今回は平成28年度 機械科目 A問題10を解説します。太陽電池セルの簡易等価回路(電流源+ダイオード)と、出力電流・電圧特性、出力電力・電圧特性、MPPT制御に関する空欄補充問題です。
太陽電池セルはpn接合ダイオードで、光起電力効果によって光エネルギーを電気エネルギーに変換します。等価回路の電流はI=IL−I0{exp(qV/nkT)−1}で表され、V-I特性はある電圧まで平坦でその後急落する形、V-P特性は最適動作点をもつ山型になります。
平成28年度 機械科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題10
電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 平成28年度 A問題10
次の文章は,太陽光発電システムに関する記述である。図1は交流系統に連系された太陽光発電システムである。太陽電池アレイはインバータと系統連系用保護装置とが一体になった(ア)を介して交流系統に接続されている。
太陽電池アレイは,複数の太陽電池セルを直列又は並列に接続して構成される太陽電池モジュールをさらに直並列に接続したものである。太陽電池セルはp形半導体とn形半導体とを接合したpn接合ダイオードであり,照射される太陽光エネルギーを(イ)によって電気エネルギーに変換する。
また,太陽電池セルの簡易等価回路は電流源と非線形の電流・電圧特性をもつ一般的なダイオードを組み合わせて図2のように表される。太陽電池セルに負荷を接続し,セルに照射される太陽光の量を一定に保ったまま,負荷を変化させたときに得られる出力電流・出力電圧特性は図3の(ウ)のようになる。このとき負荷への出力電力・出力電圧特性は図4の(エ)のようになる。セルに照射される太陽光の量が変化すると,最大電力も,最大電力となるときの出力電圧も変化する。このため,(ア)には太陽電池アレイから常に最大の電力を取り出すような制御を行うものがある。この制御は(オ)制御と呼ばれている。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) パワーコンディショナ 光起電力効果 (b) (a) MPPT (2) ガバナ 光起電力効果 (b) (b) PWM (3) パワーコンディショナ 光起電力効果 (a) (b) MPPT (4) ガバナ 光導電効果 (b) (a) PWM (5) パワーコンディショナ 光導電効果 (a) (b) PWM


出題のポイント:太陽電池の2つのグラフを区別する
(ウ)のV-I特性と(エ)のV-P特性——この2つのグラフの形を取り違えるのが最大の落とし穴です。形が決まる理由から理解しておきましょう。
| V-I特性(ウ) | V-P特性(エ) | |
| 形 | 平坦がしばらく続き、途中から急落する | 山型(一つのピークをもつ) |
| 左端(V=0) | 短絡電流 ISC | P=0 |
| 右端(I=0) | 開放電圧 VOC | P=0 |
| 特徴的な点 | 折れ曲がり | ★最大電力点(折れ曲がりに対応) |
V-I特性が平坦なのは、太陽電池が電流源に近い振る舞いをするから。光で作られる電流は電圧にほとんど依存しない——だから広い電圧範囲で電流がほぼ一定になります。
ところが電圧を上げていくと、並列のダイオードに電流が逃げ始めます。ダイオードは指数関数的に電流を流すので、ある電圧を境に急激に出力電流が減る——これが折れ曲がりの正体です。



V-P特性が山型になる理由
電力は P=V×Iです。V-I特性の各点で、縦横の掛け算をしたものがV-P特性——グラフの形は自動的に決まります。
| 動作点 | 電圧V | 電流I | 電力P=VI |
| 短絡(左端) | 0 | 最大(ISC) | 0 |
| 折れ曲がり付近 | やや高い | まだ大きい | ★最大 |
| 開放(右端) | 最大(VOC) | 0 | 0 |
両端でP=0、途中に山がある——だからV-P特性は必ず山型になります。山の頂上が最大電力点(MPP)で、それはV-I特性の折れ曲がり付近に対応します。
最大電力を、短絡電流と開放電圧の積で割った値を曲線因子(フィルファクタ FF)と呼びます。結晶シリコンなら0.7〜0.8程度——V-I特性が「角ばっている」ほどFFが高く、良い太陽電池だと言えます。

(イ)光起電力効果と光導電効果を混同しない
選択肢には「光導電効果」も並んでいます。名前が似ていますが、まったく別の現象です。
| 光起電力効果 | 光導電効果 | |
| 何が起きるか | 起電力(電圧)が生じる | 抵抗が下がる |
| 必要な構造 | ★pn接合 | 接合は不要(半導体そのもの) |
| 電源 | 自分で発電する | 外部電源が必要 |
| 応用 | 太陽電池、フォトダイオード | CdSセル(明るさセンサ) |
見分け方は「pn接合があるかどうか」です。接合があれば、生じた電子と正孔が電界で左右に分けられて起電力になる——接合がなければ、キャリアが増えて抵抗が下がるだけです。
本問は「pn接合ダイオードであり」と明記しています——この一言が光起電力効果を指定しているわけです。
(オ)MPPTはなぜ必要なのか
最大電力点は、日射量と温度で刻々と動きます。固定した電圧で運転していては、そのたびに発電量を取りこぼす——だから追従する制御が要るのです。
| 変化 | 短絡電流 | 開放電圧 | 最大電力 |
| 日射が増える | ほぼ比例して増える | わずかに増える | 増える |
| 温度が上がる | わずかに増える | ★はっきり下がる | 減る |
真夏の炎天下より、よく晴れた春先のほうが効率がよい——温度が上がると開放電圧が下がるからです。日射だけでなく温度も効くという点は、覚えておく価値があります。
MPPTは「電圧を少し動かして電力が増えたら同じ方向へ、減ったら逆方向へ」——山登り法(P&O法)と呼ばれる素朴なやり方が基本です。数百ミリ秒ごとに探索を繰り返し、動く山頂を追いかけ続けます。
⏱️ 本番での進め方
①(ア)インバータ+系統連系用保護装置=パワーコンディショナ。
②(イ)pn接合があるから光起電力効果。光導電効果は抵抗変化。
③(ウ)V-I特性は平坦→急落。(エ)V-P特性は山型。
④(オ)最大電力点を追う制御=MPPT。PWMは電圧波形の作り方で別物。
💡 覚え方
「V-Iは肩が張った形、V-Pは山型、頂上がMPP」——P=VIの掛け算で自動的に決まる。そして「pn接合なら光起電力、接合なしなら光導電」です。

モジュール・アレイと直並列接続
問題文の「セル → モジュール → アレイ」という階層も、そのまま出題されることがある基本事項です。
| 単位 | 意味 | おおよその出力電圧 |
| セル | pn接合ひとつ=最小単位 | 約0.5〜0.6 V |
| モジュール(パネル) | セルを直並列にして枠に収めたもの | 数十V |
| アレイ | モジュールをさらに直並列にしたもの | 数百V |
セル1枚の電圧はわずか0.5 V ほど——これはシリコンのバンドギャップで決まる値で、大きくしても変わりません。面積を広げれば電流が増えるだけです。
だから必要な電圧は直列接続で作ります。直列にすれば電圧が加算され、並列にすれば電流が加算される——電池の直並列と同じ考え方です。
直列接続の弱点:一枚の日陰が全体を止める
直列につないだセルは、同じ電流しか流せません。一枚が日陰になって電流を出せなくなると、その一枚が全体の足を引っ張る——しかも逆電圧がかかって発熱します。
これを防ぐのがバイパスダイオードです。数十枚ごとに逆並列に取り付け、日陰になった部分を電流が迂回できるようにする——発電量の落ち込みを一部にとどめられます。
並列側には逆流防止ダイオードを入れます。出力の低い系統へ他系統から電流が逆流するのを防ぐ——直列にはバイパス、並列には逆流防止と対で覚えておくとよいでしょう。
まとめ
| (ア) | パワーコンディショナ |
| (イ) | 光起電力効果 |
| (ウ) | (b) |
| (エ) | (a) |
| (オ) | MPPT |
| 答え | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
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