今回は平成22年度 機械科目 A問題7を解説します。低圧進相コンデンサに直列接続する直列リアクトルのインダクタンスを求める計算問題です。
リアクトルの端子電圧は「コンデンサ定格電圧−回路電圧」。1相分の相電圧の差を定格電流で割ってリアクタンスを求め、\(L=X_L/(2\pi f)\)でインダクタンスにします。
平成22年度 機械科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題7
電験3種 機械科目 【保護機器】 平成22年度 A問題7
力率改善の目的で用いる低圧進相コンデンサは,下の図のように直列に6〔%〕のリアクトルを接続することを標準としている。このため,回路電圧 \(V_L\)〔V〕の設備に用いる進相コンデンサの定格電圧 \(V_N\)〔V〕は,\(V_N=\dfrac{V_L}{1-\frac{L}{100}}\) で与えられる値となる。ここで \(L\) は組み合わせて用いる直列リアクトルの%リアクタンスであり,\(L=6\) である。
これから,回路電圧220〔V〕(相電圧127.0〔V〕)の三相受電設備に用いる進相コンデンサでは,コンデンサの定格電圧を234〔V〕(相電圧135.1〔V〕)とする。
定格設備容量50〔kvar〕,定格周波数50〔Hz〕の進相コンデンサ設備を考える。その定格電流は131〔A〕となる。この進相コンデンサ設備に直列に接続するリアクトルのインダクタンス〔mH〕(1相分)の値として,最も近いのは次のうちどれか。
(1)0.20 (2)0.34 (3)3.09 (4)3.28 (5)5.35〔mH〕
なぜコンデンサの定格電圧が回路電圧より高いのか
220 V の回路に234 V のコンデンサ——一見おかしいようですが、理由があります。
直列につながれたリアクトルとコンデンサでは、電圧が逆位相——リアクトルは進み、コンデンサは遅れ。互いに打ち消し合うのです。
★逆位相だから
★問題文の式そのもの
問題文の VN=VL/(1−L/100) は、まさにこの関係——回路電圧より6 % 分だけ高い電圧がコンデンサにかかるのです。
だからコンデンサの定格電圧を上げておく必要がある——220 V 用のコンデンサを使うと過電圧になります。直列リアクトルを入れるときの必須の配慮です。

計算する
1相分で考えます——線間電圧を√3 で割って相電圧にしてから引き算します。
★差を取る
★約0.20 mH
差を先に取ってから√3 で割ってもよい——(234−220)/√3=14/1.732=8.08 V。こちらのほうが計算が1回で済みます。
別解:6 % から直接求める
リアクトルの電圧はコンデンサ電圧の6 %——この関係を使うこともできます。
★同じ値
引き算をしなくても求まります——「6 %」という数値の意味を理解していれば、こちらのほうが速いでしょう。

⚠️ よくある間違い
相電圧に直さず、線間電圧のまま計算する——14/131=0.107 Ω→0.34 mH となり、選択肢(2)にぴったり落ちます。
1相分のリアクトルを求めるのですから、相電圧を使うのが正しい——√3 の1回分(1.73倍)のずれです。
電流131 A は線電流——リアクトルは各線に直列に入るので、そのまま使ってよいのです。「電圧は相、電流は線」という組合せになります。
もう1つ、2πf を掛けてしまうと0.0618×314=19.4——桁がまるで違うので気づけるはずです。XL=2πfL なので、L=XL/(2πf) です。
定格電流131 A を確かめる
問題文に与えられていますが、自分でも出せます——三相の無効電力の式から求まります。
★確かに一致
「定格設備容量50 kvar」は、リアクトルを含めた設備全体の値——だから回路電圧220 V で計算します。問題文の「コンデンサと直列リアクトルを組み合わせた設備の…無効電力」という説明が、それを示しています。
コンデンサ単体の容量とは違う——リアクトルが6 % 分を打ち消しているので、コンデンサ自体はもう少し大きな容量を持っています。
⏱️ 本番での進め方
①コンデンサ電圧は回路電圧より高い(234 V)。逆位相だから。
②★相電圧に直してから差を取る。線間のままだと(2)に落ちる。
③XL=V/I、L=XL/(2πf)。★割り算。
④★別解:リアクトル電圧=コンデンサ相電圧×0.06。
💡 覚え方
「直列LC では電圧が引き算」——だからコンデンサには回路電圧より高い電圧がかかる。そして「電圧は相、電流は線」——三相回路の計算で迷わないための組合せです。
6 % という数値の根拠は平成21年度 A問題8にあります(保護機器:直列リアクトルの使用目的と6%)。理論と計算をセットで押さえてください。

三相回路の計算で迷わないために
本問は「相電圧」と「線電流」を組み合わせて使います——ここを整理しておきましょう。
| 結線 | 線間電圧と相電圧 | 線電流と相電流 |
| ★Y(星形) | ★線間=√3×相 | 線=相 |
| Δ(三角) | 線間=相 | ★線=√3×相 |
本問のリアクトルは各線に直列——だからリアクトルに流れるのは線電流131 A。そのまま使えます。
一方、電圧は大地基準の相電圧で考えます——だから220 V と234 V を√3 で割るのです。「電圧は相、電流は線」という組合せになります。
なぜ相電圧で考えるのか
1相分のリアクトルを求めたいからです——三相全体ではなく、1つのリアクトルのインダクタンスを問われています。
1相分の等価回路は、相電圧を電源とする単相回路——そこにリアクトルとコンデンサが直列に入ると考えます。三相の問題を単相に還元するのが、計算の基本です。
もし線間電圧のまま計算すると、√3 倍の答え——0.34 mH(選択肢(2)) になります。選択肢に用意されているので、必ず相電圧に直してください。
値の妥当性を確かめる
0.20 mH という答え——直感的に確かめる方法があります。
| 量 | 値 | 確認 |
| XC(コンデンサ) | 135.1/131=1.03 Ω | — |
| ★XL(リアクトル) | ★1.03×0.06=0.062 Ω | ★計算値と一致 |
| L | 0.062/314=0.20 mH | — |
コンデンサのリアクタンスを先に求め、その6 % を取る——これでも同じ答えになります。2通りで一致すれば安心です。
2πf=2π×50=314——50 Hz なら314、60 Hz なら377。この2つは暗記しておくと計算が速くなります。
低圧回路のリアクトルは小さい
0.2 mH という値は、かなり小さなインダクタンス——低圧回路で大電流が流れるからです。
電圧が低く電流が大きいほど、インピーダンスは小さくなります——X=V/I ですから当然です。高圧のコンデンサ設備なら、リアクトルはmH〜数十mH のオーダーになります。
答えの桁が妥当かどうか——電圧と電流の大きさから見当をつけられるようにしておくと、桁違いの誤答を避けられます。
まとめ
| 相電圧の差 | \((234-220)/\sqrt3\fallingdotseq8.08\)V |
| リアクタンス \(X_L\) | ≒0.0617Ω |
| インダクタンス \(L\) | ≒0.196mH |
| 答え | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・直列リアクトルの使用目的:【機械】平成21年度A問題8
・電力用コンデンサ:【機械】平成29年度A問題9

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