電子の運動19【電験3種 理論】電子の運動エネルギーと速度の関係(v∝√K)を計算する!平成20年度 A問題12 完全解説

電験3種 理論科目 電子理論(電子の運動) 平成20年度 A問題12 加速電圧を上げると速さは?エネルギーとの関係

今回は平成20年度 理論科目 A問題12を解説します。真空中で電子の運動エネルギーが400eVのときの速さから、運動エネルギーが100eVのときの速さを求める計算問題です。

運動エネルギーK=½mv²は速度vの2乗に比例します。したがって速度は運動エネルギーの平方根に比例し、v₂=v₁√(K₂/K₁)で計算できます。eV単位のまま比で扱えるのがポイントです。

目次

平成20年度 理論科目 A問題12:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電子の運動 平成20年度 A問題12 問題文
平成20年度 理論科目 A問題12 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題12

電験3種 理論科目 【電子理論(電子の運動)】 平成20年度 A問題12

 真空中において、電子の運動エネルギーが400[eV]のときの速さが1.19×107[m/s]であった。電子の運動エネルギーが100[eV]のときの電子の速さ[m/s]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)2.98×106 (2)5.95×106 (3)2.38×107 (4)2.98×109 (5)5.95×109

出題のポイント:運動エネルギーの比から速度比を平方根で求める

GPT Image 2で作成した電子の運動エネルギーと速度の関係の概要図。K=1/2mv²、v∝√K、400 eVから100 eVへの条件を示す
同じ電子では質量が共通です。運動エネルギーが4分の1になると、速度は平方根により2分の1になります。

同じ電子では質量mが共通なので、運動エネルギーK=1/2mv²の比を取れば定数を使わずに解けます。K₂/K₁=v₂²/v₁²より、v₂/v₁=√(K₂/K₁)です。K₁=400 eV、v₁=1.19×10⁷ m/s、K₂=100 eVを代入すると、v₂=1.19×10⁷×√(100/400)=1.19×10⁷×1/2=5.95×10⁶ m/sとなります。したがって正解は選択肢(2)です。エネルギーが4分の1なら、速度は平方根を取って2分の1になる点が要点です。

ポイント解説:K=1/2mv²の比を取り、v∝√Kを導く

GPT Image 2で作成したK₂/K₁=v₂²/v₁²からv₂/v₁=平方根K₂/K₁を導く式変形の解説図
運動エネルギーの式を2つ書いて比を取ると、共通の1/2と電子の質量mが消え、速度比だけを求められます。
$$\frac{W_2}{W_1}=\frac{100}{400}=\frac{1}{4}$$
❶ エネルギーの比
$$\frac{v_2}{v_1}=\sqrt{\frac{1}{4}}=\frac{1}{2}$$
❷ 速さの比
平方根
$$v_2=\frac{1.19\times10^{7}}{2}=5.95\times10^{6}\ \mathrm{m/s}$$
❸ 計算

理論値でも確かめられます\(v=\sqrt{\dfrac{2eW}{m}}\) に \(W=100\ \mathrm{eV}\) を入れると \(5.93\times10^{6}\ \mathrm{m/s}\)——比で求めた値とほぼ一致します。

与えられた \(1.19\times10^{7}\) も、400 eVの理論値 \(1.186\times10^{7}\) とぴたりです。問題文の数値が正確に作られていることが確認できます。

答え\(v\fallingdotseq5.95\times10^{6}\ \mathrm{m/s}\) → 選択肢(2)

問題の解説:数値と指数を整理し、選択肢(2)を選ぶ

GPT Image 2で作成した電子速度の数値計算図。1.19×10⁷ m/sの半分を5.95×10⁶ m/sへ整理する
v₂=1.19×10⁷×1/2=0.595×10⁷=5.95×10⁶ m/sです。エネルギーが減ったので速度も減ることを確認します。
GPT Image 2で作成した平成20年度理論問12の選択肢照合表。計算結果5.95×10⁶ m/sと一致する選択肢2を示す
計算結果5.95×10⁶ m/sと一致するのは選択肢(2)です。他の選択肢は平方根や指数の扱いを誤った値です。
選択肢値〔m/s〕どんな誤りか判定
(1)\(2.98\times10^{6}\)\(1/4\) 倍としてしまう(平方根を忘れる)×
(2)\(5.95\times10^{6}\)正解
(3)\(2.38\times10^{7}\)2倍としてしまう(増減が逆)×
(4)\(2.98\times10^{9}\)光速の10倍×(物理的に不可能)
(5)\(5.95\times10^{9}\)光速の20倍×(物理的に不可能)

光速は \(3\times10^{8}\ \mathrm{m/s}\)——(4)(5)はこれを超えているので、計算するまでもなく消せます「桁を確認する」習慣があれば一瞬です。

(3)の \(2.38\times10^{7}\) は基準の2倍です。エネルギーが減ったのに速さが増える——物理的におかしいと気づけます。

⚠️ よくある間違い
「エネルギーが \(1/4\) だから速さも \(1/4\)」は誤りです。\(W\propto v^{2}\) なので \(v\propto\sqrt{W}\)——\(\sqrt{1/4}=1/2\) です。選択肢(1)がこの誤りの受け皿になっています。

☝️ ひっかけの作り方:与えられた「400 eVで \(1.19\times10^{7}\)」を使わずに、定数から計算しても解けますただし電気素量と電子の質量を覚えている必要がある——比を使うほうが速くて確実です。

深掘り①:光速チェックという武器

速さを求める問題では、必ず光速と比べてください\(3\times10^{8}\ \mathrm{m/s}\) を超える答えは、どんな計算をしても間違いです。

速さ光速との比現実にあるか
\(10^{6}\ \mathrm{m/s}\)0.3 %数 eVの電子(真空管)
\(10^{7}\ \mathrm{m/s}\)3 %数百 eVの電子(本問)
\(10^{8}\ \mathrm{m/s}\)33 %数十 keVの電子(ブラウン管)
\(10^{9}\ \mathrm{m/s}\)333 %存在しない

電験3種で扱う電子の速さは、たいてい \(10^{6}\sim10^{7}\ \mathrm{m/s}\) です。それより2桁以上大きい選択肢が出てきたら、まず疑ってください

逆に \(10^{3}\ \mathrm{m/s}\) のような小さすぎる値も不自然です。音速(340 m/s)程度の電子は、常温の熱運動でも出ない——電界で加速すればもっと速くなります

深掘り②:エネルギーと速さの対応表

よく出るエネルギーと速さの対応を、いくつか覚えておくと検算に使えます

エネルギー速さ覚え方
1 eV\(5.9\times10^{5}\ \mathrm{m/s}\)約\(6\times10^{5}\)
100 eV\(5.9\times10^{6}\ \mathrm{m/s}\)10倍(\(\sqrt{100}\))
400 eV\(1.19\times10^{7}\ \mathrm{m/s}\)20倍(\(\sqrt{400}\))
10000 eV\(5.9\times10^{7}\ \mathrm{m/s}\)100倍(\(\sqrt{10^{4}}\))

基準は「1 eVで約 \(5.9\times10^{5}\ \mathrm{m/s}\)」です。あとはエネルギーの平方根を掛けるだけ——\(v\fallingdotseq5.9\times10^{5}\sqrt{W\mathrm{[eV]}}\) という便利な形になります。

本問なら \(5.9\times10^{5}\times\sqrt{100}=5.9\times10^{6}\)——選択肢(2)とぴたり合います比を使わなくても、この公式1本で解けます

深掘り③:比例関係を見抜く力

「AのときBだった。CのときDはいくつか」型の問題は、電験のあらゆる分野で出てきます比例の型を覚えておきましょう

関係\(x\) が \(k\) 倍のとき \(y\) は電験での例
\(y\propto x\)\(k\) 倍抵抗と電圧(電流一定)
\(y\propto x^{2}\)\(k^{2}\) 倍電流と電力・電圧と電力
\(y\propto\sqrt{x}\)\(\sqrt{k}\) 倍エネルギーと速さ(本問)
\(y\propto1/x\)\(1/k\) 倍周波数と容量性リアクタンス
\(y\propto1/x^{2}\)\(1/k^{2}\) 倍距離とクーロン力

比で解けば定数を覚える必要がありません本番では定数が与えられないことも多いので、比の関係を見抜く力が得点を左右します。

「二乗に比例」の逆は「平方根に比例」——ここを取り違えると、\(1/4\) と \(1/2\) を間違えます本問の最頻誤答がまさにそれです。

⏱️ 本番での進め方
❶ \(W\propto v^{2}\) → \(v\propto\sqrt{W}\)——平方根を忘れない。
❷ 光速 \(3\times10^{8}\ \mathrm{m/s}\) 超えは即消し——(4)(5)が消える。
❸ エネルギーが減れば速さも減る——増える(3)もおかしい。
❹ \(v\fallingdotseq5.9\times10^{5}\sqrt{W\mathrm{[eV]}}\)——公式1本でも解ける。

💡 覚え方
「4分の1のエネルギーなら、半分の速さ」——\(\sqrt{1/4}=1/2\) です。9分の1なら3分の1、16分の1なら4分の1——平方数で考えると暗算できます

★重要:令和4年度上期にそのまま再出題された

令和4年度上期A問題12は、本問と完全に同一の問題です。数値も5つの選択肢の並びも、正答番号(2)まですべて同じ——14年の時を経ての再出題でした。

本問(平成20年度 A問題12)令和4年度上期 A問題12
条件400 eVで \(1.19\times10^{7}\ \mathrm{m/s}\)完全に同一
問われるもの100 eVのときの速さ完全に同一
選択肢2.98e6/5.95e6/2.38e7/2.98e9/5.95e9並びも同じ
正答番号(2)(2)

選択肢の並びさえ変えずに再出題されました。当サイトで確認している「完全同一ペア」はこれで7組目です。

⚠️ よくある間違い
「電子の運動」は出題パターンが少ない分野です。作問の自由度が低いぶん、過去問がほぼそのまま再利用される——逆に言えば、過去問を1周すれば得点源にできる分野です。

出題履歴:エネルギーと速さの関係は必修

比の関係だけで解ける問題は、知識より「気づき」が問われます定数が与えられていないことに気づけば、比で解くしかないと分かる——問題文の情報から解法を逆算する訓練になります。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

あわせて解いておきたい記事:【理論】令和4年度上期A問題12(完全に同一の問題)

まとめ

関係K=½mv²→v∝√K
v₂=v₁√(K₂/K₁)
計算1.19×10⁷×(1/2)
答え5.95×10⁶ m/s((2))

▼あわせて解きたい関連問題
・平等電界中の電子の運動エネルギー(電子の運動7):【理論】令和4年度上期 A問題12

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