単相交流47【電験3種 理論】RC直列回路の位相差から静電容量を求める!平成23年度 A問題9 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(単相交流) 平成23年度 A問題9 位相が45度ずれる条件!静電容量は何μF?

今回は平成23年度 理論科目 A問題9を解説します。1000Ωの抵抗とCのコンデンサの直列回路で、周波数1000Hzのとき電源電圧と電流の位相差がπ/3のときの、静電容量C〔μF〕を求める問題です。

RC直列回路のインピーダンスの偏角がπ/3。tanφ=Xc/RからXcを求め、Xc=1/(2πfC)を使ってCを逆算します。

目次

平成23年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問9)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 単相交流 平成23年度 A問題9 問題文
平成23年度 理論科目 A問題9 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成23年度 A問題9

 図のように、1000〔Ω〕の抵抗と静電容量C〔μF〕のコンデンサを直列に接続した交流回路がある。いま、電源の周波数が1000〔Hz〕のとき、電源電圧Ė〔V〕と電流İ〔A〕の位相差はπ/3〔rad〕であった。このとき、コンデンサの静電容量C〔μF〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.053 (2)0.092 (3)0.107 (4)0.159 (5)0.258〔μF〕

図 1000Ωの抵抗とCのコンデンサの直列交流回路(問題図)
図 1000Ωの抵抗とCのコンデンサの直列交流回路(問題図)

出題のポイント:\(\tan\phi=X_C/R\) からリアクタンスを出す

RC直列回路のインピーダンスは \(\dot Z=R-jX_C\)その偏角の大きさが位相差です。\(\tan\phi=X_C/R\) という関係から、\(X_C\) を先に求めるのが定石になります。

\(\phi=\pi/3\)(60°)なら \(\tan60^\circ=\sqrt3\)したがって \(X_C=\sqrt3R\)——抵抗の \(\sqrt3\) 倍です。ここで \(R/\sqrt3\) としてしまうと、答えが3倍ずれます

RC直列回路
$$\dot Z=R-jX_C\qquad\tan\phi=\frac{X_C}{R}\qquad X_C=\frac{1}{2\pi fC}$$

\(\tan\) の分子がリアクタンス、分母が抵抗です。直角三角形で「対辺 ÷ 隣辺」——インピーダンス三角形を描くと間違えません。

平成23年度理論問9の出題ポイント。抵抗1000オーム、周波数1000ヘルツ、位相差60度から容量性リアクタンス1732オームと静電容量0.092マイクロファラドを求め、正解2を示す図
tanφ=Xc/RからXcを求め、C=1/(2πfXc)へ代入します。

解説:2ステップで求まる

$$\tan\frac{\pi}{3}=\sqrt3=\frac{X_C}{1000}\;\Longrightarrow\;X_C=1000\sqrt3=1732\;\Omega$$
❶ リアクタンスを求める
\(\tan60^\circ=\sqrt3=1.732\)
$$C=\frac{1}{2\pi fX_C}=\frac{1}{2\pi\times1000\times1732}=9.19\times10^{-8}\;\mathrm{F}$$
❷ 静電容量へ
$$C=0.092\;\mathrm{\mu F}$$
❸ μF に直す
\(10^{-6}\) で割る

\(2\pi\times1000\times1732\approx1.088\times10^7\)、その逆数が \(9.19\times10^{-8}\)——\(10^{-8}\) 台なので、μF に直すと 0.09 台になります。桁の見当をつけておくと計算ミスに気づけます

検算:\(\dot Z=1000-j1732\) なので \(|\dot Z|=2000\;\Omega\)、偏角は \(\arctan(1732/1000)=60^\circ\) ✓ \(1:\sqrt3:2\) の直角三角形になっています。

RC直列回路の位相差、容量性リアクタンス、静電容量の三つの式と、正接の分子分母および単位換算の注意を示すポイント解説図
tanφはXc/Rであり、最後にFからμFへ換算します。
答え\(C\approx0.092\;\mathrm{\mu F}\) → 選択肢(2)
平成23年度理論問9の問題解説。容量性リアクタンス、静電容量、単位換算を順に計算し、0.092マイクロファラドと正解2を示す図
Cは約9.2×10⁻⁸ F=約0.092 μFとなるため、正答は(2)です。

誤答の正体:\(\tan\) を逆に取る

誤り方\(X_C\)〔Ω〕\(C\)〔μF〕選択肢
\(X_C=R/\sqrt3\) とする(逆比)5770.276(5) 0.258 に近い
位相差を \(\pi/6\) と誤る5770.276(5) に近い
\(X_C=R\) とする(45°)10000.159(4)
正しい計算17320.092(2) ◎

選択肢(4)の 0.159 μF は「\(X_C=R=1000\;\Omega\)」としたときの値です。位相差45°の場合にあたります(5)の 0.258 μF は \(\tan\) を逆に取った場合——どちらも典型的な誤りです。

感覚で検算する方法もあります。位相差が大きい=容量性が強い=\(X_C\) が大きい=\(C\) が小さい60°は45°より大きいので、\(C\) は45°のときの 0.159 μF より小さいはず——0.092 なら妥当です。

⚠️ よくある間違い
\(X_C\) と \(C\) は反比例します。\(X_C\) を大きく求めたのに \(C\) も大きくなったら、どこかで逆数を取り忘れています\(C=1/(2\pi fX_C)\) の形をしっかり書いてから代入してください。

💡 覚え方
インピーダンス三角形を描くのが最も確実です。横軸に \(R\)、縦軸に \(X_C\)、斜辺が \(|\dot Z|\)——\(\tan\phi\) は「縦 ÷ 横」だと図で確認できます。

深掘り:位相差と力率の関係

位相差 \(\phi=60^\circ\) なら、力率は \(\cos60^\circ=0.5\) です。この回路は皮相電力の半分しか有効電力として使えていないことになります。

位相差 \(\phi\)\(\tan\phi=X_C/R\)力率 \(\cos\phi\)回路の性質
01純抵抗
30°0.5770.866抵抗が優勢
45°10.707\(R=X_C\)
60°(本問)1.7320.5リアクタンスが優勢
90°0純リアクタンス

\(R\) と \(X_C\) の比だけで位相差も力率も決まりますこの表を頭に入れておくと、位相差が与えられた時点でインピーダンスの構成が見えます

本問では \(R:X_C:|\dot Z|=1:\sqrt3:2\)——30-60-90度の直角三角形です。電験でよく出る比なので、\(\sqrt3\) が出てきたらこの三角形を思い浮かべてください

⏱️ 本番での進め方
❶ インピーダンス三角形を描く。\(\tan\phi\) の分子・分母を図で確認。
❷ \(X_C\) を先に求める。\(C\) を直接求めようとしない。
❸ \(X_C\) と \(C\) は反比例。逆数を取り忘れない。
❹ 桁を予測する。\(X_C\) が \(10^3\) 台なら \(C\) は \(10^{-8}\) 台=0.0X μF。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

XcR·tan60°=1000√3≒1732Ω
C1/(2π·1000·1732)
換算≒9.2×10⁻⁸F
答え0.092μF …(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・RC回路・容量性リアクタンスの関連問題:【理論】令和2年度A問題8

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