電気及び電子計測33【電験3種 理論】電力計(電流力計形)の原理と二電力計法の理論を空欄補充で攻略する!平成23年度 B問題17 完全解説

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成23年度 B問題17 電流力計形の原理と二電力計法!三相電力の測り方は?

今回は平成23年度 理論科目 B問題17(選択問題)を解説します。(a)電流力計形電力計の原理、(b)二電力計法で単相電力計2個の指示の和が三相電力に等しくなる理論の空欄を埋める問題です。

電力計は固定コイル(電流)と可動コイル(電圧)の積でトルクを生み、負荷電力に比例します。二電力計法は各電力計の電圧と電流の位相差(π/6±φ)を使い、和が√3VIcosφになることを導きます。

目次

平成23年度 理論科目 B問題17:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成23年度 B問題17 問題文
平成23年度 理論科目 B問題17 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題17

電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 平成23年度 B問題17

 電力計について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 図1に示す電力計は、固定コイルF1・F2に流れる負荷電流I[A]による磁界の強さと、可動コイルMに流れる電流IM[A]の積に比例したトルクが可動コイルに生じる。したがって指針の振れ角θは(ア)に比例する。このような形の計器は一般に(イ)計器といわれ、(ウ)の測定に使用される。負荷Zが誘導性の場合、電圧Vのベクトルを基準に負荷電流Iのベクトルを描くと、図2の①②③のうち(エ)のように表される(φは位相角)。

(b) 図1の単相電力計を2個使い三相電力を測る二電力計法。単相電力計W1の電圧Vac=Va−Vc、W2の電圧Vbc=(オ)。線間電圧の大きさV、線電流の大きさIとすると、P1=VacIacos(カ)、P2=VbcIbcos(キ)。和P=P1+P2=VI(ク)cosφ=√3VIcosφとなる。

(a) 電力計の原理に関する空欄(ア)〜(エ)の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)負荷電力電流力計形交流
(2)電力量可動コイル形直流
(3)負荷電力誘導形交流直流両方
(4)電力量可動コイル形交流直流両方
(5)負荷電力電流力計形交流直流両方

(b) 二電力計法に関する空欄(オ)〜(ク)の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(オ)(カ)(キ)(ク)
(1)Vb−Vcπ/6−φπ/6+φ2cos(π/6)
(2)Vc−Vbφ−π/6φ+π/62sin(π/6)
(3)Vb−Vcπ/6−φπ/6+φ2cos(π/3)
(4)Vb−Vcπ/3−φπ/3+φ2cos(π/6)
(5)Vc−Vbπ/3−φπ/3+φ2sin(π/3)
図1 電流力計形電力計(固定コイルF1・F2、可動コイルM) 図2 誘導性負荷のベクトル(問題図)
図1 電流力計形電力計(固定コイルF1・F2、可動コイルM) 図2 誘導性負荷のベクトル(問題図)
図3 二電力計法の結線(W1・W2) 図4 線間電圧・相電圧・線電流のベクトル図(問題図)
図3 二電力計法の結線(W1・W2) 図4 線間電圧・相電圧・線電流のベクトル図(問題図)

出題のポイント:和積の公式が二電力計法の正体

(b)の \(\cos(\pi/6-\varphi)+\cos(\pi/6+\varphi)=2\cos(\pi/6)\cos\varphi=\sqrt3\cos\varphi\)——この和積の公式が二電力計法の理論的な根拠です。

2台の電力計の指示を足すと、三相電力の式 \(\sqrt3VI\cos\varphi\) がそのまま出てくる——本問はその導出を追わせる問題です。

二電力計法の導出
$$P_1=VI\cos\left(\frac{\pi}{6}-\varphi\right),\qquad P_2=VI\cos\left(\frac{\pi}{6}+\varphi\right)$$$$P_1+P_2=VI\cdot2\cos\frac{\pi}{6}\cos\varphi=\sqrt3\,VI\cos\varphi$$

\(\cos A+\cos B=2\cos\dfrac{A+B}{2}\cos\dfrac{A-B}{2}\)——この和積の公式が鍵です。

解説(a):電流力計形の性質を4つ確かめる

空欄答え理由
(ア)負荷電力トルク \(\propto I\times I_M\)、\(I_M\propto V\) だから \(\propto VI\cos\varphi\)
(イ)電流力計形固定コイル2個+可動コイル1個の構造
(ウ)交流直流両方積に比例するので向きが変わっても打ち消さない
(エ)誘導性なので電流は電圧より遅れる

(ウ)で「交流」だけを選ぶと(1)に落ちます電流力計形は交直両用——2つの電流の積に比例するので、両方同時に反転しても力の向きが変わらないからです。

(エ)は「誘導性=電流が遅れる」コイルは電流の変化を妨げるので、電流が電圧に遅れて追いかける——ベクトル図では電圧より時計回りの位置になります。

答え(a) 負荷電力・電流力計形・交流直流両方・③ → 選択肢(5)

解説(b):4つの空欄を順に埋める

(オ) \(\mathrm{W_2}\) にかかる電圧

\(\mathrm{W_1}\) が \(\dot{V}_{ac}=\dot{V}_a-\dot{V}_c\) なら、\(\mathrm{W_2}\) は \(\dot{V}_{bc}=\dot{V}_b-\dot{V}_c\)——c 相を共通の基準にした線間電圧です。

(カ)(キ) 電圧と電流の位相差

線間電圧は相電圧より \(30^\circ=\pi/6\) 進んでいます電流は相電圧より \(\varphi\) 遅れているので、\(\dot{V}_{ac}\) と \(\dot{I}_a\) の位相差は \(\pi/6-\varphi\)

\(\dot{V}_{bc}\) と \(\dot{I}_b\) は逆向きにずれて \(\pi/6+\varphi\)——片方が減る分、もう片方が増えるのが二電力計法の構造です。

(ク) 和を計算する

$$\cos A+\cos B=2\cos\frac{A+B}{2}\cos\frac{A-B}{2}$$
❶ 和積の公式
$$A=\frac{\pi}{6}-\varphi,\ B=\frac{\pi}{6}+\varphi\ \Rightarrow\ \frac{A+B}{2}=\frac{\pi}{6},\ \frac{A-B}{2}=-\varphi$$
❷ 代入
$$P_1+P_2=VI\cdot2\cos\frac{\pi}{6}\cos\varphi$$
❸ 和
(ク)=\(2\cos(\pi/6)\)
$$2\cos\frac{\pi}{6}=2\times\frac{\sqrt3}{2}=\sqrt3\ \Rightarrow\ P=\sqrt3\,VI\cos\varphi$$
❹ 三相電力
答え(b) \(\dot{V}_b-\dot{V}_c\)・\(\pi/6-\varphi\)・\(\pi/6+\varphi\)・\(2\cos(\pi/6)\) → 選択肢(1)

誤答の正体:\(\pi/6\) か \(\pi/3\) か

選択肢(オ)(カ)(キ)(ク)判定
(1)\(\dot{V}_b-\dot{V}_c\)\(\pi/6\mp\varphi\)\(2\cos(\pi/6)\)◎ 正解
(2)\(\dot{V}_c-\dot{V}_b\)\(\varphi\mp\pi/6\)\(2\sin(\pi/6)\)3つとも誤り
(3)\(\dot{V}_b-\dot{V}_c\)\(\pi/6\mp\varphi\)\(2\cos(\pi/3)\)(ク)が誤り(\(=1\) になる)
(4)\(\dot{V}_b-\dot{V}_c\)\(\pi/3\mp\varphi\)\(2\cos(\pi/6)\)(カ)(キ)が誤り
(5)\(\dot{V}_c-\dot{V}_b\)\(\pi/3\mp\varphi\)\(2\sin(\pi/3)\)3つとも誤り

(3)の \(2\cos(\pi/3)=2\times0.5=1\)——これでは \(P=VI\cos\varphi\) となり、\(\sqrt3\) が出てきません最後に \(\sqrt3\) になるかどうかで検算できます

\(2\cos(\pi/6)=\sqrt3\) ——この値を知っていれば(ク)は一瞬で決まります\(2\sin(\pi/3)\) も \(\sqrt3\) ですが、和積の公式からは cos が出るので(5)は誤りです。

⚠️ よくある間違い
線間電圧と相電圧の位相差は \(30^\circ=\pi/6\) です。\(\pi/3=60^\circ\) は相電圧どうしの位相差ではありません——三相で出てくる角度は \(30^\circ\)(線間と相)と \(120^\circ\)(相どうし)の2つだけです。

深掘り①:なぜ位相差が \(\pi/6\mp\varphi\) になるのか

Y結線で考えます相電圧 \(\dot{V}_a\) に対し、線間電圧 \(\dot{V}_{ac}\) は \(30^\circ\) 進み、大きさは \(\sqrt3\) 倍です。

$$\dot{V}_{ac}=\dot{V}_a-\dot{V}_c=\sqrt3\,V_a\angle30^\circ$$
❶ 線間電圧
\(30^\circ\) 進む
$$\dot{I}_a=I\angle(-\varphi)$$
❷ 線電流
相電圧より \(\varphi\) 遅れ
$$\theta_1=30^\circ-(-\varphi)\cdot(-1)=30^\circ-\varphi$$
❸ \(\mathrm{W_1}\) の位相差
$$\theta_2=30^\circ+\varphi$$
❹ \(\mathrm{W_2}\) の位相差
逆向きにずれる

2つの位相差が \(30^\circ\) を中心に \(\pm\varphi\) だけ振れる——だから力率が悪い(\(\varphi\) が大きい)と、片方が \(90^\circ\) を超えて負になります

\(30^\circ+\varphi>90^\circ\)、つまり \(\varphi>60^\circ\)(力率 0.5 以下)で逆振れ——令和5年度上期A問題14で問われた「逆振れの条件」の根拠がここにあります。

深掘り②:2台の指示から力率も分かる

$$P_1-P_2=VI\left[\cos(30^\circ-\varphi)-\cos(30^\circ+\varphi)\right]$$
❶ 差を取る
$$=VI\cdot2\sin30^\circ\sin\varphi=VI\sin\varphi$$
❷ 和積の公式(差)
$$\frac{P_1-P_2}{P_1+P_2}=\frac{VI\sin\varphi}{\sqrt3VI\cos\varphi}=\frac{\tan\varphi}{\sqrt3}$$
❸ 比を取る
$$\tan\varphi=\sqrt3\,\frac{P_1-P_2}{P_1+P_2}$$
❹ 力率角

和が有効電力、差が無効電力に比例します。\(P_1-P_2=VI\sin\varphi\)、三相無効電力は \(\sqrt3VI\sin\varphi\) なので \(\sqrt3(P_1-P_2)\)——2台の電力計だけで有効・無効・力率がすべて分かります

\(P_1=P_2\) なら \(\tan\varphi=0\)=力率1\(P_2=0\) なら \(\tan\varphi=\sqrt3\)=\(\varphi=60^\circ\)=力率 0.5——ここが逆振れの境目です。

深掘り③:電流力計形の構造をもう一度

部分本問での呼び名つなぎ方求められる性質
固定コイル\(\mathrm{F_1}\)、\(\mathrm{F_2}\)負荷と直列(電流コイル)抵抗が小さい・太い線
可動コイル\(\mathrm{M}\)負荷と並列(電圧コイル)抵抗が大きい・細い線
$$T\propto I\cdot I_M,\qquad I_M\propto V$$
❶ トルクは積に比例
$$\overline{T}\propto\overline{vi}=VI\cos\varphi$$
❷ 1周期の平均
そのまま有効電力

「積を取る」という性質を持つのは電流力計形だけです。だから電力計といえば電流力計形——平成18年度A問題14でも同じことが問われました

💡 覚え方
二電力計法の核は \(\cos(30^\circ-\varphi)+\cos(30^\circ+\varphi)=\sqrt3\cos\varphi\)和が有効電力(\(\sqrt3VI\cos\varphi\))、差が無効電力に比例(\(VI\sin\varphi\))——この2つで力率まで求まります

深掘り④:三相で出てくる角度は2つだけ

角度どこで出るか覚え方
\(30^\circ\)(\(\pi/6\))Yの線間電圧と相電圧/Δの線電流と相電流\(\sqrt3\) 倍とセット
\(120^\circ\)(\(2\pi/3\))相どうしの位相差3相を1周(360°)で割った値

\(\sqrt3\) と \(30^\circ\) は必ずセットで現れますYの電圧とΔの電流の2か所だけ——それ以外の場所に \(\sqrt3\) や \(30^\circ\) は出てきません

\(\pi/3=60^\circ\) は三相の基本量には出てこない角度です。選択肢(4)(5)の \(\pi/3\) は、この点を突いた誤りになっています。

⏱️ 本番での進め方
❶ (ア)〜(ウ)は電流力計形の性質——積に比例、交直両用。
❷ (エ)は「誘導性=電流が遅れる」
❸ 位相差は \(30^\circ\mp\varphi\)——\(\pi/3\) ではない。
❹ (ク)は和積の公式で \(2\cos(\pi/6)=\sqrt3\)——最後に \(\sqrt3\) になるかで検算。

出題履歴:二電力計法は理論と計算の両面で出る

令和5年度上期A問題14では計算問題(逆振れの扱い)、本問では理論的な導出——同じテーマが違う切り口で出題されています。導出を追っておけば、どちらの形式でも対応できます

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(ア)〜(エ)負荷電力/電流力計形/交流直流両方/③→(a)(5)
(オ)Vbc=Vb−Vc
(カ)(キ)π/6−φ、π/6+φ
(ク)2cos(π/6)
(b)P=√3VIcosφ→(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・直流電圧計の倍率器とミルマン(電気及び電子計測32):【理論】平成24年度 B問題17

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