今回は令和元年度 機械科目 A問題12を解説します。太陽光発電システムの構成要素(太陽電池セル・モジュール・アレイ、パワーコンディショナ)と、MPPT制御に関する空欄補充問題です。
太陽電池セルを直列接続したものがモジュール、モジュールを直並列接続したものがアレイです。パワーコンディショナは直流を交流に変換するインバータと系統連系用保護装置などで構成され、常に最大の電力を取り出す制御をMPPT制御と呼びます。
令和元年度 機械科目 A問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題12
電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 令和元年度 A問題12
次の文章は,太陽光発電システムに関する記述である。
太陽光発電システムは,太陽電池アレイ,パワーコンディショナ,これらを接続する接続箱,交流側に設置する交流開閉器などで構成される。
太陽電池アレイは,複数の太陽電池(ア)を通常は直列に接続して構成される太陽電池(イ)をさらに直並列に接続したものである。パワーコンディショナは,直流を交流に変換する(ウ)と,連系保護機能を実現する系統連系用保護装置などで構成されている。
太陽電池アレイの出力は,日射強度や太陽電池の温度によって変動する。これらの変動に対し,太陽電池アレイから常に(エ)の電力を取り出す制御は,MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御と呼ばれている。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) モジュール セル 整流器 最小 (2) ユニット セル インバータ 最大 (3) ユニット モジュール インバータ 最小 (4) セル ユニット 整流器 最小 (5) セル モジュール インバータ 最大
出題のポイント:セル → モジュール → アレイ
太陽光発電システムの構成要素には、大きさの順に決まった呼び名があります。小さいほうから、セル・モジュール・アレイ——この順序さえ覚えていれば(ア)(イ)は決まります。
| 名前 | 何を指すか | 電圧の目安 |
| セル | 太陽電池の最小単位。1枚の半導体 | 約0.5 V |
| モジュール(パネル) | セルを直列に接続し、パッケージ化したもの | 30〜50 V 程度 |
| ストリング | モジュールを直列に接続したもの | 200〜600 V 程度 |
| アレイ | モジュール(ストリング)を直並列に接続した全体 | ストリングと同じ電圧、電流は並列数だけ増える |
セル1枚では約0.5 V しかありません。これはシリコンのpn接合の性質で決まる値で、大きさを変えても電圧は変わりません(変わるのは電流)——だから直列につないで電圧を稼ぎます。
問題文の「複数の太陽電池(ア)を通常は直列に接続して構成される太陽電池(イ)」——直列にして作るのですから、(ア)が小さい単位=セル、(イ)がモジュールです。

(ウ)直流を交流に変換するのはインバータ
太陽電池が出すのは直流です。これを系統に送るには交流に変換しなければなりません——直流→交流の変換器がインバータです。
「整流器」は交流→直流——逆方向です。問題文が「直流を交流に変換する」と明記しているので、ここで整流器を選ぶ余地はありません。
☝️ ひっかけの作り方:(ウ)に整流器を入れる肢が2つあります。この1点だけで(1)と(4)が落ちる——穴埋め問題では、確実に分かる空欄から埋めて選択肢を減らすのが定石です。
(エ)MPPTは最大電力を追いかける
MPPT は Maximum Power Point Tracking——Maximum ですから「最大」です。略語の中に答えが書いてあります。
太陽電池の出力は、日射強度と温度で刻々と変わります。電圧と電流の積が最大になる点(最大電力点)も移動する——だから常に追いかける制御が必要になります。
| 条件 | 影響を受ける量 | 最大電力点の動き |
| 日射が強くなる | 電流がほぼ比例して増える | 電力が増える方向へ移動 |
| 温度が上がる | ★開放電圧が下がる | 電力が減る方向へ移動(1 ℃で0.4〜0.5 %) |
日射は電流に、温度は電圧に効く——これが太陽電池の特性の基本です。夏に日射が強くてもパネルが熱くなると出力が伸び悩むのは、温度の影響によります。

接続箱と系統連系用保護装置の役目
問題文に登場する「接続箱」も、押さえておきたい構成要素です。複数のストリングをまとめてパワーコンディショナへ送る箱で、ストリングごとの逆流防止ダイオードや開閉器が収められています。
逆流防止ダイオードが必要なのは、影がかかったストリングへ他のストリングから電流が逆流するのを防ぐためです。1つのストリングだけ日陰になると電圧が下がり、そこへ電流が流れ込んでしまう——発熱や損失の原因になります。
系統連系用保護装置は、系統側やパワコン内部に異常が起きたときに出力を遮断します。とくに重要なのが単独運転検出——系統が停電しているのに太陽光発電だけが運転を続ける状態を防ぎます。
単独運転が続くと、停電したはずの線路に電圧が残り、作業員が感電する危険があります。また系統復旧時に位相がずれた状態で接続されると機器が破損——だから確実な検出と遮断が求められるのです。
⏱️ 本番での進め方
①「セル → モジュール → ストリング → アレイ」の順に大きくなる。
②「直流を交流に」ならインバータ。整流器は逆。ここで2肢が落ちる。
③ MPPT の M は Maximum。「最大」電力点。
④ 日射は電流に、温度は電圧に効く。
💡 覚え方
「セルは0.5 V、直列にしてモジュール、並べてアレイ」——大きさの順序が呼び名の順序です。そして「MPPTのMはMaximum」——略語の意味を知っていれば(エ)は考えるまでもありません。

太陽電池にはどんな種類があるのか
本問では構成要素の呼び名を問われましたが、太陽電池そのものにも複数の種類があります。材料と製法で特徴が大きく変わります。
| 種類 | 変換効率の目安 | 特徴 | 主な用途 |
| 単結晶シリコン | 18〜24 % | 効率が高いが製造コストも高い | 住宅用・限られた面積 |
| 多結晶シリコン | 15〜19 % | 効率はやや低いが安価。最も普及 | メガソーラー・産業用 |
| アモルファスシリコン | 6〜10 % | 薄くできる。高温に強く弱い光でも発電 | 建材一体型・電卓など |
| 化合物系(CIS・CdTe) | 12〜20 % | シリコンを使わない。影に比較的強い | 大規模発電所 |
結晶系シリコンが主流で、単結晶は効率重視、多結晶はコスト重視という位置づけです。住宅の屋根のように面積が限られる場所では効率が効き、土地に余裕のあるメガソーラーではコストが効く——用途で選ばれます。
変換効率が100 %にならない理由
太陽電池の変換効率は、最も高いものでも25 %程度です。7割以上のエネルギーが電気にならない——これは技術の未熟さではなく、物理的な限界によります。
| 損失の要因 | 内容 |
| 波長が長すぎる光 | エネルギーが足りず、電子を励起できない(そのまま透過する) |
| 波長が短すぎる光 | 余ったエネルギーが熱になる |
| 再結合 | 励起された電子が取り出される前に元に戻ってしまう |
| 反射・遮蔽 | 表面での反射や、電極による日陰 |
単接合のシリコン太陽電池では、理論限界が約29 %とされています(ショックレー・クワイサー限界)。実用品が20 %前後というのは、理論限界にかなり近づいている——これ以上の効率には、複数の材料を重ねる多接合型などが必要になります。
まとめ
| (ア) | セル |
| (イ) | モジュール |
| (ウ) | インバータ |
| (エ) | 最大 |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・太陽光発電システムの基本構成:【機械】平成27年度A問題11
・太陽電池セルの簡易等価回路とMPPT制御:【機械】平成28年度A問題10

コメント