電気及び電子計測26【電験3種 理論】振幅変調(AM)の変調度と直線検波回路を攻略する!平成28年度 B問題18 完全解説

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成28年度 B問題18 変調度は何%?AM波と直線検波回路を攻略!

今回は平成28年度 理論科目 B問題18(選択問題)を解説します。振幅変調(AM)の波形から(a)変調度を求め、(b)ダイオードとCR並列からなる直線検波(包絡線検波)回路の空欄を埋める問題です。(令和5年度上期 B問題18と同一の問題です。)

変調度は変調波の振幅の最大値と最小値から求められます。検波回路は、搬送波の高い周波数成分をコンデンサで逃がし、信号波(低い周波数)成分を取り出す仕組みです。

目次

平成28年度 理論科目 B問題18:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成28年度 B問題18 問題文
平成28年度 理論科目 B問題18 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題18

電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 平成28年度 B問題18

 振幅変調について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 図1の波形は、正弦波である信号波によって搬送波の振幅を変化させて得られた変調波を表している。この変調波の変調度の値を求める。

(b) 次の文章は、直線検波回路に関する記述である。振幅変調した変調波の電圧を、図2の復調回路に入力して復調したい。コンデンサC[F]と抵抗R[Ω]を並列接続した合成インピーダンスの両端電圧に求められることは、信号波の成分が(ア)ことと、搬送波の成分が(イ)ことである。そこで、合成インピーダンスの大きさは、信号波の周波数に対してほぼ抵抗R[Ω]となり、搬送波の周波数に対して十分に(ウ)なくてはならない。

(a) 図1の変調波の変調度の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.33 (2)0.5 (3)1.0 (4)2.0 (5)3.0

(b) 直線検波回路の記述で、信号波の成分が(ア)こと、搬送波の成分が(イ)こと、合成インピーダンスは搬送波の周波数に対して十分に(ウ)なくてはならない。空欄の組合せとして正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)あるなくなる大きく
(2)あるなくなる小さく
(3)なくなるある小さく
(4)なくなるなくなる小さく
(5)なくなるある大きく
図1 振幅変調された変調波の波形(最大3a/2、最小a/2)(問題図)
図1 振幅変調された変調波の波形(最大3a/2、最小a/2)(問題図)
図2 直線検波(復調)回路(ダイオードとCR並列)(問題図)
図2 直線検波(復調)回路(ダイオードとCR並列)(問題図)

出題のポイント:包絡線の「太いところ」と「細いところ」を読む

変調度は \(m=\dfrac{A_{\max}-A_{\min}}{A_{\max}+A_{\min}}\)図1は最大 \(3a/2\)、最小 \(a/2\) なので、\(m=\dfrac{1.5a-0.5a}{1.5a+0.5a}=\dfrac{a}{2a}=0.5\) です。

分母は「差」ではなく「和」——ここを取り違えると 1.0 や 2.0 になり、選択肢(3)(4)に落ちます

変調度の定義
$$m=\frac{A_{\max}-A_{\min}}{A_{\max}+A_{\min}}=\frac{\text{信号波の振幅}}{\text{搬送波の振幅}}$$

\((A_{\max}+A_{\min})/2\) が搬送波の振幅、\((A_{\max}-A_{\min})/2\) が信号波の振幅——その比が変調度です。

解説(a):包絡線から変調度を出す

$$A_{\max}=\frac{3a}{2},\qquad A_{\min}=\frac{a}{2}$$
❶ 図1を読む
包絡線の上下
$$\text{搬送波の振幅}=\frac{A_{\max}+A_{\min}}{2}=\frac{2a}{2}=a$$
❷ 平均が搬送波
$$\text{信号波の振幅}=\frac{A_{\max}-A_{\min}}{2}=\frac{a}{2}$$
❸ 変化分が信号波
$$m=\frac{a/2}{a}=0.5$$
❹ 比を取る
答え(a) \(m=0.5\) → 選択肢(2)

意味で考えると分かりやすいです。「搬送波の振幅 \(a\) を中心に、\(\pm0.5a\) だけ揺れている」——揺れ幅が中心の半分だから変調度 0.5

解説(b):検波回路の CR が担う2つの役割

直線検波(包絡線検波)は「ダイオードで半分に切り、CR で包絡線をなぞる」回路です。CR 並列部分の両端電圧に求められることが2つあります。

空欄答え理由
(ア) 信号波の成分がある取り出したいのは信号波そのもの
(イ) 搬送波の成分がなくなる搬送波は運び屋なので捨てる
(ウ) 搬送波の周波数に対して十分に小さく\(C\) が搬送波を短絡して落とす
$$Z=\frac{R}{\sqrt{1+(\omega CR)^2}}$$
❶ CR 並列のインピーダンス
$$\omega_s CR\ll1\ \Rightarrow\ Z\fallingdotseq R$$
❷ 信号波の周波数では
大きい=信号波は残る
$$\omega_c CR\gg1\ \Rightarrow\ Z\fallingdotseq\frac{1}{\omega_c C}\ll R$$
❸ 搬送波の周波数では
小さい=搬送波は落ちる
答え(b) (ア)ある (イ)なくなる (ウ)小さく → 選択肢(2)

要するに CR 並列はローパスフィルタです。低い周波数(信号波)は通し、高い周波数(搬送波)は接地へ逃がす——それが「包絡線をなぞる」の正体です。

誤答の正体:変調度の分母と、フィルタの向き

(a)の選択肢どう計算すると出るか
(1)0.33\(A_{\min}/(A_{\max}+A_{\min})=0.5/2\)
(2)0.5◎ \((1.5-0.5)/(1.5+0.5)\)
(3)1.0★分母を「差」にした \((1.5-0.5)/(1.5-0.5)\)
(4)2.0\(A_{\max}/(A_{\max}-A_{\min})\times\ldots\)
(5)3.0\(A_{\max}/A_{\min}=1.5/0.5\)

(5)の 3.0 は \(A_{\max}/A_{\min}\)——「最大÷最小」という単純な比です。変調度の定義とは違います

⚠️ よくある間違い
(ウ)を「大きく」としてしまう誤りに注意してください。搬送波を落としたいのだから、搬送波の周波数ではインピーダンスは【小さく】——「落としたい成分にはインピーダンスを小さくして逃がす」のがフィルタの基本です。

深掘り①:変調度が意味するもの

変調度100 %のとき、包絡線の細いところがちょうど振幅ゼロになります。これが「めいっぱい変調をかけた」状態です。

100 %を超えると包絡線が反転して食い込み、元の信号波の形が壊れます——過変調受信側で正しく復調できず、ひずんだ音になります

逆に小さすぎると、信号の割合が小さくて雑音に埋もれます実用上は80〜90 %程度を狙います。

変調度包絡線の様子評価
0(無変調)一定振幅情報が乗っていない
0.5(本問)\(0.5a\sim1.5a\)やや浅い
1.0(100 %)\(0\sim2a\)限界いっぱい
1.0超(過変調)包絡線が反転波形が壊れる

深掘り②:直線検波回路の時定数の選び方

CR の時定数は「搬送波の周期より長く、信号波の周期より短く」する必要があります。どちらかを外すと復調できません

$$\frac{1}{f_c}\ll CR\ll\frac{1}{f_s}$$
❶ 時定数の条件
搬送波と信号波の間
時定数起きること結果
短すぎる搬送波の1周期ごとに放電しきる高周波のリプルが残る
ちょうどよい搬送波は平滑され信号波に追従きれいに復調
長すぎる信号波の変化に追従できないダイアゴナルクリッピング

AMラジオなら搬送波が数百kHz、信号波が数kHz——100倍以上の開きがあるので、時定数の設計に余裕がありますこれがAM検波が簡単な理由です。

深掘り③:AM波の周波数成分

$$v=A(1+m\cos\omega_st)\cos\omega_ct$$
❶ AM波の式
振幅が信号で揺れる
$$=A\cos\omega_ct+\frac{mA}{2}\cos(\omega_c+\omega_s)t+\frac{mA}{2}\cos(\omega_c-\omega_s)t$$
❷ 展開
3つの正弦波の和
$$\text{占有帯域}=2f_s$$
❸ 帯域幅
上下の側波の間隔

\(f_c\pm f_s\) を側波(サイドバンド)と呼びます。情報は側波にだけ入っていて、搬送波そのものには情報がありません

側波の振幅は \(mA/2\)——変調度に比例します。変調度が小さいと側波が小さく、雑音に埋もれやすい——深く変調したい理由です。

💡 覚え方
変調度=(最大−最小)/(最大+最小)=信号波の振幅÷搬送波の振幅検波回路の CR は「信号波は通し、搬送波は落とす」ローパスフィルタ——だから搬送波の周波数ではインピーダンスが小さい

深掘り④:変調方式を比べる

変調方式何を変化させるか特徴用途
振幅変調(AM)搬送波の振幅回路が簡単・雑音に弱い中波ラジオ・航空無線
周波数変調(FM)搬送波の周波数雑音に強い・帯域が広いFMラジオ・業務無線
位相変調(PM)搬送波の位相FMと近い性質ディジタル通信

AMは振幅に情報を載せるので、振幅に乗る雑音がそのまま情報を汚しますFMは周波数に載せるので、受信側で振幅を切りそろえれば雑音を捨てられます

代償はFMの占有帯域が広いことAMラジオが9 kHz間隔、FMラジオが100 kHz間隔——この差がそのまま帯域の差です。

⏱️ 本番での進め方
❶ 変調度は「差÷和」——分母を「差」にしないこと。
❷ 図から \(A_{\max}\) と \(A_{\min}\) を読むだけ——計算は1行。
❸ (ア)(イ)は「信号波は残す、搬送波は捨てる」で決まる。
❹ (ウ)は「落としたい成分にはインピーダンスを小さく」——フィルタの基本。

出題履歴:★令和5年度上期にそのまま再出題された

本問は令和5年度上期B問題18として、図・数値・選択肢まですべて同一のまま再出題されています。答えも(a)(2)・(b)(2)で変わりません——過去問をひととおり解いておく価値がそのまま点数になった1問です。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

★同型問題:【理論】令和5年度上期 B問題18とまったく同じ問題

この問題は 【理論】令和5年度上期 B問題18 と、図・数値・選択肢まですべて同一です。答えも変わりません——片方を確実に解けるようにしておけば、そのまま得点になります

項目平成28年度 B問題18令和5年度上期 B問題18
テーマ振幅変調と直線検波同じ
図1の包絡線最大 3a/2、最小 a/2同じ
(a)の答え(2) 変調度 0.5同じ
(b)の答え(2) ある・なくなる・小さく同じ
選択肢の並び同じ(番号も変わらない)

計測分野は同じ題材の再出題が特に多い単元です。「電圧計の負荷効果」「変調度と検波回路」「電圧降下法の誤差」「整流形の指示値」などは、数年おきに数値まで同じまま出ています——過去問の価値がとりわけ高い分野です。

▼あわせて解きたい同型問題:【理論】令和5年度上期 B問題18

まとめ

(a)変調度(3a/2−a/2)/(3a/2+a/2)=0.5→(2)
(ア)信号波の成分がある
(イ)搬送波の成分がなくなる
(ウ)搬送波周波数に対しZは小さく
(b)答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・同型問題(電気及び電子計測9・令和5上期):【理論】令和5年度上期 B問題18

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