今回は平成18年度 機械科目 B問題18を解説します。情報37(平成26年度B問題18)と同じ「非同期式カウンタ回路」という小見出しを共有しますが、回路構成・設問内容は別問題です。有接点スイッチのチャタリングを防止できる回路を2つ選ぶ(a)と、3個のJK-FFを用いたカウンタで(J3,J2,J1)の値を追跡する(b)の問題です。
(a)はRSフリップフロップ回路とシュミット・トリガ回路がヒステリシス特性によりチャタリングを吸収する仕組みを理解します。(b)はJKフリップフロップの真理値表(J=1,K=1で反転)に基づき、入力パルスを1つずつ加えて(Q3,Q2,Q1)の状態を順に追跡します。
出題のポイント

平成18年度 機械科目 B問題18:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 【情報】 平成18年度 B問題18
フリップフロップを含む回路を考える。その入力は,手動式パルス発生回路からの信号パルスである。次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 手動式パルス発生回路において,有接点スイッチSWを切り換えてパルスを発生させると,出力信号にチャタリングが発生する場合がある。そのため,手動式パルス発生回路にはチャタリング防止回路が必要になる。図A,図B,図C及び図Dが示す回路のうち,スイッチの切り換えによるチャタリングが出力に出ないパルス発生回路は二つある。その二つは下記の選択肢のうちどれか。ただし,図Cの図記号は,シュミットトリガNOTゲートである。なお,各論理素子には+5〔V〕の電源電圧が加えられているものとする。
(b) フリップフロップを含む回路として,図に示すような3個のJK-FF(JK-フリップフロップ)を考える。入力信号パルスは,JK-FFの各C端子に同時に加わり,JK-FFの出力(Q3,Q2,Q1)に信号が現れる。JK-FFは初期状態において,出力(Q3,Q2,Q1)の値は,(0,0,0)2であるとする。図の回路に一つめの入力信号パルスが加わると,そのとき(J3,J2,J1)の値は,(ア)2になる。また,二つめの入力信号パルスが加わると,そのとき(J3,J2,J1)の値は,(イ)2になる。以下,三つめ,四つめの入力信号パルスが加わり,五つめの入力信号パルスが加わった後の(J3,J2,J1)の値は,(ウ)2になる。上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)図AとB (2)図AとC (3)図AとD (4)図BとC (5)図CとD
(ア) (イ) (ウ) (1) 0,0,1 0,1,1 0,0,1 (2) 0,0,1 0,1,1 0,1,0 (3) 0,1,1 0,0,1 1,0,1 (4) 1,0,0 1,1,0 1,0,1 (5) 0,1,1 0,0,1 0,0,1

ポイント解説:チャタリング防止パルス発生回路の判定とJK-FFカウンタのJ入力値トレース
本問は情報37と同じ「非同期式カウンタ回路」という小見出しを共有しますが、回路構成・設問内容は別問題です。(a)はチャタリング防止に有効な回路を選ぶ知識問題、(b)はJKフリップフロップの真理値表に基づく状態遷移のトレース問題です。
チャタリング防止にはRSフリップフロップ(ヒステリシス的な保持動作)やシュミット・トリガ回路(電圧しきい値のヒステリシス)が有効です。(b)ではJ=1,K=1で反転・J=0,K=0で不変というJKFFの基本動作を1パルスずつ追跡します。
問題の解説
STEP1 (a) チャタリング防止に有効な回路を判定する
図B(RSフリップフロップ回路):SWオン時にS=1となり出力Q=1に確定。接点がバウンドしてもS=1が保たれる限り出力は変化せず,チャタリングが出力に現れません。
図C(シュミット・トリガ回路):CR積分回路とヒステリシス特性を持つシュミットトリガNOTゲートの組合せにより,SWのチャタリングが出力の変化に反映されません。
よって正解は図Bと図C=選択肢(4)です。
STEP2 (b) JKフリップフロップの動作規則を確認する
J=1,K=0でセット(Q=1),J=0,K=1でリセット(Q=0),J=0,K=0で不変,J=1,K=1で反転(トグル)。初期状態(Q3,Q2,Q1)=(0,0,0)からパルスを加えていきます。
STEP3 (b) 1つめ・2つめのパルスをトレースする
1つめのパルス:Q1は反転して1(J1=K1=1で反転動作だったため),Q2は不変で0,Q3もリセットされ0のまま。よって(J3,J2,J1)=(0,1,1)(ア)。
2つめのパルス:Q1は反転して0,Q2は不変で1,Q3はリセットされ0のまま。よって(J3,J2,J1)=(0,0,1)(イ)。
STEP4 (b) 3〜5つめのパルスをトレースしまとめる
以下同様に3つめ,4つめ,5つめのパルスを加えて状態を追跡すると,5つめのパルスが加わった後の(J3,J2,J1)は(0,0,1)(ウ)に落ち着きます。
以上より(ア)(0,1,1)(イ)(0,0,1)(ウ)(0,0,1)の組合せである(5)が(b)の正解です。
答え:(a)-(4),(b)-(5)
💡 覚え方
チャタリング防止の代表回路はRSフリップフロップとシュミット・トリガ回路(ヒステリシス特性がポイント)。JKFFのトレースはJ=1,K=1→反転,J=0,K=0→不変という基本ルールを1パルスずつ丁寧に適用する。
⚠️ よくある間違い
図A・図Dのような単純なゲート組合せ回路がチャタリング防止に有効だと誤認しない(ヒステリシスや保持特性を持つ構成でなければ防止できない)。JKFFのJ,K値を出力Qの値と取り違えない。
まとめ
| (a) 答え | 図BとC((4)) |
| (b) 初期状態 | (Q3,Q2,Q1)=(0,0,0) |
| (b)(ア) 1つめ | (0,1,1) |
| (b)(イ) 2つめ | (0,0,1) |
| (b)(ウ) 5つめ後 | (0,0,1) |
| 答え | (a)-(4),(b)-(5) |
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