情報15【電験3種 機械】カルノー図から得た論理式をNAND・NOR回路で実現!平成23年度 B問題18 完全解説

電験3種 機械科目 情報 平成23年度 B問題18 簡単化した式を回路にする!NANDとNORで実現

今回は平成23年度 機械科目 B問題18を解説します。4変数のカルノー図から得られた論理式X=Ā・B̄+B̄・D+Ā・C・D+A・B・C̄・D̄を、NAND回路とNOT回路で実現する式(a)、NOR回路とNOT回路で実現する式(b)をそれぞれ選ぶ問題です。

ド・モルガンの定理を2回適用するのがポイントです。(a)は積和形式全体を二重否定にしてNAND-NOT実現の形に、(b)は各積項を(A+B)‾のような和の否定(NOR)の形に変形して実現します。

目次

平成23年度 機械科目 B問題18:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 情報 平成23年度 B問題18 問題文
平成23年度 機械科目 B問題18 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題18

電験3種 機械科目 【情報】 平成23年度 B問題18

 次のカルノー図から得られた結果Xは次式の論理式で示される。X = Ā・B̄ + B̄・D + Ā・C・D + A・B・C̄・D̄。次の(a)及び(b)の問に答えよ。(a) Xの式をNAND回路及びNOT回路で実現する論理式として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

 (b) Xの式をNOR回路及びNOT回路で実現する論理式として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(選択肢はいずれもX=[(Ā・B̄)‾・(B̄・D)‾・(Ā・C・D)‾・(A・B・C̄・D̄)‾]‾の形の二重否定NAND構成で,各項内の否定の付与位置が選択肢ごとに異なる。詳細は選択肢画像参照。)

(選択肢はいずれもX=(A+B)‾+(B+D̄)‾+(A+C̄+D̄)‾+(Ā+B̄+C+D)‾の形のOR否定(NOR)構成で,各項内の否定位置が選択肢ごとに異なる。詳細は選択肢画像参照。)

図 4変数(A,B,C,D)カルノー図(問題図)
図 4変数(A,B,C,D)カルノー図(問題図)

出題のポイント:ド・モルガンの定理を2回

与えられた式は4つの積項の和——これをNAND だけ、NOR だけで作り直すのが本問です。

ド・モルガンの定理
\( \overline{A\cdot B}=\overline{A}+\overline{B} \)、\( \overline{A+B}=\overline{A}\cdot\overline{B} \)

否定を外に出すと、AND とOR が入れ替わる

この定理さえあれば、AND とOR は相互に変換できます——「否定をくぐらせると、積と和が入れ替わる」と覚えてください。

(a) 積和形式をNAND-NAND へ

\( X=P_1+P_2+P_3+P_4 \)
4つの積項の和とおく
\( P_1=\overline{A}\,\overline{B} \) など
\( X=\overline{\overline{X}} \)
★二重否定にする
元の値は変わらない
\( =\overline{\overline{P_1+P_2+P_3+P_4}} \)
内側を展開
ド・モルガンを適用
\( =\overline{\overline{P_1}\cdot\overline{P_2}\cdot\overline{P_3}\cdot\overline{P_4}} \)
★NAND-NAND 構成
各項のNAND を最終NAND へ

できあがった形をよく見てください——内側の各 P̄ は「積の否定」=NAND全体も「積の否定」=NAND です。つまりNAND を2段並べただけになっています。

これが「積和形式はNAND だけで作れる」という定石——手順は「二重否定にして、内側にド・モルガン」の2手だけです。

図 4変数(A,B,C,D)カルノー図(問題図)
図 4変数(A,B,C,D)カルノー図(問題図)
論理式Xを構成するP1からP4の4つの積項一覧
P4はA、B、Cバー、Dバーの積です。4項を固定してからゲート形式へ変換します。

(b) NOR で作る場合

NOR で作るには、各積項を「和の否定」に書き換えます——やはりド・モルガンです。

\( P_1=\overline{A}\cdot\overline{B}=\overline{A+B} \)
積を和の否定へ
★これがNOR そのもの
\( P_2=\overline{B}\cdot D=\overline{B+\overline{D}} \)
同様に変形
否定の位置に注意
\( X=\overline{A+B}+\overline{B+\overline{D}}+\cdots \)
4項の和
NOR の出力をOR でまとめる

OR は「NOR してからNOT」で作れます——だから全体がNOR とNOT だけで実現できるのです。

各積項を作るNOR入力と最終NOR、NOTの処理順を示す表
各NOR入力のNOT位置を照合すると選択肢(3)です。最終NORの後にNOTを置いてORを実現します。
答え(a)の正解は (5)、(b)の正解は (3)です。

⚠️ よくある間違い
選択肢は上線(否定記号)の掛かる範囲が違うだけ——ぱっと見ではほとんど区別がつきません
「項全体に掛かっているか、1文字だけか」1項ずつ元の式と照合してください。とくに P4=A·B·C̄·D̄ の C と D の上線が要注意です。
指で1項ずつ押さえながら比べる——地道ですが、これが最も確実です。

なぜNAND やNOR だけで作るのか

AND・OR・NOT があれば何でも作れるのに、わざわざNAND だけで作る理由を考えてみましょう。

理由内容
部品が1種類で済む★在庫も設計も単純になる
IC の中で作りやすいNAND はトランジスタ4個。AND は6個必要
段数がそろう遅延の見積もりが正確になる

実はAND は「NAND の出力をNOT したもの」——回路としてはNAND のほうが素直なのです。だからIC の基本素子はNAND やNOR になっています。

NAND だけで、AND もOR もNOT もすべて作れる——これを「機能的完全性」といいます。NOR も同じく単独で完全です。

作りたいものNAND での作り方
NOT両入力を短絡(A と A のNAND)
ANDNAND の出力をNOT
OR★両入力をNOT してからNAND

OR がNAND で作れるのは、まさにド・モルガンの定理——Ā·B̄ の否定がA+B だからです。本問の変形は、この原理そのものを問うています。

⏱️ 本番での進め方
①(a) 二重否定にして内側にド・モルガン→NAND-NAND。
②(b) 各積項を「和の否定」に直す→NOR 構成。
③★選択肢は上線の範囲だけが違う。1項ずつ照合する。
④ 元の式を紙の端に書き写してから比べると速い。

💡 覚え方
「否定をくぐらせると、積と和が入れ替わる」——ド・モルガンの定理はこれだけ積和はNAND2段、和積はNOR2段 と対応づけて覚えましょう。

同じ論理式の簡単化は平成25年度 B問題18令和元年度 B問題18でも出題されています(平成25年度令和元年度)。3年度を続けて解けば、この分野は確実な得点源になります。

4つの積項を第1段NANDで反転し最終NANDへ入れるNAND-NAND構成
XはNOT(P1)からNOT(P4)までをANDした全体のNOTで、選択肢(5)です。

カルノー図から式へ戻る

問題文の式は、カルノー図から読み取ったもの——その手順も確認しておきましょう

手順やること注意点
1 のマスを2の累乗個でくくる1、2、4、8個の長方形
できるだけ大きくくくる★項が短くなる
重なってもよいすべての1 を覆えばよい
端どうしはつながっている★左端と右端、上端と下端

くくりが大きいほど、その項に現れる文字が減ります——4マスなら2文字、8マスなら1文字だから「できるだけ大きく」が簡単化の原則です。

本問の P4=A·B·C̄·D̄ は4文字——1マスだけの孤立した1 だったことが分かります。逆に P1=Ā·B̄ は2文字なので4マスのくくりです。

4変数カルノー図の並び順

行と列は 00、01、11、10 の順に並べます——00、01、10、11 ではありません

隣どうしが1ビットしか違わないように並べるのが決まり——これをグレイコードといいます。この並びだからこそ、隣接マスをくくると文字が消えるのです。

並び順を間違えると、まったく違う式になります——図を写すときは、まず外周の数字を確認してください。

まとめ

与式Ā・B̄+B̄・D+Ā・C・D+A・B・C̄・D̄
(a)の答えNAND-NOT構成 (5)
(b)の答えNOR-NOT構成 (3)
答え(a)-(5),(b)-(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・論理式を積和形式・和積形式に簡単化する(平成25年度):【機械】平成25年度B問題18
・カルノー図と分配則で論理式を簡単化する(令和元年度):【機械】令和元年度B問題18

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和元年度B問題18(情報14)
【機械】平成25年度B問題18(情報13)
【機械】平成28年度B問題18(情報12)
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