた3本の直線導体(同方向電流)(問題図)
図 10cm間隔の正三角形の頂点に置いた3本の直線導体(同方向電流)(問題図)

出題のポイント:力は2本ぶん。ただし「ベクトルで足す」

力の大きさを求める式は問題文に書いてあります。勝負どころは「3本のうち自分以外は2本、その2つの力を60°の角度で合成する」という一点です。

平行電流間の力(問題文で与えられた式)
$$F=\frac{2I^2}{r}\times10^{-7}\;\mathrm{[N/m]}$$

※これは \(F=\dfrac{\mu_0I^2}{2\pi r}\) に \(\mu_0=4\pi\times10^{-7}\) を入れて整理した形です。同じ向きの電流なので引力になります。

正三角形の頂点にある三本の同方向電流導体と上の導体に働く二つの引力及び合力を示す図
同じ大きさFの2力を60°で合成すると、合力はF₀=√3Fです。

解説:まず1組ぶんの力を出す

$$F=\frac{2\times7^2}{0.1}\times10^{-7}=\frac{98}{0.1}\times10^{-7}$$
❶ 数値を代入
\(I=7\;\mathrm{A}\)、\(r=0.1\;\mathrm{m}\)(10 cm)
$$F=980\times10^{-7}=9.8\times10^{-5}\;\mathrm{N/m}$$
❷ 整理
これが2本の間に働く力

10 cm を 0.1 m に直すのを忘れないでください。cm のまま代入すると答えが10分の1になります。

2つの力を60°で合成する

正三角形の頂点にある1本の導体は、他の2本のそれぞれから大きさ \(F\) の引力を受けます。2つの力は相手の導体を向いているので、そのなす角は正三角形の内角である60°です。

$$F_0=2F\cos30^\circ$$
❸ 等しい2力の合成
合力は2力のちょうど真ん中を向くので、それぞれを \(\cos(60^\circ/2)\) 倍して2つ足す
$$F_0=2F\times\frac{\sqrt3}{2}=\sqrt3\,F$$
❹ \(\cos30^\circ=\sqrt3/2\)
合力は \(\sqrt3\) 倍
$$F_0=1.732\times9.8\times10^{-5}=1.70\times10^{-4}\;\mathrm{N/m}$$
❺ 数値を入れる

大きさの等しい2つの力を角度 \(\theta\) で合成すると \(2F\cos(\theta/2)\)——これはひし形の対角線を考えれば導けます。60°なら \(\sqrt3F\)、90°なら \(\sqrt2F\)、0°なら \(2F\) です。

間隔0.10メートルで同方向に7アンペアが流れる二本の平行導体間の力を計算する図
まず2本間の単位長さ当たりの力F=9.80×10⁻⁵ N/mを求めます。
答え\(F_0=\sqrt3\,F=1.70\times10^{-4}\;\mathrm{N/m}\) → 選択肢(3)
60度をなす二つの力を合成し1.70掛ける10のマイナス4乗ニュートン毎メートルと正答3を得る図
F₀=√3×9.80×10⁻⁵=1.70×10⁻⁴ N/mなので、公式正答は(3)です。

誤答の正体:選択肢が「誤りの見本市」になっている

誤り方計算値〔N/m〕選択肢
対称だから打ち消すと考える0(1)
1組ぶんの力だけ答える\(F\)\(9.80\times10^{-5}\)(2)
正しい計算\(\sqrt3F\)\(1.70\times10^{-4}\)(3) ◎
角度を無視してそのまま足す\(2F\)\(1.96\times10^{-4}\)(4)
3本ぶんと考える\(3F\)\(2.94\times10^{-4}\)(5)

5つの選択肢すべてが典型的な誤りに対応しています。とくに(4)は「ベクトルであることを忘れて単純に足した」答え(5)は「導体が3本だから3倍」という数え違いです。

⚠️ よくある間違い
(1)の「0」を選ぶ誤解——「正三角形で対称だから力は打ち消し合う」と考えてしまうケースです。打ち消し合うのは3つの力がある場合で、自分自身は自分に力を及ぼさないので、受ける力は2つだけ。2つの力は打ち消し合いません。

💡 覚え方
合力の向きは「三角形の中心(重心)に向かう」と覚えてください。3本とも同じ向きの電流なので互いに引き合い、3本とも中心へ引き寄せられます。向きが分かれば、大きさは \(2F\cos30^\circ\) で計算できます。

深掘り:この力は実務でどう効くか

三相の送電線や母線は、まさにこの配置です。正三角形配置(三角配列)は実際の架空送電線でよく使われます。

平常時の電流なら力はごくわずかですが、短絡事故時には数十kAが流れます。力は電流の2乗に比例するので、電流が1 000倍になれば力は100万倍です。

$$F\propto I^2$$
電流の2乗に比例
7 A で \(9.8\times10^{-5}\) N/m
$$I=7\;\mathrm{kA}\;\Rightarrow\;F=9.8\times10^{-5}\times10^6=98\;\mathrm{N/m}$$
1 000倍の電流なら
1 m あたり約10 kgf

これが「短絡電磁力」です。母線を支えるがいしや支持金具は、この力に耐えるように設計されます。電流の向きが同じなら引き合い、逆なら反発するので、三相回路では相ごとに力の向きが変わり、複雑な振動が生じます。

「なぜ電磁力の計算を学ぶのか」の答えがここにあります機器の機械的強度を決める設計値だからです。

⏱️ 本番での進め方
❶ 単位を先に直す。10 cm → 0.1 m。ここを忘れると桁が1つずれる。
❷ 「自分以外は2本」と口に出す。3本だから3倍、という数え違いを防ぐ。
❸ 等しい2力の合成は \(2F\cos(\theta/2)\)。60°なら \(\sqrt3F\)。この形は何度も出る。
❹ 答えの目安:\(F\) と \(2F\) の間に入る。\(\sqrt3=1.73\) 倍なので \(1.7\times10^{-4}\) 付近。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

距離10 cm=0.10 m
2本間の力F9.80×10−5 N/m
2力の角度60°
合力F0=√3F=1.70×10−4 N/m
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・平行導体間の力の関連問題:【理論】平成24年度A問題4

📚 次に解くべき関連問題
【理論】令和5年度上期A問題4(磁気・電磁力15)
【理論】令和2年度A問題3(磁気・電磁力23)
【理論】令和4年度下期A問題3(磁気・電磁力17)
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