今回は平成25年度 機械科目 A問題13を解説します。外乱Dが加わるフィードバック制御のブロック線図から、出力V2を入力V1と外乱Dを使って表す式を求める問題です。
加算点の入出力関係を式に書き出し、連立方程式を解いて出力V2について整理するのが基本方針です。V1にかかる係数とDにかかる係数、それぞれの分母が(1+G1G2)で共通になる点に注目しましょう。
平成25年度 機械科目 A問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題13
電験3種 機械科目 【自動制御】 平成25年度 A問題13
図は,フィードバック制御におけるブロック線図を示している。この線図において,出力V2を,入力V1及び外乱Dを使って表現した場合,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)V2=1/(1+G1G2)・V1+G2/(1+G1G2)・D
(2)V2=G2/(1+G1G2)・V1+1/(1+G1G2)・D
(3)V2=G2/(1+G1G2)・V1-1/(1+G1G2)・D
(4)V2=G1/(1+G1G2)・V1-1/(1+G1G2)・D
(5)V2=G1/(1+G1G2)・V1+1/(1+G1G2)・D

出題のポイント:加算点ごとに式を立てる
ブロック線図の問題は、公式に当てはめようとすると迷います。加算点ごとに素直に式を書き、連立方程式として解く——これが最も確実な方法です。
G1への入力信号をE とおくのがコツ。名前のない信号に文字を与えると、式が書けるようになります。
★フィードバックは引き算
★外乱はG1の後で加わる
この2式を連立して解くだけです。①を②に代入して、V2 について整理します。


連立方程式を解く
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分子の違いが答えを決める
分母が共通なのは、どの選択肢も同じです。見分けるポイントは分子と符号——そこに注目すれば素早く絞れます。
| 確認する点 | 正しい形 | 理由 |
| V1 の分子 | G1 | V1 から出力までG1を通る |
| D の分子 | ★1 | D はG1の後で入るので何も通らない |
| D の符号 | ★+ | 加算点が+だから |
「入力から出力までに通るブロックが分子になる」——これが一般則です。D は G1 の後ろから入るので、G1 を通りません——だから分子は1。
もし D が G1 の前に入っていたら、分子は G1 になります——外乱がどこに入るかで答えが変わるのです。ブロック線図を読むときは、外乱の位置を必ず確認してください。
⚠️ よくある間違い
(4)は D の符号がマイナス——図の加算点が+なら+のままです。
(1)(2)(3)は V1 の分子が違う——1 や G2 になっており、V1 がG1を通ることを見落とした形です。
分子だけ見れば一瞬で絞れる——全部の式を展開してから比べる必要はありません。
外乱に強い制御系とは
この式から、フィードバック制御の効果が読み取れます。外乱D の影響が 1/(1+G1G2) に減っているのです。
| フィードバックなし | フィードバックあり | |
| D の出力への影響 | D がそのまま出る | ★D/(1+G1G2) |
| G1G2=9 なら | 100 % | 10 %に抑制 |
| G1G2=99 なら | 100 % | 1 %に抑制 |
ループゲイン G1G2 が大きいほど、外乱の影響が小さくなります——これがフィードバック制御の最大の利点です。
ただしゲインを上げすぎると不安定になる——位相が遅れて正帰還になってしまうからです。「外乱抑制」と「安定性」のせめぎ合いが、制御系設計の本質になります。
目標値追従の式 G1/(1+G1G2) にも注目してください。G1 が非常に大きければ、これは 1/G2 に近づきます——制御対象の特性によらず、フィードバック要素だけで出力が決まるのです。これも高ゲインフィードバックの重要な性質になります。
⏱️ 本番での進め方
① 名前のない信号にE と名前を付ける。
② 加算点ごとに式を書く。E=V1−G2V2、V2=G1E+D。
③ 代入して V2 について解く。分母は 1+G1G2。
④ 分子は「通るブロック」。D はG1の後なので分子は1。
💡 覚え方
「分子は通り道、分母は 1+一巡伝達関数」——ブロック線図の基本則。外乱がどこから入るかで分子が変わることを押さえておけば、迷いません。

ブロック線図の等価変換
本問は連立方程式で解きましたが、ブロック線図そのものを変形する方法もあります。基本となる3つの変換を押さえておきましょう。
| 構成 | 合成後 | 覚え方 |
| 直列 | \( G_1G_2 \) | 掛け算 |
| 並列 | \( G_1\pm G_2 \) | 足し算 |
| 負帰還 | \( \dfrac{G}{1+GH} \) | ★分母に 1+一巡 |
負帰還の公式 G/(1+GH) が最重要です。分子は前向き経路、分母は 1+一巡伝達関数——本問の答えもこの形になっています。
外乱がある場合は、外乱だけを入力と見て同じ公式を使うのがコツ。D から出力までの前向き経路は「何もない=1」——だから D の係数は 1/(1+G1G2) になります。
重ね合わせの理が使えるのは、系が線形だからです。V1 だけがあるときの出力と、D だけがあるときの出力を足せばよい——連立方程式を解かずに答えが書けるようになります。
慣れてきたら、この方法のほうが速いでしょう。ただし加算点の符号を間違えやすいので、迷ったら本問のように式を書き下すのが確実です。
定常偏差を計算してみる
本問の式から、定常偏差も求められます。制御系の性能を測る代表的な指標です。
目標値V1 に対する出力V2 の比は G1/(1+G1G2)——1 にはなりません。つまり目標値ちょうどには届かないのです。
| G1G2 | G1/(1+G1G2)(G2=1のとき) | 偏差 |
| 9 | 0.9 | 10 % |
| 99 | 0.99 | 1 % |
| ∞ | 1 | 0 |
ゲインを上げれば偏差は小さくなりますが、0 にはなりません——これがP動作だけの限界です。G1 に積分要素(1/s)を入れれば、定常状態でゲインが無限大になり偏差が消えます——PID制御のI動作が定常特性を改善する理由が、式の上でも確かめられるのです。
まとめ
| E=V1-G2V2 | (1)式 |
| V2=D+G1E | (2)式 |
| (1+G1G2)V2=D+G1V1 | 整理後 |
| V2 | G1/(1+G1G2)V1+1/(1+G1G2)D |
| 答え | (5) |
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