電子回路23【電験3種 理論】演算増幅器の非反転増幅とウィーンブリッジ発振回路を攻略する!平成29年度 B問題18 完全解説

電験3種 理論科目 電子理論(電子回路) 平成29年度 B問題18 オペアンプで発振させる!ウィーンブリッジの条件は?

今回は平成29年度 理論科目 B問題18(選択問題)を解説します。(a)演算増幅器の非反転増幅回路で電圧増幅度を3にするαの値、(b)これに帰還回路を加えたウィーンブリッジ発振回路の発振周波数を求める問題です。

非反転増幅回路の増幅度は1+(帰還抵抗/入力抵抗)。ウィーンブリッジ発振回路は増幅度3と、直列・並列のCRによる帰還で発振し、発振周波数はf=1/(2πCR)です。

目次

平成29年度 理論科目 B問題18:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電子回路 平成29年度 B問題18 問題文
平成29年度 理論科目 B問題18 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題18

電験3種 理論科目 【電子理論(電子回路)】 平成29年度 B問題18

 演算増幅器を用いた回路について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。(a) 図1の回路の電圧増幅度vo/viを3とするためには、αをいくらにする必要があるか。(b) 図2の回路は、図1の回路に帰還回路として2個の5kΩの抵抗と2個の0.1μFのコンデンサを追加した発振回路である。発振の条件を用いて発振周波数f[kHz]を求める。

(a) 図1の回路の電圧増幅度vo/viを3とするために必要なαの値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.3 (2)0.5 (3)1 (4)2 (5)3

(b) 図2(図1に2個の5kΩと2個の0.1μFを帰還回路として追加)の発振周波数f[kHz]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.2 (2)0.3 (3)0.5 (4)2 (5)3 kHz

図1 演算増幅器の非反転増幅回路(帰還抵抗αR・入力抵抗R)(問題図)
図1 演算増幅器の非反転増幅回路(帰還抵抗αR・入力抵抗R)(問題図)
図2 図1に帰還回路(5kΩ・0.1μFの直列と並列)を加えたウィーンブリッジ発振回路(問題図)
図2 図1に帰還回路(5kΩ・0.1μFの直列と並列)を加えたウィーンブリッジ発振回路(問題図)

解説の全体像:利得3とRC帰還が発振条件を作る

GPT Image 2で作成したウィーンブリッジ発振の利得条件とRC帰還の全体解説図
(a)の利得3は、帰還率1/3のRC回路と組み合わせて発振条件を満たすための準備です。

(a)の非反転増幅回路では、イマジナリショートと出力の分圧から電圧増幅度は1+αとなります。これを3とするためα=2で、選択肢(4)です。(b)のウィーンブリッジ発振回路は、同相となる周波数f=1/(2πRC)を使います。R=5kΩ、C=0.1μFよりRC=5×10^-4s、f≈318Hz=0.318kHz≈0.3kHzなので選択肢(2)です。

解説(a):イマジナリショートからαを導く

GPT Image 2で作成した非反転増幅回路のαをイマジナリショートから求める解説図
v_o/v_i=1+α=3よりα=2で、(a)の正解は(4)です。
$$v_-=v_+=v_i$$
❶ イマジナリショート
負帰還がかかっているので2入力は同電位
$$v_-=\frac{R}{R+\alpha R}v_o=\frac{1}{1+\alpha}v_o$$
❷ 出力の分圧
入力端子に電流は流れない
$$\frac{v_o}{v_i}=1+\alpha=3$$
❸ 増幅度
$$\alpha=2$$
❹ 答え
答え(a) \(\alpha=2\) → 選択肢(4)

非反転増幅の増幅度は「1+帰還抵抗÷入力側抵抗」です。頭の「1」を忘れると \(\alpha=3\) となり(5)に落ちます——これが本問最大のひっかけです。

解説(b):単位をそろえて発振周波数を求める

GPT Image 2で作成したウィーンブリッジ発振周波数の単位換算と選択肢照合図
f=1/(2πRC)≈318Hz≈0.3kHzより、(b)の正解は(2)です。
$$R=5\ \mathrm{k\Omega}=5\times10^{3}\ \Omega,\quad C=0.1\ \mathrm{\mu F}=1\times10^{-7}\ \mathrm{F}$$
❶ 単位をそろえる
\(\mathrm{\mu}\) は \(10^{-6}\)
$$RC=5\times10^{3}\times1\times10^{-7}=5\times10^{-4}\ \mathrm{s}$$
❷ 時定数
ここで桁を確定させる
$$f=\frac{1}{2\pi RC}=\frac{1}{2\pi\times5\times10^{-4}}\fallingdotseq318\ \mathrm{Hz}$$
❸ 発振周波数
$$f\fallingdotseq0.3\ \mathrm{kHz}$$
❹ 単位を kHz に
選択肢は kHz
答え(b) \(f\fallingdotseq0.3\ \mathrm{kHz}\) → 選択肢(2)

\(1/(2\pi\times5\times10^{-4})\) は「\(10^{4}\) を \(2\pi\times5=31.4\) で割る」と考えると暗算できます。\(10000\div31.4\fallingdotseq318\)——電卓なしで十分です。

誤答の正体:「1を足す」と「単位」で全部決まる

(a)の選択肢\(\alpha\)\(A_v=1+\alpha\)何を間違えたか
(1)0.31.3
(2)0.51.5
(3)12\(A_v=\alpha+1\) を \(A_v=2\alpha\) と誤解
(4)23◎ 正解
(5)34「1を足す」を忘れた(\(\alpha=A_v\) とした)

(5)が最頻誤答です。反転増幅なら \(-\alpha\) で済みますが、非反転増幅は必ず「1+」が付きます——だから非反転増幅の増幅度は1未満にできません

(b)の選択肢どう間違えると出るか
(1)\(0.2\ \mathrm{kHz}\)\(2\pi\) を \(2\) や \(\pi\) だけにした
(2)\(0.3\ \mathrm{kHz}\)◎ 正解
(3)\(0.5\ \mathrm{kHz}\)\(2\pi\) を落として \(1/(RC)\div…\) と近似
(4)\(2\ \mathrm{kHz}\)\(1/RC=2000\) をそのまま kHz にした
(5)\(3\ \mathrm{kHz}\)桁の取り違え

⚠️ よくある間違い
(4)の \(2\ \mathrm{kHz}\) は \(1/RC=1/(5\times10^{-4})=2000\) です。\(2\pi\) で割り忘れるとぴったりこの値——選択肢に「割り忘れの答え」が必ず用意されていると思ってください。

深掘り①:なぜ増幅度がちょうど3でなければならないのか

ウィーンブリッジ発振回路の帰還回路は、\(R\) と \(C\) の直列と、\(R\) と \(C\) の並列を組み合わせた分圧回路です。

この帰還回路の伝達率は、\(f=1/2\pi RC\) のときにちょうど \(1/3\) で最大になり、しかもそのとき位相差が0(同相)になります。

発振の条件はループ利得 \(A\beta\geqq1\) ですから、\(\beta=1/3\) なら \(A\geqq3\)ちょうど3にすると振幅が一定の正弦波になり、3より大きいと振幅が増えて波形がひずみます

位相条件(同相)を満たす周波数がただ1つ \(f=1/2\pi RC\) しかない——だからこの周波数で発振します。周波数を決めているのは帰還回路です。

💡 覚え方
ウィーンブリッジ=「利得3」と「\(1/2\pi RC\)」の2点セット3が出てきたらウィーンブリッジと反応できるようにしておいてください。

深掘り②:CR発振回路の仲間を整理する

発振回路帰還回路必要な増幅度発振周波数位相
ウィーンブリッジ\(RC\) 直列+\(RC\) 並列3倍(非反転)\(\dfrac{1}{2\pi RC}\)同相
移相形CR3段29倍(反転)\(\dfrac{1}{2\pi RC\sqrt6}\)各段60°で計180°
コルピッツ(LC)C2個で分圧\(\dfrac{1}{2\pi\sqrt{LC}}\)

ウィーンブリッジは非反転増幅(同相)に、移相形は反転増幅(逆相)に組み合わせます帰還回路が位相を回すかどうかで、増幅部の向きが決まる——ここが対比のポイントです。

CR発振は低周波向きです。高い周波数ではコイルを使うLC発振、さらに安定度が要るなら水晶発振——周波数と安定度で使い分けます

深掘り③:オペアンプの2大接続を確実にする

接続増幅度位相入力インピーダンス特徴
非反転増幅\(1+\dfrac{R_f}{R_1}\)同相非常に大きい1倍未満にできない
反転増幅\(-\dfrac{R_f}{R_1}\)逆相\(R_1\)1倍未満も作れる
ボルテージホロワ1倍同相非常に大きい非反転で \(R_f=0\)

どちらもイマジナリショート(\(v_+=v_-\))と「入力端子に電流は流れない」の2つだけで導けます公式を忘れても、この2つから3行で復元できます

⏱️ 本番での進め方
❶ (a)は「1+α=3」で即答——非反転増幅は必ず「1+」。
❷ (b)は \(RC\) を先に計算:\(5\ \mathrm{k}\times0.1\ \mathrm{\mu}=5\times10^{-4}\)。
❸ \(f=1/(2\pi RC)\):\(10^{4}/31.4\fallingdotseq318\ \mathrm{Hz}=0.3\ \mathrm{kHz}\)。
★(a)の答えが3倍だと気づけば「ウィーンブリッジだ」と確信でき、(b)の公式選択に迷わない。

出題履歴:オペアンプ+発振はB問題の定番

演算増幅器はほぼ毎年出題されます。本問のように「増幅度を求めさせてから発振周波数」という2段構えはB問題の典型です。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(a)増幅度vo/vi=1+α=3→α=2→(4)
(b)回路ウィーンブリッジ発振
発振条件増幅度3
発振周波数f=1/(2πCR)=1/(2π×0.1μ×5k)
(b)f≒318Hz≒0.3kHz→(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・固定バイアス回路のバイアス抵抗(電子回路22):【理論】平成29年度 A問題13

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次