今回は平成24年度 機械科目 A問題10を解説します。単相全波サイリスタ整流回路で、制御遅れ角αに対する出力直流電圧Vdの関係を表すグラフを選ぶ問題です。
平均値は Vd=(√2/π)Va(1+cosα)=0.900Vacos²(α/2)。Va=100Vを代入した Vd=90.0cos²(α/2) の滑らかなS字カーブを選びます。
平成24年度 機械科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題10
電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 平成24年度 A問題10
交流電圧 va〔V〕の実効値 Va〔V〕が100〔V〕で,抵抗負荷が接続された図1に示す半導体電力変換装置において,図2に示すようにラジアンで表した制御遅れ角 α〔rad〕を変えて出力直流電圧 vd〔V〕の平均値 Vd〔V〕を制御する。
度数で表した制御遅れ角 α〔°〕に対する Vd〔V〕の関係として,適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし,サイリスタの電圧降下は,無視する。
選択肢のグラフ (1)〜(5) は、下の問題図(図2の下段)を参照してください。


出題のポイント:3点だけ計算すればグラフが決まる
グラフを選ぶ問題では、全体を再現する必要はありません。特徴的な数点を計算して、当てはまるグラフを探す——本問なら α=0°、90°、180° の3点で十分です。
導通はαからπまで
—
Va=100 V
| 制御角 α | 1+cos α | Vd |
| 0° | 2 | 90 V |
| 60° | 1.5 | 67.5 V |
| 90° | 1 | 45 V |
| 120° | 0.5 | 22.5 V |
| 180° | 0 | 0 V |
α=0°で90 V、α=90°で45 V、α=180°で0 V——この3点を通る単調減少の滑らかな曲線を選びます。とくに中央の90°でちょうど半分(45 V)になるのが判定の決め手です。



直線ではなく cos² の曲線
半角公式 1+cos α=2cos2(α/2) を使うと、式がきれいになります。
半角公式
Va=100 V
cos2 の形ですから、グラフは直線ではありません。α=0付近ではなだらか、90°付近で最も急、180°付近でまたなだらか——S字を裏返したような形になります。
直線的に減少するグラフを選ぶのが典型的な誤りです。3点だけなら直線でも通ってしまう——だから60°や120°も確認すると確実になります。
| α | 正しい Vd | 直線だとしたら | 差 |
| 45° | 76.8 V | 67.5 V | 正しい曲線のほうが上 |
| 90° | 45 V | 45 V | 一致 |
| 135° | 13.2 V | 22.5 V | 正しい曲線のほうが下 |
前半は直線より上、後半は下——これが cos2 曲線の特徴です。グラフの形をこの観点で見比べれば、直線との違いが分かります。

なぜ0.9V が最大値なのか
α=0 のとき Vd=0.9Va=90 Vになります。これはダイオード全波整流の平均電圧と同じ——サイリスタを最初から点弧すれば、ダイオードと同じ動作だからです。
| 整流方式 | 平均出力電圧(α=0) | 100 V なら |
| 単相半波 | 0.45V | 45 V |
| 単相全波 | 0.9V | 90 V |
| 三相半波 | 1.17V | 117 V |
| 三相全波 | 1.35V | 135 V |
この4つの係数は、整流回路の問題で繰り返し使います。全波は半波の2倍、三相は単相より大きい——山の数が多いほど平均が上がるという関係で覚えられます。
⏱️ 本番での進め方
① Vd=0.45Va(1+cos α)。Va=100 なら45(1+cos α)。
② α=0°で90 V、90°で45 V、180°で0 V。3点で判定。
③ cos2 の曲線なので直線ではない。前半は直線より上。
④ α=0 の値がダイオード全波と一致するかで検算できる。
💡 覚え方
「単相全波は0.9Vaから始まり、cos2(α/2) で0まで落ちる」——90°でちょうど半分。グラフ問題は、特徴的な3点を計算して当てはめるのが最短です。

グラフを選ぶ問題の攻め方
グラフの選択問題は、計算そのものより「どこを見るか」が勝負です。全体を再現しようとすると時間がかかる——特徴的な点だけを押さえるのが効率的です。
| 見るところ | 本問での確認内容 |
| 両端の値 | α=0°で90 V、α=180°で0 V |
| 中央の値 | α=90°で45 V(ちょうど半分) |
| 増加か減少か | 単調減少 |
| 曲線の凹凸 | 前半はなだらか、中央で急、後半でまたなだらか |
両端と中央の3点で、たいていの選択肢は落とせます。それでも残るときに、凹凸の形を見る——この順序で進めれば無駄がありません。
なぜ90°で半分になるのか
Vd=45(1+cos α) ですから、α=90°では cos 90°=0——1+0=1 となり、最大値90 V のちょうど半分の45 Vになります。
この「中央でちょうど半分」という性質は、cos の対称性から来ています。cos α は 0°で1、90°で0、180°で−1——90°を中心に上下対称だからです。
だから 1+cos α も、0°で2、90°で1、180°で0 と等間隔になります。値そのものは等間隔でも、グラフの形は直線ではない——その中間の変化のしかたが cos2 の形です。
3点だけでは直線と区別がつかないので、45°や135°も確認すると確実になります。45°では76.8 V(直線なら67.5 V)——明確に上に膨らんでいることが分かります。
まとめ
| 平均値の式 | Vd=(√2/π)Va(1+cosα) |
| cos²形 | =0.900Va·cos²(α/2) |
| Va=100V | Vd=90.0cos²(α/2) |
| 該当グラフ | (5) |
| 答え | (5) |
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