同期機53【電験3種 機械】電機子巻線法(分布巻・短節巻)の穴埋め!令和6年下期 A問題7 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 令和6年度下期 A問題7 分布巻と短節巻を使う理由!高調波を減らす

今回は令和6年度下期 機械科目 A問題7を解説します。交流機の電機子巻線法(分布巻・短節巻)を問う穴埋め問題です。

1相を複数スロットに分ける分布巻(各極各相のスロット数は2以上)、コイルピッチを短くする短節巻。誘導起電力は下がりますが電圧波形が改善します。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【機械】令和4年度下期A問題7 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題7

 次の文章は,交流機における電機子巻線法に関する記述である。

 電機子巻線法には,1相のコイルをいくつかのスロットに分けて配置する(ア)と,集中巻がある。(ア)の場合,各極各相のスロット数は(イ)となる。

 (ア)において,コイルピッチを極ピッチよりも短くした巻線法を(ウ)と呼ぶ。この巻線法を採用すると,(エ)は小さくなるが,コイル端を短くできることや,(オ)が改善できるなどの利点があるため,一般的によく用いられている。空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして正しいものを一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)分布巻2未満短節巻励磁電流電圧波形
(2)分散巻2未満全節巻励磁電流力率
(3)分布巻2未満短節巻励磁電流力率
(4)分布巻2以上短節巻誘導起電力電圧波形
(5)分散巻2以上全節巻誘導起電力力率

出題のポイント:分布巻と短節巻は別の分類軸

巻線法の用語は似ていて紛らわしいのですが、「何を分類しているか」で整理すると混乱しません2つの独立した軸があります。

分類軸何を見るか2つの型
スロットへの配置1相のコイルを何個のスロットに分けるか集中巻/分布巻
コイルピッチコイルの幅を極ピッチと比べてどうするか全節巻/短節巻

この2つは独立です。「分布巻かつ短節巻」というのが交流機で最も一般的な組み合わせ——本問はまさにその組み合わせを説明しています

分布巻と集中巻、短節巻と全節巻という二つの分類を比較する図
分布巻はスロットへの配置、短節巻はコイルピッチに関する名称です。

空欄を確定する

(ア)(イ):分布巻と、各極各相のスロット数

「1相のコイルをいくつかのスロットに分けて配置する」のが分布巻です。(ア)=分布巻「分散巻」という用語は使いません——もっともらしいダミーです。

分けて配置するのですから、各極各相のスロット数は2以上——(イ)=2以上1なら分けていないことになり、それは集中巻です。

(ウ):コイルピッチを短くするのが短節巻

極ピッチ(磁極1つ分の幅)よりコイルの幅を短くするのが短節巻です。(ウ)=短節巻「全節巻」は極ピッチと同じ幅にする巻き方で、短くしていません

(エ)(オ):起電力は下がるが波形が良くなる

短節巻にすると、コイルの2辺で発生する起電力の位相がずれますベクトル的に足すので、合計は全節巻より小さくなる——(エ)=誘導起電力です。

その代わり、高調波成分を打ち消せて波形が正弦波に近づきます——(オ)=電圧波形「力率」は改善しません——力率は負荷が決める量で、巻線法とは無関係です。

答え(ア)分布巻/(イ)2以上/(ウ)短節巻/(エ)誘導起電力/(オ)電圧波形 ⇒ (4)
短節巻によって誘導起電力が少し小さくなり、コイル端短縮と電圧波形改善が得られる図
短節係数は1未満ですが、高調波抑制とコイル端短縮の利点があります。
令和6年下期機械A問題7の空欄を分布巻、2以上、短節巻、誘導起電力、電圧波形と確定する表
5空欄の組合せから、正解は(4)です。

起電力が下がることを式で見る

分布巻も短節巻も、起電力を少し犠牲にして波形を良くする巻き方です。その「犠牲」の大きさを表すのが巻線係数です。

巻線係数を含めた誘導起電力

\( E=4.44\,k_w\,f\,N\,\phi \)  \( k_w=k_d\times k_p \)

kd=分布係数(分布巻による低下) kp=短節係数(短節巻による低下)

どちらの係数も1より小さい——だから起電力は集中巻・全節巻より小さくなります

巻線法係数起電力得られるもの
集中巻・全節巻kw=1最大—(波形が悪い)
分布巻kd<1少し下がる波形が正弦波に近づく・熱が分散する
短節巻kp<1少し下がる高調波を打ち消す・コイル端が短くなる
分布巻+短節巻kw=kdkp(0.9前後)1割ほど下がる両方の利点

実用機の巻線係数は0.9前後です。起電力が1割減る代わりに、波形の歪みが大幅に減る——その取引が割に合うから、ほとんどの交流機がこの巻き方を採っています

「コイル端を短くできる」という利点も見逃せません。コイル端(スロットの外に出ている部分)は起電力を生まないのに、抵抗と材料費だけは食います——短くできれば銅損も材料も減るのです。

なぜ高調波が打ち消せるのか

短節巻が高調波を減らせる仕組みを、直感的に押さえておきましょう。

コイルは2つの辺(往きと帰り)を持ちます。全節巻ならこの2辺がちょうど磁極1つ分離れており、両辺の起電力が完全に足し合わさります——基本波も高調波も、すべて強め合ってしまうのです。

短節巻では2辺の間隔が少し狭くなります。基本波にとってはわずかな位相差ですが、高調波にとっては大きな位相差——周波数が n 倍なら、位相差も n 倍になるからです。

基本波第5調波第7調波
短節による位相差小さい5倍7倍
打ち消される度合いほとんど打ち消されない大きく打ち消される大きく打ち消される

コイルピッチを適切に選べば、狙った次数の高調波をほぼ完全に消せますたとえば極ピッチの5/6にすれば第5調波が消える——「必要な基本波は残し、邪魔な高調波だけ削る」という巧妙な仕掛けです。

分布巻も同じ発想です。複数のスロットに分けると、各スロットの起電力に少しずつ位相差が付く——高調波ほど位相差が大きくなって打ち消し合います2つの巻線法が同じ原理で働いていることになります。

★同型問題:令和4年度下期 A問題7

この問題は令和4年度下期 A問題7とほぼ同じ問題です。わずか2年での再出題——出題パターンが固定されている論点だと言えます。

巻線法は用語さえ覚えれば確実に得点できる分野です。「分布巻/集中巻」「短節巻/全節巻」という2つの軸、そして「起電力は下がるが波形が良くなる」という結論——この3点で、どちらの年度の問題も解けます

⏱️ 本番での進め方
2つの独立した軸:スロット配置(集中巻/分布巻)とコイルピッチ(全節巻/短節巻)。
「分散巻」という用語はない——正しくは分布巻。
各極各相のスロット数は2以上が分布巻の定義。
改善するのは電圧波形——力率ではない。

💡 覚え方
「分布巻=各極各相のスロット2以上。短節巻=コイルピッチを極ピッチより短く。どちらも誘導起電力は下がるが電圧波形が良くなる」E=4.44kwfNφ で kw=kdkp(実用機で0.9前後)高調波ほど位相差が大きくなって打ち消されるのが原理。

⚠️ よくある間違い
(ア)に「分散巻」を選ぶのが典型です。正しくは分布巻——「分散」という用語は使いません。もう一つは(オ)に「力率」——巻線法で改善するのは電圧波形であって、力率は負荷が決める量です。

では集中巻はどこで使われるのか

問題文が「(ア)と、集中巻がある」と並べているとおり、集中巻も実在する巻線法です。大形の交流機では分布巻が標準ですが、集中巻が選ばれる場面もあります

分布巻集中巻
1相のコイル複数スロットに分散1つの突極に集中
起電力波形正弦波に近いひずみやすい
コイル端長くなる短くできる
巻線作業手間がかかる自動巻線しやすい
主な用途大形の同期機・誘導機SRM・ブラシレスDC・小形PMSM

集中巻の利点は、コイル端が短くなることと巻線が作りやすいことです。1つの突極にぐるぐる巻くだけなので、機械で自動的に巻けます——量産する小形モータでは大きな利点になります。

コイル端は起電力を生まないのに抵抗と材料を食う部分でした。集中巻ならその無駄が減るので、同じ体積でより多くの出力が取り出せます——小型化が求められる用途に向きます

代償は波形のひずみです。1か所に集中しているので、位相差による高調波の打ち消しが起きません——起電力が階段状になりやすいのです。ただしインバータで駆動する現代のモータでは、そもそも電源側が正弦波でないので、この欠点は相対的に小さくなっています

「大形で系統につなぐなら分布巻、小形でインバータ駆動なら集中巻」——用途で選び分けられていると理解しておけば十分です。SRM が集中巻なのも、この流れの中にあります

まとめ

(ア)分布巻
(イ)2以上
(ウ)短節巻
(エ)誘導起電力
(オ)電圧波形
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・電機子巻線法(令和4下期):【機械】令和4年度下期A問題7
・スイッチトリラクタンスモータ:【機械】令和7年度上期A問題7

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和4年度下期A問題6(同期機52)
【機械】令和7年度上期A問題7(同期機51)
【機械】令和4年度上期A問題6(同期機50)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次