今回は令和元年度 理論科目 A問題14を解説します。直動式指示電気計器の「種類」「JISで示される記号」「使用回路(交流・直流)」の組合せとして、正しいものを選ぶ問題です。記号は図を参照してください。
各計器がどの原理で動作し、交流・直流のどちらで使えるかを押さえるのがポイント。可動コイル形は直流専用、電流力計形と熱電対形は交流・直流両用、整流形と誘導形は交流専用、と整理しておきましょう。
令和元年度 理論科目 A問題14:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題14
電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 令和元年度 A問題14
直動式指示電気計器の種類、JISで示される記号及び使用回路の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。(各計器のJIS記号は図のとおり。)
計器の種類と使用回路は次のとおり(JIS記号は図参照)。この中で、種類・記号・使用回路の組合せがすべて正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)永久磁石可動コイル形 / 直流専用
(2)空心電流力計形 / 交流・直流両用
(3)整流形 / 交流・直流両用
(4)誘導形 / 交流専用
(5)熱電対形(非絶縁)/ 直流専用

出題のポイント:種類・記号・使用回路の3つすべてを照合する
「種類と使用回路」だけを見ると、(1)(2)(4)はどれも正しい組合せです。差が付くのはJIS記号——3つすべてが揃っているのは(2)だけです。
(3)は記号は正しいのに使用回路が誤りという別のパターン。整流形は【交流専用】で、「交流・直流両用」ではありません。

解説:5つの行を1つずつ照合する
| 選択肢 | 種類 | 図の記号が表すもの | 使用回路 | 判定 |
| (1) | 永久磁石可動コイル形 | 円板=誘導形の記号 | 直流専用(種類には合う) | × 記号が誤り |
| (2) | 空心電流力計形 | 平行2線+縦線=電流力計形 | 交流・直流両用 | ◎ すべて正しい |
| (3) | 整流形 | ダイオード+馬蹄形=整流形(正しい) | 交流・直流両用 | × 交流専用のはず |
| (4) | 誘導形 | 熱電対=熱電形の記号 | 交流専用(種類には合う) | × 記号が誤り |
| (5) | 熱電対形(非絶縁) | 馬蹄形=永久磁石可動コイル形 | 直流専用 | × 記号と使用回路が誤り |
記号が3種類ぐるぐる入れ替えられています。(1)には誘導形の記号、(4)には熱電形の記号、(5)には可動コイル形の記号——正しい持ち主のところには置かれていません。
誤答の正体:2種類の作り方が混ざっている
(1)(4)(5)は「記号を入れ替える」タイプ、(3)は「使用回路を間違える」タイプです。1つの問題に2通りの誤りが仕込まれています。
(3)がいちばん惜しい——記号も種類名も正しいのに、「交流・直流両用」の一語だけが誤りです。整流形は交流専用——直流を整流しても意味がありません。
☝️ ひっかけの作り方:3つの欄がある組合せ問題では、どの欄が誤りかを1つずつ確かめるのが確実です。「種類と使用回路は合っているから○」と早合点すると、記号の誤りを見逃します。
⚠️ よくある間違い
熱電対形(非絶縁)は【交流・直流両用】です。発熱量(電流の2乗)で測るので、向きに関係なく測れます——(5)の「直流専用」も誤りで、この肢は2か所が違っています。
深掘り①:JIS記号は動作原理の絵
| 計器の種類 | 記号の見た目 | 何を表しているか |
| 永久磁石可動コイル形 | 馬蹄形(U字) | 永久磁石の形 |
| 可動鉄片形 | 縦長方形+矢羽 | コイルの断面と鉄片 |
| 電流力計形 | 平行2線+縦線 | 固定コイルと可動コイル |
| 誘導形 | 円(円板)+点 | 回転する円板 |
| 熱電形 | 2線が1点で交わる | 熱電対の接点 |
| 整流形 | ダイオード+馬蹄形 | 整流器+可動コイル形 |
| 静電形 | 2枚の平行板 | 電極 |
記号を丸暗記する必要はありません。「その計器の中身で目立つものを絵にしている」と分かれば、初見の記号でも推測できます。
整流形が「ダイオード+馬蹄形」の組合せなのは、中身が本当に「整流器+可動コイル形」だからです。記号が構造をそのまま表しています。
深掘り②:使用回路(交流専用・直流専用・両用)の見分け
| 種類 | トルクが比例するもの | 使える電源 | 指示する値 | 主な用途 |
| 可動コイル形 | 電流の1乗 | 直流のみ | 平均値 | 直流電流計・電圧計 |
| 可動鉄片形 | 電流の2乗 | 交流・直流 | 実効値 | 交流電流計・電圧計 |
| 電流力計形 | 2つの電流の積 | 交流・直流 | 実効値 | 電力計 |
| 整流形 | 整流後の電流の1乗 | 交流専用 | 平均値×1.11 | 安価な交流計 |
| 誘導形 | 渦電流と磁界の積 | 交流のみ | 実効値 | 電力量計 |
| 熱電形 | 発熱量(電流の2乗) | 交流・直流 | 実効値 | 高周波電流計 |
直流専用は可動コイル形だけ、交流専用は整流形と誘導形、残りは交直両用——この3分類がそのまま「使用回路」の欄になります。
誘導形が交流専用なのは、回転磁界を作るのに交流が必要だからです。直流では磁界が変化せず、渦電流が生じません。
整流形が交流専用なのは、整流器を通すことが前提だからです。目盛りも「正弦波交流の実効値」で打たれており、直流を入れても正しく読めません。
深掘り③:計器の目盛り板に書かれている記号
実物の計器の目盛り板には、種類の記号のほかに階級・使用姿勢・耐電圧なども記号で書かれています。
| 記号の種類 | 何を示すか | 例 |
| 動作原理 | 計器の種類 | 馬蹄形なら可動コイル形 |
| 階級 | 確度(最大目盛に対する %) | 1.0/1.5/2.5 など |
| 使用姿勢 | 水平・垂直・傾斜 | 横線/縦線/斜線 |
| 絶縁強度 | 耐電圧試験の電圧 | 星印の中に数字(kV) |
| 使用回路 | 直流・交流・両用 | 直線/波線/両方 |
使用姿勢を守らないと誤差が出ます。可動部の重心の関係で、寝かせて使う計器を立てると指針がずれる——だから姿勢まで規定されています。
💡 覚え方
直線(—)=直流、波線(〜)=交流、両方あれば交直両用。記号は動作原理を絵にしたもの——馬蹄形なら永久磁石、円板なら誘導形。構造を思い浮かべれば記号は思い出せます。
深掘り④:熱電形という選択肢
熱電形は、電流でヒータを発熱させ、その温度を熱電対で測る計器です。発熱量は電流の2乗に比例するので、実効値を指示します。
最大の長所は「周波数の影響を受けにくい」こと。数MHz の高周波電流でも正確に測れます——コイルを使う計器では追従できない領域です。
「非絶縁」とは、ヒータと熱電対が電気的につながっている型を指します。絶縁形は熱だけを伝えるので測定回路と読み取り回路を分離できます。
短所は過負荷に弱いこと。ヒータが細いので、定格を超えると簡単に焼き切れます——取り扱いに注意が要る計器です。
⏱️ 本番での進め方
❶ 3つの欄をすべて照合する——1つでも違えば×。
❷ 記号は動作原理の絵——馬蹄形=磁石、円板=誘導形、ダイオード=整流形。
❸ 直流専用は可動コイル形だけ、交流専用は整流形と誘導形。
❹ 「種類と使用回路は合っている」だけでは○にしない。
出題履歴:計器の記号と種類は繰り返し出題
JIS記号を問う出題は数年おきに登場します。記号を丸暗記するより「動作原理の絵」と理解するほうが、初めて見る記号にも対応できます。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| (2)正 | 空心電流力計形/交流・直流両用(記号も正) |
| (3)誤 | 整流形は交流専用(両用は誤り) |
| (5)誤 | 熱電対形は交流・直流両用(直流専用は誤り) |
| (1)(4)誤 | 使用回路は正だが図のJIS記号が誤り |
| 答え | (2) |
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