今回は令和5年度上期 機械科目 B問題18を解説します。マイクロプロセッサの動作クロックを示す図から、2.5GHzのクロックのサイクルタイムを求める(a)と、CPI=4のときの動作周波数を求める(b)の問題です。★情報30(平成24年度B問題18)と設問文・図・選択肢がすべて同一で、実質的に同じ問題の再出題です。
(a)はサイクルタイムT=1/fの関係式にf=2.5GHzを代入するだけです。(b)はCPI×サイクルタイム=1命令当たりの平均実行時間という関係から、まずサイクルタイムを逆算し、その逆数として動作周波数を求めます。
ほぼ同じ問題が 【機械】平成24年度B問題18 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
令和5年度上期 機械科目 B問題18:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題18
電験3種 機械科目 【情報】 令和5年度上期 B問題18
図は,マイクロプロセッサの動作クロックを示す。マイクロプロセッサは動作クロックと呼ばれるパルス信号に同期して処理を行う。また,マイクロプロセッサが1命令当たりに使用する平均クロック数をCPIと呼ぶ。1クロックの周期T[s]をサイクルタイム,1秒当たりの動作クロック数fを動作周波数と呼ぶ。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 2.5GHzの動作クロックを使用するマイクロプロセッサのサイクルタイムの値[ns]として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(b) CPI=4のマイクロプロセッサにおいて,1命令当たりの平均実行時間が0.02μsであった。このマイクロプロセッサの動作周波数の値[MHz]として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.0004 (2)0.25 (3)0.4 (4)250 (5)400〔ns〕
(1)0.0125 (2)0.2 (3)12.5 (4)200 (5)12500〔MHz〕

出題のポイント:単位の接頭語を正確にそろえる
本問は式そのものは簡単——難しいのは単位の換算です。GHz、ns、µs、MHz が入り混じります。
| 接頭語 | 記号 | 倍率 | 本問での登場 |
| ギガ | G | 109 | 2.5 GHz |
| メガ | M | 106 | 答えの200 MHz |
| マイクロ | µ | 10-6 | 0.02 µs |
| ナノ | n | 10-9 | 答えの0.4 ns |
「G と n」「M と µ」がそれぞれ逆数の関係——GHz の逆数は ns、MHz の逆数は µs になります。この対応を覚えておくと暗算できます。
1 GHz の周期は1 ns、1 MHz の周期は1 µs——これを基準にすれば、あとは比例計算です。


2つの設問を計算する
★1 GHz=1 ns を基準に
CPI で割る
★GHz からMHz へは×1000
「1 GHz=1 ns」を基準にすれば、割り算だけで答えが出ます——10 の累乗を追いかける必要がありません。

⚠️ よくある間違い
選択肢は同じ数字の並びで桁だけ違うものが並んでいます。(a)の 0.0004/0.25/0.4/250/400——0.4 と400 は1000倍違うだけです。
問われている単位を必ず確認——本問は ns なので0.4 が答え。ps なら400 になります。
(b)の 0.2 と200 も1000倍違い——GHz か MHz かで変わります。単位を書き添えながら計算するのが最良の対策です。
なぜCPI が1 より大きいのか
1命令を実行するのに4クロックかかる——なぜ1クロックで終わらないのかを考えてみましょう。
| 段階 | やること |
| ①命令の取り出し | メモリから命令を読む |
| ②命令の解読 | 何をする命令かを判定 |
| ③データの読み出し | 必要な値をレジスタやメモリから |
| ④実行 | 演算する |
| ⑤書き込み | 結果を保存 |
1つの命令にも、いくつもの段階があります——それぞれに1クロックずつかかるのが素朴な作り方です。だからCPI が数クロックになるのです。
これを速くする工夫がパイプライン処理——ある命令が②を実行している間に、次の命令の①を始めるのです。流れ作業のように重ねれば、見かけのCPI が1 に近づきます。
ただし分岐命令があると、先読みが無駄になる——だからCPI は1 より少し大きい値に落ち着くのが実際です。本問のCPI=4 は、パイプラインのない素朴なプロセッサを想定した値だと言えます。
⏱️ 本番での進め方
①「1 GHz=1 ns、1 MHz=1 µs」を基準にする。
②(a) 1÷2.5=0.4 ns。
③(b) 0.02 µs÷4=5 ns →1÷5=0.2 GHz=200 MHz。
④★選択肢は桁違いが並ぶ。問われている単位を必ず確認。
💡 覚え方
「G と n、M と µ は逆数の関係」——1 GHz の周期は1 ns。これを基準にすれば、10 の累乗を追わずに済みます。
本問は平成24年度 B問題18と設問文・図・選択肢がすべて同一です(情報:マイクロプロセッサのサイクルタイムと動作周波数)。11年ぶりの完全再出題でした。

性能を表す3つのものさし
本問で出てきた動作周波数とCPI——コンピュータの速さを測る指標を整理しておきましょう。
| 指標 | 意味 | 単位 |
| クロック周波数 | 1秒間のクロック数 | Hz、GHz |
| サイクルタイム | ★クロック1回の時間(周波数の逆数) | s、ns |
| CPI | 1命令あたりのクロック数 | —(無次元) |
| MIPS | 1秒間に実行できる命令数(百万単位) | — |
1命令の実行時間=サイクルタイム×CPI——本問(b)はこれを逆に使って、実行時間からサイクルタイムを求めたわけです。
MIPS はその逆数を百万で割ったもの——本問なら1命令0.02 µs なので、1秒間に5,000万命令=50 MIPS になります。
周波数だけでは速さは決まらない
「GHz が大きいほど速い」とは限りません——CPI が大きければ台無しだからです。
2.5 GHz でCPI=4 のプロセッサと、1 GHz でCPI=1 のプロセッサを比べてみましょう。前者は1命令1.6 ns、後者は1 ns——周波数が半分以下でも、後者のほうが速いのです。
だから性能比較には、実行時間そのものを見る必要があります。周波数はあくまで部品の速さ——それを何回使うか(CPI)と掛け合わせて初めて実力が分かるのです。
この考え方は電動機の選定などとも共通——回転速度だけでなくトルクと合わせて出力を見るのと同じ。1つの数字だけで判断しないという姿勢が大切です。
まとめ
| (a) T=1/f | 0.4 ns |
| (b) T(逆算) | 5×10⁻⁹ s |
| (b) f=1/T | 200 MHz |
| 答え | (a)-(3),(b)-(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・マイクロプロセッサのサイクルタイムと動作周波数(平成24年度の同一問題):【機械】平成24年度B問題18
・フローチャート(旧式記号)のループ処理をトレース:【機械】平成26年度A問題14

コメント