今回は平成19年度 機械科目 A問題8を解説します。遮断器の機能と種類(油・真空・ガス遮断器と断路器の違い)を問う穴埋め問題です。
遮断器は短絡などの故障電流を遮断する開閉器。単に充電電路を開閉するのが断路器です。22kV以下では防火・保守性から油遮断器に代わり真空遮断器が主流です。
問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題8
遮断器は送配電線や変電所母線,電気機器などの(ア)故障時にその回路を遮断するための開閉器であるが,平常時は回路の開閉操作にも用いられる。
電路を開閉する装置として他に(イ)があり,単に充電された電路を開閉するためのみに用いられる。
遮断器にはいくつか種類があるが,22〔kV〕以下のものでは(ウ)及び保守性から従来の(エ)遮断器に代わって,真空遮断器が用いられている。また,22〔kV〕を超えるものには優れた遮断性をもつSF₆(六ふっ化硫黄)ガスを使用したガス遮断器が多く用いられている。空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる語句として正しいものを組み合わせたのはどれか。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 断線 断路器 防音 油 (2) 短絡 負荷開閉器 防火 油 (3) 断線 断路器 防火 空気 (4) 短絡 断路器 防火 油 (5) 断線 負荷開閉器 防音 空気
(ア)(イ) 遮断器と断路器の違い
「何を切れるか」で役割がはっきり分かれます——断路器は電流を切れません。
| 装置 | 故障電流を切れるか | 負荷電流を切れるか | 役割 |
| ★遮断器(CB) | ★切れる | 切れる | ★事故時の遮断+平常時の開閉 |
| 負荷開閉器(LBS) | ✕ | ★切れる | 平常時の開閉(ヒューズと併用) |
| ★断路器(DS) | ✕ | ★✕ | ★無電流で回路を切り離す |
断路器は「充電された電路を開閉するためのみ」——問題文のとおりです。電流が流れていない状態でしか操作できません。
だから点検のときは、まず遮断器で電流を切り、そのあと断路器を開く——この順序が絶対です。逆にすると大きなアークが発生し、重大事故になります。
誤操作を防ぐため、遮断器が開いていないと断路器を操作できない仕組み(インターロック)が設けられています。
(ア)は「短絡」——遮断器が遮断するのは故障電流です。「断線」では電流が流れないので、遮断する必要がありません。

(ウ)(エ) 消弧媒体で分類する
遮断器の種類は「アークを何で消すか」で決まります——その媒体が名前になっています。
| 種類 | 消弧媒体 | 適用電圧 | 現状 |
| 油遮断器(OCB) | 絶縁油 | 〜数十kV | ★火災の危険と保守の手間で減少 |
| ★真空遮断器(VCB) | ★高真空 | ★24 kV 以下 | ★中位電圧の主流 |
| ガス遮断器(GCB) | ★SF6 ガス | ★22 kV 超〜超高圧 | 高電圧の主流 |
| 空気遮断器(ABB) | 圧縮空気 | 高圧 | 騒音が大きく減少 |
油遮断器の欠点は火災の危険——絶縁油は可燃物だからです。また油の劣化を点検・交換する必要があり、保守が大変でした。
だから「防火及び保守性から」真空遮断器に置き換わった——(ウ)は防火です。「防音」は空気遮断器の欠点——本問の文脈には合いません。
SF6 ガスの性質
| 性質 | 内容 |
| 絶縁耐力 | ★同じ圧力の空気の約3倍 |
| 消弧能力 | ★空気の100倍以上 |
| 安定性 | 無色無臭・不燃性・化学的に安定 |
| 課題 | ★強力な温室効果ガス(CO2 の約2万倍) |
優れた性質のおかげで機器を小型化できます——ガス絶縁開閉装置(GIS)が代表例です。ただし温室効果が非常に強いので、回収・再利用が義務づけられています。

⚠️ よくある間違い
(イ)を「負荷開閉器」としてしまう——選択肢(2)(5)がそれです。
問題文は「単に充電された電路を開閉するためのみ」——負荷開閉器は負荷電流を切れるので、「のみ」という限定に合いません。
(ア)を「断線」とする選択肢(1)(3)(5)——断線したら電流は流れません。遮断器が守るのは短絡や地絡の大電流 です。
(ア)だけで3つ落ちる——残る(2)(4)の違いは(イ)。2手で確定します。
⏱️ 本番での進め方
①(ア) 遮断器が切るのは★短絡などの故障電流。
②(イ)「〜のみ」=断路器。負荷開閉器は負荷電流を切れる。
③(ウ)(エ) 油遮断器は火災の危険→真空遮断器へ。
④22 kV 以下は真空、超えるとSF6 ガス。
💡 覚え方
「断路器は電流を切れない」——遮断器で切ってから開くのが鉄則。そして「油は燃える、真空は燃えない」——防火が置き換えの理由です。
真空遮断器の詳細は平成22年度 A問題9にあります(保護機器:真空遮断器(VCB))。

遮断器に求められる性能
「電流を切る」という単純な機能ですが——短絡電流は数万A に達することがあります。
| 性能 | 内容 | なぜ必要か |
| 定格遮断電流 | ★切れる最大の電流 | 短絡電流を上回る必要がある |
| 定格遮断時間 | 指令から遮断までの時間 | ★短いほど機器の損傷が小さい |
| 定格電圧・電流 | 常時使える範囲 | 平常運転の条件 |
遮断時間は3〜5サイクル(60〜100 ms)が一般的——短絡が続くほど、機器や電線の損傷が広がるからです。
電流を切るには、必ずアークが発生します——接点が離れても、そこに導電路ができてしまうのです。これをいかに速く消すかが、遮断器の技術の中心になります。
交流だから切れる
交流は1周期に2回、電流がゼロになります——その瞬間ならアークが消えやすいのです。
直流には電流零点がありません——だから直流の遮断は交流よりはるかに難しいことになります。直流送電の実用化が遅れた理由の1つでもあります。
受電設備での並び順
高圧受電設備では、これらの機器が決まった順に並びます——並び順に意味があるのです。
| 順 | 機器 | 役割 |
| ① | ★断路器(DS) | ★点検時に電源から切り離す |
| ② | 計器用変成器(VT・CT) | 電圧・電流を測る |
| ③ | ★遮断器(CB) | ★事故時に電流を遮断 |
| ④ | 変圧器など | 負荷へ供給 |
断路器が電源側にある——遮断器を点検するときに、その電源側を切り離すためです。断路器より負荷側は、すべて無電圧にできることになります。
操作の順序は「切るときは負荷側から、入れるときは電源側から」——切:遮断器→断路器、入:断路器→遮断器。常に断路器が無電流の状態で操作されるようになっています。
避雷器と保護継電器
受電設備には避雷器(LA)も設置されます——雷サージから機器を守るためです。
また、遮断器を動作させる指令を出すのが保護継電器(リレー)——遮断器は「手足」、継電器は「頭脳」にあたります。継電器が異常を検出し、遮断器が実際に電流を切るという分担です。
消弧の原理を4方式で比べる
「アークをどう消すか」——方式ごとに考え方がまるで違います。
| 方式 | 消弧の仕組み | 長所 | 短所 |
| 油遮断器 | 油が分解して出る水素で冷却 | 構造が簡単 | ★火災の危険・油の保守 |
| ★真空遮断器 | ★金属蒸気が真空へ拡散 | ★長寿命・保守が容易 | サージ電圧が高い |
| ガス遮断器 | SF6 が電子を吸着 | ★遮断性能が高い | 温室効果ガス |
| 空気遮断器 | 圧縮空気を吹き付ける | 油を使わない | ★騒音・圧縮機が必要 |
油遮断器は、油そのものが消弧に働いています——アークの熱で油が分解し、冷却能力の高い水素ガスが出るのです。ところがその油が燃える危険と隣り合わせでした。
SF6 は電子をつかまえる性質(電子親和力)が強い——アーク中の自由電子を吸着して、導電性を失わせます。だから優れた消弧能力を持つのです。
「防音」が問題になるのは空気遮断器——圧縮空気を吹き出すので大きな音が出ます。本問の(ウ)が「防音」でないのは、油遮断器の話だからです。
22 kV という境目
問題文が「22 kV 以下」「22 kV を超えるもの」と分けている——電圧階級で機器が変わるのです。
| 電圧 | 代表的な用途 | 主な遮断器 |
| 6.6 kV | ★高圧受電、配電線 | ★真空遮断器 |
| 22/33 kV | 特別高圧受電 | 真空/ガス |
| 66/77 kV 以上 | 送電線、変電所 | ★ガス遮断器 |
電験3種で最もよく扱うのは6.6 kV——高圧受電設備の電圧です。ここでは真空遮断器が標準だと押さえておきましょう。
電圧が高くなるほど、アークを消すのが難しくなります——接点を離しても、そこに高い電圧がかかり続けるから。だから高電圧ほど強力な消弧媒体が要るのです。
まとめ
| (ア) | 短絡 |
| (イ) | 断路器 |
| (ウ) | 防火 |
| (エ) | 油 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・真空遮断器(VCB):【機械】平成22年度A問題9
・保護コンデンサ:【機械】平成18年度A問題7

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