同期機54【電験3種 機械】電機子巻線法(分布巻・短節巻)の穴埋め!令和4年下期 A問題7 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 令和4年度下期 A問題7 巻線法で波形がきれいになる!分布巻と短節巻

今回は令和4年度下期 機械科目 A問題7を解説します。交流機の電機子巻線法(分布巻・短節巻)を問う穴埋め問題です(令和6年度下期A問題7とほぼ同一の再出題)。

分布巻は各極各相のスロット数が2以上。短節巻はコイルピッチ<極ピッチで、誘導起電力は低くなりますが電圧波形が改善されます。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【機械】令和6年度下期A問題7 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題7

 次の文章は,交流機における電機子巻線法に関する記述である。

 電機子巻線法には,1相のコイルをいくつかのスロットに分けて配置する(ア)と,集中巻がある。(ア)の場合,各極各相のスロット数は(イ)となる。

 (ア)において,コイルピッチを極ピッチよりも短くした巻線法を(ウ)と呼ぶ。この巻線法を採用すると,(エ)は低くなるが,コイル端を短くできることや,(オ)が改善できるなどの利点があるため,一般的によく用いられている。空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして正しいものを一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)分布巻2以上短節巻誘導起電力電圧波形
(2)分散巻2未満全節巻励磁電流力率
(3)分布巻2未満短節巻励磁電流力率
(4)分布巻2未満短節巻励磁電流電圧波形
(5)分散巻2以上全節巻誘導起電力力率

出題のポイント:分布巻と短節巻を対で押さえる

交流機の電機子巻線は、正弦波に近い起電力を作ることを目的に工夫されていますその工夫が「分布巻」と「短節巻」の2つ——どちらも起電力を少し下げる代わりに、波形をきれいにします

観点コイルの配置(分布か集中か)コイルの幅(全節か短節か)
波形を良くする側分布巻短節巻
起電力が最大の側集中巻全節巻
係数の名前分布係数 kd短節係数 kp
係数の値1より小さい1より小さい

2つの係数を掛け合わせたものが巻線係数 kw=kdkpです。どちらも1未満なので、巻線係数も必ず1未満——「工夫をすると起電力は必ず下がる」という関係が、式の形にも表れています

分布巻のスロット数と短節巻のコイルピッチ、誘導起電力と電圧波形への効果を示す図
分布巻は各極各相2スロット以上、短節巻はコイルピッチが極ピッチより短い巻線です。

空欄を一つずつ確定する

(ア)1相のコイルを複数スロットに分ける巻き方

1相分のコイルをいくつかのスロットに「分けて配置する」のが分布巻です。選択肢には「分散巻」という語も混ざっていますが、これは電験で使われる正式な用語ではありません——正しくは分布巻です。

☝️ ひっかけの作り方:実在しない用語を混ぜるのは穴埋め問題の常套手段です。「分散巻」「集中分布巻」のような、それらしいが聞き慣れない語を見たら疑ってかかる——正式名称を正確に覚えていることが、そのまま選択肢の絞り込みになります

(イ)各極各相のスロット数

「分けて配置する」のですから、1相が使うスロットは1つでは足りません各極各相のスロット数 q は 2以上——q=1 なら1つのスロットに集中しているので、それは集中巻です。

各極各相のスロット数

\( q=\dfrac{\text{全スロット数}}{\text{極数}\times\text{相数}} \)

q ≧ 2 なら分布巻、q=1 なら集中巻——定義そのものです。

(ウ)コイルピッチを極ピッチより短くする巻き方

極ピッチとは、N極の中心からS極の中心までの間隔です。コイルの幅をこれより短くするのが短節巻——「節を短くする」という字がそのまま意味になっています。

(エ)短節巻で低くなるもの

コイルの幅を狭めると、コイルが鎖交する磁束が減りますだから誘導起電力が低くなる——これが短節巻で支払う代償です。選択肢にある「励磁電流」は界磁側の話で、巻線の幅とは直接関係しません

(オ)短節巻で改善されるもの

短節巻の目的は、高調波を打ち消して起電力の波形を正弦波に近づけることです。コイルの2辺が拾う高調波の位相をずらして相殺させる——だから改善されるのは電圧波形です。「力率」は負荷側で決まる量なので、巻線法で直接改善されるものではありません

令和4年下期機械A問題7の空欄を分布巻、2以上、短節巻、誘導起電力、電圧波形と確定する図
5空欄の組合せから、正解は(1)です。
答え(ア)分布巻 (イ)2以上 (ウ)短節巻 (エ)誘導起電力 (オ)電圧波形——正解は (1)です。

なぜ「起電力を犠牲にしてでも」波形を整えるのか

起電力が下がるのは損のはずです。それでも分布巻・短節巻が標準として使われているのは、失うものより得るものが大きいからです。

失うもの得るもの
起電力が数%下がる(巻線係数 0.9 前後)高調波が減り、鉄損・銅損・騒音・振動が下がる
巻線の手間が増えるコイル端が短くなり、銅の使用量と抵抗損が減る
スロット数が増える電機子の熱が分散し、冷却しやすくなる

高調波を含んだ電圧を系統に送り出すと、他の機器に影響が出ますまた高調波は仕事をせずに損失だけを増やす——数%の起電力低下は、それを避けるための保険料と考えると納得しやすくなります。

💡 覚え方
「分けて(分布)、短くして(短節)、波形をきれいにする」そして「きれいにする代わりに起電力は少し下がる」——この2文で、(ア)〜(オ)のすべてが導けます

⏱️ 本番での進め方
①(ア)は「分布巻」。「分散巻」という語は存在しないので、その時点で2肢が消える。
②(イ)は「分けるのだから2以上」。日本語の意味だけで決まる。
③(エ)(オ)は「起電力を犠牲に、波形を得る」の一対で確定。
④ 5肢のうち3肢が(ア)で切れるので、実質2択の問題。

出題履歴:ほぼ同文で再出題、ただし答えの番号は違う

この問題は、令和6年下期 A問題7でほぼ同じ文章で再出題されました同期機55:電機子巻線法(分布巻・短節巻)の穴埋め)。

令和4年下期 問7(本問)令和6年下期 問7
問われる内容同じ(分布巻・短節巻)同じ
正解の番号(1)(4)

内容が同じでも、選択肢の並び順が変われば正解の番号は変わります過去問を「答えは(1)」と番号で覚えていると、再出題で必ず外します——覚えるべきは番号ではなく、(ア)〜(オ)に入る語そのものです。

2年おきに出るほど頻出のテーマですから、ここは確実に取れるようにしておきたいところです。用語さえ正確なら、計算も図の読み取りも要らない——機械科目の中では最も投資効率のよい1問と言えます。

分布巻のベクトル合成と短節巻による高調波低減・電圧波形改善を示す図
分布巻と短節巻は高調波を抑え、誘導起電力を少し下げる代わりに電圧波形を改善します。

巻線係数はどれくらい下がるのか、数字で見る

「起電力が低くなる」と言われても、どの程度なのかが分からないと納得しにくいものです実際に係数を計算してみると、犠牲の小ささが実感できます

巻線係数

\( k_w=k_d\,k_p \)

分布係数 kd と短節係数 kp の積——誘導起電力はこの分だけ小さくなります

巻き方係数の値起電力の低下
集中巻(q=1)kd=1.000低下なし
分布巻(q=2)kd≒0.966約3 %
分布巻(q=3)kd≒0.960約4 %
全節巻kp=1.000低下なし
短節巻(5/6 短節)kp≒0.966約3 %

両方を採用しても kw≒0.966×0.966≒0.93——失うのは7 %程度です。その代わりに高調波が大幅に減り、損失・騒音・振動が下がるのですから、割に合う取引だと分かります

短節巻が高調波を消す仕組み

コイルの2つの辺は、極ピッチだけ離れていれば基本波に対してちょうど逆向きになり、2辺の起電力が足し合わさりますところが第5調波・第7調波にとっては、その距離はまったく別の位相差に見えます

コイル幅を極ピッチの 5/6 にすると、第5調波の2辺の起電力がほぼ打ち消し合います基本波は 0.966 倍にしか減らないのに、第5調波は大きく削れる——これが「わずかな犠牲で大きな効果」の正体です。

分布巻も理屈は同じです。スロットごとに少しずつ位相の違う起電力を足し合わせるので、次数の高い調波ほど互いに打ち消し合って消えていきます「ずらして足すと、高調波だけよく消える」——分布巻も短節巻も、この一言に集約されます

まとめ

(ア)分布巻
(イ)2以上
(ウ)短節巻
(エ)誘導起電力
(オ)電圧波形
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・電機子巻線法(令和6下期):【機械】令和6年度下期A問題7
・永久磁石同期モータ:【機械】令和4年度下期A問題6

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和4年度下期A問題6(同期機52)
【機械】令和7年度上期A問題7(同期機51)
【機械】令和4年度上期A問題6(同期機50)
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