今回は平成23年度 機械科目 B問題18を解説します。4変数のカルノー図から得られた論理式X=Ā・B̄+B̄・D+Ā・C・D+A・B・C̄・D̄を、NAND回路とNOT回路で実現する式(a)、NOR回路とNOT回路で実現する式(b)をそれぞれ選ぶ問題です。
ド・モルガンの定理を2回適用するのがポイントです。(a)は積和形式全体を二重否定にしてNAND-NOT実現の形に、(b)は各積項を(A+B)‾のような和の否定(NOR)の形に変形して実現します。
平成23年度 機械科目 B問題18:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題18
電験3種 機械科目 【情報】 平成23年度 B問題18
次のカルノー図から得られた結果Xは次式の論理式で示される。X = Ā・B̄ + B̄・D + Ā・C・D + A・B・C̄・D̄。次の(a)及び(b)の問に答えよ。(a) Xの式をNAND回路及びNOT回路で実現する論理式として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(b) Xの式をNOR回路及びNOT回路で実現する論理式として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(選択肢はいずれもX=[(Ā・B̄)‾・(B̄・D)‾・(Ā・C・D)‾・(A・B・C̄・D̄)‾]‾の形の二重否定NAND構成で,各項内の否定の付与位置が選択肢ごとに異なる。詳細は選択肢画像参照。)
(選択肢はいずれもX=(A+B)‾+(B+D̄)‾+(A+C̄+D̄)‾+(Ā+B̄+C+D)‾の形のOR否定(NOR)構成で,各項内の否定位置が選択肢ごとに異なる。詳細は選択肢画像参照。)

出題のポイント:ド・モルガンの定理を2回
与えられた式は4つの積項の和——これをNAND だけ、NOR だけで作り直すのが本問です。
この定理さえあれば、AND とOR は相互に変換できます——「否定をくぐらせると、積と和が入れ替わる」と覚えてください。
(a) 積和形式をNAND-NAND へ
\( P_1=\overline{A}\,\overline{B} \) など
元の値は変わらない
ド・モルガンを適用
各項のNAND を最終NAND へ
できあがった形をよく見てください——内側の各 P̄ は「積の否定」=NAND、全体も「積の否定」=NAND です。つまりNAND を2段並べただけになっています。
これが「積和形式はNAND だけで作れる」という定石——手順は「二重否定にして、内側にド・モルガン」の2手だけです。


(b) NOR で作る場合
NOR で作るには、各積項を「和の否定」に書き換えます——やはりド・モルガンです。
★これがNOR そのもの
否定の位置に注意
NOR の出力をOR でまとめる
OR は「NOR してからNOT」で作れます——だから全体がNOR とNOT だけで実現できるのです。

⚠️ よくある間違い
選択肢は上線(否定記号)の掛かる範囲が違うだけ——ぱっと見ではほとんど区別がつきません。
「項全体に掛かっているか、1文字だけか」を1項ずつ元の式と照合してください。とくに P4=A·B·C̄·D̄ の C と D の上線が要注意です。
指で1項ずつ押さえながら比べる——地道ですが、これが最も確実です。
なぜNAND やNOR だけで作るのか
AND・OR・NOT があれば何でも作れるのに、わざわざNAND だけで作る理由を考えてみましょう。
| 理由 | 内容 |
| 部品が1種類で済む | ★在庫も設計も単純になる |
| IC の中で作りやすい | NAND はトランジスタ4個。AND は6個必要 |
| 段数がそろう | 遅延の見積もりが正確になる |
実はAND は「NAND の出力をNOT したもの」——回路としてはNAND のほうが素直なのです。だからIC の基本素子はNAND やNOR になっています。
NAND だけで、AND もOR もNOT もすべて作れる——これを「機能的完全性」といいます。NOR も同じく単独で完全です。
| 作りたいもの | NAND での作り方 |
| NOT | 両入力を短絡(A と A のNAND) |
| AND | NAND の出力をNOT |
| OR | ★両入力をNOT してからNAND |
OR がNAND で作れるのは、まさにド・モルガンの定理——Ā·B̄ の否定がA+B だからです。本問の変形は、この原理そのものを問うています。
⏱️ 本番での進め方
①(a) 二重否定にして内側にド・モルガン→NAND-NAND。
②(b) 各積項を「和の否定」に直す→NOR 構成。
③★選択肢は上線の範囲だけが違う。1項ずつ照合する。
④ 元の式を紙の端に書き写してから比べると速い。
💡 覚え方
「否定をくぐらせると、積と和が入れ替わる」——ド・モルガンの定理はこれだけ。積和はNAND2段、和積はNOR2段 と対応づけて覚えましょう。
同じ論理式の簡単化は平成25年度 B問題18や令和元年度 B問題18でも出題されています(平成25年度/令和元年度)。3年度を続けて解けば、この分野は確実な得点源になります。

カルノー図から式へ戻る
問題文の式は、カルノー図から読み取ったもの——その手順も確認しておきましょう。
| 手順 | やること | 注意点 |
| ① | 1 のマスを2の累乗個でくくる | 1、2、4、8個の長方形 |
| ② | できるだけ大きくくくる | ★項が短くなる |
| ③ | 重なってもよい | すべての1 を覆えばよい |
| ④ | 端どうしはつながっている | ★左端と右端、上端と下端 |
くくりが大きいほど、その項に現れる文字が減ります——4マスなら2文字、8マスなら1文字。だから「できるだけ大きく」が簡単化の原則です。
本問の P4=A·B·C̄·D̄ は4文字——1マスだけの孤立した1 だったことが分かります。逆に P1=Ā·B̄ は2文字なので4マスのくくりです。
4変数カルノー図の並び順
行と列は 00、01、11、10 の順に並べます——00、01、10、11 ではありません。
隣どうしが1ビットしか違わないように並べるのが決まり——これをグレイコードといいます。この並びだからこそ、隣接マスをくくると文字が消えるのです。
並び順を間違えると、まったく違う式になります——図を写すときは、まず外周の数字を確認してください。
まとめ
| 与式 | Ā・B̄+B̄・D+Ā・C・D+A・B・C̄・D̄ |
| (a)の答え | NAND-NOT構成 (5) |
| (b)の答え | NOR-NOT構成 (3) |
| 答え | (a)-(5),(b)-(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・論理式を積和形式・和積形式に簡単化する(平成25年度):【機械】平成25年度B問題18
・カルノー図と分配則で論理式を簡単化する(令和元年度):【機械】令和元年度B問題18

コメント