今回は令和7年度上期 機械科目 A問題10を解説します。直流電源電圧E=400V、平滑リアクトルL=1mH、負荷抵抗R=10Ω、通流率d=0.6の降圧チョッパで、負荷抵抗に流れる電流の平均値を求める計算問題です。
降圧チョッパの負荷電圧平均値は VR=dE。電流はオームの法則で IR=VR/R と求まります。
ほぼ同じ問題が 【機械】平成27年度A問題10 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
令和7年度上期 機械科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題10
電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 令和7年度上期 A問題10
図のような直流チョッパがある。直流電源電圧 E=400〔V〕,平滑リアクトル L=1〔mH〕,負荷抵抗 R=10〔Ω〕,スイッチSの動作周波数 f=10〔kHz〕,通流率 d=0.6 で回路が定常状態になっている。Dはダイオードである。このとき負荷抵抗に流れる電流の平均値〔A〕として最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)40.0 (2)24.0 (3)16.0 (4)3.8 (5)2.5〔A〕

出題のポイント:平均値なら通流率を掛けるだけ
降圧チョッパの出力電圧は、通流率×電源電圧です。そこから負荷電流はオームの法則——2段階の素直な計算で終わります。
| 与えられた条件 | 使うか | 理由 |
| E=400 V | 使う | 出力電圧の元 |
| d=0.6 | 使う | 出力電圧を決める |
| R=10 Ω | 使う | 電流を決める |
| L=1 mH | 使わない | 電流の脈動(リプル)を決めるだけ |
| f=10 kHz | 使わない | 同上 |
与えられた5つの条件のうち、2つは使いません。リアクトルと周波数は「電流がどれだけ波打つか」を決めるだけで、平均値そのものは変えないからです。
「与えられた数値はすべて使うはず」という思い込みを試している——何を聞かれているかで、使う条件が決まるのです。


計算する
通流率×電源電圧
オームの法則

選択肢の作られ方を読む
| 選択肢 | この値の正体 | 誤りの種類 |
| (1) 40.0 | E/R=400/10 | 通流率を掛け忘れた(直結の値) |
| (2) 24.0 ← 正解 | 0.6×400/10 | なし |
| (3) 16.0 | 0.4×400/10 | 通流率を1−d とした(昇圧の式と混同) |
| (4) 3.8 | — | 撹乱肢(リプル関連の値に近い) |
| (5) 2.5 | — | 撹乱肢 |
⚠️ よくある間違い
(3) 16.0 Aは通流率を1−d=0.4 として計算したときの値です。降圧チョッパでは d をそのまま掛ける——1−d が分母に来るのは昇圧チョッパです。2つの式を対にして覚えておけば取り違えません。
(1) 40.0 Aはチョッパを通さずに直結した場合——降圧なのだから、これより小さくなるはずです。
使わなかった L と f は何を決めているのか
f=10 kHz、L=1 mH
山と谷の差
平均24 A に対して、電流は19.2 A から28.8 A の間を行き来しています。それでも平均値は24 A で変わりません——リプルは平均を動かさないのです。
リプルを小さくしたければ、周波数を上げるかリアクトルを大きくする——近年のスイッチング電源が高周波化しているのはこのためです。高周波にすればリアクトルもコンデンサも小さくでき、機器が小型化できます。
⏱️ 本番での進め方
① 平均値を問われたら L と f は使わない。
② Vd=0.6×400=240 V → I=240/10=24 A。
③ 直結なら40 A。降圧なのでそれより小さいはず。
④ 16 A は1−d を使った値。降圧は d、昇圧は1−d が分母。
💡 覚え方
「降圧は d を掛ける、昇圧は1−d で割る」——そして「L と f はリプル専用」。平均値の問題では出番がありません。
出題履歴:平成27年度と同一問題(答えの番号は違う)
本問は平成27年度 A問題10とまったく同じ問題です(パワエレ15:降圧チョッパの負荷電流の平均値)。数値も設定も完全に同じですが——選択肢が逆順に並べ替えられています。
| 平成27年度 問10 | 令和7年度上期 問10(本問) | |
| 選択肢の並び | 2.5/3.8/16.0/24.0/40.0 | 40.0/24.0/16.0/3.8/2.5(逆順) |
| 正解の番号 | (4) | (2) |
10年ぶりの再出題で、選択肢を逆順にしただけで正解の番号が (4) から (2) に変わりました——「答えは(4)」と番号で覚えていたら失点します。覚えるべきは「24.0 A」という値、あるいは Vd=dE という式です。

チョッパはどこで使われているのか
直流を直流に変換するチョッパは、身の回りのあらゆる機器に入っています。電池で動くものは、ほぼすべてチョッパを使っていると言ってよいほどです。
| 用途 | チョッパの種類 | 役割 |
| 直流電車 | 降圧チョッパ | 架線電圧(1 500 V)から電動機の電圧を作る |
| 太陽光パワコン | 昇圧チョッパ | 太陽電池の低い電圧をインバータが必要とする電圧まで上げる |
| スイッチング電源 | 降圧・昇圧の両方 | 整流した直流から必要な電圧を作る |
| 電気自動車 | 昇降圧チョッパ | 電池電圧とインバータ入力電圧を橋渡しする |
| LED照明 | 降圧チョッパ(定電流制御) | LEDに一定の電流を流す |
チョッパが普及した理由は、効率の高さです。抵抗で電圧を落とせば、その分がすべて熱になりますが、チョッパならスイッチのオン・オフだけなので損失がごくわずか——効率90 %以上が当たり前です。
直流電車では、かつて抵抗制御が使われていました。抵抗で電圧を落として速度を調整する——加速中は大量の電力が抵抗器で熱になっていたのです。
チョッパ制御に変わってからは、その損失がほぼなくなりました。さらに回生ブレーキも使えるようになり、減速時のエネルギーを架線へ返せる——省エネルギーへの貢献は非常に大きいものでした。
本問の「E=400 V、d=0.6 で240 V を作る」という計算は、こうした実機の動作そのものです。通流率を変えれば出力電圧が自在に変わる——それが速度制御や電流制御につながっています。
まとめ
| VR=dE | 0.6×400=240V |
| IR=VR/R | 240/10=24.0A |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同じ問題の類題(平成27年度):【機械】平成27年度A問題10
・昇圧・降圧チョッパの出力電圧比較:【機械】平成28年度A問題9

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