同期機13【電験3種 機械】負荷接続時の出力端子電圧を求める!平成23年 A問題4 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 平成23年度 A問題4 負荷をつなぐと電圧が下がる!端子電圧は何V?

今回は平成23年度 機械科目 A問題4を解説します。負荷を接続した非突極形同期発電機の出力端子電圧を求める、やや骨のある計算問題です。

発電機の同期リアクタンスと負荷インピーダンスの直列回路として、分圧の考え方で解きます。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題4

 Y結線の非突極形三相同期発電機があり,各相の同期リアクタンスが3 Ω,無負荷時の出力端子と中性点間の電圧が424.2 Vである。この発電機に1相当たりR+jXL Ωの三相平衡Y結線の負荷を接続したところ各相に50 Aの電流が流れた。接続した負荷は誘導性でそのリアクタンス分は3 Ωである。ただし,励磁の強さは一定で変化しないものとし,電機子巻線抵抗は無視するものとする。このときの発電機の出力端子間電圧[V]の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 300 (2) 335 (3) 475 (4) 581 (5) 735

出題のポイント:無負荷電圧から負荷の抵抗分を逆算する

本問は2段構えですまず与えられた無負荷電圧と電流から負荷の抵抗 R を逆算し、次にその R を使って端子電圧を求めます——「求めたいものが直接は出せない」タイプの問題です。

段階やること使う関係
回路全体から R を逆算する\( E=I\sqrt{R^{2}+(X_L+x_s)^{2}} \)
負荷だけの電圧を求める\( V=I\sqrt{R^{2}+X_L^{2}} \)
線間電圧に直す\( V_{\ell}=\sqrt{3}\,V \)

「出力端子と中性点間の電圧」=相電圧です。問題文が中性点を持ち出しているのは、この424.2 V が相電圧だと明示するため——そして最後に問われているのは「出力端子間電圧」=線間電圧です。相で計算して線間で答えるという流れを、最初に確認しておきましょう。

同期発電機の内部誘導起電力と同期リアクタンスと誘導性負荷の1相等価回路
同期リアクタンスと負荷を直列回路として扱い、負荷両端の相電圧を求めます。

等価回路を1相分で描く

発電機の同期リアクタンス3 Ω と、負荷の R+jXL が直列になっています。電機子巻線抵抗は無視してよいので、回路全体のインピーダンスは R+j(XL+xs)=R+j6 です。

回路全体のインピーダンス

\( E=I\sqrt{R^{2}+(X_L+x_s)^{2}} \)

無負荷電圧 E が、直列回路全体にかかる電圧——励磁が一定なので E は変わりません

\( 424.2=50\times\sqrt{R^{2}+(3+3)^{2}} \)
代入
E=424.2、I=50、XL+xs=6
\( \sqrt{R^{2}+36}=\dfrac{424.2}{50}=8.484 \)
整理
両辺を50で割る
\( R^{2}+36=71.98 \)
2乗
8.4842≒71.98
\( R^{2}=35.98\quad\Longrightarrow\quad R\fallingdotseq 6\ [\Omega] \)
抵抗
きれいに6 Ω になる

R=6 Ω ときれいな値になったことで、ここまでの筋道が正しいと確認できます424.2 という半端な数字は 300√2 のこと——出題側が R=6 になるよう逆算して作った値です。

負荷にかかる電圧を求める

端子電圧は、負荷 R+jXL にかかる電圧です。発電機の内部(同期リアクタンス)で落ちた分を除いた残り——負荷のインピーダンスだけで計算します

\( V=I\sqrt{R^{2}+X_L^{2}}=50\times\sqrt{6^{2}+3^{2}} \)
負荷側
R=6、XL=3
\( \phantom{V}=50\times\sqrt{45}=50\times6.708 \)
計算
√45≒6.708
\( \phantom{V}\fallingdotseq 335\ [\mathrm{V}] \)
相電圧
端子と中性点の間の電圧
\( V_{\ell}=\sqrt{3}\times335\fallingdotseq 581\ [\mathrm{V}] \)
線間電圧
問われているのはこちら
平成23年機械A問題4で同期発電機の端子間電圧約581ボルトと正解4を示す図
相電圧335.4 Vを√3倍すると端子間電圧は580.9 Vとなり、正解は(4)です。
答え正解は (4) 581 Vです。無負荷時の相電圧424.2 V が、負荷をかけると335 V まで下がっている——およそ21 %も低下しており、同期発電機の電圧変動の大きさが現れています

選択肢の作られ方を読む

⚠️ よくある間違い
(2) 335 V相電圧のまま答えた値です。計算はすべて正しいのに、最後の √3 を掛け忘れただけ——本問で最も惜しい間違い方です。
(5) 735 V無負荷電圧424.2 V を線間に直した値(424.2×√3≒735)——負荷をつないでも電圧が変わらないと考えたときの答えです。(1) 300 V抵抗分の電圧 RI=6×50 だけを見た値にあたります。

☝️ ひっかけの作り方:「出力端子と中性点間」と「出力端子間」——この2つの言い回しが、同じ問題文の中で使い分けられています前者は相電圧、後者は線間電圧与えられるのは相、聞かれるのは線間——この非対称が本問の仕掛けです。

別解:電圧降下の比で考える

直列回路では、電圧はインピーダンスの大きさに比例して分配されますこの性質を使えば、R を求めたあとの計算がさらに短くなります

\( |Z_{\text{全}}|=\sqrt{6^{2}+6^{2}}=6\sqrt{2}\fallingdotseq 8.485 \)
全体
R=6、合成リアクタンス6
\( |Z_{\text{負荷}}|=\sqrt{6^{2}+3^{2}}=\sqrt{45}\fallingdotseq 6.708 \)
負荷
R=6、XL=3
\( V=E\times\dfrac{6.708}{8.485}=424.2\times0.7906 \)
比例配分
インピーダンスの比
\( \phantom{V}\fallingdotseq 335\ [\mathrm{V}] \)
同じ結果
電流を経由しなくても出る

この解き方なら電流50 A を使わずに済みます——ただし R を求める段階では電流が必要なので、完全には省けません。検算用の別ルートとして持っておくと、答えの確からしさを確認できます。

⏱️ 本番での進め方
① 相電圧で計算し、最後に √3 で線間に直す。この順序を最初に決める。
② 全体インピーダンス R+j6 として、E=I|Z| から R を逆算。R=6 Ω。
③ 負荷だけなら R+j3、|Z|=√45≒6.71 → V=335 V。
④ √3 倍して581 V。335 が選択肢にあるのは掛け忘れを誘う罠。

💡 覚え方
「発電機の内部リアクタンスも直列の一部」——回路図を1相分で描いてしまえば、ただの直列回路です。同期機の問題に見えても、やっていることは理論科目の交流回路——そう捉えると手が止まりません

負荷抵抗6オームと端子相電圧335.4ボルトおよび線間電圧580.9ボルトの計算図
全体インピーダンスからRを求め、負荷電圧を計算してY結線の√3倍で線間電圧へ直します。

まとめ

負荷抵抗\(424.2=50\sqrt{R^2+6^2}\Rightarrow R\fallingdotseq6\,\Omega\)
相電圧\(V=E_0\sqrt{45}/\sqrt{72}\)
線間電圧\(\sqrt{3}\times424.2\times\sqrt{45}/\sqrt{72}\fallingdotseq581\,\mathrm{V}\)
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・内部誘導起電力の計算:【機械】平成20年度A問題5
・無負荷時の端子電圧:【機械】平成27年度A問題4

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成27年度A問題4(同期機12)
【機械】平成20年度A問題5(同期機14)
【機械】令和元年度B問題15(同期機21)
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