今回は平成27年度 機械科目 A問題5を解説します。無負荷飽和曲線と短絡曲線のグラフから百分率同期インピーダンス \(z_s\)[%]の式を選ぶ問題です。
計算はほぼ不要で、「短絡比の定義」と「\(z_s=100/K\)」の2つを知っているかだけが問われます。グラフの読み方ごと覚えてしまいましょう。
問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題5
図は,同期発電機の無負荷飽和曲線(A)と短絡曲線(B)を示している。図中で \(V_n\)[V]は端子電圧(星形相電圧)の定格値,\(I_n\)[A]は定格電流,\(I_s\)[A]は無負荷で定格電圧を発生するときの界磁電流と等しい界磁電流における短絡電流である。この発電機の百分率同期インピーダンス \(z_s\)[%]を示す式として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) \(\dfrac{I_s}{I_n}\times100\) (2) \(\dfrac{V_n}{I_n}\times100\) (3) \(\dfrac{I_n}{I_{f2}}\times100\) (4) \(\dfrac{V_n}{I_{f1}}\times100\) (5) \(\dfrac{I_{f2}}{I_{f1}}\times100\)
出題のポイント:図の4つの記号の意味を確定する
本問は計算をせず、式の形だけを選ぶ問題です。図に出てくる記号がそれぞれ何を指すのかさえ確定できれば、答えは自動的に決まります。
| 記号 | どちらの曲線から読むか | 意味 |
| If1 | 無負荷飽和曲線(A) | 無負荷で定格電圧 Vn を発生させる界磁電流 |
| If2 | 三相短絡曲線(B) | 定格電流 In に等しい短絡電流を流す界磁電流 |
| 短絡比 Ks | 2つの比 | \( K_s=I_{f1}/I_{f2} \)(大きいほうが分子) |
そして問題文が定義しているのが Is——「無負荷で定格電圧を発生するときの界磁電流と等しい界磁電流における短絡電流」、つまり If1 を流したときに短絡曲線(B)から読める電流です。

百分率同期インピーダンスを定義から書く
If1 で Vn を出す機械を短絡すると Is が流れる
上の定義式に入れる
Vn が消える
ここまでで zs=(In/Is)×100 と分かりました。ところが選択肢にこの形はありません——界磁電流の比に置き換える必要があります。
界磁電流の比に置き換える
短絡曲線(B)は原点を通る直線です。だから短絡電流と界磁電流は比例します——If1 で Is、If2 で In が流れるのですから、
短絡曲線が直線だから
選択肢(5)の形

選択肢の作られ方を読む
| 選択肢 | その式が表すもの | なぜ誤りか |
| (1) (Is/In)×100 | 短絡比を100倍したもの | %同期インピーダンスの逆数。分子・分母が逆 |
| (2) (Vn/In)×100 | 基準インピーダンス[Ω]を100倍したもの | 単位がΩのまま。%になっていない |
| (3) (In/If2)×100 | 電機子電流÷界磁電流 | 種類の違う電流どうしの比で、意味を持たない |
| (4) (Vn/If1)×100 | 電圧÷界磁電流 | 同じく意味を持たない量 |
| (5) (If2/If1)×100 ← 正解 | %同期インピーダンス | — |
☝️ ひっかけの作り方:(3)(4)は「同じ種類でない量どうしの比」です。電機子電流と界磁電流、電圧と界磁電流——これらを割っても無次元にならず、%で表せません。百分率で答える問題では、必ず同じ単位どうしの比になっているかを確認してください。この観点だけで(2)(3)(4)の3肢が消えます。
残る(1)と(5)は互いに逆数——短絡比か、%同期インピーダンスかの2択です。問われているのは「百分率同期インピーダンス」ですから、短絡比の逆数、つまり(5)が正解になります。
⏱️ 本番での進め方
① まず単位で3肢を落とす。%なら同じ単位どうしの比のはず。
② 残る2肢は逆数のペア。何を聞かれているかを問題文で確認。
③ %Z は「短絡比の逆数×100」。Ks=If1/If2 だから %Z は If2/If1。
④ 図の横軸で小さいほうが If2。短絡は弱い界磁で定格電流に達する。
💡 覚え方
「%Zs×Ks=100」——この1本の関係で、どちらを聞かれても答えられます。そして「界磁電流は、定格電圧側(If1)のほうが大きい」——図の横軸を見れば一目で確認できるので、迷ったら図に戻りましょう。
2本の曲線の形の違いをもう一度
| 無負荷飽和曲線(A) | 三相短絡曲線(B) | |
| 縦軸 | 端子電圧(星形相電圧) | 短絡電流 |
| 形 | 途中から寝てくる(飽和する) | 直線 |
| 理由 | 鉄心の磁束密度が高く磁気飽和が起きる | 短絡電流の強い減磁作用で磁束が抑えられる |
この形の違いが、本問を解く鍵になっていました。短絡曲線が直線だからこそ、電流の比を界磁電流の比に置き換えられたのです。もし短絡曲線も飽和していたら、この置き換えはできません。
逆に、無負荷飽和曲線が飽和するために、%同期インピーダンスは「どの界磁電流で測るか」で値が変わります。本問のように定格電圧点で定義した値を「飽和値」、飽和前の直線部分で定義した値を「不飽和値」と呼び分けることもあります。電験3種では飽和値(本問の定義)を使うと覚えておけば十分です。

この2本の曲線は、実際にどう測るのか
無負荷飽和曲線と短絡曲線は、同期機の特性試験で実測して描くものです。測り方を知っておくと、曲線の形の意味もつかみやすくなります。
| 無負荷試験 | 三相短絡試験 | |
| 端子の状態 | 開放(無負荷) | 3端子を短絡 |
| 回転速度 | 定格速度で回す | 定格速度で回す |
| 変化させるもの | 界磁電流 | 界磁電流 |
| 測るもの | 端子電圧 | 電機子電流 |
| 必要な原動機出力 | 小さい(鉄損と機械損だけ) | 小さい(銅損と機械損だけ) |
どちらの試験も、原動機には小さな出力しか要りません。無負荷試験では電流が流れず、短絡試験では電圧がほぼ0——どちらも有効電力をほとんど出さないからです。だから定格容量の何割もの動力を用意しなくても、大形機の特性が測れます。
短絡試験は「端子を短絡する」と聞くと危険に思えますが、界磁電流を0から少しずつ上げていくので、電流は制御下にあります。短絡曲線が直線なので、定格電流に達したところで界磁電流を読み取れば十分——それ以上は流しません。
この2つの試験から、%同期インピーダンス・短絡比・電圧変動率のすべてが求まります。実際に負荷をかけなくても、機械の性格が分かってしまう——これが特性試験の値打ちです。本問の図は、その試験結果をグラフにしたものだと理解すると、記号の意味も定着します。
まとめ
| 短絡比 | \(K=I_{f1}/I_{f2}=I_s/I_n\) |
| 百分率同期インピーダンス | \(z_s=100/K=I_{f2}/I_{f1}\times100\) |
| 関係 | \(z_s\) と短絡比は逆数関係 |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
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