同期機4【電験3種 機械】短絡比の求め方!平成21年 A問題5 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 平成21年度 A問題5 短絡比は大きいほど頑丈!その値はいくつ?

今回は平成21年度 機械科目 A問題5を解説します。三相短絡電流(持続短絡電流)から短絡比を求める、定義そのものを問う計算問題です。

短絡比の定義「\(K=I_s/I_n\)」さえ知っていれば、あとは定格電流を計算するだけの2ステップです。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【機械】令和4年度上期A問題5 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題5

 定格出力5 000 kV・A,定格電圧6 600 Vの三相同期発電機がある。無負荷時に定格電圧となる励磁電流に対する三相短絡電流(持続短絡電流)は,500 Aであった。この同期発電機の短絡比の値として,最も近いのは次のうちどれか。

(1) 0.660  (2) 0.875  (3) 1.00  (4) 1.14  (5) 1.52

出題のポイント:定義そのままの割り算

本問は短絡比の定義をそのまま使うだけです。「無負荷時に定格電圧となる励磁電流に対する三相短絡電流」=分子、「定格電流」=分母——迷う要素は定格電流の計算だけです。

短絡比

\( K_s=\dfrac{I_s}{I_n}\quad\left(I_n=\dfrac{S}{\sqrt{3}\,V_n}\right) \)

分子が短絡電流、分母が定格電流——順序を逆にしないこと

同期発電機の無負荷試験と三相短絡試験から短絡比の定義を示す図
同じ励磁電流で得られる持続短絡電流を定格電流で割ると短絡比になります。

定格電流を求めて割る

\( I_n=\dfrac{5\,000\times10^{3}}{\sqrt{3}\times6\,600} \)
代入
5 000 kV・A を V・A に直す
\( \phantom{I_n}=\dfrac{5\,000\times10^{3}}{11\,431} \)
分母
√3×6600≒11 431
\( \phantom{I_n}\fallingdotseq 437\ [\mathrm{A}] \)
定格電流
この値で500 A を割る
\( K_s=\dfrac{500}{437}\fallingdotseq 1.14 \)
短絡比
選択肢の1.14に一致
平成21年機械A問題5の短絡比1.14と正解4を示す計算図
K=500/437.4=1.14となるため、正解は(4)です。
答え正解は (4) 1.14です。定格電流437 A に対して短絡電流が500 A——「定格の1.14倍の短絡電流が流せる機械」という意味になります。

選択肢の作られ方を読む

選択肢どんな計算をしたか誤りの種類
(1) 0.660500÷758定格電流を S/Vn で計算(√3 忘れ)
(2) 0.875437÷500分子と分母を逆にした
(3) 1.00撹乱肢
(4) 1.14 ← 正解500÷437なし
(5) 1.52758÷500√3 忘れ+逆数((1)の逆数)

5肢のうち4肢に、明確な誤り筋が割り当てられています(1)と(5)、(2)と(4)がそれぞれ逆数の関係——「√3を入れたか」と「どちらを分子にしたか」の2つの軸で、4通りの答えが作られているわけです。

⚠️ よくある間違い
分子と分母を逆にするのが最頻の誤りです。「短絡比」という言葉からは、何を何で割るのかが読み取りにくいのが原因でしょう。「定格に対して、短絡電流はどれだけか」——比べる基準(定格)が分母、と日本語で確認してから割ってください

短絡比が表しているもの

短絡比1.14 とは、端子を短絡しても定格の1.14倍の電流しか流れないという意味です。ふつうの回路の感覚からすると、短絡してこの程度しか流れないのは不思議に思えます

その理由が電機子反作用です。短絡電流はほぼ純粋な遅れ電流で、強い減磁作用を持ちます——電流が流れれば流れるほど内部の磁束が減り、起電力そのものが下がるのです。だから短絡電流は自分自身を抑え込む形で落ち着きます

短絡比の値電機子反作用短絡電流機械の性格
大きい(1.0前後)弱い大きい鉄機械。電圧変動率が小さく安定度が高い
小さい(0.6前後)強い小さい銅機械。小型軽量だが電圧変動率が大きい

短絡比が大きいことは、短絡故障時の電流が大きいことも意味します——遮断器の遮断容量は大きくなり、機械も大形になります安定度と経済性のどちらを取るか——短絡比という1つの数字が、その設計思想を表しているのです。

⏱️ 本番での進め方
① In=S/(√3Vn)。5000kVA・6600V なら約437 A。
② Ks=500/437≒1.14。
③ 選択肢に逆数のペアが並んでいたら、分子・分母を口に出して確認。
④ 6600 V の機械の定格電流は「容量[kVA]÷11.43」で暗算できる。

💡 覚え方
「6 600 V の三相なら √3×6.6=11.43」——この数字を覚えておくと、容量を11.43で割るだけで定格電流[A]が出ます5000÷11.43≒437、8000÷11.43≒700、11000÷11.43≒962——6.6 kV は電験で最頻出の電圧なので、投資効率の高い暗記です。

出題履歴:同じ型が令和4年上期にも出ている

持続短絡電流から短絡比を求める型は、令和4年上期 A問題5でも出題されています同期機9:持続短絡電流から短絡比を求める)。1 500 kV・A・3 300 V で答えは1.18——数値が違うだけで解法は同じです。

短絡比はほぼ毎年どこかの形で問われる最頻出テーマです。与えられる量(持続短絡電流/同期インピーダンス/特性曲線)が変わるだけなので、3つの顔をすべて使えるようにしておけば、どの年でも対応できます

定格容量5000キロボルトアンペアと定格電圧6600ボルトから定格電流と短絡比を求める図
定格電流437.4 Aを求め、500 Aを割ると短絡比は1.14です。

短絡比は特性曲線のどこを読んでいるのか

短絡比は、無負荷飽和曲線と三相短絡曲線という2本のグラフから読み取る量でもあります。本問は電流の値で与えられましたが、図で問われる年もあります

読み取る量どちらの曲線から読み方
If1無負荷飽和曲線(A)縦軸の定格電圧 Vn に対応する界磁電流
If2三相短絡曲線(B)縦軸の定格電流 In に対応する界磁電流
短絡比2つの比\( K_s=I_{f1}/I_{f2} \)

ここで注意したいのが、界磁電流の比では分子と分母が入れ替わって見えることです。電流の比は「短絡電流÷定格電流」ですが、界磁電流の比は「定格電圧を出す界磁÷定格電流を流す界磁」——短絡に関する量が、電流の比では分子、界磁電流の比では分母に来ます

取り違えないコツは、値が1前後になる向きを選ぶこと短絡比は0.5〜1.2 程度の値になるので、計算して2や0.3が出たら分子・分母が逆だと気づけます。界磁電流なら「大きいほう(定格電圧側)が分子」と覚えるのが確実です。

もう一つ図から読めるのが、無負荷飽和曲線が途中で寝てくることです。界磁電流を増やしても電圧が比例して上がらなくなる——これが磁気飽和です。一方、三相短絡曲線は最後まで直線のまま。この形の違いが「短絡電流は強い減磁作用を持つので鉄心が飽和しない」という事実を、そのままグラフにしているのです。

飽和があるため、短絡比は同期インピーダンスの逆数と厳密には一致しません計算問題では「磁気飽和は無視」と断られるのが普通で、その一文があるからこそ逆数として扱える——但し書きの意味を知っておくと、問題文の読み方が変わります

まとめ

定格電流\(I_n=S/(\sqrt{3}V_n)=437.4\,\mathrm{A}\)
短絡比\(K=I_s/I_n=500/437.4\fallingdotseq1.14\)
目安鉄機械はK大・銅機械はK小
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・短絡比→同期インピーダンス:【機械】平成25年度A問題6
・短絡電流と界磁電流の比例関係を使う応用:【機械】平成29年度A問題5

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和3年度A問題6(同期機3)
【機械】平成29年度A問題5(同期機5)
【機械】平成27年度A問題4(同期機12)
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