同期機21【電験3種 機械】並行運転の力率をベクトル図で求める!令和元年 B問題15 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 令和元年度 B問題15 2台で分担する並行運転!それぞれの力率は?

今回は令和元年度 機械科目 B問題15を解説します。並行運転する2台の同期発電機の力率を、電流を有効分・無効分に分解して求める2問構成です。

有効電流は分担負荷から、無効電流は電機子電流との三平方から求めるのがコツです。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題15

 並行運転しているA及びBの2台の三相同期発電機がある。それぞれの発電機の負荷分担が同じ7 300 kWであり,端子電圧が6 600 Vのとき,三相同期発電機Aの負荷電流 IA が1 000 A,三相同期発電機Bの負荷電流 IB が800 Aであった。損失は無視できるものとして,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 三相同期発電機Aの力率の値[%]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 48 (2) 64 (3) 67 (4) 77 (5) 80

(b) 2台の発電機の合計の負荷が調整の前後で変わらずに一定に保たれているものとして,この状態から三相同期発電機A及びBの励磁及び駆動機の出力を調整し,三相同期発電機Aの負荷電流は調整前と同じ1 000 Aとし,力率は100 %とした。このときの三相同期発電機Bの力率の値[%]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,端子電圧は変わらないものとする。

(1) 22 (2) 50 (3) 71 (4) 87 (5) 100

出題のポイント:有効電力と皮相電力の関係だけで解ける

本問は同期機の内部の話が一切出てきません出てくるのは有効電力・皮相電力・力率という、理論科目の三相交流そのもの——「並行運転」という言葉に身構えなくて大丈夫です。

三相の電力

\( P=\sqrt{3}\,V I\cos\theta\ ,\qquad Q=\sqrt{3}\,V I\sin\theta \)

V は線間電圧、I は線電流——この形が最も使いやすいです。

(a)は式を力率について解くだけ(b)は「有効電力の合計も無効電力の合計も変わらない」を使って B の分担を逆算します。電力の保存を軸に考えるのが本問の骨格です。

並行運転する同期発電機AとBの有効電流・無効電流を調整前後で配分する図
合計負荷が不変なら、有効分と無効分を別々に保存して再配分します。

(a) 発電機Aの力率

\( \cos\theta_A=\dfrac{P_A}{\sqrt{3}V I_A} \)
定義
有効電力÷皮相電力
\( \phantom{\cos\theta_A}=\dfrac{7\,300\times10^{3}}{\sqrt{3}\times6\,600\times1\,000} \)
代入
7 300 kW、6 600 V、1 000 A
\( \phantom{\cos\theta_A}=\dfrac{7\,300\times10^{3}}{11\,431\times10^{3}} \)
分母
√3×6600×1000≒11 431 kV・A
\( \phantom{\cos\theta_A}\fallingdotseq 0.639\ \Rightarrow\ 64\ [\%] \)
力率
選択肢の64に一致
答え(a)の正解は (2) 64 %です。皮相電力11 431 kV・A に対して有効電力が7 300 kW——その比がそのまま力率になります。

同じ計算を発電機Bにも行っておくと(b)が楽になります。cos θB=7 300/(√3×6 600×800)=7 300/9 145≒0.798——Bのほうが電流が小さい分、力率は良いことが分かります。

(b) 無効電力の総量から逆算する

調整の前後で「2台の合計の負荷」が変わらない——これは有効電力だけでなく無効電力についても成り立ちます負荷が同じなら、負荷が要求する有効・無効電力も同じだからです。

\( Q_A=11\,431\times\sin\theta_A=11\,431\times0.769 \)
調整前A
cos θA=0.639 なので sin θA≒0.769
\( \phantom{Q_A}\fallingdotseq 8\,790\ [\mathrm{kvar}] \)
無効電力A
遅れ無効電力
\( Q_B=9\,145\times\sin\theta_B=9\,145\times0.602 \)
調整前B
cos θB=0.798 なので sin θB≒0.602
\( \phantom{Q_B}\fallingdotseq 5\,510\ [\mathrm{kvar}] \)
無効電力B
遅れ無効電力
\( Q_{\text{合計}}=8\,790+5\,510=14\,300\ [\mathrm{kvar}] \)
合計
この値が変わらない
\( P_{\text{合計}}=7\,300\times2=14\,600\ [\mathrm{kW}] \)
合計
こちらも変わらない

調整後、Aは電流1 000 A・力率100 %になりました。つまりAは無効電力を一切出さず、有効電力だけを供給しています

\( P_A=\sqrt{3}\times6\,600\times1\,000\times1.0\fallingdotseq 11\,430\ [\mathrm{kW}] \)
調整後A
力率1なので皮相電力=有効電力
\( P_B=14\,600-11\,430=3\,170\ [\mathrm{kW}] \)
調整後B
残りをBが受け持つ
\( Q_B=14\,300-0=14\,300\ [\mathrm{kvar}] \)
調整後B
無効電力は全部Bが受け持つ
\( S_B=\sqrt{3\,170^{2}+14\,300^{2}}\fallingdotseq 14\,650\ [\mathrm{kV\cdot A}] \)
皮相電力
有効と無効から合成
\( \cos\theta_B=\dfrac{3\,170}{14\,650}\fallingdotseq 0.216\ \Rightarrow\ 22\ [\%] \)
力率
選択肢の22に一致
令和元年機械B問題15でAの力率64%と調整後Bの力率22%を求める計算図
正解は(a)が(2)、(b)が(1)です。
答え(b)の正解は (1) 22 %です。Aが有効電力を、Bが無効電力を一手に引き受けた形——Bの力率が極端に悪くなっています

この調整が意味していること

並行運転する発電機の分担は、2つのつまみで独立に調整できます

調整するもの変わるもの変わらないもの
駆動機(原動機)の出力有効電力の分担無効電力の分担
界磁電流(励磁)無効電力の分担有効電力の分担

本問で「励磁及び駆動機の出力を調整し」と書かれているのは、この2つのつまみを両方まわしたという意味です。Aの励磁を弱めて無効電力の分担を0にし、Aの原動機出力を上げて有効電力を増やした——その結果がAの「電流1 000 A・力率100 %」になります。

ただし調整後のBは力率22 %——これは実務上まったく望ましくない状態です。わずか3 170 kW を送るために14 650 kV・A の容量を使っているので、Bは容量いっぱいまで発熱しながら、ほとんど仕事をしていないことになります。

実際の運用では、無効電力も2台で分担させるのが原則です。本問は「片方に寄せるとどうなるか」を計算で体感させる設定——答えの22 %という悪さ自体が、分担の重要性を示していると読めます。

⏱️ 本番での進め方
① 力率=有効電力÷皮相電力。√3VI を先に計算する。
② 6 600 V×1 000 A の三相皮相電力は11 430 kV・A。この値は覚えておくと速い。
③(b) は有効・無効を別々に保存させて、Bの残りを求める。
④ 有効電力だけでなく無効電力も合計が保存される、が最大のポイント。

💡 覚え方
「原動機は有効電力、励磁は無効電力」——並行運転の分担調整はこの2本立てそして「合計は有効も無効も変わらない」——負荷が同じなら要求される電力も同じだからです。

同期発電機AとBの初期電流成分と調整後Bの力率22%を数値で示す図
調整後Bは有効電流277.2 Aと無効電流1,251.5 Aを負担します。

まとめ

分担有効電流\(I_p=7\,300\mathrm{k}/(\sqrt3\times6\,600)\fallingdotseq638.6\,\mathrm A\)
Aの力率\(I_p/I_A=638.6/1\,000\fallingdotseq64\,\%\)…(a)(2)
Bの力率\(I_{PB}=277.2,\ I_{QB}=1\,251.5\Rightarrow22\,\%\)…(b)(1)
答え(a) (2)、(b) (1)

▼あわせて解きたい関連問題
・並行運転と回転速度:【機械】令和5年度下期A問題6
・同期発電機の出力計算:【機械】令和6年度下期B問題15

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和5年度下期A問題6(同期機22)
【機械】平成24年度B問題16(同期機23)
【機械】平成22年度B問題15(同期機20)
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