直流機46【電験3種 機械】トルク対速度曲線の安定・不安定とは?令和5年上期 A問題7 完全解説

令和5年度上期 機械 A問題7(直流機)アイキャッチ

今回は令和5年度上期 機械科目 A問題7を解説します。テーマはトルク対速度曲線による安定・不安定の判定。直流機・誘導機を横断する運転論の問題です。

「電動機トルクと負荷トルクの曲線がどう交わるか」で安定かどうかが決まります。判定ルールを1つ覚えれば全選択肢を機械的にチェックできます。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【機械】令和2年度A問題7 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

問題文と選択肢

 電動機と負荷の特性を,回転速度を横軸,トルクを縦軸に描く,トルク対速度曲線で考える。電動機と負荷の二つの曲線がどのように交わるかを見ると,その回転数における運転が安定か不安定かを判定することができる。誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 負荷トルクよりも電動機トルクが大きいと回転は加速し,反対に電動機トルクよりも負荷トルクが大きいと回転は減速する。回転速度一定の運転を続けるには,負荷と電動機のトルクが一致する安定な動作点が必要である。

(2) 巻線形誘導電動機では,回転速度の上昇とともにトルクが減少するように,二次抵抗を大きくし,大きな始動トルクを発生させることができる。この電動機に回転速度の上昇とともにトルクが増える負荷を接続すると,両曲線の交点が安定な動作点となる。

(3) 電源電圧を一定に保った直流分巻電動機は,回転速度の上昇とともにトルクが減少する。一方,送風機のトルクは,回転速度の上昇とともにトルクが増大する。したがって,直流分巻電動機は,安定に送風機を駆動することができる。

(4) かご形誘導電動機は,回転トルクが小さい時点から回転速度を上昇させるとともにトルクが増大,最大トルクを超えるとトルクが減少する。この電動機に回転速度でトルクが変化しない定トルク負荷を接続すると,電動機と負荷のトルク曲線が2点で交わる場合がある。この場合,加速時と減速時によって安定な動作点が変わる。

(5) かご形誘導電動機は,最大トルクの速度より高速な領域では回転速度の上昇とともにトルクが減少する。一方,送風機のトルクは,回転速度の上昇とともにトルクが増大する。したがって,かご形誘導電動機は,安定に送風機を駆動することができる。

出題のポイント:速度のずれが交点へ戻るかを判定する

電動機トルクと負荷トルクの交点で、左側は電動機トルクが大きく加速、右側は負荷トルクが大きく減速して交点へ戻る安定判定図
交点の左で加速して右へ、右で減速して左へ戻るなら、その動作点は安定です。

回転の運動方程式は Jdω/dt=T_M−T_L です。動作点より低速側で T_M>T_L となって加速し、高速側で T_M

ポイント解説:上り坂側Nは不安定、下り坂側Cは安定

かご形誘導電動機の山形トルク速度曲線と水平な定トルク負荷線が2点で交わり、左の上り坂側N点は不安定、右の下り坂側C点は安定となる図
N点ではずれが拡大し、C点ではずれが元へ戻ります。安定性は加速中か減速中かという到達経路では変わりません。

かご形誘導電動機のトルク曲線は山形なので、水平な定トルク負荷線とは上り坂側の交点N下り坂側の交点Cの2点で交わることがあります。

N点では、加速すると電動機トルクがさらに大きくなって加速し続け、減速するとさらに減速する――どちらへずれても戻れない不安定な点です。C点はその逆で安定な点。この性質は交点ごとに固定で、加速中か減速中かで入れ替わることはありません

問題の解説:安定性は交点近傍で決まり到達経路に依存しない

令和5年度上期機械A問題7の選択肢整理、1、2、3、5は正しく、4は2交点の安定性が到達経路で変わるとするため誤り、答え4
誤っているのは(4)です。N点は不安定、C点は安定で固定されます。

STEP1 安定判定のルールを確認する((1)の検証)

電動機トルク \(T_M\)、負荷トルク \(T_L\) とすると、回転の運動方程式から \(T_M \gt T_L\) で加速、\(T_M \lt T_L\) で減速。定常運転には \(T_M = T_L\) の交点(安定な動作点)が必要です。(1)は正しい記述です。

STEP2 右下がり電動機×右上がり負荷は安定((2)(3)(5)の検証)

交点より速度が上がると \(T_M \lt T_L\) となって減速し、下がると \(T_M \gt T_L\) となって加速する――必ず交点へ戻るので安定です。二次抵抗を大きくした巻線形誘導電動機(2)、直流分巻電動機(3)、最大トルクより高速側のかご形誘導電動機(5)は、いずれも右下がりの特性と右上がりの送風機負荷(またはトルク増加負荷)の組合せなのですべて正しい記述です。

STEP3 2つの交点の安定・不安定は固定((4)の検証)

上図のとおり、上り坂側のN点は不安定、下り坂側のC点は安定です。これは曲線の形(交点の左右での大小関係)だけで決まる性質であり、加速時か減速時かによって安定な動作点が変わることはありません。よって(4)が誤りです。

答え:(4)

💡 覚え方
安定判定は「左で電動機が勝ち・右で負荷が勝ちなら戻ってくる=安定」。かご形+定トルクの2交点は「上り坂N=不安定・下り坂C=安定」で固定。

⚠️ よくある間違い
「加速して到達したか、減速して到達したかで安定点が違う」と考えるのは誤り。安定・不安定は交点まわりのトルクの大小関係だけで決まり、そこへ至る経路には依存しない。

まとめ

安定条件交点の左で \(T_M \gt T_L\)、右で \(T_M \lt T_L\)
右下がり×右上がり必ず安定(分巻・高速側かご形×送風機など)
かご形×定トルクN(上り坂側)=不安定、C(下り坂側)=安定で固定
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(令和2年に出題):【機械】令和2年度A問題7
・分巻・直巻電動機の特性:【機械】令和3年度A問題1

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成22年度A問題1(直流機45)
【機械】令和2年度A問題1(直流機44)
【機械】平成19年度A問題1(直流機48)
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