今回は令和3年度 機械科目 A問題6を解説します。同期インピーダンス[Ω]から百分率同期インピーダンス[%]への換算問題です。
【機械】平成25年度A問題6(Ω を求める)の逆方向の変換で、考え方はまったく同じ。「基準インピーダンスで割って100倍」するだけです。
問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題6
定格出力3 000 kV・A,定格電圧6 000 Vの星形結線三相同期発電機の同期インピーダンスが6.90 Ωのとき,百分率同期インピーダンス[%]はいくらか,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 19.2 (2) 28.8 (3) 33.2 (4) 57.5 (5) 99.6
出題のポイント:√3 を出さない形で計算する
百分率同期インピーダンスの計算は、定格電流や相電圧を経由すると √3 が2回出てきます。そのどちらかを間違えると答えが1.73倍または3倍ずれる——選択肢はまさにその倍率で並んでいます。
2つの形が同じになるのは、\( I_n=S/(\sqrt{3}V_n) \) と \( E_n=V_n/\sqrt{3} \) を入れると √3 が約分で消えるからです。右の形を使えば、そもそも √3 を書く場面がありません——本問のように √3 の位置を試す問題では、これが最も安全な道です。

代入して計算する
Zs=6.90 Ω、S=3 000 kV・A、Vn=6 000 V
分子6.90×3×106、分母60002=36×106
選択肢の57.5に一致

電流を経由する道筋でも確かめる
公式を忘れたときのために、定義から積み上げる道筋も確認しておきましょう。「定格電流を流したときのインピーダンス降下が、定格相電圧の何%か」——これが定義です。
三相の定格電流
星形結線の1相分
インピーダンス降下
同じ値になる
√3 が2回出てくるのが分かります。定格電流で1回(割る)、相電圧で1回(割る)——この2つがどちらも正しくないと答えが合いません。だからこそ、√3 の出てこない ZS/V2 の形が推奨されるのです。
選択肢の作られ方を読む
| 選択肢 | どんな計算をしたか | 誤りの種類 |
| (1) 19.2 | 1 992÷(6 000×√3)×100 | 相電圧を出すのに √3 を掛けた(正解の1/3) |
| (2) 28.8 | — | 撹乱肢(正解の半分) |
| (3) 33.2 | 1 992÷6 000×100 | 線間電圧のまま割った(正解の1/√3) |
| (4) 57.5 ← 正解 | 1 992÷3 464×100 | なし |
| (5) 99.6 | 定格電流を S/Vn で計算(500 A) | √3 を忘れた(正解の√3倍) |
19.2・33.2・57.5・99.6 は、それぞれ √3 ずつの比で並んでいます(19.2×√3≒33.2、33.2×√3≒57.5、57.5×√3≒99.6)。選択肢がこの並びになっていたら、√3 の個数と向きを問う問題だという合図です。
⚠️ よくある間違い
√3 を「掛けるか割るか」で迷ったら、大小関係で確認してください。相電圧は線間電圧より小さい(6 000 V → 3 464 V)、定格電流は S/Vn より小さい(500 A → 289 A)。どちらも「√3 で割ると小さくなる」——この向きさえ固定できれば、4つの誤答肢はすべて排除できます。
⏱️ 本番での進め方
① %Zs=ZsS/Vn2×100 を使えば √3 は出てこない。
② 6.90×3×106÷36×106=0.575 → 57.5 %。
③ 選択肢が √3 ずつ並んでいたら、√3 の個数を問われている。
④ 検算:短絡比=100/57.5≒1.74。0.5〜2 の範囲なら妥当。
💡 覚え方
「%Z は Z×S÷V2」——Z と S が上、V が2乗で下。この形は電力科目の短絡容量計算でもそのまま使うので、科目をまたいで効く1本です。
関連問題:同じ式を短絡比の側から問う年もある
まったく同じ式を、短絡比を答えさせる形で問う年もあります(同期機11:同期インピーダンスから短絡比を求める/同期機8:同期インピーダンスから短絡比を求める)。%Z を出したあとに逆数を取るかどうかだけの違いです。
本問は逆数を取らずに %Z のまま答えるので、むしろ手数が1つ少ないことになります。「何を聞かれているか」を最初に確認する——それだけで、余計な一手を加える事故が防げます。

そもそも、なぜオーム値でなく百分率で表すのか
同期インピーダンスは6.90 Ω という立派なオーム値があるのに、わざわざ %に直すのはなぜでしょうか。単位法(百分率法)には、オーム値にはない大きな利点があります。
| 利点 | 内容 |
| 機器どうしを比べられる | 電圧階級も容量も違う機械を、同じ物差しで比較できる |
| 変圧器をまたいでも値が変わらない | 一次側で見ても二次側で見ても %Z は同じ。オーム値は巻数比の2乗倍に変わる |
| 桁の感覚が身につく | 変圧器なら数%、同期機なら数十〜百数十%と、機器ごとの相場が決まっている |
| 短絡電流がすぐ出る | \( I_s=I_n\times100/\%Z \)。割り算1回で済む |
とくに2番目が決定的です。系統には変圧器がいくつも入っており、オーム値のままでは電圧階級ごとに換算し続けなければなりません——単位法ならその換算が不要になります。
本問の57.5 %という値も、6.6 kV の機械でも66 kV の機械でも同じように比較できる数字です。「6.90 Ω」だけを見せられても大きいのか小さいのか分かりませんが、「57.5 %」なら同期機としてはやや小さめ(=短絡比が大きめ)だと即座に判断できます。
電験では機械科目でも電力科目でも単位法が繰り返し登場します。「%Z=Z×S÷V2×100」という1本の式が、科目をまたいで使える——覚える価値の高い道具だと言えます。
まとめ
| 基準インピーダンス | \(Z_{\mathrm{base}}=V_n^2/S=12\,\Omega\) |
| 百分率化 | \(z_s=Z_s/Z_{\mathrm{base}}\times100=57.5\%\) |
| 実用公式 | \(z_s=SZ/(10V^2)\)(S:kV・A、V:kV) |
| 答え | (4) |
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