今回は令和5年度下期 機械科目 A問題6を解説します。並行運転させる同期発電機の回転速度を、周波数一致の条件から求める問題です。
並行運転の条件「周波数が等しい」を使い、\(N=120f/p\) で回転速度を逆算します。
問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題6
回転速度600 min-1で運転している極数10の同期発電機がある。この発電機に極数8の同期発電機を並行運転させる場合,極数8の発電機の回転速度[min-1]の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 400 (2) 550 (3) 750 (4) 950 (5) 1 200
出題のポイント:並行運転で一致するのは周波数
この問題は「並行運転=回転速度が同じ」という思い込みを試しています。一致させるのは周波数であって、回転速度ではありません——極数が違えば、同じ周波数でも回転速度は違います。

2ステップで解く
10極・600 min−1 の機械から周波数を割り出す。
同じ50 Hz で運転する。
比で解くこともできます。pN が一定なのですから、10×600=8×N2 より N2=6 000/8=750——周波数を経由せずに1行で終わります。


方向で選択肢を絞る
計算する前に、答えの方向は決まっています。極数が10から8へ減るのですから、回転速度は速くなるはずです。
| 選択肢 | 600 との比較 | 判定 |
| (1) 400 | 遅い | ✗ 極数が減ったのに遅くなるのはおかしい |
| (2) 550 | 遅い | ✗ 同上 |
| (3) 750 | 600×10/8=750 | ○ 正解 |
| (4) 950 | 速すぎる | ✗ 10/8=1.25倍を超えている |
| (5) 1 200 | 2倍 | ✗ 極数が半分の5極でないと出ない値 |
「極数が減れば速くなる」という一点で(1)(2)が消えます。さらに倍率が10/8=1.25倍だと分かれば、(3)しか残りません——方向と倍率の見当だけで答えが出る問題です。
同じ系統につながる発電機は、速度がばらばらでよい
この問題が示している事実は、実務でも重要です。同じ系統につながっている発電機は、まったく違う回転速度で回っています。
| 発電機 | 極数 | 回転速度(50 Hz) | 周波数 |
| タービン発電機 | 2極 | 3 000 min−1 | 50 Hz |
| 本問の8極機 | 8極 | 750 min−1 | 50 Hz |
| 本問の10極機 | 10極 | 600 min−1 | 50 Hz |
| 低速の水車発電機 | 48極 | 125 min−1 | 50 Hz |
3 000 min−1 の機械と125 min−1 の機械が、同じ系統で仲良く並列運転している——速度は24倍も違うのに、周波数は同じです。
系統でそろえなければならないのは、電気的な量(電圧・周波数・位相)だけです。機械的な回転速度は、その発電機の都合で自由に決めてよい——だから原動機に合わせて極数を選べます。
水車は遅く、タービンは速い——それぞれに最適な速度で回しながら、極数を調整することで同じ周波数を作る。Ns=120f/p という式は、この自由度を保証している式だと言えます。
⏱️ 本番での進め方
① 並行運転で一致するのは周波数——回転速度ではない。
② pN=120f=一定。比で1行で解ける(10×600=8×N2)。
③ 極数が減れば速くなる——方向だけで2肢消える。
④ 倍率は10/8=1.25倍。600×1.25=750。
💡 覚え方
「並行運転=周波数一致。f=pN/120 で共通周波数、N=120f/p で逆算」。周波数が同じなら pN が一定なので極数と回転速度は反比例。同じ系統に3 000 min−1 の機械と125 min−1 の機械が並列できる——そろえるのは電気的な量だけ。
⚠️ よくある間違い
「回転速度が等しい」と思い込んで600 に近い値を選ぶのが本問の狙いです。並行運転の条件は電圧・周波数・位相・相回転で、回転速度は含まれていません。もう一つは倍率を8/10=0.8倍と逆にすること——極数が減れば速くなると方向で確かめてください。
系統周波数は何で決まっているのか
本問では「並行運転する機械は同じ周波数」としましたが、その周波数そのものは何が決めているのでしょうか。答えは「発電と需要のバランス」です。
| 状態 | 回転体に起きること | 系統周波数 |
| 発電 > 需要 | 余ったエネルギーが回転を加速させる | 上がる |
| 発電 = 需要 | 釣り合っている | 一定 |
| 発電 < 需要 | 不足分を回転エネルギーで補う | 下がる |
系統につながったすべての同期発電機は、電気的に固く結ばれています。1台が遅れようとすれば同期化力が引き戻し、全体が1つの巨大な回転体のように振る舞う——その回転速度が、そのまま系統周波数です。
だから周波数は「系統全体の健康状態を示す指標」になります。周波数が下がっていれば発電が足りていない——各発電所はそれを検知して出力を上げます。誰かが全体を指揮しなくても、周波数という共通の信号で協調できるのです。
日本では東日本が50 Hz、西日本が60 Hzと分かれています。この2つは別々の系統で、周波数変換所を介してしか電力をやりとりできません——周波数が違う系統どうしは、そのままでは並列できないからです。
本問の「並行運転させる」という条件は、同じ系統の中の話です。10極機も8極機も同じ50 Hz の系統につながる——回転速度は600と750で違っても、電気的には完全に同期しているということになります。
極数と同期速度の早見表を頭に入れる
同期速度の式は覚えやすいのですが、試験本番では計算する時間さえ惜しいことがあります。よく出る極数については、値そのものを覚えてしまうのが速いです。
| 極数 p | 50 Hz のとき | 60 Hz のとき |
| 2 | 3000 | 3600 |
| 4 | 1500 | 1800 |
| 6 | 1000 | 1200 |
| 8 | 750 | 900 |
| 10 | 600 | 720 |
| 12 | 500 | 600 |
本問で問われた「10極で600」「8極で750」は、どちらもこの表の中にあります。表を覚えていれば、式を書く前に答えが出せるのです。
覚え方のコツは、50 Hz の 2極=3000 を起点にすることです。4極なら半分の1500、6極なら1/3の1000、8極なら1/4の750——3000を極数の半分で割るだけと考えれば、表を丸暗記しなくても即座に出ます。60 Hz はその1.2倍です。
この表は同期機だけの話ではありません。誘導電動機の同期速度も同じ式ですから、「4極50 Hz の誘導機は同期速度1500、すべり5 %なら回転速度1425」といった計算が一瞬で書けるようになります。機械科目の広い範囲で使える、投資効率の高い暗記です。
逆に「回転速度から極数を当てる」問われ方もあります。50 Hz で1200 min-1 という値が出てきたら、表にないので60 Hz の6極だと分かる——表を両方向に使えると、問題文の条件の読み違いにも気づけます。
まとめ
| 共通周波数 | \(f=10\times600/120=50\,\mathrm{Hz}\) |
| 極数8の回転速度 | \(N_2=120\times50/8=750\,\mathrm{min^{-1}}\) |
| 並行運転の条件 | 電圧・周波数・位相・相回転が等しい |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・並行運転の力率:【機械】令和元年度B問題15
・f=pN/120 と誘導起電力:【機械】令和5年度上期A問題6

コメント