今回は平成21年度 機械科目 B問題18を解説します。JK-FF(JKフリップフロップ)の状態遷移表(現状態Qと次状態Q’の関係)の空所を埋める(a)と、2個のJK-FFを用いたカウンタ様回路の出力Q1,Q2のタイムチャートを求める(b)の問題です。
(a)はJ=0,K=0で保持・J=0,K=1で0・J=1,K=0で1・J=1,K=1で反転というJK-FFの基本真理値表を各行に当てはめます。(b)はK1=K2=1(固定)の条件のもと、J1=Q̄2,J2=Q1という帰還構成を使ってクロックの立下りごとに出力を追跡します。
平成21年度 機械科目 B問題18:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題18
電験3種 機械科目 【情報】 平成21年度 B問題18
JK-FF(JKフリップフロップ)の動作とそれを用いた回路について,次の(a)及び(b)に答えよ。
(a) 図1のJK-FFの状態遷移について考える。JK-FFのJ,Kの入力時における出力をQ(現状態),J,Kの入力とクロックパルスの立下がりによって変化するQの変化後の状態(次状態)の出力をQ’として,その状態遷移を表1のようにまとめる。表1中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる真理値として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(b) 2個のJK-FFを用いた図2の回路を考える。この回路において,+5〔V〕を”1″,0〔V〕を”0″と考えたとき,クロックパルスCに対する回路の出力Q1及びQ2のタイムチャートとして,正しいのは次のうちどれか。
JK-FF(JKフリップフロップ)の動作とそれを用いた回路について,次の(a)及び(b)に答えよ。(a) 図1のJK-FFの状態遷移について,表1中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる真理値として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
J K Q Q’ 0 0 0 0 0 0 1 (ア) 0 1 0 0 0 1 1 (イ) 1 0 0 1 1 0 1 (ウ) 1 1 0 (エ) 1 1 1 (オ)
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 0 0 0 1 1 (2) 0 1 0 0 0 (3) 1 1 0 1 1 (4) 1 0 1 1 0 (5) 1 0 1 0 1 出力Q1,Q2の波形選択肢(1)〜(5)は矩形波タイムチャート(画像参照)。K1=K2=+5V(”1″固定),J1=Q̄2,J2=Q1という帰還構成のもとで、クロックの立下りごとに値を追跡する。

出題のポイント:JK-FF の4通りを埋める
(a)は状態遷移表の空欄——JK-FF の基本動作4通りを当てはめるだけです。
| J | K | 動作 | Q=0 なら Q' | Q=1 なら Q' |
| 0 | 0 | 保持 | 0 | ★(ア)=1 |
| 0 | 1 | リセット | 0 | ★(イ)=0 |
| 1 | 0 | セット | 1 | ★(ウ)=1 |
| 1 | 1 | 反転 | ★(エ)=1 | ★(オ)=0 |
保持なら Q'=Q、リセットなら0、セットなら1、反転なら Q の否定——4つの動作を覚えていれば機械的に埋まります。
(ア)は保持なので、Q=1 のまま1。(イ)はリセットなので0。(ウ)はセットなので1。(エ)(オ)は反転なので、0→1 と 1→0 です。


(b) 帰還のあるカウンタ回路
図2は K1=K2=1 に固定——J の値しだいで「反転」か「リセット」になる構成です。
| J | K(=1 固定) | 動作 |
| 0 | 1 | リセット(0 になる) |
| 1 | 1 | ★反転 |
J1=Q̄2、J2=Q1 という帰還——互いの出力が相手の入力になっています。これが状態を巡回させる仕組みです。
クロックの立下りごとに、両方のFF が同時に判定します。そのとき見るのは、変化前の Q1、Q2——同時に切り替わるので、順序を気にする必要はありません。
| 現在の (Q2, Q1) | J1=Q̄2 | J2=Q1 | 次の (Q2, Q1) |
| (0, 0) | 1(反転) | 0(リセット) | (0, 1) |
| (0, 1) | 1(反転) | 1(反転) | (1, 0) |
| (1, 0) | 0(リセット) | 0(リセット) | (0, 0) |
00 →01 →10 →00 と3つの状態を巡回します——3進カウンタ(1/3 分周器)になっているのです。
2ビットあれば4状態使えるはずですが、帰還のかけ方で3状態に限定している——11 の状態には入りません。これが「帰還構成」の効果です。

⚠️ よくある間違い
タイムチャートを追うときは、必ず表を作る——頭の中で2つのFF を同時に追うのは難しいからです。
とくに「変化前の値で判定する」という点が重要——Q1 が変わってからQ2 を判定するのではありません。両方が同時に、変化前の値を見て動くのです。
この順序を誤ると、まったく違う波形になります。
⏱️ 本番での進め方
①(a) JK-FF の4動作:00 保持、01 リセット、10 セット、11 反転。
② 保持なら Q のまま、反転なら Q の否定。
③(b) K=1 固定なので、J=1 で反転、J=0 でリセット。
④★変化前の値で両方同時に判定。00→01→10→00 の3進カウンタ。
💡 覚え方
「00 保持、01 リセット、10 セット、11 反転」——J とK の順に読めば、RS と同じ並び。そして「同時に、変化前の値で判定」——順序回路を追うときの鉄則です。

状態遷移表という道具
(a)で出てきた状態遷移表——順序回路を扱うときの基本の道具です。
「今の状態」と「入力」から「次の状態」を書き並べた表——これさえ作れば、どんな複雑な回路でも動きが追えるようになります。
| 表の種類 | 書いてあること | 使いどころ |
| 真理値表 | 入力→出力 | 組合せ回路 |
| 状態遷移表 | ★現状態+入力→次状態 | 順序回路 |
| タイムチャート | 時間軸に沿った変化 | 波形の確認 |
状態遷移表を作ってからタイムチャートを描く——これが順序回路を解く正しい順序です。いきなり波形を追おうとすると混乱します。
状態遷移図という描き方
表の代わりに図で表すこともあります——状態を丸で書き、遷移を矢印で結ぶものです。
本問の(b)なら、00 →01 →10 →00 と3つの丸が輪になる——一目で「3進カウンタだ」と分かります。巡回する構造は、図のほうが直感的だと言えます。
使われない状態(本問の11)があるかどうかも図なら一目瞭然——孤立した丸として残ります。実際の設計では、そこに入り込んだときの脱出路も用意します——ノイズで飛び込むと戻れなくなるからです。
分周比を自由に決める
T-FF を並べると2、4、8…と2の累乗の分周しかできません。本問のように帰還をかけると、3進など任意の値が作れます。
| 分周比 | 作り方 | 必要なFF |
| 2、4、8 | T-FF を直列 | 1、2、3個 |
| 3、5、6… | ★帰還で途中の状態から戻す | log2n 個以上 |
| 10(十進) | 4個+帰還で1010 を検出 | 4個 |
十進カウンタは、2進で1010(=10)になった瞬間に全部リセットする仕組み——これで0〜9 を数えることになります。デジタル時計の秒表示などに使われる形です。
非同期式と同期式のちがい
本問の(b)は、2つのFF が同じクロックで動く同期式——一方、令和3年度の問題は非同期式でした。両者の違いを押さえておきましょう。
| 方式 | クロックの与え方 | 長所 | 短所 |
| 非同期式(リプル) | 前段の出力を次段のクロックに | 回路が簡単 | ★段ごとに遅れが積み重なる |
| 同期式 | ★全段に同じクロック | 全ビットが同時に変わる | 帰還回路が要る |
非同期式は、上位の桁ほど変化が遅れます——一瞬だけ、ありえない値が現れることになります。これがグリッチ——出力をそのまま使うと誤動作の元です。
同期式なら全ビットが同時に確定するので、その心配がありません。その代わり、次の状態を作る論理回路が必要——本問の J1=Q̄2、J2=Q1 という帰還がそれです。
実際のIC はほとんど同期式——高速動作では非同期の遅れが致命的だからです。本問の構成が実務の標準だと言えます。
まとめ
| (ア)(イ)(ウ)(エ)(オ) | 1,0,1,1,0 |
| (a)の答え | (4) |
| 帰還構成 | J1=Q̄2,J2=Q1(K1=K2=1) |
| 答え | (a)-(4),(b)-(5) |
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