同期機42【電験3種 機械】同期電動機のV曲線(位相特性曲線)の穴埋め!平成28年 A問題5 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 平成28年度 A問題5 V曲線の底は力率1!位相特性を穴埋めで確認

今回は平成28年度 機械科目 A問題5を解説します。同期電動機の位相特性曲線(V曲線)の縦軸・横軸・力率の領域を問う穴埋め問題です。

横軸は界磁電流、縦軸は電機子電流。曲線の最低点が力率1で、破線より左が遅れ力率、右が進み力率の領域です。

目次

平成28年度 機械科目 A問題5:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 同期機 平成28年度 A問題5 問題文
平成28年度 機械科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題5

電験3種 機械科目 【同期機】 平成28年度 A問題5

 次の文章は,同期電動機の特性に関する記述である。記述中の空白箇所の記号は,図中の記号と対応している。

 下の図は同期電動機の位相特性曲線を示している。形がVの字のようになっているのでV曲線とも呼ばれている。横軸は(ア),縦軸は(イ)で,負荷が増加するにつれ曲線は上側へ移動する。図中の破線は,各負荷における力率(ウ)の動作点を結んだ線であり,この破線の左側の領域は(エ)力率,右側の領域は(オ)力率の領域である。

 上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして正しいものを一つ選べ。

出題のポイント:軸を取り違えない

V曲線の問題で最も多い誤りは、縦軸と横軸を逆にすることです。「界磁電流を変えたら電機子電流がどうなるか」を見る図ですから、操作する量が横軸、結果が縦軸になります。

何が来るか意味
横軸界磁電流 Ifこちらが操作する量
縦軸電機子電流 Iaその結果として現れる量
曲線の最低点力率1無効分がゼロで電流が最小
破線の左側遅れ力率不足励磁
破線の右側進み力率過励磁

「不足はリアクトル(遅れ)、過剰はコンデンサ(進み)」——この語呂で左右を覚えれば、取り違えません

同期電動機のV曲線の軸、力率1、遅れ力率と進み力率の領域図
横軸は界磁電流、縦軸は電機子電流で、左が遅れ、右が進みです。

空欄を確定する

(ア)=界磁電流、(イ)=電機子電流V曲線は「界磁電流を横軸に、電機子電流を縦軸に」描いた図です。

(ウ)=1各曲線の最低点は力率1の動作点——無効分がゼロで、電流が有効分だけになるから最小です。

(エ)=遅れ、(オ)=進み破線より左が不足励磁で遅れ力率、右が過励磁で進み力率です。

答え(ア)界磁電流/(イ)電機子電流/(ウ)1/(エ)遅れ/(オ)進み ⇒ (2)
不足励磁、適正励磁、過励磁における力率と無効電力の比較図
有効電力と端子電圧が一定なら、力率1のとき電機子電流が最小になります。
平成28年機械A問題5のV曲線の5空欄と正解2を示す図
界磁電流、電機子電流、1、遅れ、進みの組合せで正解は(2)です。

なぜ負荷が増えると曲線は上へ移動するのか

問題文の「負荷が増加するにつれ曲線は上側へ移動する」——この理由も押さえておきましょう

電機子電流は、有効分(トルクを作る成分)と無効分(力率を決める成分)に分けられます。負荷が増えるということは、有効分が増えるということです。

電機子電流の内訳

\( I_a=\sqrt{(I_a\cos\theta)^2+(I_a\sin\theta)^2} \)

有効分は負荷で決まり、無効分は界磁電流で決まる

界磁をどう動かしても有効分は変わらない——だから曲線の底も有効分の大きさで決まります

負荷有効分谷の底(力率1のときの電流)曲線の位置
軽い小さい低い下のほう
中くらい中くらい中くらい真ん中
重い大きい高い上のほう

谷の底の高さが、そのまま有効分の大きさです。負荷が増えれば有効分が増え、谷が持ち上がる——これが「曲線が上側へ移動する」ことの中身になります。

同時に、谷の位置(力率1になる界磁電流)も右へずれていきます。大きな出力を出すには大きな内部起電力が必要で、そのためには界磁電流も多く要るからです。問題文の破線が右上がりに描かれているのは、このためです。

力率1で運転するのが最も得か

電機子電流が最小になるのは力率1のときです。電流が最小なら銅損も最小——電動機単体で見れば、力率1がいちばん効率がよいことになります。

運転点電機子電流電動機自身の銅損系統への影響安定度の余裕
不足励磁(遅れ)大きい大きい系統の力率を悪くする少ない
力率1最小最小中立標準
過励磁(進み)大きい大きい系統の力率を改善する大きい

電動機だけを見れば力率1が最適ですが、設備全体で見ると話が変わります工場には遅れ力率の誘導電動機がたくさんあるので、同期電動機を過励磁で運転して進み無効電力を供給すれば、全体の力率が改善します

さらに、過励磁のほうが安定度の余裕も大きくなります。内部起電力が大きいほど、同じ出力を出すのに必要な負荷角が小さくて済む——脱調までの余裕が広がるからです。

だから実務では、やや過励磁で運転することが多いのです。電動機自身の銅損は少し増えますが、配電線の損失が減り、安定度も上がる——設備全体では得になるという判断です。

⏱️ 本番での進め方
横軸=界磁電流(操作する量)、縦軸=電機子電流(結果)
最低点は力率1——力率0ではない。
左が遅れ(不足励磁)、右が進み(過励磁)
負荷が増えると曲線は上へ、谷の位置は右へずれる。

💡 覚え方
「V曲線:横=界磁電流、縦=電機子電流。最低点=力率1。左が遅れ(不足励磁)、右が進み(過励磁)」谷の底の高さ=有効分の大きさなので負荷が増えれば曲線は上へ移動し、谷の位置も右へずれる電動機単体なら力率1が最効率だが、設備全体ではやや過励磁が有利

⚠️ よくある間違い
縦軸と横軸を逆にするのが最も多い誤りです。操作するのは界磁電流——それを横軸に取ります。もう一つは最低点を「力率0」とすること——無効分がゼロになるのは力率1のときです。力率0なら有効分がゼロで、仕事をしていないことになってしまいます。

同期電動機と誘導電動機を、V曲線の観点で比べる

V曲線があるのは同期電動機だけです。誘導電動機には、界磁電流という調整つまみがそもそもありません——この違いが、2つの電動機の性格を分けています

同期電動機誘導電動機
磁束を作る電流界磁巻線に流す直流(独立)固定子電流の一部(励磁分)
力率の決まり方界磁電流で自由に選べる負荷しだいで決まる(常に遅れ)
V曲線あるない(調整つまみがない)
無効電力供給も消費もできる常に消費する側

誘導電動機の励磁電流は、固定子電流の中に混ざって流れています。負荷電流と同じ巻線を通っているので、片方だけを独立に増減させることができません——だから力率を選べないのです。

同期電動機は界磁巻線が別回路です。磁束を作る電流だけを、電機子電流とは無関係に増減できる——これがV曲線という自由度を生んでいます

「巻線が兼用か分離か」という同期機と誘導機の構造的な違いが、V曲線の有無という形で現れている——この見方ができると、電動機の分類がより立体的に理解できます

界磁電流を変えても回転速度は変わらない

V曲線を見ていると、界磁電流を変えれば何かが大きく変わりそうに思えますが、回転速度だけは絶対に変わりません

界磁電流を変えると変わるもの変わらないもの
電機子電流の大きさ回転速度(同期速度のまま)
力率(進み・遅れ)有効電力(負荷しだい)
負荷角 δ出力トルク(負荷しだい)

同期電動機の回転速度は、電源周波数と極数だけで決まります。N=120f/p——界磁電流はこの式のどこにも出てきません

誘導電動機なら、負荷が変われば滑りが変わって速度も動きます。同期電動機は速度を変えずに負荷角で応じる——「速度は絶対に変えない」というのが同期機の本質です。

だからV曲線は「速度が固定された状態で、無効電力だけをどう調整するか」を描いた図だということになります。有効電力(負荷)は曲線の高さとして表れ、無効電力は横方向の位置として表れる——2つの量が別々の軸に分かれているのが、この図の要点です。

まとめ

(ア)界磁電流
(イ)電機子電流
(ウ)1
(エ)遅れ
(オ)進み
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・同期電動機のV曲線と同期調相機:【機械】令和4年度下期A問題4
・界磁電流の増減と力率:【機械】平成18年度A問題4

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和4年度下期A問題4(同期機41)
【機械】平成23年度A問題5(同期機43)
【機械】令和3年度A問題7(同期機45)
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