情報37【電験3種 機械】JK-FF3段の非同期式カウンタ回路とタイムチャート!平成26年度 B問題18 完全解説

電験3種 機械科目 情報 平成26年度 B問題18 JK-FFを3段つなぐ!何進カウンタになる?

今回は平成26年度 機械科目 B問題18を解説します。JK-フリップフロップ(FF1,FF2,FF3)と論理回路Dを用いた非同期式カウンタ回路について、論理回路Dの種類とカウンタの最大数・リセット後の値を求める(a)と、タイムチャート上のグリッチと伝搬遅れを読み解く(b)の問題です。

(a)はJKフリップフロップがJ=K=1でトグル動作すること、論理回路Dが特定の状態でリセット信号を出すNANDゲートであることから、カウンタの最大数と初期化後の値を求めます。(b)はFF2・FF3の出力とNAND回路の出力の変化を順にたどり、伝搬遅れによってタイムチャート上に時間差が生じる仕組みを理解します。

目次

平成26年度 機械科目 B問題18:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 情報 平成26年度 B問題18 問題文
平成26年度 機械科目 B問題18 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題18

電験3種 機械科目 【情報】 平成26年度 B問題18

 図はJK-フリップフロップ(FF1,FF2,FF3)と論理回路Dを用いた非同期式カウンタ回路とそのタイムチャートである。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) カウンタ回路における論理回路Dは,(ア)回路で,その役割は出力(CBA)が2進数でカウンタの最大数(イ)になった後,次のクロック入力の立ち下がりによって出力(CBA)を2進数で(ウ)にすることである。上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(b) タイムチャートにおいて,クロック入力のパルス6の立ち下がりでFF1のQ出力は1から0へ変化する。FF1の立ち下がりはFF2を動作させ,0から1に変化させる。図のa時点でFF2及びFF3のQ出力はともに(ア)である。これら二つの(ア)は論理回路Dに入力され,その出力は(イ)となる。この(イ)は三つのJK-フリップフロップのCLR入力端子に入って,b時点において,クリアされている。a時点からb時点までのFF2のQに現われるパルスは,パルス幅が非常に狭いため,カウンタの出力(ア)としてはカウントされない。カウンタは再びカウントを開始する。クロック入力のパルス6が1から0に変化する時刻と,FF2及びFF3が最終的にb時点でクリアされる時刻とには時間遅れが生じている。これは論理回路Dとフリップフロップの入出力における信号の(ウ)遅れに起因している。上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)NOR101000
(2)NOR110111
(3)NAND110111
(4)NAND110000
(5)NAND101000
(ア)(イ)(ウ)
(1)10伝搬
(2)01伝搬
(3)11伝搬
(4)01同期
(5)10同期
図 JK-フリップフロップ3段の非同期式カウンタ回路とタイムチャート(問題図)
図 JK-フリップフロップ3段の非同期式カウンタ回路とタイムチャート(問題図)

出題のポイント:110 を検出して000 へ戻す

3段のJK-FF は本来8通り(000〜111)を数えます——そこに「特定の値でリセット」を仕込むと、任意の進数のカウンタになります。

空欄答え理由
(ア)NAND★両入力が1 のとき出力0
(イ)101安定して数えられる最大値
(ウ)000クリア後の値

論理回路D の入力はFF2 とFF3 の出力(B とC)——両方が1 になったときに0 を出す必要があります。「両方1 で0」はNAND です。

NOR なら「両方0 で1」——向きが逆になります。CLR がアクティブLow(0 で効く)なので、0 を出せるNAND でなければなりません

なぜ最大数が101 なのか

B とC が両方1 になるのは (CBA)=110 のとき——そこでリセットがかかりますところが110 は一瞬しか存在しません

(CBA)状態D の出力
000〜101★安定して数える1(何もしない)
110★一瞬だけ現れる0(クリア)
000戻る1

だから実際に数えられるのは000 から101 までの6通り——6進カウンタになっています。「最大数」は安定して現れる最後の値101 です。

110 は数えたことにならない——問題文にも「パルス幅が非常に狭いためカウントされない」と書かれています。

図 JK-フリップフロップ3段の非同期式カウンタ回路とタイムチャート(問題図)
図 JK-フリップフロップ3段の非同期式カウンタ回路とタイムチャート(問題図)
3段JKフリップフロップによる6進カウンタの機能関係とNANDリセット条件
安定状態は000から101までで、過渡的な110をBとCで検出して000へクリアします。
答え(a)の正解は (5)——(ア)NAND (イ)101 (ウ)000 です。

(b) a点からb点までの遅れ

タイムチャートに現れる「細いひげ」——これがグリッチです。

空欄答え意味
(ア)1a点でFF2、FF3 の出力がともに1
(イ)0★NAND の出力(クリア信号)
(ウ)伝搬信号がゲートを通る時間

ゲートは入力が変わってもすぐには出力が変わりません——ほんのわずか(ナノ秒単位)遅れるのです。これが伝搬遅延(伝搬遅れ)です。

a点でB とC が1 になる→NAND が0 を出す→CLR が効いて000 へ戻る——この3段階それぞれに遅れがあるので、クロックの立下りからb点までに時間差が生じます。

その間だけ110 という状態が存在してしまう——これがグリッチの正体です。回路の設計ミスではなく、物理的に避けられない現象になります。

安定な計数状態と設問a・bの選択肢を照合した解答表
論理回路はNAND、最大計数値は101、リセット値は000で(a)-(5)。a点のBとCは1、Dは0、遅れは伝搬遅れで(b)-(1)です。
答え(a)の正解は (5)、(b)の正解は (1)です。

⚠️ よくある間違い
論理回路D をNOR と答えてしまうのが典型的な誤り——選択肢(1)(2)がNOR です。
「B=C=1 のときに0 を出したい」——NAND なら1·1 の否定で0NOR だと1+1 の否定でやはり0 になりますが、他の状態でも0 になってしまうのが問題です。
NOR は「どちらかが1 なら0」——B だけ1 のときにもクリアがかかってしまい、2 すら数えられません
もう1つ、(イ)の最大数と(ウ)のリセット後を混同しない——110 でクリアがかかるが、最大数は101 です。

任意のn進カウンタを作る

この考え方を使えば、何進のカウンタでも作れます——手順は決まっています

手順やること本問(6進)の場合
必要なFF の段数を決める23=8≧6 なので3段
★止めたい値(n)を2進数にする6=110
その値で1 になるビットをNAND へC とB(Aは0 なので使わない)
NAND 出力をCLR へつなぐ0 で全段クリア

10進カウンタなら10=1010 を検出——4段のFF を使い、D とB をNAND へ入れますこれで0〜9 を数える回路になります。

ディジタル時計の秒表示は、この10進カウンタを2つ並べたもの——ただし十の位は6進(0〜5)です。本問の6進カウンタが、まさにそこで使われているのです。

⏱️ 本番での進め方
①(ア) CLR は0 で効く→両入力1 で0 を出すNAND。
②(イ) 安定に数えるのは000〜101 の6通り。最大数は101。
③(ウ) 110 は一瞬で消え、000 へ戻る。
④(b) 遅れの正体は★伝搬遅延。同期/非同期ではない。

💡 覚え方
「止めたい数を2進数にして、1 のビットをNAND へ」——これでn進カウンタが作れますそして「ゲートには必ず伝搬遅延がある」——だから一瞬だけ余分な状態が現れるのです。

JK-FF のタイムチャートは平成21年度 B問題18令和3年度 B問題18でも出題されています(平成21年度令和3年度)。

6番目のカウントでA、B、NAND出力D、CLRが変化する事象順序
a点ではB=C=1となり、NAND出力Dが0になります。b点では伝搬遅れを経て全段が000へクリアされています。

非同期式カウンタの弱点

本問の回路は非同期式(リップルカウンタ)——作りは簡単ですが、弱点があります

非同期式(本問)同期式
クロックの与え方前段の出力を次段へ★全段に共通のクロック
回路簡単帰還論理が必要
遅れ★段ごとに積み重なる1段分だけ
グリッチ★出やすい出にくい

非同期式では、上位の桁ほど変化が遅れます——3段なら3段分の伝搬遅延が積み重なるその間、ありえない値が一瞬だけ現れます

たとえば011 から100 へ進むとき——下位から順に変わるので、011 →010 →000 →100 という経路をたどります途中の010 や000 が一瞬見えてしまうのです。

この出力をそのまま表示や制御に使うと誤動作します——だから高速な回路では同期式を使うのが原則。本問の(b)が伝搬遅れを問うているのは、この弱点を理解させるためです。

それでも非同期式が使われる場面

単純な分周器なら非同期式で十分——最終段の出力だけを使うなら、途中のグリッチは問題になりません

部品が少なく消費電力も小さい——用途に応じて使い分けるのが実際です。

まとめ

(a)(ア) 論理回路DNAND
(a)(イ) 最大数101
(a)(ウ) リセット後000
(b)(ア)1
(b)(イ)0
(b)(ウ) 遅れの種類伝搬
答え(a)-(5),(b)-(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・n個の配列を降順に並べ替えるフローチャートと交換回数:【機械】令和2年度B問題18
・チャタリング防止回路とJK-FFカウンタのJ入力値トレース:【機械】平成18年度B問題18

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成18年度B問題18(情報38)
【機械】平成21年度B問題18(情報20)
【機械】平成25年度A問題14(情報18)
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