今回は平成23年度 理論科目 A問題9を解説します。1000Ωの抵抗とCのコンデンサの直列回路で、周波数1000Hzのとき電源電圧と電流の位相差がπ/3のときの、静電容量C〔μF〕を求める問題です。
RC直列回路のインピーダンスの偏角がπ/3。tanφ=Xc/RからXcを求め、Xc=1/(2πfC)を使ってCを逆算します。
平成23年度 理論科目 A問題9:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問9)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・回路図・選択肢は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(単相交流)】 平成23年度 A問題9
図のように、1000〔Ω〕の抵抗と静電容量C〔μF〕のコンデンサを直列に接続した交流回路がある。いま、電源の周波数が1000〔Hz〕のとき、電源電圧Ė〔V〕と電流İ〔A〕の位相差はπ/3〔rad〕であった。このとき、コンデンサの静電容量C〔μF〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.053 (2)0.092 (3)0.107 (4)0.159 (5)0.258〔μF〕

出題のポイント:\(\tan\phi=X_C/R\) からリアクタンスを出す
RC直列回路のインピーダンスは \(\dot Z=R-jX_C\)。その偏角の大きさが位相差です。\(\tan\phi=X_C/R\) という関係から、\(X_C\) を先に求めるのが定石になります。
\(\phi=\pi/3\)(60°)なら \(\tan60^\circ=\sqrt3\)。したがって \(X_C=\sqrt3R\)——抵抗の \(\sqrt3\) 倍です。ここで \(R/\sqrt3\) としてしまうと、答えが3倍ずれます。

解説:2ステップで求まる
\(\tan60^\circ=\sqrt3=1.732\)
\(10^{-6}\) で割る
\(2\pi\times1000\times1732\approx1.088\times10^7\)、その逆数が \(9.19\times10^{-8}\)——\(10^{-8}\) 台なので、μF に直すと 0.09 台になります。桁の見当をつけておくと計算ミスに気づけます。
検算:\(\dot Z=1000-j1732\) なので \(|\dot Z|=2000\;\Omega\)、偏角は \(\arctan(1732/1000)=60^\circ\) ✓ \(1:\sqrt3:2\) の直角三角形になっています。


誤答の正体:\(\tan\) を逆に取る
| 誤り方 | \(X_C\)〔Ω〕 | \(C\)〔μF〕 | 選択肢 |
| \(X_C=R/\sqrt3\) とする(逆比) | 577 | 0.276 | (5) 0.258 に近い |
| 位相差を \(\pi/6\) と誤る | 577 | 0.276 | (5) に近い |
| \(X_C=R\) とする(45°) | 1000 | 0.159 | (4) |
| 正しい計算 | 1732 | 0.092 | (2) ◎ |
選択肢(4)の 0.159 μF は「\(X_C=R=1000\;\Omega\)」としたときの値です。位相差45°の場合にあたります。(5)の 0.258 μF は \(\tan\) を逆に取った場合——どちらも典型的な誤りです。
感覚で検算する方法もあります。位相差が大きい=容量性が強い=\(X_C\) が大きい=\(C\) が小さい。60°は45°より大きいので、\(C\) は45°のときの 0.159 μF より小さいはず——0.092 なら妥当です。
⚠️ よくある間違い
\(X_C\) と \(C\) は反比例します。\(X_C\) を大きく求めたのに \(C\) も大きくなったら、どこかで逆数を取り忘れています。\(C=1/(2\pi fX_C)\) の形をしっかり書いてから代入してください。
💡 覚え方
インピーダンス三角形を描くのが最も確実です。横軸に \(R\)、縦軸に \(X_C\)、斜辺が \(|\dot Z|\)——\(\tan\phi\) は「縦 ÷ 横」だと図で確認できます。
深掘り:位相差と力率の関係
位相差 \(\phi=60^\circ\) なら、力率は \(\cos60^\circ=0.5\) です。この回路は皮相電力の半分しか有効電力として使えていないことになります。
| 位相差 \(\phi\) | \(\tan\phi=X_C/R\) | 力率 \(\cos\phi\) | 回路の性質 |
| 0° | 0 | 1 | 純抵抗 |
| 30° | 0.577 | 0.866 | 抵抗が優勢 |
| 45° | 1 | 0.707 | \(R=X_C\) |
| 60°(本問) | 1.732 | 0.5 | リアクタンスが優勢 |
| 90° | ∞ | 0 | 純リアクタンス |
\(R\) と \(X_C\) の比だけで位相差も力率も決まります。この表を頭に入れておくと、位相差が与えられた時点でインピーダンスの構成が見えます。
本問では \(R:X_C:|\dot Z|=1:\sqrt3:2\)——30-60-90度の直角三角形です。電験でよく出る比なので、\(\sqrt3\) が出てきたらこの三角形を思い浮かべてください。
⏱️ 本番での進め方
❶ インピーダンス三角形を描く。\(\tan\phi\) の分子・分母を図で確認。
❷ \(X_C\) を先に求める。\(C\) を直接求めようとしない。
❸ \(X_C\) と \(C\) は反比例。逆数を取り忘れない。
❹ 桁を予測する。\(X_C\) が \(10^3\) 台なら \(C\) は \(10^{-8}\) 台=0.0X μF。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| Xc | R·tan60°=1000√3≒1732Ω |
| C | 1/(2π·1000·1732) |
| 換算 | ≒9.2×10⁻⁸F |
| 答え | 0.092μF …(2) |
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