今回は令和7年度上期 機械科目 B問題17を解説します。熱効率70%の電熱装置について、0℃の氷5kgを融解させるための消費電力(a)と、消費電力1.7kWで水5kgを50℃にするための加熱時間(b)を求める問題です。
(a)は融解熱Q=334kJ/kg×5kgを求め、効率70%を考慮した電力量の式と等しいと置いて消費電力を逆算します。(b)は水の比熱Q=4.2×5×50を使い、同様に効率を考慮した式から時間を求めます。
令和7年度上期 機械科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題17
電験3種 機械科目 【電気加熱】 令和7年度上期 B問題17
熱効率が70%で一定の電熱装置について,次の(a)及び(b)の問に答えよ.
(a)0℃の氷5kgを加熱したところ30minですべて0℃の水になった.融解熱が334kJ/kgのとき電熱装置の消費電力の値〔kW〕として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.
(b)電熱装置の消費電力が1.7kWのとき,0℃の水5kgが50℃になるのに要する時間〔min〕として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.ただし,水の比熱は4.2kJ/(kg・K)とする.
(1)0.9 (2)1.4 (3)1.9 (4)2.4 (5)2.9〔kW〕
(1)11 (2)15 (3)19 (4)25 (5)30〔min〕
出題のポイント:潜熱と顕熱を使い分ける
(a)は温度が変わらないのに熱が要る——0 ℃ の氷が0 ℃ の水になるだけです。これが潜熱。
| 顕熱((b)) | 潜熱((a)) | |
| 温度 | 変わる | ★変わらない |
| 状態 | 変わらない | ★変わる(固体↔液体↔気体) |
| 式 | Q=mcΔT | ★Q=mL |
| 本問の値 | 4.2 kJ/(kg·K) | 334 kJ/kg |
温度計を見ていても、氷が溶けている間は0 ℃ のまま——加えた熱は、すべて結晶を崩すことに使われるのです。「温度が上がらない=熱が要らない」ではないという点が要注意になります。
融解熱334 kJ/kg の大きさ
★ほぼ同じ
氷を溶かすだけで、水を80 K 上げるのと同じ熱が要る——334÷4.2=79.5 だからです。潜熱がいかに大きいかが実感できます。
だから冷凍食品の解凍には時間がかかる——氷から水への変化に、大量の熱が要るのです。「なかなか溶けない」のは当然だと言えます。

計算する
★kJ にそろえる
★(2)
顕熱
★(2)
効率0.70 を掛けるのは、投入した電気の7割しか熱にならないから——残り3割は周囲へ逃げます。だから必要な電力は、効率100 %の場合より大きくなる方向です。
kW と kJ をつなぐ
1 kW を1秒続けると1 kJ——1時間なら3,600 kJ。この3,600 が式に現れるのです。
時間を秒で扱えば3,600 は不要——30 min=1,800 s なら 1670=P×0.70×1800。同じ答えが出ます。やりやすいほうで統一してください。

⚠️ よくある間違い
効率0.70 を掛け忘れる——(a)なら 1670÷1800=0.93 kW。選択肢(1)の0.9 にぴったり落ちます。
効率が悪いほど、必要な電力は大きくなる——0.93 より大きい値が答えのはずです。大小関係で気づけます。
(b)で効率を掛け忘れると 1050÷(1.7×3600)=0.172 h=10.3 min——選択肢(1)の11 です。ここでも誤答が用意されていると考えてください。
もう1つ、(a)で比熱を使ってしまう誤り——0 ℃ の氷が0 ℃ の水になるので温度差は0。顕熱の式では熱量が0 になってしまいます。相変化には必ず潜熱です。
水の相変化に必要な熱量
| 変化 | 必要な熱量 | 温度 |
| ★氷→水(融解) | ★334 kJ/kg | 0 ℃ のまま |
| 水を1 K 上げる | 4.2 kJ/kg | 上がる |
| 水を0→100 ℃ | 420 kJ/kg | 上がる |
| ★水→水蒸気(蒸発) | ★2,257 kJ/kg | 100 ℃ のまま |
蒸発潜熱は融解潜熱の約7倍——0 ℃ の氷を100 ℃ の水蒸気にするには、334+420+2,257=3,011 kJ/kg が必要です。そのうち蒸発だけで4分の3を占めます。
やかんの水が沸騰し始めてから空になるまで時間がかかる——蒸発潜熱が大きいからです。エアコンの冷媒が相変化を使うのも、この大きな熱量を活かすためでした。
⏱️ 本番での進め方
①(a)★温度が変わらない=潜熱。Q=mL=334×5。
②(b) 温度が変わる=顕熱。Q=mcΔT=4.2×5×50。
③どちらも Q=Pηt。★効率0.70 を掛けるのを忘れない。
④1 kWh=3,600 kJ。時間を秒にすれば3,600 は不要。
💡 覚え方
「氷を溶かす熱=水を80 K 上げる熱」——334÷4.2=79.5。潜熱の大きさを、この換算で実感しておくと忘れません。
ヒートポンプ給湯器の計算は平成28年度 B問題17(電気加熱:加熱時間を求める)にあります。効率の代わりにCOP を使う点が違います。

熱効率70 % の意味
投入した電気の7割しか被加熱物へ届かない——残り3割はどこへ行くのかを考えてみましょう。
| 損失の行き先 | 内容 |
| 容器・装置の加熱 | ★鍋や炉体そのものを温める分 |
| 周囲への放熱 | 対流と放射で逃げる |
| 水蒸気とともに逃げる | 蒸発した分が熱を持ち去る |
抵抗加熱の効率が100 % にならないのは、発熱そのものは100 % でも、それが全部被加熱物へ行かないから——「電気→熱」の変換は完全でも、「熱→被加熱物」で漏れるのです。
断熱を良くすれば効率は上がります——魔法瓶のような容器を使えば90 % 台も可能。本問の70 % は、ごく一般的な電熱器の値だと言えます。
誘電加熱・誘導加熱との比較
マイクロ波加熱やIH は、被加熱物自体が発熱します——容器を温める無駄がないので効率が高くなります。
だから同じ電力でも、方式によって加熱時間が変わる——効率という1つの数字に、その差が集約されているのです。
単位のそろえ方を決めておく
本問には kW、kJ、min、h が混在します——どこにそろえるかを最初に決めるのが要領です。
| 方針 | やり方 | 長所 |
| ★秒にそろえる | 30 min=1,800 s | ★kW×s=kJ で3,600 が不要 |
| 時にそろえる | 30 min=0.5 h | ×3,600 が必要 |
秒にそろえれば 1670=P×0.70×1800——P=1.33 kW。3,600 が式に出てこないので、桁の間違いが減ります。
(b)も同じく、t を秒で求めてから分に直す——1050÷(1.7×0.70)=882 s=14.7 min。どちらの方針でも構いませんが、1問の中で統一することが大切です。
[kW]×[s]=[kJ]——この関係を覚えておくと、単位換算で迷わなくなります。
まとめ
| Q(融解) | 1670 kJ |
| P | ≒1.4 kW |
| (a) | (2) |
| Q1(比熱) | 1050 kJ |
| H | ≒15 min |
| (b) | (2) |
| 答え | (a)-(2),(b)-(2) |
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