三相交流6【電験3種 理論】Y負荷とΔ負荷が並列の三相回路で電流が等しくなる抵抗と全電力を求める!令和4年度下期 B問題15 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(三相交流) 令和4年度下期 B問題15 YとΔが並列の三相回路!電流が等しくなる抵抗は?

今回は令和4年度下期 理論科目 B問題15を解説します。6Ω+8ΩのY結線負荷と抵抗rのΔ結線負荷が並列の三相回路で、Y負荷の電流I₁とΔ負荷(r)の電流I₂が等しいとき、(a)抵抗r(b)全消費電力を求めるB問題です。

(a)Y負荷は|Z|=√(6²+8²)=10Ω、相電圧=200/√3。I₁=(200/√3)/10。Δ負荷のrは線間電圧200Vを受けI₂=200/r。I₁=I₂からr。(b)電力=Y負荷+Δ負荷。

目次

令和4年度下期 理論科目 B問題15:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 三相交流 令和4年度下期 B問題15 問題文
令和4年度下期 理論科目 B問題15 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題15

電験3種 理論科目 【電気回路(三相交流)】 令和4年度下期 B問題15

 図のように、抵抗6Ωと誘導性リアクタンス8ΩをY結線し、抵抗r〔Ω〕をΔ結線した平衡三相負荷に、200Vの対称三相交流電源を接続した回路がある。抵抗6Ωと誘導性リアクタンス8Ωに流れる電流の大きさをI₁〔A〕、抵抗r〔Ω〕に流れる電流の大きさをI₂〔A〕とする。電流I₁とI₂の大きさが等しいとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)抵抗rの値〔Ω〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)6.0 (2)10.0 (3)11.5 (4)17.3 (5)19.2〔Ω〕

(b)回路が消費する電力の値〔kW〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)2.4 (2)3.1 (3)4.0 (4)9.3 (5)10.9〔kW〕

図 Y結線6+j8負荷とΔ結線r負荷、200V三相電源(問題図)
図 Y結線6+j8負荷とΔ結線r負荷、200V三相電源(問題図)

出題のポイント:Y負荷とΔ負荷を別々に扱う

1つの電源に、Y結線の負荷とΔ結線の負荷が並列につながっている回路です。並列なので、それぞれ独立に計算して最後に足せばよい——これが基本方針になります。

Y負荷にかかるのは相電圧 \(200/\sqrt3\fallingdotseq115.5\ \mathrm{V}\)Δ負荷にかかるのは線間電圧そのままの200 Vです。この違いが本問の急所になります。

結線による電圧・電流の違い
$$\text{Y}:V_p=\frac{V_l}{\sqrt3},\ I_l=I_p\qquad \text{Δ}:V_p=V_l,\ I_p=\frac{I_l}{\sqrt3}$$

\(I_1\) はY負荷の相電流(=線電流)\(I_2\) はΔ負荷の相電流(=抵抗 \(r\) に流れる電流)です。

問題文は「抵抗 \(r\) に流れる電流」と書いていますこれはΔの相電流であって、線電流ではありません読み取りを間違えると \(\sqrt3\) 倍ずれます

Y結線とデルタ結線の枝電圧と電流を比較し抵抗と全消費電力を求める解法の見取り図
Yは相電圧200/√3V、Δは枝電圧200Vを使い、等電流条件からrを決めます。

(a) の解説:2つの電流を等しいと置く

$$|\dot Z_Y|=\sqrt{6^{2}+8^{2}}=10\ \Omega$$
❶ Y負荷のインピーダンス
3:4:5
$$I_1=\frac{200/\sqrt3}{10}=\frac{20}{\sqrt3}\fallingdotseq11.55\ \mathrm{A}$$
❷ Y負荷の電流
相電圧を使う
$$I_2=\frac{200}{r}$$
❸ Δ負荷の相電流
線間電圧を使う
$$\frac{200}{r}=\frac{20}{\sqrt3}\ \Rightarrow\ r=10\sqrt3\fallingdotseq17.3\ \Omega$$
❹ 等しいと置く

❶で6と8から10が出るのはおなじみの3:4:5です。\(\sqrt{36+64}=\sqrt{100}=10\)——電験では頻出の組合せなので瞬時に出せるようにしておきましょう。

❹の答えは \(10\sqrt3\) というきれいな形になります。Y負荷の \(|\dot Z|=10\) に対して \(\sqrt3\) 倍——Δ負荷には \(\sqrt3\) 倍の電圧がかかるので、同じ電流を流すには \(\sqrt3\) 倍の抵抗が必要という理屈です。

6+j8オームのインピーダンス三角形から大きさ10オームと力率0.6を求めY相電流11.55アンペアを導出
Y負荷の各相インピーダンスは10Ω、各相電流I₁は20/√3Aです。
答え(a) \(r=10\sqrt3\fallingdotseq17.3\ \Omega\) → 選択肢(4)

(b) の解説:2つの負荷の電力を足す

電力は「電流の合成」を経由せずに、それぞれの負荷で計算して足せます有効電力はスカラー量なので、位相を気にせず単純な足し算でよいのです。

$$P_Y=3I_1^{2}\times6=3\times\frac{400}{3}\times6=2400\ \mathrm{W}$$
❶ Y負荷(抵抗6 Ωの分)
リアクタンスは消費しない
$$P_\Delta=3I_2^{2}\,r=3\times\frac{400}{3}\times10\sqrt3=4000\sqrt3\fallingdotseq6928\ \mathrm{W}$$
❷ Δ負荷
$$P=2400+6928=9328\ \mathrm{W}\fallingdotseq9.3\ \mathrm{kW}$$
❸ 合計

\(I_1=I_2=20/\sqrt3\) なので \(I^{2}=400/3\fallingdotseq133.3\) です。どちらの負荷も同じ電流が流れているので、電力の比は抵抗の比 \(6:10\sqrt3\fallingdotseq6:17.3\) になります。

Δ負荷のほうが約2.9倍も電力を消費しています。同じ電流でも抵抗が大きいほうが多く消費する——\(P=I^{2}R\) の素直な結果です。

Y相電流とデルタ枝電流を等置して抵抗r=10ルート3オームを導出し選択肢4と検算
|I₁|=|I₂|よりr≈17.3Ωとなり、問15(a)の正解は(4)です。
Y負荷2.4キロワットとデルタ負荷6.93キロワットを有効電力公式で別々に導出
Y負荷は2.4kW、Δ負荷は6.93kWを消費します。
並列接続されたY負荷とデルタ負荷の電力を合計し全消費電力9.3キロワットを検算
全消費電力は約9.3kWとなり、問15(b)の正解は(4)です。
答え(b) \(P\fallingdotseq9.3\ \mathrm{kW}\) → 選択肢(4)

誤答の正体:\(\sqrt3\) をどこで使うか

選択肢(a) \(r\)〔Ω〕そのとき \(I_2=200/r\)どんな誤りか
(1)6.033.3 AY負荷の抵抗6 Ωをそのまま答える
(2)10.020.0 A\(|\dot Z_Y|=10\) をそのまま答える(相電圧を使い忘れ)
(3)11.517.4 A\(I_1\) の数値11.5をそのまま \(r\) にする
(4)17.311.56 A =\(I_1\)正解
(5)19.210.4 Aダミー

(2)10.0が最も引っかかりやすいです。「Y負荷のインピーダンスが10 Ωだから、同じ電流なら \(r\) も10 Ω」——ところがΔ負荷にかかる電圧は \(\sqrt3\) 倍なので、\(r\) も \(\sqrt3\) 倍でなければ電流が等しくなりません

(3)11.5は \(I_1\) の数値そのものです。計算の途中で出てくる数字を、そのまま答えにしてしまう典型的なミス——単位が違う(AとΩ)ことに気づけば防げます。

⚠️ よくある間違い
「Δ負荷は線間電圧がそのままかかる」——ここを忘れると全部ずれます。Δ結線は3つの負荷が三角形に並び、その各辺が線間に直接つながっているからです。中性点がないので、相電圧という別の電圧が存在しません

☝️ ひっかけの作り方:問題文が聞いているのは「抵抗 \(r\) に流れる電流 \(I_2\)」です。Δの線電流なら \(\sqrt3\) 倍の20 Aになります。「\(r\) に流れる」=相電流と正しく読み取ってください。

深掘り①:Δ→Y変換で解く別解

Δ結線をY結線に直してしまえば、すべてY同士の並列になります。相電圧で統一できるので、見通しがよくなります。

Δ→Y変換(平衡負荷の場合)
$$Z_Y=\frac{Z_\Delta}{3}$$

インピーダンスは \(1/3\) になります逆にY→Δなら3倍コンデンサの静電容量だけは逆(Δ→Yで3倍)です。

$$r_Y=\frac{r}{3}=\frac{10\sqrt3}{3}=\frac{10}{\sqrt3}\fallingdotseq5.77\ \Omega$$
❶ Δ負荷をYに直す
$$P_\Delta=3\times\frac{V_p^{2}}{r_Y}=3\times\frac{115.5^{2}}{5.77}\fallingdotseq6928\ \mathrm{W}$$
❷ Y換算で電力
同じ答え ✓
$$P_Y=3\times\frac{V_p^{2}}{|\dot Z|^{2}}\times6=3\times\frac{13333}{100}\times6=2400\ \mathrm{W}$$
❸ Y負荷

どちらの解き方でも同じ9328 Wが出ます。Δ→Y変換は、複数の負荷が混在するときに全体を統一できるのが利点です。

ただし本問では変換しないほうが速いです。Δ負荷の相電流を直接 \(200/r\) で出せるので、わざわざ変換する必要がありません変換は「必要になったらやる」ものと考えてください。

深掘り②:同じインピーダンスでもYとΔで3倍違う

同じ電源に、同じ値のインピーダンス3個をY結線した場合とΔ結線した場合を比べてみましょう。電験で最も問われる対比のひとつです。

Y結線(\(Z\) 3個)Δ結線(\(Z\) 3個)
1相にかかる電圧\(V_l/\sqrt3\)\(V_l\)(\(\sqrt3\) 倍)
相電流\(V_l/(\sqrt3Z)\)\(V_l/Z\)(\(\sqrt3\) 倍)
線電流\(V_l/(\sqrt3Z)\)\(\sqrt3V_l/Z\)(3倍)
三相電力\(V_l^{2}/Z\)\(3V_l^{2}/Z\)(3倍)

「Δ結線はY結線の3倍の電力」——電圧が \(\sqrt3\) 倍で、電力は電圧の二乗に比例するから \((\sqrt3)^{2}=3\) 倍という理屈です。

この性質を利用したのがスターデルタ始動です。始動時はY結線で電圧を下げ、電流と始動トルクを \(1/3\) に抑える——回転が上がったらΔに切り替えて全力運転します。機械科目の頻出テーマです。

本問では \(r=10\sqrt3\)、Y換算すると \(10/\sqrt3\fallingdotseq5.77\ \Omega\)——Y負荷の10 Ωより小さいので、Δ負荷のほうが多くの電力を消費するのは当然の結果です。

深掘り③:全体の力率と線電流

問題では問われていませんが、回路全体の線電流と力率を出しておくと理解が深まります。2つの負荷の電流をベクトルで合成します。

$$\dot I_Y=11.55\times(0.6-j0.8)=6.93-j9.24\ \mathrm{A}$$
❶ Y負荷の線電流
力率 \(6/10=0.6\)
$$I_{\Delta l}=\sqrt3\times11.55=20\ \mathrm{A}\quad(\text{同相})$$
❷ Δ負荷の線電流
純抵抗なので同相
$$\dot I=(6.93+20)-j9.24=26.93-j9.24\ \mathrm{A}$$
❸ 合成
$$I=\sqrt{26.93^{2}+9.24^{2}}\fallingdotseq28.5\ \mathrm{A}$$
❹ 大きさ

Δ負荷の線電流は相電流の \(\sqrt3\) 倍です。\(11.55\times\sqrt3=20\ \mathrm{A}\)——Δ結線では線電流のほうが大きいという関係を確認してください。

全体の力率は \(26.93/28.5\fallingdotseq0.945\) です。純抵抗のΔ負荷(力率1)が加わったことで、Y負荷単独の0.6から大きく改善しています。

検算すると \(P=\sqrt3\times200\times28.5\times0.945\fallingdotseq9330\ \mathrm{W}\)——先ほどの9328 Wと一致します。電流ルートでも同じ答えにたどり着けることが確認できました。

⏱️ 本番での進め方
❶ Yは相電圧 \(V_l/\sqrt3\)、Δは線間電圧 \(V_l\)——ここを取り違えない。
❷ 「\(r\) に流れる電流」はΔの相電流——線電流ではない。
❸ 有効電力はスカラーなので単純に足せる——ベクトル合成は不要。
❹ 6と8を見たら10——3:4:5は電験の定番。

💡 覚え方
「同じ電流を流すなら、電圧が \(\sqrt3\) 倍のΔ側は抵抗も \(\sqrt3\) 倍」——オームの法則そのままです。\(r=10\sqrt3\) という答えの形が、この関係を物語っています

★重要:平成20年度B問題15とまったく同じ問題

平成20年度B問題15は、本問と完全に同一の問題です。回路図・数値・5つの選択肢・正答番号(a)(4)(b)(4)まですべて同じ——14年の時を経てそのまま再出題されました。

平成20年度 B問題15本問(令和4年度下期 B問題15)
Y負荷\(6\ \Omega\) と \(8\ \Omega\)完全に同一
Δ負荷抵抗 \(r\)完全に同一
電源200 V 対称三相完全に同一
選択肢6.0/10.0/11.5/17.3/19.2並びも同じ
正答番号(a)(4) (b)(4)(a)(4) (b)(4)

選択肢の並びまで変えずに再出題されたという珍しい例です。当サイトで確認している「完全同一ペア」は理論科目でこれが3組目——古い過去問も侮れません

⚠️ よくある間違い
「平成20年度なんて古すぎる」と切り捨てないでください原理を問う良問は、10年以上経っても再登場します。特にB問題は作問コストが高いので、過去問の再利用が起きやすいのです。

出題履歴:YとΔの混在は三相の総合問題

Y負荷とΔ負荷を並列につなぐ問題は、三相交流の理解度を総合的に問うものです。結線ごとの電圧・電流の関係、Δ→Y変換、電力の計算——三相の要素がすべて詰まっています

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

あわせて解いておきたい記事:【理論】平成20年度B問題15(完全に同一の問題)

まとめ

Y|Z|=10,I₁=11.5A
r200/11.5≒17.3Ω …(a)(4)
PY/PΔ2400/6928W
P9.3kW …(b)(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・Δ結線を含む三相回路の関連問題:【理論】令和5年度上期B問題15

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