同期機18【電験3種 機械】内部誘導起電力と負荷時の端子電圧!平成28年 B問題15 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 平成28年度 B問題15 内部起電力から端子電圧へ!2段階で求める

今回は平成28年度 機械科目 B問題15を解説します。定格運転時の内部誘導起電力と、負荷を接続したときの端子電圧を求める2問構成です。

(a)は \(\dot{E}_0=\dot{V}+jX_s\dot{I}\) の複素数計算、(b)は励磁一定=\(E_0\)一定として同期リアクタンスと負荷の分圧で解きます。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題15

 定格出力3 300 kV・A,定格電圧6 600 V,定格力率0.9(遅れ)の非突極形三相同期発電機がある。星形接続1相当たりの同期リアクタンスは12.0 Ωである。電機子の巻線抵抗及び磁気回路の飽和は無視できるものとして,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 定格運転時における1相当たりの内部誘導起電力[V]の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 3 460 (2) 3 810 (3) 6 170 (4) 7 090 (5) 8 690

(b) 上記の発電機の励磁を定格状態に保ったまま運転し,星形結線1相当たりのインピーダンスが 13+j5 Ωの平衡三相誘導性負荷を接続した。このときの発電機端子電圧[V]の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 3 810 (2) 4 010 (3) 5 990 (4) 6 600 (5) 6 950

出題のポイント:遅れ力率なので分解して足す

(a)は遅れ力率0.9 での誘導起電力——力率1のときのような単純な三平方では済みませんリアクタンス降下を、端子電圧と同じ向きの成分と直角な成分に分けて足します

遅れ力率のときの誘導起電力

\( E=\sqrt{(V+x_s I\sin\theta)^{2}+(x_s I\cos\theta)^{2}} \)

遅れなら sin θ の項を足す——進みなら引きます

この形は「力率1なら sin θ=0 になって、ただの三平方に戻る」ことも確認できます。力率1の式を丸暗記するのではなく、この一般形から出すようにすれば、力率がいくつでも対応できます

同期発電機の内部起電力計算と負荷分圧から線間電圧を求める流れ図
内部起電力をフェーザ合成で求め、励磁一定のまま負荷分圧を計算します。

(a) 内部誘導起電力を求める

\( I_n=\dfrac{3\,300\times10^{3}}{\sqrt{3}\times6\,600}\fallingdotseq 289\ [\mathrm{A}] \)
定格電流
三相の定格電流
\( V_p=\dfrac{6\,600}{\sqrt{3}}\fallingdotseq 3\,811\ [\mathrm{V}] \)
相電圧
星形1相分
\( x_s I=12.0\times289\fallingdotseq 3\,464\ [\mathrm{V}] \)
降下
同期リアクタンス降下
\( \sin\theta=\sqrt{1-0.9^{2}}\fallingdotseq 0.436 \)
無効率
力率0.9 から
\( \text{実部}=3\,811+3\,464\times0.436\fallingdotseq 5\,321 \)
同相成分
遅れなので足す
\( \text{直角成分}=3\,464\times0.9\fallingdotseq 3\,118 \)
直角成分
cos θ を掛ける
\( E=\sqrt{5\,321^{2}+3\,118^{2}}\fallingdotseq 6\,170\ [\mathrm{V}] \)
誘導起電力
選択肢の6 170に一致
答え(a)の正解は (3) 6 170 Vです。相電圧3 811 V に対して誘導起電力は6 170 V——1.6倍にもなっています。遅れ力率の減磁作用を打ち消すために、これだけ強い励磁が要るということです。

⚠️ よくある間違い
(2) 3 810 V相電圧そのもの(1) 3 460 Vリアクタンス降下 xsI そのものです。
(4) 7 090 V\( \sqrt{3\,811^{2}+(3\,464+3\,811\times0.436)^{2}} \) のようにsin と cos を入れ替えて計算したときに近い値になります。「遅れなら sin θ の項を V に足す」——どちらの成分にどちらの三角比が付くかを、図で確認してください。

(b) 負荷を変えたときの端子電圧

「励磁を定格状態に保ったまま」——つまり(a)で求めた誘導起電力6 170 V が変わらないということです。そこに新しい負荷をつなぐと、電流も端子電圧も変わります

回路は「同期リアクタンス12 Ω」と「負荷13+j5 Ω」の直列です。1相分の等価回路を描いてしまえば、あとは理論科目の交流回路——難しいところはありません

\( \dot{Z}_{\text{全}}=13+j(5+12)=13+j17 \)
全体
負荷+同期リアクタンス
\( |\dot{Z}_{\text{全}}|=\sqrt{13^{2}+17^{2}}=\sqrt{458}\fallingdotseq 21.4\ [\Omega] \)
大きさ
直列合成
\( I=\dfrac{6\,170}{21.4}\fallingdotseq 288\ [\mathrm{A}] \)
電流
誘導起電力÷全インピーダンス
\( |\dot{Z}_{\text{負荷}}|=\sqrt{13^{2}+5^{2}}=\sqrt{194}\fallingdotseq 13.93\ [\Omega] \)
負荷
負荷だけの大きさ
\( V_p=288\times13.93\fallingdotseq 4\,014\ [\mathrm{V}] \)
相電圧
負荷にかかる電圧
\( V_{\ell}=\sqrt{3}\times4\,014\fallingdotseq 6\,950\ [\mathrm{V}] \)
端子電圧
問われているのは線間電圧
平成28年機械B問題15の内部起電力と負荷時端子電圧の計算図
(a)は6170 Vで(3)、(b)は相電圧4013 Vを√3倍した6950 Vで(5)です。
答え(b)の正解は (5) 6 950 Vです。定格電圧6 600 V より高くなっているのは、新しい負荷の力率(13+j5 なので cos=0.933)が定格の0.9 より良いから——減磁作用が弱まった分だけ電圧が上がりました

⚠️ よくある間違い
(2) 4 010 V相電圧のまま答えた値です。「発電機端子電圧」は線間電圧——定格電圧6 600 V が線間で与えられていることからも判断できます
(4) 6 600 V定格電圧をそのまま答えたもの——負荷が変われば端子電圧も変わるのが本問の趣旨です。

(a)と(b)をつなげて読む

(a) 定格運転(b) 負荷変更後
負荷の力率0.900(遅れ)13/13.93=0.933(遅れ)
電機子電流289 A288 A
誘導起電力(1相)6 170 V6 170 V(不変)
端子電圧(線間)6 600 V6 950 V

電流はほとんど変わらないのに、端子電圧だけが350 V 上がっている——力率が0.900から0.933へわずかに改善しただけでこの差です。同期発電機の端子電圧が力率にどれほど敏感かがよく分かります。

実機では自動電圧調整装置が界磁電流を調整して、端子電圧を6 600 V に保ちます本問は「もし調整しなかったら」という仮定の計算——AVR が何を打ち消しているのかを、数値で示してくれていると読めます。

⏱️ 本番での進め方
①(a) 遅れなら E=√((V+xsI sinθ)2+(xsI cosθ)2)。
② 力率0.9 なら sinθ=0.436。この値は頻出なので覚えておく。
③(b) 1相分の直列回路として解く。全体13+j17、負荷13+j5。
④ 相電圧を求めたら √3 倍して線間に。4 010 は掛け忘れの罠。

💡 覚え方
「遅れは足す、進みは引く」——V と同じ向きの成分に xsI sin θ を加減するそして「励磁一定=E 一定」——負荷が変わっても E は動かないので、直列回路として解けます。

遅れ力率0.9の電流と同期リアクタンス電圧のフェーザ合成、複素分圧の計算図
E0=Vφ+jXsIで内部起電力を求め、Et=Z/(jXs+Z)E0で相電圧を計算します。

まとめ

定格電流\(I_n\fallingdotseq288.7\,\mathrm A\)(0.9遅れ)
内部誘導起電力\(E_0=\sqrt{5\,320.5^2+3\,117.7^2}\fallingdotseq6\,170\,\mathrm V\)…(a)(3)
負荷時端子電圧\(V_t=\sqrt3\,\dfrac{|Z|}{|jX_s+Z|}E_0\fallingdotseq6\,950\,\mathrm V\)…(b)(5)
答え(a) (3)、(b) (5)

▼あわせて解きたい関連問題
・内部誘導起電力の計算:【機械】平成20年度A問題5
・同期発電機の出力計算:【機械】令和6年度下期B問題15

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和2年度A問題4(同期機17)
【機械】令和5年度上期A問題6(同期機19)
【機械】令和元年度B問題15(同期機21)
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