今回は平成29年度 理論科目 A問題11を解説します。半導体のpn接合の性質によって生じる現象・効果、又はそれを利用したものを、3つの語句すべてが正しい組合せで選ぶ問題です。
pn接合に関係するのは整流作用・太陽電池・発光ダイオードなど。一方、ホール効果(磁界)・表皮効果(高周波)・超伝導現象・圧電効果はpn接合とは無関係の別の物理現象です。この切り分けがポイントです。
平成29年度 理論科目 A問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題11
電験3種 理論科目 【電子理論(半導体等)】 平成29年度 A問題11
半導体のpn接合の性質によって生じる現象若しくは効果、又はそれを利用したものとして、全て正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)表皮効果、ホール効果、整流作用
(2)整流作用、太陽電池、発光ダイオード
(3)ホール効果、太陽電池、超伝導現象
(4)整流作用、発光ダイオード、圧電効果
(5)超伝導現象、圧電効果、表皮効果
出題のポイント:pn接合と無関係な用語を切り捨てる
3つの用語の組合せから、すべてpn接合に関係するものを選ぶ問題です。1つでも無関係な語が入っていれば、その選択肢は消せます。
紛れ込んでいるのは、表皮効果・ホール効果・超伝導現象・圧電効果の4つです。いずれも実在する重要な現象ですが、pn接合とは無関係です。
消去法が最も速いです。「表皮効果」を含む(1)(5)、「ホール効果」を含む(1)(3)、「超伝導」を含む(3)(5)、「圧電効果」を含む(4)(5)——これで(2)だけが残ります。

解説:無関係な4つの用語を確認する
| 用語 | 何の現象か | pn接合との関係 |
| 表皮効果 | 高周波電流が導体の表面に集中する | 無関係(導体の現象) |
| ホール効果 | 磁界中の導体に電流を流すと横方向に電位差 | 無関係(磁気の現象) |
| 超伝導現象 | 極低温で電気抵抗がゼロになる | 無関係(低温物理) |
| 圧電効果 | 結晶に力を加えると電圧が生じる | 無関係(誘電体の現象) |
どれも電験で出題される重要な現象です。だからこそ紛らわしい——「知っている用語だから正しい」と思ってしまいます。
問われているのは「pn接合の性質によるものか」です。用語の正しさではなく、pn接合との関係を判定してください。


誤答の正体:消去法で一気に絞る
| 選択肢 | 含まれる用語 | 無関係なもの | 判定 |
| (1) | 表皮効果・ホール効果・整流作用 | 表皮効果、ホール効果 | × |
| (2) | 整流作用・太陽電池・発光ダイオード | なし | ◎ |
| (3) | ホール効果・太陽電池・超伝導現象 | ホール効果、超伝導現象 | × |
| (4) | 整流作用・発光ダイオード・圧電効果 | 圧電効果 | × |
| (5) | 超伝導現象・圧電効果・表皮効果 | 3つとも | × |
(4)が最も惜しい誤答です。整流作用と発光ダイオードは正しいのに、圧電効果だけが無関係——3つのうち2つ合っていても不正解です。
(5)は3つとも無関係です。知っている用語ばかりが並んでいるので、内容を確認せずに選ぶと引っかかります。
⚠️ よくある間違い
「すべて正しいもの」という問い方に注意してください。1つでも誤りがあればその選択肢は消える——3つ全部を確認する必要があります。
☝️ ひっかけの作り方:ホール効果は半導体でも起きますが、pn接合は必要ありません。1枚の半導体板に電流と磁界を加えるだけ——接合とは無関係です。「半導体だから関係ありそう」と思わせる巧妙な選択肢です。
深掘り①:pn接合が生む現象を整理する
pn接合という1つの構造から、いくつもの働きが生まれます。すべて「内部電界」と「キャリヤの動き」で説明できます。
| 現象・素子 | しくみ | バイアス |
| 整流作用 | 順方向は電流が流れ、逆方向は流れない | 両方向 |
| 太陽電池 | 光生成キャリヤを内部電界が分離 | 無バイアス |
| 発光ダイオード | 電子と正孔が再結合して光を出す | 順方向 |
| 可変容量ダイオード | 空乏層の幅が容量を決める | 逆方向 |
| 定電圧ダイオード | 降伏で電圧が一定になる | 逆方向 |
| フォトダイオード | 光生成キャリヤを電流として取り出す | 逆方向 |
整流作用がpn接合の最も基本的な働きです。p形からn形へは電流が流れやすく、逆は流れにくい——この非対称性がすべての出発点です。
太陽電池とLEDは互いに逆の動作です。光を入れて電気を出すか、電気を入れて光を出すか——同じpn接合の裏表になります。
深掘り②:紛れ込んだ4つの現象を知る
誤答に使われた4つの現象も、電験では別の問題で問われます。この機会に整理しておきましょう。
| 現象 | 内容 | 出題される分野 |
| 表皮効果 | 周波数が高いほど電流が導体表面に集中し、実効抵抗が増える | 理論(電磁気)・電力(送電線) |
| ホール効果 | 磁界と電流に直角な方向に電圧。キャリヤの種類が分かる | 理論(半導体・電磁気) |
| 超伝導現象 | 臨界温度以下で抵抗ゼロ。マイスナー効果を伴う | 理論・電力(超電導ケーブル) |
| 圧電効果 | 結晶に力を加えると電圧、電圧を加えると変形 | 理論(誘電体)・機械(センサ) |
表皮効果は送電線の設計で重要です。高周波ほど表面に電流が集中し、実効的な断面積が減る——だから中空の電線や素線を撚った電線が使われます。
圧電効果は水晶振動子やセラミックスピーカに使われています。電圧をかけると変形する逆圧電効果もあり、超音波発生やインクジェットプリンタのヘッドにも応用されています。
深掘り③:整流作用が起きる理由
pn接合の最も基本的な働きである整流作用を、空乏層の変化から説明しておきましょう。
| バイアス | 空乏層 | 電流 |
| 無バイアス | 一定の幅で平衡 | 正味ゼロ |
| 順方向(p側が正) | 狭くなる | 大きく流れる |
| 逆方向(n側が正) | 広がる | ほとんど流れない |
順方向バイアスは内部電界を打ち消す向きです。空乏層が狭くなり、キャリヤが接合を越えやすくなる——だから電流が流れます。
逆方向バイアスは内部電界を強める向きです。空乏層が広がり、キャリヤの障壁が高くなる——だから電流がほとんど流れません。
この「空乏層の幅が変わる」という現象が、整流作用と可変容量の両方を生んでいます。1つの原理から2つの応用——pn接合の奥深さです。
深掘り④:組合せ問題の解き方
「すべて正しいものを選べ」という組合せ問題には、効率的な解き方があります。
| 手順 | やること |
| ❶ | 明らかに無関係な語を1つ見つける |
| ❷ | その語を含む選択肢をすべて消す |
| ❸ | 残った選択肢で、次の無関係な語を探す |
| ❹ | 1つに絞れたら、全語を再確認 |
本問なら「超伝導現象」から始めるのが速いです。明らかに半導体とは無関係——これを含む(3)(5)が一気に消えます。
次に「表皮効果」で(1)、「圧電効果」で(4)が消えて、(2)だけが残ります。3ステップで確定——1つずつ全部確認するより速いです。
最後に(2)の3語を再確認してください。消去法で残っただけでは不安——整流作用・太陽電池・LEDがすべてpn接合だと確認できて初めて確信が持てます。
⏱️ 本番での進め方
❶ 消去法で一気に絞る——明らかに無関係な語から。
❷ 「超伝導」「表皮効果」「圧電効果」はpn接合と無関係——即消し。
❸ ホール効果は半導体でも起きるがpn接合は不要——巧妙な引っかけ。
❹ 最後に残った選択肢の全語を再確認——消去法の裏を取る。
💡 覚え方
「pn接合の3大応用は 整流・発電・発光」——ダイオード、太陽電池、LEDです。この3つが並んでいる選択肢を探せば、それが答えになります。
出題履歴:用語の分類を問う出題
「どれがpn接合によるものか」を問う形式は、用語を分野ごとに整理できているかを試します。半導体・磁気・誘電体・低温物理——それぞれの代表的な現象を押さえておきましょう。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
あわせて解いておきたい記事:【理論】平成30年度A問題11(半導体素子の正誤)/【理論】平成20年度A問題11(太陽電池のpn接合)
まとめ
| pn接合関連 | 整流作用・太陽電池・発光ダイオード |
| 磁界 | ホール効果 |
| その他 | 表皮効果・超伝導・圧電効果 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・太陽電池の原理(半導体13):【理論】令和元年度 A問題11

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