変圧器16【電験3種 機械】変圧器の最大効率とは?平成29年 A問題8 完全解説

電験3種 機械科目 変圧器 平成29年度 A問題8 最大効率になる負荷率は?何%で運転する?

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「変圧器の最大効率」は最頻出の計算パターンです。本記事では、平成29年度 A問題8を、はじめての方でも確実に解けるように丁寧に解説します。

覚えることは一つだけ。「効率が最大になるのは銅損=鉄損のとき」。銅損は負荷率の2乗に比例するので、\( a^2 \times 1000 = 250 \) から負荷率 \( a=1/2 \) が出て、あとは効率の定義式に入れるだけです。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
数値まで全く同じ問題が 【機械】令和5年度上期A問題9 で再出題されました。最大効率パターンは完全な定番——セットで解けば確実な得点源になります。
目次

平成29年度 機械科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 平成29年度 A問題8 問題文(変圧器の最大効率)
平成29年度 機械科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題8

電験3種 機械科目 【変圧器】 平成29年度 A問題8

定格容量 50 kV・A の単相変圧器において、力率 1 の負荷で全負荷運転したときに、銅損が 1 000 W、鉄損が 250 W となった。力率 1 を維持したまま負荷を調整し、最大効率となる条件で運転した。銅損と鉄損以外の損失は無視できるものとし、この最大効率となる条件での効率の値 [%] として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 95.2  (2) 96.0  (3) 97.6  (4) 98.0  (5) 99.0

出題のポイント:負荷率を求めてから効率を計算する

「最大効率となる条件で運転した」——この一文が、負荷を調整したことを示しています全負荷のまま効率を計算してはいけません

最大効率の条件と負荷率

\( \alpha^{2}P_c=P_i\quad\Longrightarrow\quad \alpha=\sqrt{\dfrac{P_i}{P_c}} \)

鉄損は一定、銅損は負荷率の2乗に比例——両者が等しくなる負荷率で効率が最大になります。

全負荷銅損1 000 W、鉄損250 Wですから、比は4:1その逆比の平方根が負荷率——√(1/4)=1/2 で、半負荷が最大効率点だと分かります。

全負荷銅損1000ワットと鉄損250ワットから負荷率0.5、出力25キロワット、全損失500ワット、最大効率98パーセントを求める流れ
最大効率では負荷時銅損と鉄損が等しくなります。負荷率だけでなく出力も0.5倍にします。

半負荷での効率を求める

\( \alpha=\sqrt{\dfrac{250}{1\,000}}=\sqrt{0.25}=0.5 \)
負荷率
鉄損÷全負荷銅損の平方根
\( \text{出力}=50\times10^{3}\times0.5\times1.0=25\,000\ [\mathrm{W}] \)
出力
定格容量×負荷率×力率
\( \text{銅損}=0.5^{2}\times1\,000=250\ [\mathrm{W}] \)
銅損
鉄損と等しくなった
\( \eta=\dfrac{25\,000}{25\,000+250+250}\times100 \)
効率
分母は出力+全損失
\( \phantom{\eta}=\dfrac{25\,000}{25\,500}\times100\fallingdotseq 98.0\ [\%] \)
最大効率
選択肢の98.0に一致
負荷率0.5で出力25キロワット、銅損250ワット、鉄損250ワットとして効率98パーセントを求める計算
最大効率は98.0 %で選択肢(4)です。97.6 %は全負荷時の効率です。
答え正解は (4) 98.0 %です。損失の合計が500 W まで下がった——全負荷時の1 250 W と比べると4割以下です。

なぜ全負荷より効率がよくなるのか

出力が半分になれば損失の絶対値は減りますが、効率は「損失÷出力」の割合で決まるので、単純に出力を減らせば効率がよくなるわけではありません

負荷率出力鉄損銅損損失÷出力効率
0.2512 500 W250 W62.5 W2.5 %97.6 %
0.525 000 W250 W250 W2.0 %98.0 %
1.050 000 W250 W1 000 W2.5 %97.6 %

軽負荷では鉄損が相対的に重くのしかかり、重負荷では銅損が効いてくる——その中間で「損失÷出力」が最小になります負荷率0.25 と1.0 でともに97.6 %と同じ値になっているのも、曲線が最小点を挟んでほぼ対称だからです。

⚠️ よくある間違い
(3) 97.6 %全負荷のまま計算したときの値です(50 000/(50 000+1 250)≒97.56 %)。上の表のとおり負荷率1.0 の効率がまさにこの値——「負荷を調整し」を読み飛ばすと選んでしまいます

鉄損と銅損の比が4:1 という設計

本問の変圧器は銅損が鉄損の4倍です。この比が最大効率点を半負荷に置いています——比が大きいほど、最大効率点は軽負荷側へ移動します。

配電用変圧器では、需要家の平均負荷率が4〜6割程度になることが多く、その帯域で最も効率がよい設計が求められます本問の4:1 という比は、まさにその狙いに合った値です。

逆に電気炉用のように常時ほぼ定格で運転する変圧器では、銅損と鉄損の比を1:1 に近づけて、全負荷で最大効率になるよう設計します。同じ「変圧器」でも、使われ方によって設計の重心が違う——数値の背後にある意図が見えると、問題が立体的に読めるようになります

最大効率の問題は、4つの型で出てくる

最大効率条件を使う問題は、与えられる量と問われる量の組合せで4つの型に分けられますどの型でも使う式は同じ——「鉄損=そのときの銅損」と「銅損は負荷率の2乗に比例」の2本だけです。

与えられるもの問われるもの解き方
①(本問)鉄損・全負荷銅損・容量最大効率の値α を求め、そのときの出力と損失から効率を計算
鉄損・全負荷銅損最大効率になる負荷率α=√(Pi/Pc) で終わり
ある負荷率での効率と「鉄損=銅損」の条件鉄損や全負荷銅損効率から全損失を出し、半分ずつに分ける
損失の比と全負荷効率銅損と最大効率の負荷率全損失を比で分け、平方根を取る

②は最も軽く、平方根を1回取るだけです。③は逆算型で、平成20年度B問題16がこの型——④は令和3年度B問題15がこの型にあたります。

いずれも入口が違うだけで、通る道は同じです。「鉄損は一定、銅損は α2 に比例、等しいところが最大効率」という関係図が頭に入っていれば、どの型でも組み立て直せます

平方根が暗算しやすい数値になっている

電験の最大効率の問題では、損失比がきれいな数値に設定されています比が4:1 なら α=1/2、2:1 なら α=1/√2≒0.707、1:1 なら α=1——この3パターンがほとんどです。

だから計算の途中で√の中が0.25 や0.5 になったら、道筋が正しい合図逆に半端な値が出てきたら、鉄損と銅損を取り違えていないかを確認してください。

本問なら 250/1 000=0.25 → α=0.5もし逆にして 1 000/250=4 → α=2 とすると、負荷率200 %という現実にはあり得ない値になります。「α は1以下になるはず(銅損のほうが大きい機械なら)」という向きの確認が、取り違えを防ぐ最後の砦です。

⏱️ 本番での進め方
① 銅損:鉄損=4:1 なら α=√(1/4)=0.5。半負荷。
② 出力25 kW、損失は250+250=500 W。
③ η=25 000/25 500≒98.0 %。
④「負荷を調整し」を見落とすと97.6 %(全負荷の値)を選んでしまう。

💡 覚え方
「最大効率は鉄損=銅損、その負荷率は損失比の平方根」——比が4:1 なら平方根で2:1、つまり半負荷暗算できる形に数値が選ばれているので、きれいな値が出たら正しい道筋です

出題履歴:令和5年度上期にも同じ問題が出ている

この問題は令和5年度上期 A問題9でまったく同じ数値で再出題されました変圧器14:変圧器の最大効率とは?)。選択肢の並びも同じで、正解の番号も (4) のままです。

6年隔てて同一の問題が出るということは、この解法が「必ず身につけておくべきもの」だという出題側の意思表示とも読めます。最大効率条件は、A問題でもB問題でも繰り返し問われる最重要テーマです。

負荷率に対し一定の鉄損250ワットと1000a二乗で増える銅損が負荷率0.5で交わるグラフ
銅損曲線と鉄損の水平線はa=0.5、損失250 Wで交わり、ここが最大効率点です。
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