同期機45【電験3種 機械】各種電動機の始動法の穴埋め!令和3年 A問題7 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 令和3年度 A問題7 電動機ごとに違う始動法!正しい組合せは?

今回は令和3年度 機械科目 A問題7を解説します。直流分巻・かご形誘導・巻線形誘導・同期の各電動機で、始動電流を抑える工夫を問う穴埋め問題です。

直流分巻=直列の始動抵抗、かご形=Y-△始動、巻線形=二次抵抗、同期=始動電動機。始動電流の抑え方を電動機ごとに整理します。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題7

 電源の電圧や周波数が一定の条件下,各種電動機では,始動電流を抑制するための種々の工夫がされている。

 a. 直流分巻電動機:電機子回路に(ア)抵抗を接続して電源電圧を加え始動電流を制限する。回転速度が上昇するに従って抵抗値を減少させる。

 b. 三相かご形誘導電動機:(イ)結線の一次巻線を(ウ)結線に接続を変えて電源電圧を加え始動電流を制限する。回転速度が上昇すると(イ)結線に戻す。

 c. 三相巻線形誘導電動機:(エ)回路に抵抗を接続して電源電圧を加え始動電流を制限する。回転速度が上昇するに従って抵抗値を減少させる。

 d. 三相同期電動機:無負荷で始動電動機(誘導電動機や直流電動機)を用いて同期速度付近まで加速する。次に,界磁を励磁して(オ)発電機として,三相電源との並列運転状態を実現する。そののち,始動用電動機の電源を遮断して同期電動機として運転する。空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして正しいものを一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)直列Y二次同期
(2)並列Y一次誘導
(3)直列Y二次誘導
(4)並列Y一次同期
(5)直列Y二次誘導

出題のポイント:4機種の始動法を1枚に並べる

この問題は、機械科目で学ぶ4種類の電動機の始動法を横断しています。どれも「始動電流を抑える」という同じ目的ですが、手段は機械の構造によって決まります

電動機どこに手を入れるか方法加速後どうするか
直流分巻電機子回路直列に始動抵抗抵抗を段階的に減らす
三相かご形誘導一次回路Δ結線をYに変えるΔに戻す
三相巻線形誘導二次回路外部抵抗を接続抵抗を減らして短絡
三相同期別の機械を使う始動電動機で同期速度付近まで界磁を励磁して並列投入

前の3つは「電圧を下げる」か「抵抗を入れる」か——どちらも電動機自身の中で完結しています。同期電動機だけが別の機械の助けを借りる——始動トルクがそもそも出ないからです。

直流分巻電動機の直列始動抵抗、三相かご形誘導電動機のYデルタ始動、三相巻線形誘導電動機の二次抵抗、三相同期電動機の始動電動機を比較した表
始動法は、直流分巻=直列抵抗、かご形=Y-Δ、巻線形=二次抵抗、同期=始動電動機です。

空欄を確定する

(ア):直流分巻は電機子回路に直列抵抗

始動の瞬間は逆起電力がゼロですから、電源電圧がまるごと電機子抵抗にかかって大電流が流れますこれを抑えるには電機子回路に直列に抵抗を入れる——(ア)=直列です。

「並列」では電流を制限できません。並列に抵抗をつないでも、電機子に流れる電流は変わらない——むしろ全体の電流が増えてしまいます

(イ)(ウ):Δ結線をYに変える

問題文は「(イ)結線の一次巻線を(ウ)結線に接続を変えて」「回転速度が上昇すると(イ)結線に戻す」と書いています。戻る先が運転時の結線ですから、(イ)=Δ、(ウ)=Yです。

Y-Δ始動は「始動時Y、運転時Δ」——Yのほうが相電圧が1/√3 に下がるので始動に使います。順序を逆に読むと(2)(3)(4)へ逸れます

(エ):巻線形は二次回路

巻線形の特権は、スリップリングで二次回路を外へ引き出せることです。(エ)=二次「一次回路」に抵抗を入れるのは電圧を下げるだけで、比例推移は使えません

(オ):界磁を励磁すれば「同期発電機」になる

ここが本問で最も面白いところです。始動電動機で同期速度付近まで回した状態で界磁を励磁すると、その機械は電圧を発生します——つまり同期発電機として振る舞っているのです。(オ)=同期

答え(ア)直列/(イ)Δ/(ウ)Y/(エ)二次/(オ)同期 ⇒ (1)
直流分巻、Yデルタ、巻線形、同期電動機について、始動電流を抑える理由と加速後の抵抗または結線の切替手順を示す図
Y始動の各巻線電圧はΔ直入れの1/√3、始動線電流と始動トルクは約1/3です。加速後はΔへ切り替えます。
令和3年度機械A問題7の空欄解答、ア直列、イデルタ、ウY、エ二次、オ同期で正解1
空欄は(ア)直列、(イ)Δ、(ウ)Y、(エ)二次、(オ)同期で、正解は(1)です。

「発電機として並列してから、電動機に切り替える」

(オ)の手順を、もう少し丁寧に追ってみましょう。始動電動機法は、じつは並行運転の手順そのものです。

段階その機械の役割何をしているか
① 始動電動機で加速ただの回転体同期速度付近まで回す
② 界磁を励磁同期発電機電圧が発生する
③ 電源に並列投入同期発電機電圧・周波数・位相を合わせて遮断器を閉じる
④ 始動電動機を切る同期電動機負荷を受けて電動機として回り始める

③の段階では、並行運転の3条件(電圧の大きさ・周波数・位相)を満たす必要があります。同期検定器で確認してから投入する——発電機を系統につなぐときとまったく同じ手順です。

並列に入ったあと、始動電動機の電源を切ると、今度は負荷側からトルクを要求される側に回ります——発電機から電動機へ、そのまま切り替わるのです。

同期機は発電機にも電動機にもなれる——この性質を使いこなしたのが始動電動機法だと言えます。「同期発電機として並列運転状態を実現する」という問題文の表現は、この事情を正確に述べています。

なぜ加速につれて抵抗を減らすのか

直流分巻(a)と巻線形誘導(c)に共通する「回転速度が上昇するに従って抵抗値を減少させる」——この操作の意味も押さえておきましょう

直流分巻電動機巻線形誘導電動機
加速すると何が変わるか逆起電力 E が大きくなる滑り s が小さくなる
その結果Ia=(V−E)/R が減る最適な二次抵抗が小さくなる
抵抗を減らす理由電流が下がりすぎてトルクが不足するから山の頂上で加速を続けるため
最終状態抵抗をすべて短絡二次側を短絡

どちらも「電流(トルク)を一定の範囲に保ちながら加速する」のが狙いです。抵抗を入れっぱなしでは、途中で加速が止まってしまいます——だから段階的に減らしていくのです。

始動抵抗器が「段数」を持っているのは、この操作を段階的に行うためです。連続的に減らせれば理想的ですが、接点で切り替える以上は段階になる——段数が多いほど滑らかに加速できます

⏱️ 本番での進め方
4機種の始動法を1枚で覚える:直列抵抗/Y-Δ/二次抵抗/始動電動機。
Y-Δは「始動時Y、運転時Δ」。戻る先が運転時の結線。
巻線形は二次回路。一次に抵抗を入れても比例推移は使えない。
同期機は「発電機として並列してから電動機になる」

💡 覚え方
「直流分巻=直列抵抗、かご形=Y-Δ、巻線形=二次抵抗、同期=始動電動機」前の3つは自分の中で完結、同期機だけ別の機械が要る(始動トルクが出ないから)。同期機は界磁を励磁すれば発電機として並列でき、始動電動機を切れば電動機になる抵抗を減らすのは加速中もトルクを保つため

⚠️ よくある間違い
(イ)(ウ)を逆にするのが最頻の誤りです。問題文の「回転速度が上昇すると(イ)結線に戻す」を読めば、(イ)が運転時の結線=Δだと分かります。もう一つは(エ)に「一次」——巻線形の長所は二次回路を外へ引き出せることです。

直流分巻の始動抵抗は、なぜ電機子側だけなのか

直流分巻電動機には、電機子回路と界磁回路の2つがあります。始動抵抗を入れるのは電機子側だけ——界磁側に入れてはいけませんその理由を確かめておきましょう

分巻電動機の2つの式

\( I_a=\dfrac{V-E}{R_a} \)(E=kφN)  \( T=k\phi I_a \)

磁束 φ は、電流を抑える側にも、トルクを出す側にも効いています

抵抗を入れる場所磁束 φ始動電流始動トルク判定
電機子回路(正解)変わらない抑えられる電流に比例して下がるだけ
界磁回路減る抑えられない(むしろ E が下がって増える)大きく下がる(φ も Ia も不利)

界磁抵抗を増やすと磁束が減ります。磁束が減れば逆起電力 E=kφN も小さくなる——すると Ia=(V−E)/Ra はかえって大きくなってしまいます

しかもトルクは T=kφIa ですから、磁束が減った分だけ不利です。電流を抑えたいのに増え、トルクも出ない——まったく逆効果だということになります。

だから始動時には、界磁抵抗をむしろ最小にして磁束を最大にします。磁束が大きければ、同じ電流でも大きなトルクが出る——「界磁は強く、電機子は抵抗で絞る」というのが直流機の始動の原則です。

この対比は、弱め界磁制御の話とちょうど裏返しです。速度を上げたいときは界磁を弱めるのですが、始動時は逆に界磁を強める——目的によって操作の向きが変わることを押さえておいてください。

まとめ

(ア)直列
(イ)
(ウ)Y
(エ)二次
(オ)同期
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・同期電動機の始動方法:【機械】平成25年度A問題5
・三相同期電動機の駆動と始動:【機械】平成22年度A問題5

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成25年度A問題5(同期機46)
【機械】平成22年度A問題5(同期機47)
【機械】平成30年度A問題7(同期機49)
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