パワエレ36【電験3種 機械】降圧チョッパの負荷電流波形から環流ダイオード電流波形を選ぶ!平成22年 A問題10 完全解説

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 平成22年度 A問題10 負荷電流のうちダイオード分は?波形を切り出す

今回は平成22年度 機械科目 A問題10を解説します。降圧チョッパで、IGBT(Q)がT/2ずつオンオフしているときの負荷電流iRの波形が与えられたとき、ダイオードDに流れる電流iDの波形を選ぶ問題です。

QがONの間は電源ESから負荷に電力供給されiRは増加、DにはESで逆電圧が加わりiD=0です。QがOFFの間はLに蓄えたエネルギーがR→D→Lの経路で放出されiD=iRとなり、次第に減少していく鋸歯状波形になります。

目次

平成22年度 機械科目 A問題10:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 平成22年度 A問題10 問題文
平成22年度 機械科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題10

電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 平成22年度 A問題10

 図1は,降圧チョッパの基本回路である。オンオフ制御バルブデバイスQは,IGBTを用いており,T/2〔s〕の期間はオン,残りのT/2〔s〕の期間はオフで,周期T〔s〕でスイッチングし,負荷抵抗Rには図2に示す波形の電流iR〔A〕が流れているものとする。

 このとき,ダイオードDに流れる電流iD〔A〕の波形に最も近い波形は,図2の(1)から(5)のうちのどれか。

電流iDの波形候補(1)〜(5)は、下の問題図(図2)を参照してください。

図1 降圧チョッパの基本回路と図2 負荷電流波形・電流id候補
図1 降圧チョッパの基本回路と図2 負荷電流波形・電流id候補
平成22年度 A問題10 選択肢の波形(グラフ)
選択肢(1)〜(5)

出題のポイント:Qがオフの間だけダイオードが働く

降圧チョッパでは、スイッチQとダイオードDが交互に電流を受け持ちます両方が同時に導通することはありません——だからiDの波形は「Qがオフの期間だけ現れる」ことになります。

期間スイッチQダイオードD電流の経路iD
前半 T/2(Qオン)導通逆電圧がかかり非導通電源 → Q → L → R0
後半 T/2(Qオフ)遮断導通(還流)L → R → D → L の閉回路iR と同じ(減少していく)

Qがオンの間、ダイオードのアノード側には電源電圧が加わり、逆電圧の状態になります。だから導通できず、iD=0——電流はすべてQを通ります

Qをオフにすると、リアクトルの電流が行き場を失いますリアクトルの電流は急に変えられないので、電流を流し続けようとしてダイオードに順電圧をかけ、導通させる——これが還流(フリーホイール)です。

図1 降圧チョッパの基本回路と図2 負荷電流波形・電流id候補
図1 降圧チョッパの基本回路と図2 負荷電流波形・電流id候補
平成22年度 A問題10 選択肢の波形(グラフ)
選択肢(1)〜(5)
降圧チョッパでQオン中はダイオード電流0、Qオフ中は負荷電流と等しく減少する
環流ダイオード電流はQオフ区間だけに現れます。

還流中に電流が減っていく理由

Qオフの期間、電流はL→R→D→Lという閉回路を回りますこの回路には電源がありません——リアクトルに蓄えられたエネルギーだけで電流が流れている状態です。

抵抗Rでエネルギーが消費されるので、電流はしだいに減っていきます減り方は時定数 L/R で決まる指数関数——ただし周期が十分短ければ、ほぼ直線的に減少して見えます

還流期間の電流

\( i=I_0 e^{-t/(L/R)} \)

時定数 L/R で減衰——Lが大きいほどゆっくり減ります

逆にQオンの期間は、電源から電流が供給されて増加します。増えて減ってを繰り返すので、iR は鋸歯状の波形になる——これが問題の図2に示された負荷電流の波形です。

平成22年度機械A問題10、Qオフ区間だけに現れて徐々に減少するダイオード電流波形は選択肢5
答えは波形(5)です。
答え正解は (5)です。前半T/2 は iD=0、後半T/2 で iR と同じ形(減少していく)——この2条件を満たす波形を選びます

波形問題の絞り込み方

波形を選ぶ問題では、判定しやすい条件から順に当てはめるのが定石です。

確認する順見るところ正しい姿
電流が0になる期間があるか前半T/2 が0
0でない期間は増加か減少か減少(還流でエネルギーが消費される)
電流の大きさは iR と一致するか一致する(同じ電流が流れている)

☝️ ひっかけの作り方:QオンとQオフを取り違えるのが最頻の誤りです。「ダイオードが働くのはスイッチが休んでいる間」——2つが交代で仕事をしていると考えれば、向きを間違えません

また「増加する波形」を選んでしまう誤りもあります。還流中は電源から供給がないのですから、電流が増えることはありません——必ず減少です。

⏱️ 本番での進め方
① QオンならDは非導通(iD=0)、QオフならDが還流。
② 還流中は電源がないので電流は必ず減少する。
③ iD は iR の「後半だけを切り出した」形になる。
④ 0の期間があるか、増加か減少か、の2点で選択肢が絞れる。

💡 覚え方
「スイッチとダイオードは交代制」——どちらか一方だけが導通するそして「還流中は必ず減少」——この2つで波形が決まります

降圧チョッパのQオン時とQオフ時におけるダイオード電流と負荷電流の比較
QオンではiD=0、QオフではiD=iRです。

電流の分担を数字で確かめる

本問は通流率0.5(T/2 ずつ)です。ということは、負荷電流をスイッチQとダイオードDが半分ずつ受け持っている——平均値で見れば、それぞれ iR の平均の半分になります。

素子導通する期間平均電流通流率 d の一般形
スイッチQ前半 T/2負荷電流平均の 1/2\( d\,I_R \)
ダイオードD後半 T/2負荷電流平均の 1/2\( (1-d)I_R \)
負荷R常時iR の平均そのもの\( I_R \)

QとDの平均電流を足すと、必ず負荷電流の平均になります——負荷には途切れなく電流が流れており、その供給元が交代しているだけだからです

通流率が0.9 なら、Qが9割・Dが1割を受け持ちます逆に0.1 ならQが1割・Dが9割——この分担は素子の選定(電流定格)に直結します。

なぜ電源電流と負荷電流は違うのか

降圧チョッパでは、電源から流れる電流と負荷に流れる電流が違います電源はQがオンの間しか電流を出していない——だから電源電流の平均は、負荷電流の平均の d 倍になります。

\( I_{\text{電源}}=d\,I_R \)
電源電流
Qがオンの間だけ流れる
\( E I_{\text{電源}}=V_d I_R \)
電力保存
損失を無視すれば入力=出力
\( E\,d\,I_R=V_d I_R\ \Rightarrow\ V_d=dE \)
検算
降圧チョッパの公式が導ける

電力が保存されることから、降圧チョッパの公式 Vd=dE が導けます——公式を丸暗記しなくても、電流の分担から組み立て直せるのです。

「電圧は d 倍に下がり、電流は 1/d 倍に増える」——チョッパは直流版の変圧器のようなものだと考えると、電圧と電流の関係が腑に落ちます

昇圧チョッパではダイオードの役割が入れ替わる

降圧チョッパではQオン中にダイオードが休み、Qオフ中に働きました昇圧チョッパでは、この関係が逆になります——回路の形が違うので、当然と言えば当然です

降圧チョッパ(本問)昇圧チョッパ
スイッチQの位置電源と直列リアクトルの後ろで並列(負荷と並列)
Qオン中電源→Q→L→負荷。Dは逆電圧で休む電源→L→Q の閉路でLにエネルギーを蓄える。Dは逆電圧で休む
Qオフ中L→負荷→D→L で還流。電流は減少電源→L→D→負荷。Lの逆起電力が電源に上乗せされる
負荷への電流常時流れる(Lが直列)Qオフ中だけ流れる(だからCが必須)

どちらもQオン中はダイオードが休んでいる点は共通です。違うのは「Qオン中に負荷へ電流が流れるかどうか」——降圧では流れ、昇圧では流れません

だから昇圧チョッパには平滑コンデンサが不可欠でした。Qオン中の負荷電流をコンデンサが肩代わりする——この一点が、回路図から昇圧か降圧かを見分ける決め手になります。

波形の問題では「その素子がいつ働くか」を回路から読み取るのが第一歩です。スイッチとダイオードは必ず交代で働く——この原則さえ押さえれば、どちらのチョッパでも波形が描けます

まとめ

Qオン中iD=0
Qオフ中iD=iR(次第に減少)
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・直流チョッパ回路の基本構成図:【機械】令和4年度上期A問題10
・降圧チョッパの電流経路(令和6年度下期):【機械】令和6年度下期B問題16

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和4年度上期A問題10(パワエレ35)
【機械】令和3年度A問題11(パワエレ34)
【機械】令和2年度A問題10(パワエレ27)
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