今回は令和4年度上期 機械科目 A問題10を解説します。直流チョッパ回路の基本構成図に、降圧チョッパを構成するデバイス(トランジスタ・リアクトル・ダイオード)を正しく配置する問題です。
降圧チョッパは電源→スイッチ(トランジスタ)→リアクトル→負荷という構成で、還流ダイオードが並列に入ります。図2のA=ダイオード、B=リアクトル、C=トランジスタを図1の位置(ア)〜(ウ)に当てはめます。
令和4年度上期 機械科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題10
電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 令和4年度上期 A問題10
図1は直流チョッパ回路の基本構成図を示している。降圧チョッパを構成するデバイスを図2より選んで回路を構成したい。(ア)〜(ウ)に入るデバイスの組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,図2に示す図記号の向きは任意に変更できるものとする。
(ア)〜(ウ)に入るデバイスの組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) B A C (2) B C A (3) C A B (4) C B A (5) A B C


出題のポイント:3つの位置に3つの役割
降圧チョッパは、スイッチ・リアクトル・還流ダイオードの3つで構成されます。それぞれがどこに入るかは、役割から決まる——丸暗記ではなく、動作から考えれば配置は導けます。
| 位置 | 入るデバイス | 役割 | なぜそこか |
| (ア)電源に直列 | トランジスタ(スイッチ) | 電源から負荷への電流を断続する | 電源を切ったり入れたりする位置 |
| (イ)負荷に直列 | リアクトル | 電流を平滑し、オフ期間も流し続ける | 負荷電流を連続させる位置 |
| (ウ)負荷に並列 | ダイオード | オフ期間にリアクトル電流を還流させる | 閉ループを作る位置 |
スイッチが電源と直列なのは、電源からの電流を切るためです。並列に入れたら電源を短絡してしまう——位置が決まる理由は明快です。
リアクトルが負荷と直列なのは、負荷電流を途切れさせないためです。スイッチがオフになっても、リアクトルが電流を流し続けようとする——だから負荷には連続的に電流が流れます。
ダイオードは、その還流電流の通り道です。スイッチがオフのとき、リアクトル→負荷→ダイオード→リアクトルという閉ループができる——だから負荷と並列の位置に入ります。



2つの期間で電流の経路を追う
| 期間 | 電流の経路 | リアクトルの状態 |
| スイッチ オン | 電源 → スイッチ → リアクトル → 負荷 → 電源 | エネルギーを蓄える(電流が増える) |
| スイッチ オフ | リアクトル → 負荷 → ダイオード → リアクトル | エネルギーを放出(電流が減る) |
オン期間は電源から、オフ期間はリアクトルから電力が供給される——だから負荷には途切れなく電流が流れます。降圧チョッパにコンデンサが必須でないのは、この構造のおかげです。
ダイオードの向きも決まります。還流電流が流れる向きに順方向——負極側がアノード、スイッチとリアクトルの接続点側がカソードです。逆向きに入れると、スイッチがオンのとき電源を短絡してしまいます。

昇圧チョッパでは配置が変わる
同じ3つのデバイスでも、配置を変えれば昇圧チョッパになります。どこに何を置くかで、まったく違う働きをするのがチョッパ回路の面白いところです。
| 降圧チョッパ(本問) | 昇圧チョッパ | |
| リアクトル | スイッチの後ろ(負荷と直列) | 電源の直後(電源と直列) |
| スイッチ | 電源と直列 | リアクトルの後ろで並列 |
| ダイオード | 負荷と並列(還流用) | スイッチと負荷の間に直列(逆流防止) |
| コンデンサ | なくてもよい | ★必須(オン中の負荷電流を供給) |
昇圧チョッパではリアクトルが電源側にあります。スイッチをオンにするとリアクトルが電源に短絡され、エネルギーを蓄える——オフにするとその逆起電力が電源に上乗せされて出力に現れるという動作です。
この構成では、スイッチがオンの間は負荷へ電流が流れません。だからコンデンサが必須——「コンデンサがあるほうが昇圧」という見分け方の理由がここにあります。
⏱️ 本番での進め方
① スイッチは電源と直列(並列だと短絡)。
② リアクトルは負荷と直列(電流を連続させる)。
③ ダイオードは負荷と並列(還流路を作る)。
④ ダイオードの向きは還流電流に順方向。逆だと短絡する。
💡 覚え方
「切るものは直列、逃がすものは並列」——スイッチは電流を切るので直列、ダイオードは電流を逃がすので並列。リアクトルは電流を保つので負荷と直列——役割から位置が決まります。

図記号から素子を読み取る
本問では図2に示された3つの記号を、図1の位置に当てはめました。パワエレの問題では図記号が読めることが前提——主要な記号は整理しておきましょう。
| 素子 | 記号の特徴 | 端子 |
| ダイオード | 三角形と棒。矢印の向きが順方向 | 2端子(アノード・カソード) |
| サイリスタ | ダイオードの記号にゲート端子が付く | 3端子(アノード・カソード・ゲート) |
| トランジスタ/IGBT | 縦棒に矢印。ゲート(ベース)が横から入る | 3端子 |
| リアクトル | コイル状の曲線 | 2端子 |
| コンデンサ | 平行な2本の線 | 2端子 |
端子の数を数えるだけでも、かなり絞れます。制御端子があるのはサイリスタとトランジスタ/IGBT——受動素子(リアクトル・コンデンサ)とダイオードは2端子です。
チョッパ回路の象限動作
本問の降圧チョッパは、電流も電圧も一方向です。これを1象限チョッパと呼びます。デバイスを増やせば、電流や電圧の向きを反転させることもできます。
| 形式 | 電圧の向き | 電流の向き | できること |
| 1象限チョッパ(本問) | 片方向 | 片方向 | 力行のみ |
| 2象限チョッパ | 片方向 | 両方向 | 力行+回生 |
| 4象限チョッパ | 両方向 | 両方向 | 正転・逆転とも力行・回生ができる |
電気自動車や電車では、減速時にエネルギーを電源へ返したい——そのためには電流を逆向きに流せる2象限以上の構成が必要です。回生ブレーキが使えるかどうかは、チョッパの構成で決まるのです。
本問の3素子構成は最も基本的な形ですが、スイッチとダイオードを対にして増やしていけば、より自由な制御ができる——基本形を理解しておけば、応用形も読み解けます。
チョッパ回路の3つの基本形
スイッチとダイオード、リアクトルの配置で動作が決まります——3種類を並べて覚えるのが確実です。
| 方式 | 出力電圧 | スイッチの位置 | 用途 |
| ★降圧チョッパ | ★入力より低い | 電源と負荷の間(直列) | 電車の速度制御 |
| ★昇圧チョッパ | ★入力より高い | リアクトルの後(並列) | 太陽光発電の昇圧 |
| 昇降圧チョッパ | どちらも可(極性反転) | 両者の組合せ | 電源装置 |
どちらの式も α=0 で確かめられます——降圧なら0、昇圧なら Vi。スイッチを閉じない状態を考えれば、式の形が正しいか判断できます。
リアクトルが電流を平滑し、ダイオードが還流路をつくる——この2つがないとチョッパは成立しません。配置図の問題では、まずこの2部品の位置を確認してください。
まとめ
| (ア) | C(トランジスタ) |
| (イ) | B(リアクトル) |
| (ウ) | A(ダイオード) |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・昇降圧チョッパの定常動作:【機械】令和3年度A問題11
・降圧チョッパの環流ダイオード電流波形:【機械】平成22年度A問題10

コメント