同期機51【電験3種 機械】スイッチトリラクタンスモータ(SRM)の穴埋め!令和7年上期 A問題7 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 令和7年度上期 A問題7 磁石を使わないSRモータ!突極が引かれて回る

今回は令和7年度上期 機械科目 A問題7を解説します。スイッチトリラクタンスモータ(SRM)の構造と特徴を問う穴埋め問題です。

SRMは固定子が集中巻、回転子が突極形(永久磁石なし)。リラクタンストルクで回転し、構造が簡単で高速回転に適します。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題7

 次の文章は,スイッチトリラクタンスモータ(SRM)に関する記述である。

 一般に,SRMの構造は,固定子の巻線が(ア),回転子の形状が(イ)となっている。固定子の巻線に流す電流をスイッチで切り替えると,(イ)の回転子が,固定子の磁極に引き付けられて回転する。

 このモータは,回転子の構造が簡単で強固であるため,(ウ)に適している。また,ネオジムなどの(エ)を使用せず,鉄心と巻線のみで磁気回路を構成できる特長を有する。空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして正しいものを一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)集中巻円筒形低速回転軟磁性体
(2)分布巻突極形低速回転希土類磁石
(3)集中巻突極形高速回転希土類磁石
(4)分布巻円筒形高速回転希土類磁石
(5)集中巻突極形低速回転軟磁性体

出題のポイント:SRMは「磁石も巻線もない回転子」

スイッチトリラクタンスモータ(SRM)の最大の特徴は、回転子に何も付いていないことです。巻線も、導体も、永久磁石もありません——ただの鉄の塊(けい素鋼板を積んだ突極)です。

固定子回転子
突極(例:6極)突極(例:4極)
巻線集中巻なし
導体なし
永久磁石なし
材料鉄心+銅線鉄心だけ

だから構造が簡単で強固になります。回転する部分に壊れるものがないのですから当然です——これが「高速回転に適している」理由です。

6つの固定子突極に集中巻を施し、4極の突極形回転子鉄心には巻線や永久磁石を持たない6/4形SRMの断面図
SRMは固定子が集中巻、回転子が巻線・磁石なしの突極形鉄心です。

リラクタンストルクとは何か

SRMが回る原理は、他の電動機とはまったく違います。「磁気抵抗(リラクタンス)が小さくなる位置へ動こうとする力」——それだけです。

磁石にクリップを近づけると、クリップが磁石に吸い寄せられます。あれと同じです。鉄は磁束の通り道になりたがるので、磁束が通りやすい位置(磁気抵抗が最小の位置)へ引き寄せられます

回転子の位置磁気抵抗働く力
固定子の磁極とずれている大きいそろう向きへ引き寄せられる
固定子の磁極とそろっている最小力は働かない(安定点)

そろってしまったら、そこで止まってしまいます。だから、そろう直前で電流を切って、次の磁極に電流を流す——この切り替え(スイッチング)を繰り返すことで回り続けます「スイッチト」という名前は、この動作から来ています

切り替えのタイミングを決めるには、回転子の位置を知らなければなりません。位置センサか、電流波形から位置を推定する演算が必須——制御装置なしには一切回らない電動機です。

答え(ア)集中巻/(イ)突極形/(ウ)高速回転/(エ)希土類磁石 ⇒ (3)
6固定子極4回転子極のSRMで、向かい合うA相極を励磁すると未整列の回転子が磁気抵抗最小の整列位置へ回転する比較図
励磁した極対に回転子突極がそろう向きへ動き、リラクタンストルクが生じます。
ア集中巻、イ突極形、ウ高速回転、エ希土類磁石を使用しないというSRMの4特徴と正解3を示す解答図
集中巻・突極形・高速回転・希土類磁石を使わない、の組合せで正解は(3)です。

なぜ「希土類磁石を使わない」ことが特長なのか

(エ)の「ネオジムなどの希土類磁石を使用せず」——これがSRMが注目される最大の理由です。

希土類磁石の問題内容
資源の偏在産出国が限られ、供給が不安定になりやすい
価格高価で、価格変動も大きい
耐熱性高温で磁力が落ちる(不可逆減磁の危険)
リサイクル回収・再利用が難しい

永久磁石同期電動機(PMSM)は高効率ですが、この希土類磁石に依存しています。SRMは鉄心と巻線だけで作れるので、資源リスクからも価格変動からも自由です。

選択肢の「軟磁性体」を選んではいけません。軟磁性体とは、まさに鉄心に使う材料そのもの——SRMは軟磁性体(けい素鋼板)を使って作る電動機です。「使わない」のは硬磁性体である永久磁石のほうです。

3種類の電動機を並べて比べる

誘導電動機PMSMSRM
回転子導体(かご形)永久磁石鉄心だけ
二次銅損あるないない
希土類磁石不要必要不要
効率良い最も良い良い
位置検出不要(V/f なら)必要必須
高速回転磁石の飛散に注意得意
弱点二次銅損磁石のコストと資源トルク脈動と騒音

SRMの弱点は、トルクの脈動と騒音です。磁極が引き寄せられる力を断続的に使うので、トルクが滑らかにならず、振動と音が出やすい——低速で静かに回したい用途には向きません

逆に、高速で回してしまえば脈動は目立たなくなります。「高速回転に適している」のは、構造が強固だからという理由に加えて、この事情もあると考えてよいでしょう。

電気自動車の駆動用として、PMSM の代替候補として研究が続いています。資源制約を受けずに高効率のモータが作れる——そこに価値があるのです。

⏱️ 本番での進め方
SRM=集中巻+突極形(回転子は鉄心だけ)
リラクタンストルク=磁気抵抗が小さくなる向きへ引き寄せられる力
「使わない」のは希土類磁石。軟磁性体(鉄心)は使う。
構造が強固=高速回転向き。弱点はトルク脈動と騒音。

💡 覚え方
「SRM=集中巻+突極形(磁石なし)。リラクタンストルクで回転、高速回転向き、希土類磁石不要」回転子には巻線も導体も磁石もない鉄心だけ——だから強固で高速に向く切り替えのために位置検出が必須弱点はトルク脈動と騒音

⚠️ よくある間違い
(イ)に「円筒形」を選ぶのが典型です。突極でなければリラクタンストルクが生じません——磁気抵抗に差があることが動作原理そのものです。もう一つは(エ)に「軟磁性体」——軟磁性体は鉄心の材料で、SRMはそれを使って作られています

リラクタンストルクを使う電動機の系譜

「磁気抵抗が小さくなる向きへ引き寄せられる」というリラクタンストルクは、SRM だけのものではありません。いくつもの電動機が、程度の差はあれこの力を使っています

電動機磁石によるトルクリラクタンストルク特徴
突極形同期機あり(界磁巻線)あり水車発電機など。xd≠xq
SPMSM(表面磁石)ありほぼなし磁石が表面にあり空隙が均一
IPMSM(埋込磁石)ありあり両方使えるので高効率。EV・エアコンの主流
SynRMなしあり磁石なし・正弦波駆動・分布巻
SRM(本問)なしあり磁石なし・方形波駆動・集中巻

SRM と SynRM は「磁石を使わずリラクタンストルクだけで回る」という点で同じ仲間です。違いは駆動のしかた——SynRM は正弦波電流で滑らかに回し、SRM はスイッチで方形波的に切り替えます

そのため SynRM のほうがトルク脈動が小さく静かですが、SRM のほうが構造が単純で強固です。「静かさを取るか、頑丈さを取るか」——用途で選び分けることになります

いま最も普及しているのは IPMSMです。磁石を回転子の内部に埋め込むことで、磁石トルクとリラクタンストルクの両方を使える——効率で他を上回りますただし希土類磁石が必要で、そこがSRM や SynRM が代替候補として研究され続けている理由です。

「突極であればリラクタンストルクが生じる」——この一点で、水車発電機からSRM まで一本の線でつながります本問の(イ)が「突極形」でなければならない理由も、ここにあります

まとめ

(ア)集中巻
(イ)突極形
(ウ)高速回転
(エ)希土類磁石
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・永久磁石同期モータ:【機械】令和4年度下期A問題6
・ステッピングモータ:【機械】令和4年度上期A問題6

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和4年度上期A問題6(同期機50)
【機械】令和4年度下期A問題6(同期機52)
【機械】令和6年度下期A問題7(同期機53)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次