同期機22【電験3種 機械】並行運転する発電機の回転速度!令和5年下期 A問題6 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 令和5年度下期 A問題6 並行運転するには周波数を合わせる!回転速度は?

今回は令和5年度下期 機械科目 A問題6を解説します。並行運転させる同期発電機の回転速度を、周波数一致の条件から求める問題です。

並行運転の条件「周波数が等しい」を使い、\(N=120f/p\) で回転速度を逆算します。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題6

 回転速度600 min-1で運転している極数10の同期発電機がある。この発電機に極数8の同期発電機を並行運転させる場合,極数8の発電機の回転速度[min-1]の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 400 (2) 550 (3) 750 (4) 950 (5) 1 200

出題のポイント:並行運転で一致するのは周波数

この問題は「並行運転=回転速度が同じ」という思い込みを試しています一致させるのは周波数であって、回転速度ではありません——極数が違えば、同じ周波数でも回転速度は違います

周波数と回転速度と極数

\( f=\dfrac{pN}{120} \;\Longleftrightarrow\; N=\dfrac{120f}{p} \)

周波数が同じなら pN=一定——極数と回転速度は反比例

この関係を「行き」と「帰り」の両方向で使えるようにしておくのが本問の要点です。

10極600回転毎分の発電機と8極発電機が共通母線50ヘルツで並行運転する図
極数が異なっても、並行運転時の周波数は共通です。

2ステップで解く

\( f=\dfrac{p_1N_1}{120}=\dfrac{10\times600}{120}=50\ \mathrm{Hz} \)
❶ 共通の周波数
10極・600 min−1 の機械から周波数を割り出す
\( N_2=\dfrac{120f}{p_2}=\dfrac{120\times50}{8}=750\ \mathrm{min^{-1}} \)
❷ 8極機の回転速度
同じ50 Hz で運転する
答え8極機の回転速度 750 min−1(3)

比で解くこともできます。pN が一定なのですから、10×600=8×N2 より N2=6 000/8=750——周波数を経由せずに1行で終わります

同じ周波数で極数と回転速度の積が一定となり8極機が750回転毎分になる計算図
極数が10から8へ減るため、回転速度は600から750 min⁻¹へ増えます。
令和5年下期機械A問題6で共通周波数50ヘルツから8極機の回転速度750回転毎分を求める図
8極機の回転速度は750 min⁻¹となり、正解は(3)です。

方向で選択肢を絞る

計算する前に、答えの方向は決まっています。極数が10から8へ減るのですから、回転速度は速くなるはずです。

選択肢600 との比較判定
(1) 400遅い✗ 極数が減ったのに遅くなるのはおかしい
(2) 550遅い✗ 同上
(3) 750600×10/8=750○ 正解
(4) 950速すぎる✗ 10/8=1.25倍を超えている
(5) 1 2002倍✗ 極数が半分の5極でないと出ない値

「極数が減れば速くなる」という一点で(1)(2)が消えます。さらに倍率が10/8=1.25倍だと分かれば、(3)しか残りません——方向と倍率の見当だけで答えが出る問題です。

同じ系統につながる発電機は、速度がばらばらでよい

この問題が示している事実は、実務でも重要です。同じ系統につながっている発電機は、まったく違う回転速度で回っています

発電機極数回転速度(50 Hz)周波数
タービン発電機2極3 000 min−150 Hz
本問の8極機8極750 min−150 Hz
本問の10極機10極600 min−150 Hz
低速の水車発電機48極125 min−150 Hz

3 000 min−1 の機械と125 min−1 の機械が、同じ系統で仲良く並列運転している——速度は24倍も違うのに、周波数は同じです。

系統でそろえなければならないのは、電気的な量(電圧・周波数・位相)だけです。機械的な回転速度は、その発電機の都合で自由に決めてよい——だから原動機に合わせて極数を選べます

水車は遅く、タービンは速い——それぞれに最適な速度で回しながら、極数を調整することで同じ周波数を作るNs=120f/p という式は、この自由度を保証している式だと言えます。

⏱️ 本番での進め方
並行運転で一致するのは周波数——回転速度ではない。
pN=120f=一定。比で1行で解ける(10×600=8×N2)。
極数が減れば速くなる——方向だけで2肢消える。
倍率は10/8=1.25倍。600×1.25=750。

💡 覚え方
「並行運転=周波数一致。f=pN/120 で共通周波数、N=120f/p で逆算」周波数が同じなら pN が一定なので極数と回転速度は反比例同じ系統に3 000 min−1 の機械と125 min−1 の機械が並列できる——そろえるのは電気的な量だけ

⚠️ よくある間違い
「回転速度が等しい」と思い込んで600 に近い値を選ぶのが本問の狙いです。並行運転の条件は電圧・周波数・位相・相回転で、回転速度は含まれていません。もう一つは倍率を8/10=0.8倍と逆にすること——極数が減れば速くなると方向で確かめてください。

系統周波数は何で決まっているのか

本問では「並行運転する機械は同じ周波数」としましたが、その周波数そのものは何が決めているのでしょうか答えは「発電と需要のバランス」です。

状態回転体に起きること系統周波数
発電 > 需要余ったエネルギーが回転を加速させる上がる
発電 = 需要釣り合っている一定
発電 < 需要不足分を回転エネルギーで補う下がる

系統につながったすべての同期発電機は、電気的に固く結ばれています。1台が遅れようとすれば同期化力が引き戻し、全体が1つの巨大な回転体のように振る舞う——その回転速度が、そのまま系統周波数です。

だから周波数は「系統全体の健康状態を示す指標」になります。周波数が下がっていれば発電が足りていない——各発電所はそれを検知して出力を上げます誰かが全体を指揮しなくても、周波数という共通の信号で協調できるのです。

日本では東日本が50 Hz、西日本が60 Hzと分かれています。この2つは別々の系統で、周波数変換所を介してしか電力をやりとりできません——周波数が違う系統どうしは、そのままでは並列できないからです。

本問の「並行運転させる」という条件は、同じ系統の中の話です。10極機も8極機も同じ50 Hz の系統につながる——回転速度は600と750で違っても、電気的には完全に同期しているということになります。

極数と同期速度の早見表を頭に入れる

同期速度の式は覚えやすいのですが、試験本番では計算する時間さえ惜しいことがあります。よく出る極数については、値そのものを覚えてしまうのが速いです。

同期速度

\( N_s=\dfrac{120f}{p}\ [\mathrm{min^{-1}}] \)

f は周波数[Hz]、p は極数——極数が2倍になれば回転速度は半分という反比例の関係です。

極数 p50 Hz のとき60 Hz のとき
230003600
415001800
610001200
8750900
10600720
12500600

本問で問われた「10極で600」「8極で750」は、どちらもこの表の中にあります。表を覚えていれば、式を書く前に答えが出せるのです。

覚え方のコツは、50 Hz の 2極=3000 を起点にすることです。4極なら半分の1500、6極なら1/3の1000、8極なら1/4の750——3000を極数の半分で割るだけと考えれば、表を丸暗記しなくても即座に出ます。60 Hz はその1.2倍です。

この表は同期機だけの話ではありません。誘導電動機の同期速度も同じ式ですから、「4極50 Hz の誘導機は同期速度1500、すべり5 %なら回転速度1425」といった計算が一瞬で書けるようになります。機械科目の広い範囲で使える、投資効率の高い暗記です。

逆に「回転速度から極数を当てる」問われ方もあります。50 Hz で1200 min-1 という値が出てきたら、表にないので60 Hz の6極だと分かる——表を両方向に使えると、問題文の条件の読み違いにも気づけます

まとめ

共通周波数\(f=10\times600/120=50\,\mathrm{Hz}\)
極数8の回転速度\(N_2=120\times50/8=750\,\mathrm{min^{-1}}\)
並行運転の条件電圧・周波数・位相・相回転が等しい
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・並行運転の力率:【機械】令和元年度B問題15
・f=pN/120 と誘導起電力:【機械】令和5年度上期A問題6

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和元年度B問題15(同期機21)
【機械】平成24年度B問題16(同期機23)
【機械】平成22年度B問題15(同期機20)
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